レポート

【緊急アピール】イスラエルによる、パレスチナ人に対するテロ行為を止めて下さい!

2015年10月30日

パレスチナでの弾圧 パレスチナのオリーブオイルの出荷団体であるパレスチナ農業開発センター(UAWC)が緊急声明を出しました。UAWCはATJを通してオリーブオイルを日本に出荷する団体であると同時に農民の支援活動を行っています。

 日本ではあまり報道されていませんが、10月に入ってヨルダン川西岸地区と東エルサレムでパレスチナ人とイスラエル人の間の流血事件が多発しています。この1か月間だけで50人を超えるパレスチナ人が死亡しています。これは、イスラエルによる長年の占領と抑圧、エスカレートする人権侵害や暴力がもたらした結果と言えます。

 UAWCは声明の中で、イスラエルの占領と暴力行使を止めるよう国際社会に行動を起こすようアピールしています。

 以下、声明文です。

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世界中の人々への緊急声明
イスラエルによる、パレスチナ人に対するテロ行為を止めて下さい!

 現在、聖地エルサレムにおいて、イスラエル人入植者によるパレスチナ人に対する攻撃が、毎日のように続いています。その他にも、イスラエル軍による不当な逮捕や拘留に加え、パレスチナ人に対する組織的な拷問や入植者による犯罪が後を絶ちません。卑近な例としては、2015年7月31日、ナブルス南部のDuma村において、イスラエル入植者がDawabsheh一家の自宅を焼き討ちし、1歳6か月になる男の子が亡くなり、両親と4歳になる兄も、大きな火傷を負いました(両親はその後死亡)。イスラエルによる実質的な占領下にあるパレスチナ自治区において、イスラエルによるこのような継続的な犯罪行為が行われていることを、我々は断固拒否します。

 パレスチナ自治区の農村では土地の収奪や入植地の拡大など、イスラエルの入植と占領行為も一向に終わりを迎える気配がありません。それは、パレスチナの経済を窒息させ、パレスチナ自治政府とイスラエルとの和平に向けた交渉を閉ざし、パレスチナの主権に対するイスラエルの占領と支配を強めることにしかなり得ません。イスラエルによるこのようなすべての暴力が、ヨルダン川西岸地区、エルサレム、ガザ地区といった占領下にあるパレスチナにおいて、怒りを表現する手段としてデモを起こさせることになります。そしてデモに対し、我々がアラブ系パレスチナ人であるという理由だけで、全世界の人々が見ている前で、イスラエル軍は抵抗する人々を残虐に殺害しているのです。

 2015年10月以降、イスラエル軍は明らかにデモに参加するパレスチナ市民への暴力の行使を強めました。そこには、非武装の投石者には決して使用してはならないと国際法で決められている武器や兵器が使用されているのです。

 10月に入り、ヨルダン川西岸地区とガザ地区だけで、イスラエル人により殺害されたパレスチナ市民は32人に上ります。その中には、血も涙もないイスラエル入植者の手によって命を奪われた7名の子どもが含まれます。殺された人々の多くは、上半身に攻撃を受けていることがわかっています。また、それ以外にも、200人の子どもと40人の女性を含む1,500人以上が実弾やゴム被覆金属弾を受けて負傷し、さらに150人がイスラエル軍や入植者によって暴行されています。さらに、エルサレム、ラマラ、ナブルス、ヘブロン、トゥルカレム、カルキリヤなどの街で、少なくとも800人以上が不当な逮捕をされており、しかもその半数はまだ子どもなのです。

 イスラエル入植者による暴力・破壊行為は、人だけでなく、農地に対しても執拗に続けられています。最近でも、ナブルス県にあるブリン村やハワラ村では、数十ドゥナム(1ドゥナムは約1ヘクタール。もともとは大人1名が一日に耕すことのできる広さから来たと言われる単位)の土地が焼き払われました。昨年エルサレムで起きたMohammed Abu Khudair少年が生きたまま火をつけられて殺害された事件を模倣し、イスラエル入植者がエルサレムの学校に通う生徒の殺害を企てるという事件も起きています。

 イスラエルの占領行為とそれに加担する入植者たちは、(美しいはずの)パレスチナの街並みや通りを死の風景に塗り替えてしまいました。我々パレスチナ人は、絶えず銃撃による死の恐怖-それも、武装したイスラエル入植者とイスラエル軍狙撃部隊の双方による-に晒されているのです。それにも関わらず、イスラエルの多くのマスコミは現実を無視し、シオニストの作った「イスラエル人が(パレスチナ人のテロ行為による)被害者である」というイメージにすり替えた報道を、意図的に繰り返しています。

 その例の一つが、東エルサレム近郊のAl Issawiyaに住んでいた19歳のFadi Allounの事件です。これは、「彼が入植者をナイフで刺そうとしていた」というイスラエル側の主張により、「彼を追いかけ始めたイスラエル警察から逃げている最中に」射殺されたと報じられました。しかし、残った映像には、彼がナイフは持っておらず、イスラエル入植者に対して攻撃をしようとしていた証拠は認められなかったのです。

 世界中の全ての人々は、パレスチナ人が殺されている現状に対し、沈黙したままではいないでしょう。負傷して倒れている13歳の少年Ahmed Manasrahに対し、罵声を浴びせ、「殺せ」と叫ぶイスラエル入植者や警察・軍隊の様子は、彼らがいかに非人道的な扱いをしているかを端的に物語っています。さらに、到着した(イスラエルの)救急隊員が必要な応急処置も施さず、他の入植者に応じて「死ね、死ね」と声を上げる様子に至っては、最悪の人権侵害と言う他ありません。「負傷した子どもの痛み」は、世界中の人々の良心を揺さぶり、イスラエルの組織的なテロを終結させることになるでしょう。

このように、耳を疑いたくなるような暴挙は枚挙に暇が無く、皆さんがこの文章を読んでいる間にも、次から次へとパレスチナ人が負傷し、殺されています。だからこそ、UAWCは全世界の人々に向けて、緊急に次の点を要請します。

  • 国際社会の沈黙を破り、我々パレスチナ人を守るための行動を起こし、イスラエルの非道な占領を終わらせるよう、圧力をかけて下さい。
  • 皆様の国において社会的な運動を起こし、我々に対するイスラエルの暴力が止められるよう、イスラエル大使館に対してデモを行って下さい。
  • イスラエルの占領を支持せず、入植地で作られた製品の不買運動や、イスラエルの不当な政策を支援するような外交をやめて下さい。

 どうか心よりの連帯をお願い致します。

パレスチナ農業開発センター(UAWC)[/box]

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