レポート

バナナニュース254号:フィリピンで干ばつ!!~バランゴンバナナ産地被害状況~

2016年5月2日

現在、大規模なエルニーニョ現象(注)とフィリピンの乾季(12-5月)が重なり、フィリピンでは干ばつおよび高温に見舞われています。フィリピン農業省は、4月5日に、農業における被害総額が99億ペソ(約240億円)に達したと発表しており、バランゴンバナナも被害を受け、収量が減少しています。特に被害が大きいのはミンダナオ島ツピであり、ツピがある南コタバト州では、非常事態宣言が出されています。

バランゴンバナナの産地については「バランゴンバナナが日本に届くまで① ~バランゴンバナナ圃場の様子~」をご参照ください。

 

水不足で折れてしまったバナナ

水不足で折れてしまったバナナ

ツピでは、干ばつの影響を受け、バランゴンバナナの生育は鈍化しており、生産性が著しく低下しています。通常よりもバンチ(全房:房の連なり)が小さく、出荷基準に満たない細いバナナが増えています。また、収穫頻度も少なくなっており、通常であれば毎週収穫できますが、2週間に1回の収穫になっている圃場もあります。

ツピでの灌水の様子

ツピでの灌水の様子

バランゴンバナナ以外の農作物も干ばつの被害を受けており、ツピのバランゴンバナナ生産者によると、「過去にも干ばつは経験しているが、今年のようなひどい干ばつは初めて」とのことです。

4月の降雨量:左が過去30年の平均、真中が今年の4月の降雨量、右が平年比。赤くなっている地域が平年の40%未満。PAGASAのHPより

4月の降雨量:左が過去30年の平均、真中が今年の4月の降雨量、右が平年比。赤くなっている地域が平年の40%未満。PAGASAのHPより

 

フィリピンの多くの地域で、4月1日から14日までの降雨量は過去30年の平均を大幅に下回っており、ミンダナオ島の大半の地域では平年の40%未満の雨しか降っていません。PAGASA(フィリピンの気象庁)の予測では、4月もフィリピンの約四割の地域で、3カ月連続で例年の40%未満の降雨量になる見込みであり、特にミンダナオ島は引き続き厳しい状況が続きます。ツピでは、ポンプを使用しての灌水を行っている生産者もいますが、その努力もむなしく、今後も収量低迷が続くことが予想されます。

(注)エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が1年程度続く現象です。

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