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【PtoP NEWS-vol.13 特集】 東ティモール独立15周年

【PtoP NEWS-vol.13  特集】 東ティモール独立15周年

今年も5月20日がやってきます。15年前のこの日、2002年5月20日東ティモールは21世紀最初の独立国として誕生しました。

ATJとAPLAが共同発行している『PtoP NEWS』vol.13の特集記事より、「東ティモール独立15周年」を、お届けします。

 

毎年5月20日は、東ティモールの人びとにとって、非常に特別な記念日です。のべ5世紀にわたる他国による統治から脱却し、ゼロから国づくりを始めた日だからです。1515年ポルトガルによる植民地支配、第二次世界大戦中の日本による占領、約四半世紀のインドネシアによる強制併合を経て、15年前の2002年5月20日、東ティモールは主権を回復⋆しました。独立を勝ち取るまでに犠牲になった多くの祖先たちへの哀悼と敬意を胸に刻みながら、誇りを持って、東ティモールの人びとは国づくりに奮闘しています。

 

東ティモールの人びととコーヒー

   東ティモールのコーヒーは、多くはポルトガル植民地時代に植えられたものです。オルター・トレード・ティモール社(ATT)は、エルメラ県の計20グループ・430世帯の生産者から買い付けたコーヒーを日本やオーストラリア向けに輸出しています。独立は果たしたものの、国内産業は殆どといっていいほど発達していません。米や加工品、塩や砂糖など基本的な食料・日用品もまだまだ輸入に頼ったままです。厳しい国内の経済状況において、人口の4分の1が携わっていると言われるコーヒー産業は、人びとが現金収入を得られる数少ない手段の1つです。生産者にとってコーヒーからの収入は家計の大部分を占めるため、毎年5月頃から3ヵ月間ほどの収穫と加工作業の時期は、家族総出で仕事をします。

ATTが設立された2007年当時、コーヒーは赤い実(コーヒーチェリー)の状態で買い付けられていました。今では生産者自身が乾燥までの加工作業をすることで、コーヒーチェリーで売っていたときよりも高い価格で買い付けられるようになりました。

水洗式加工のオリエンテーション

水洗式加工のオリエンテーション

 

 

今でこそ、一定の品質を保てるようになりましたが、決して平坦な道のりではありませんでした。最初に試した非水洗加工という加工法では欠陥豆が多く出すぎてしまいました、それでも生産者は諦めず、日本からのアドバイスを受けて、翌年には果肉を除去した後のコーヒーを水に浸け、発酵させる加工方法に初めて挑戦。慣れない加工作業は生産者にとって楽でないものの、毎年、収穫シーズンが始まる前に、ATTのスタッフがコミュニティごとにオリエンテーションを実施し、技術向上に励んでいます。また、赤く完熟した実だけを出荷するという基準にも取り組み、日本での品質評価のレベルも上がっています。

ここ数年は、剪定や施肥など、コーヒーの木の手入れ作業も少しずつ実施されています。剪定すると一時的にコーヒーの収量が減ることからなかなか切ることに踏み切れない生産者も多いのですが、実際に挑戦してみると数年後には実の品質も良くなり収穫量も増えたという声も聞かれます。

2015年にはブラジルから専門家が訪れ、直接技術指導がなされました。専門家から、選別や加工技術などを褒められて自信をつけた生産者もいます。このような取組みを通して、長い植民地支配から独立を果たし、自らの意志でより美味しいコーヒーづくりを始めた生産者たちは、経済的な独立(自立)の大切さも学んでいます。

 

時間が掛かっても、一歩ずつ着実に

 以前は、コーヒー収穫シーズン以外は街に出稼ぎに行くケースの多かった生産者たちですが、今では野菜や果物の栽培、魚の養殖なども実践し、コーヒーだけの収入に依存しない暮らしをめざしています。自給用以外で余ったものは、近くのいちばに出せるようになった生産者も出てきています。主権回復から15年が経った今日、農村部の人びとの生活が著しく良くなっているわけではありませんが、道路の整備・水不足や電力不足の対策などインフラ整備も少しずつ進められています。

東ティモールコーヒー協会主催の品評会のトロフィー&賞状

東ティモールコーヒー協会主催の品評会のトロフィー&賞状

コーヒーの品質は年々着実に向上し、今では他国のコーヒーと品質的に競えるレベルに辿り着きつつあります。昨年11月に東ティモールコーヒー協会が開催した、その年に生産された東ティモール産コーヒーの品評会では、エルメラの生産者のコーヒー豆が出品された全62品のうち第2位を獲得しました!

生産者にとって、品質に厳しい日本に販売できることは、大きな励みです。また、コーヒーを通して、東ティモールという新しい国を世界中の人たちに知ってもらえること、その人たちとつながり、その味で誰かを幸せにできることをとても誇りに思っています。コーヒーは、東ティモールの人びとにとって、大切な財産であり、アイデンティティでもあるのです。

豊かな自然、人びとの陽気さや温かさ、何よりも自分の国をつくるという希望に満ち溢れた東ティモール。今の日本が忘れかけているものがそこにはあるのかもしれません。目先の利益を追い求めるのではなく、大切な価値を守りながら東ティモールらしい国づくりをしていってほしいと願います。

農薬や化学肥料は使用しておらず、東ティモール・エルメラの大地で育まれた風味が生きています。

農薬や化学肥料は使用しておらず、東ティモール・エルメラの大地で育まれた風味が生きています。

名和 尚毅(なわ・なおき/ATJ)

※1:1975年にポルトガルからの独立を宣言しましたが、直後にインドネシアの軍事侵攻を受けました。2002年は、「独立」ではなく、「(インドネシアからの)主権回復」と表現します。

 

***『PtoP NEWS』バックナンバーは、無料でお読みいただけます。

http://www.apla.jp/archives/publications-cat/ptop

 

 

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