レポート

緊迫するパレスチナ情勢、UAWC職員ファラージ氏再拘禁

2017年5月31日

日本ではほとんど報道されていませんが、パレスチナでは4月17日から1,500人を超える政治犯が集団で無期限ハンガーストライキを行っています。彼らは、イスラエル当局に対して、行政拘留者(下記)の即時釈放、刑務所内での拷問や虐待の停止などを求めています。ヨルダン川西岸では各地で連帯デモが広がっています。このハンストに対して、5月22日、オリーブオイル出荷団体であるパレスチナ農業復興委員会(PARC)が連帯声明を出しました。

 

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  パレスチナ農業復興委員会(PARC)は、2017年4月17日にイスラエル刑務所でハンガーストライキを始めたパレスチナ人拘禁者への連帯を表明します。

  1,800名以上の拘禁者が、刑務所の不平等かつ劣悪な環境に対して抗議を行うためのハンガーストライキを始めました。国際法の下、拘留している全ての人々の福利や環境改善に責任を持つイスラエル政府に対して圧力をかける目的で、それから36日間にわたり、彼らは塩と水だけで生きています。

  拘禁者が求めているのは、非常に単純で基本的な、人間として必要なものだけです。それは、家族と話をするための公衆電話の設置、定期的な家族の訪問とその際に家族写真を撮影する事の許可、医療の改善、空調管理の導入などです。

 また拘禁者は、「行政拘禁」の廃止を求めています。行政拘禁とは、「公表されない機密な証拠」という理由のみでパレスチナ人を拘禁することを認める制度で、その期間は数か月、時には数年にも及ぶものです。この制度は、国際法のもとで違法とされています。

  PARCは、すべてのパートナーに対し、イスラエルの刑務所に拘禁されているパレスチナ人の法的権利を守ることを支持し、イスラエル政府が国際人権法を遵守し、パレスチナ人拘禁者の苦しみに終止符を打つように圧力をかけるべく、自国政府に要請することを求めます。

2017年5月22日
Palestinian Agricultural Relief Committee (PARC)[/box]

パレスチナ自治政府、国際赤十字とイスラエル政府の間の交渉により、政治犯の要求が認められたため、ハンガーストライキを継続していた800余名の政治犯は、5月27日にハンストを終了しました。認められた内容は、政治犯の面会を月2回認めること以外は、まだ公表されていません。 

アブドゥル・ラザック・ファラージ氏

そして、5月24日夜、パレスチナのオリーブオイル出荷団体のひとつ、パレスチナ農業開発センター(UAWC)より、UAWC総務部長であり、ジャーナリストとしても活動しているアブドゥル・ラザック・ファラージ氏が、同日未明逮捕されたという報告が入りました。

 

 

[box type=”shadow”]  現在、数百名のパレスチナ人拘禁者が、基本的な人権を求めてハンガーストライキを継続しています。彼らは、彼ら自身のみならず、世界中の抑圧された人々の自由と尊厳のために、闘っています。パレスチナ自治区を占領しているイスラエル政府は、いまだにパレスチナの一般市民および拘禁者に対する抑圧的な政策を止めようとはしません。その卑近な例として、我々パレスチナ農業開発センター(UAWC)事務局長であり、またジャーナリストとしても活動しているアブドゥル・ラザック・ファラージが、本日未明に自宅で、それも彼の家族の目の前で、再度拘留されました。

  UAWCは世界中の自由と正義を愛する人々に対し、我々の同僚であるファラージ、ならびにハンガーストライキを継続している全ての拘禁者の釈放を求めた連帯のために立ち上がるように呼び掛けます。

  ファラージは、実に人生のうち16年間をイスラエルの刑務所で過ごし、結果として、多くの病を抱えています。それらの殆どは、「行政拘禁」と呼ばれるイスラエルの制度によるもので、令状なしに不都合な人物を逮捕・拘留しても良いとされているものです。これは、国際協定、とりわけジュネーブ条約第4条に明確に違反しています。UAWCは、パレスチナ自治区の存在と正当性を信じ、イスラエルが行う占領や隷属化を否定する全ての組織に対し、ファラージを解放し、彼を家族のもとへ返すようにイスラエル政府に圧力をかけるため、自国の政府へ書簡を送る国際的な連帯キャンペーンを立ち上げることを呼び掛けます。

2017年5月24日
Union of Agricultural Work Committees (UAWC)[/box]

ファラージ氏は2014年2月にイスラエル政府により行政拘禁されましたが、行政拘禁制度に抗議して同年4月より約2か月間、数十名の拘禁者による集団ハンガーストライキに参加しました。ATJでは、UAWCから届いた緊急アピールを受けて、貴団体を含む株主生協・団体、APLA、ATJ計11団体連名で、同氏を含む行政拘禁者の即時釈放を求める嘆願書を在日イスラエル大使館に送付した経緯があります(イスラエル大使館は受け取り拒否)。

詳しい経緯はこちらからご覧ください。⇒ ファラージさんに自由を!

ファラージ氏はようやく2015年10月に釈放されましたが、それから1年半余りで再逮捕されたことになります。同氏はこれまでの生涯で実に16年も刑務所で過ごしていますが、そのほとんどが行政拘禁によるものです。行政拘禁とは、報告にも説明があるように、令状なしに不都合な人物を逮捕し、無期限に拘留できるとする制度であり、国際協定、とりわけジュネーブ条約第4条に明確に違反しています。イスラエル政府はこの制度を濫用し、国際社会からも強く批判されてきました。

UAWCは、同氏の即時釈放を求めるキャンペーン活動への協力を国際社会に対して求めています。ファラージ氏逮捕の詳細な背景については現在、UAWCに問い合わせ中です。

広報本部 小林

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