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【PtoP NEWS vol.11/2017.2 特集】バナナ・プランテーションの現場から ~フィリピン・ミンダナオ島現地訪問で見えたもの~

【PtoP NEWS vol.11/2017.2 特集】バナナ・プランテーションの現場から ~フィリピン・ミンダナオ島現地訪問で見えたもの~

高地栽培バナナプランテーション

高地栽培バナナプランテーション

私たちの食卓と海外の産地がどうつながっているか、バナナを通じて追求した鶴見良行著『バナナと日本人』が世に出てから30余年がたちました。

フィリピン・ミンダナオ島では70年代から日本市場に向けて大規模に工業的なバナナを栽培するプランテーションが作られるようになります。

そこで書かれた農薬被害や過酷な労働条件は、現在どうなっているのでしょうか。そうした状況を確かめるために、2016年9月初めにミンダナオ島を生協関係者、研究者が訪問しました。

 

農薬空中散布を止めたい

バナナプランテーションを横切って学校に通う子どもたち

バナナプランテーションを横切って学校に通う子どもたち

南コタバト州ティボリ町には、約3,000ヘクタールの日系企業のバナナ・プランテーションが広がっています。2000年頃から標高500メートル以上の高地で次々と開発された「高地栽培バナナ」のプランテーションです。

 

自然な甘みをアピールする高地栽培バナナの多くが日本に輸出され、スーパーではプレミアムバナナとして高めの価格で販売されています。

ティボリ町では、バナナ・プランテーションにおける農薬空中散布に反対している住民グループと交流しました。

空中散布の実態を描いたドキュメンタリー・フィルム「Poison Rain(毒の雨)」にも登場する先住民族、ティボリ族のリーダー2名の証言です。

Poison Rain (毒の雨)

Poison Rain (毒の雨)

 

証言をするスター・ディラムさん

証言をするスター・ディラムさん

「空中散布が始まってから、子どもたちは湿疹や皮膚のかゆみに苦しんでいます。朝5時から散布される農薬の強烈な臭いがずっと漂っています。野菜には農薬が降りかかり、もう食べられません。空中散布を止めて、元の暮らしを取り戻したい」(スター・ディラムさん、女性/写真左端)

 

「かつては豚、鶏、水牛やヤギといった家畜を飼っていましたが、もういません。以前は雨が降ったら、外でシャワーを浴びたものですが、もうできません。ティボリ町は水源涵養地区に指定されているのに、なぜ空中散布が許されるでしょうか」(リス・ハウスさん、男性)

 

訪問者の一人、国際農薬監視ネットワーク(PAN)日本代表で、アジアの農薬規制や有機農業普及に関わっている田坂興亜氏は、「空中散布されている複数の殺菌剤は、PANが健康被害の恐れが高い農薬として使用中止を呼びかけている高有害物質に指定されています。こうした危険な農薬が日常的に空から散布され、この下で暮らしている住民がいるということは大きな問題です」と語っています。

 

バランゴンバナナの産地では

マキララで収穫されたバランゴンバナナ

マキララで収穫されたバランゴンバナナ

もう一つの訪問先、フィリピンで最も高いアポ山の中腹にあるマキララ町にはバランゴンバナナの産地があります。

出荷団体であるドンボスコ財団代表のマリア・ガメラさんから、バランゴン生産者グループのリーダーであり、村長でもある方が原因不明の全身麻痺に罹っていると聞きました(2016年11月に同氏は亡くなりました)。

村長の家はバナナ・プランテーションのすぐ脇にあり、日常的に飛散する農薬に晒されていました。彼を診断した毒物病理学が専門のロメロ・キハノ博士によると農薬も主要な原因の一つである可能性が高いとのことです。マリアさんは村長の家族や近隣に住む住民、とりわけ子どもの健康について心配しています。

 

レイクセブのバランゴンバナナ生産者の家族

レイクセブのバランゴンバナナ生産者の家族

ティボリ町の隣町、レイクセブ町にもバランゴンバナナの産地がありますが、2000年代前半、同町にもバナナ・プランテーション進出の計画が持ち上がりましたが、バランゴンバナナの出荷団体、高地アラー渓谷農事法人(UAVFI)などの活動により、進出を阻止した経緯があります。ドンボスコ財団も、水源が汚染されることを防ごうと、2000年に同町に開発されたバナナ・プランテーション拡大に長年反対してきました。

農薬を多用するバナナ・プランテーションは、人びとの命や暮らしに影響する切実な問題です。そして、バランゴンバナナは、まさしくプランテーションに頼らない生計の手段であり、コミュニティの環境を守るオルタナティブなのです。

オルター・トレード・ジャパン(ATJ)は、ミンダナオの人びとの暮らしと健康、環境が守られるよう関わっていきたいと思います。

小林和夫(こばやし・かずお/ATJ)

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