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【バナナニュース281号】若者が農業を学ぶ カネシゲファーム・ルーラルキャンパス

【バナナニュース281号】若者が農業を学ぶ カネシゲファーム・ルーラルキャンパス

バランゴンバナナを輸入しているオルター・トレード・ジャパン(ATJ)の関連団体のAPLAは、バナナ産地フィリピンの農民技術交流活動などを実施しているNPO法人です。フィリピン・ネグロス島においては、養豚を軸とした有畜複合循環型農業を実践する農場であるカネシゲファーム・ルーラルキャンパス(KF-RC)の運営をサポートしています。

カネシゲファームは、1986年の砂糖危機以来、ネグロスの人びとへの支援に尽力された故兼重正次氏(1995年逝去)にちなんで名づけられています。兼重氏は、日本とネグロスの民衆交易のスタートにも多大な貢献をされた方です。ネグロスの貧しい農民を支援するという彼の夢を、KF-RCが引き継ぐべく「カネシゲファーム」という名前が残っています。

KF-RCの目的は、「農民の収入を増やし、農業をより楽しいものにするために、農法や技術を紹介しながら、農地を発展させていくよう納得してもらうこと」であり、農業の新しい価値観を創りだすことと、具体的な農業技術の普及により地域の農民の自立を後押しすることにあります。

KF-RCには、循環型農業と適正技術の実践と普及(農場部門)、そしてルーラルキャンパス(農民学校)の役割があります。

 

循環型農業の適正技術の実践と普及(農場部門)

KF-RCでは、BMW技術(※1)を取り入れ、養豚、堆肥作り、耕作、生産を農場の中で完結させ、ごみが排出されない循環型農業を実践しています。まず、豚から排出された糞尿はバイオガスタンクに貯まり、ここで糞尿の発酵を進めます。これが液肥となり、畑への肥料となります。また、液肥は生物活性水(BMW技術)へと培養されてミネラル豊富な水が作られ、この水を豚や農場内にいる家畜が飲水として利用し、再び糞尿となって、バイオガスタンクに貯まります。

その他、バイオガスタンクからはメタンガスを活用したエネルギー創出や発電を実践していたり、ランポンプ(自動揚水器)(※2)を活用し、適正技術の導入と普及活動をしています。
※1 BMW技術:バクテリア(微生物)・ミネラル(造岩鉱物)・ウォーター(水)の略。バクテリアとミネラルの働きをうまく利用し、土と水が生成される生態系のシステムを人工的に再現する技術のこと。
※2 ランポンプ:傾斜を利用し、水を流すことで、外からのエネルギーに頼らず水を汲みあげられる自動揚水器。

 

ルーラルキャンパス(農民学校)

KF-RCには、ネグロス島内の若者を研修生として受け入れ、約半年間住み込みで循環型農業の実践を学ぶ研修制度があります。研修生としての受け入れ基準は、農業を生活の糧とすると決めている青年で、地域や関係する人たちの推薦があり、家族の理解もあること。2018年8月までに7期32人を受け入れ、3人が卒業後KF-RCのスタッフとなり、13人が地元で農業を続けています。そのうち、8人が自分の豚舎を作り、1名がカラバオ(水牛)を使って農業を継続しています。

KF-RCの卒業生サポート制度は、研修終了時に、各卒業生に豚舎を建設する材料費をAPLAが支援し、建設は研修生たちと家族、KF-RCのスタッフが協力して実施します。養豚を中心に有畜複合の循環型農業を実践することで、豚の売り上げに加えて、養豚から出る糞尿を活用した肥料を使って農業に励み、野菜の自給や余剰分は販売していくことを目指しています。

この制度を始めた初期は、豚舎が完成すると、卒業生は子豚4匹と3ヵ月分の餌代をローンで現物支給され、3ヵ月後に育った豚を販売してローンを返済し、残った金額が手取りとなる仕組みになっていました。しかし、子豚がうまく育たなかったり、豚が売れなかったり、卒業生の家族の状況や住んでいる地域によって有効性が異なり、現在では各卒業生に合ったサポートをその都度検討して実施しています。例えば、水がなくて養豚をするには厳しい地域で、かつ町から家までの道路事情が悪く豚の運搬が厳しい卒業生には、妊娠しているカラバオ(水牛)を渡し、子牛が生まれたらKF-RCへ返す仕組みを実施しました。卒業後、農業を始めるには初期投資がない若者たちにとって、農業を始めるための基盤づくりと続けていくためのモチベーションにつながるように、KF-RCにとっては卒業生のサポート制度は重要な位置づけとなっています。

卒業後も、定期的に連絡を取り合ったり、卒業生を訪問して農業をする上での相談に乗ったり、KF-RCでの行事や交流、研修に参加してもらい、研修後も卒業生へのサポートができるような体制を作っています。

卒業生には、バランゴンバナナの生産者もいます。卒業生で若手生産者の一人であるマイケル・イアネスさんについて、次回から数回にわたって紹介します。

商品一課   赤松 結希

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