レポート

【バナナニュース242号】伝統的な箒が作られている村、カンルソン

2015年4月21日

西ネグロス州の山奥にあるバランゴン産地であるカンルソン村。主に自給用に植えられている、美しい水田が見受けられるこの村では、タイガーグラスと言うススキのような草の穂を束ねた伝統的な箒が手作りされています。柔らかく扇のように広がるこの草は、箒に適しています。フィリピンでは一般的に、家の外回りの掃き掃除を行う時にはヤシの葉の芯を束ねた箒(ティンティン)を使い、室内の掃き掃除の時には、タイガーグラスを束ねた箒を使います。

タイガーグラス

収穫されたタイガーグラスを道端で天日干し

カンルソン村の人々の主な収入源はこの箒作り。タイガーグラスの収穫期を迎えると、道端でタイガーグラスを乾燥させている風景を目にします。タイガーグラスの収穫は年に1回。約1,000本の草から約30本の箒を作ることができます。生産者によって収穫量は異なりますが、年に約30,000~60,000本のタイガーグラスを収穫することができ、箒を作っています。1本1本、丁寧に手作りされた箒は、1本約40ペソ(2015年4月時点のレートで100円強)で販売されますが、コストが約10ペソかかるとのことです。

マルキランシア家

バランゴン生産者のガリー・マルキランシアさん一家

箒作りが主な収入源ではありますが、タイガーグラスの収穫が年に1回。そのため、定期的な現金収入を確保する必要があります。その役割を担っているのがバランゴンバナナ。ATCはカンルソン村に2週間に1回、バランゴンバナナを買いに行っています。生産者によってバランゴンバナナからの収入源は異なりますが、平均すると生産者1人あたり、約450ペソの現金収入を2週間に1回、バランゴンバナナから得ています。タイガーグラスやお米の収穫がない時には、バランゴンバナナからの定期的な現金収入は非常に重要であると生産者は話します。

切れ切れになってしまったバランゴンの葉っぱ

台風クイニーで葉っぱが切れ切れになってしまったバランゴン

ただし、カンルソン村も昨年の台風21号(現地名:クイニー)で大きな被害を受けた産地の1つ。台風クイニーにより、実をつけていた収穫間近なバナナが約4,400本倒れ、多くの生産者の収穫量が約1/4程度に減少してしまいました。今はタイガーグラスの収穫時期ですので、箒からの収入を得ることはできていますが、やはりバランゴンバナナからの現金収入が無くなったことで生活は厳しくなったと生産者は言います。

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台風クイニー後は、バンチトップ病という病害被害も広がってしまいましたが、ATCと一緒に、病気の拡大を防ぎながら、バランゴンバナナの回復に努めています。

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