【バナナニュース238号】 ボイさん・アナさん一家の物語⑥ ~長女リゼルの結婚式~

2014年12月12日

2014年12月2日、ボイさん・アナさんの長女リゼル が、幼馴染であり、現在はアナさんと一緒にバランゴンバナナの買付け・集荷の仕事をしているロネルと結婚式を挙げました。

フィリピンの農村では、教会で式を挙げた後に、自宅でパーティをするのが一般的。2人もボイさん・アナさん宅から約8km離れた教会で式を挙げ、その後自宅でパーティを行いました。教会への移動は、ボイさんの愛車である軽トラック。炎天下の中、新郎新婦は軽トラックの荷台で揺られながら、凸凹道を移動しました。

軽トラックの荷台に乗って教会へ向かう2人

軽トラックの荷台に乗って教会へ向かう2人

自宅でのパーティには、友人・親戚・近所の人々など総勢150人以上が集まりました。両家から豚が9頭も準備され、そのうち4頭はレチョン・バボイとして振舞われました。これは、子豚の丸焼きで、レチョンは丸焼き、バボイは豚を意味しています。子豚の内臓を取り除いた後に、中に香草を詰め、頭から尻尾にかけて棒で串刺しにした後、炭火の上でゆっくり回しながらじっくり焼き上げます。誕生日、結婚披露宴、お祭り、クリスマスなどに欠かせないフィリピンの代表的な料理です。また、特大のウェディングケーキも準備され、盛大に2人の結婚を祝いました。

レチョンとウェディング・ケーキ

フィリピン名物、レチョン・バボイ。右手に見えるのがウェディング・ケーキ。

「ロネルと結婚できて本当に幸せ。私が落ち込んでいる時、彼は私を助けてくれたの」とリゼルが話すと、非常に恥ずかしがり屋のロネルは、「リゼルは強い性格の持ち主で、子供の時は彼女のことを少し怖く感じていた。そういうことも乗り越え、今一緒にいられるのが嬉しい」と答えてくれました。

 

 

 

幸せそうな2人  フィリピンの結婚式パーティーは、新郎新婦がダンスを披露するのが一般的で、リゼルとロネルのダンスのために、自宅にはオーディオセットが準備されました。リゼルとロネルがダンスを披露している姿を終始笑顔で見守っていたボイさん。
「娘の幸せな姿を見ることができて、本当に幸せだ」とボイさん・アナさん。

以下のメッセージフォームから、ボイさん・アナさん、そして新婚のリゼル・ロネルにメッセージを送ることができます!ぜひメッセージをお送り下さい!!
皆さまからのメッセージはATJスタッフが翻訳して、本人にお届けします。

フィリピン駐在員 黒岩竜太

 

【バナナニュース印刷版】ここをクリックして下さい。(Adobe社のAdobe Readerが必要です。)
※バナナニュース印刷版は、バナナと一緒にお届けしていますものです。(一部お届けしていない団体もあります)


読者アンケート

よろしければ、このニュースを読んだ感想をお聞かせください。生産者へのメッセージは生産者に伝えていきます。よろしくお願いいたします。
[Form id=”15″]

台風22号によるフィリピンでの被害状況に関して(第1報)

2014年12月8日

昨年、フィリピンで7,000人以上の死者を出した台風30号(ヨランダ)の再来かと警戒された台風22号(現地名ルビー)。台風22号はフィリピン中部からルソン島南部を横断し、バナナやサトウキビ産地があるネグロス島、パナイ島は上陸を免れました。しかし、現地のバナナ出荷団体ATCによると、パナイ島産地のバナナはかなりの被害が出た模様です。ネグロス他の産地の被害状況については、現地から情報が届き次第、ご報告します。

 

台風22号進路図

オルター・トレード・インドネシア(ATINA)社が、インドネシア海洋水産省から「全国最優良エビ加工工場賞」を受賞しました。

2014年12月5日

エコシュリンプを製造するATINA社は、インドネシアの海洋水産庁から「全国最優良エビ加工工場賞(The best winner with category “Shrimps Processing Factory)を受賞しました。なかでもHACCPとトレーサビリティのシステムにおいて、全国最優良と評価されました。
2014年12月4日、ATINA社ゼネラルマネージャーのハリー・ユリが、ジャカルタの大統領宮殿で表彰状とトロフィーを授与される儀式があり、その後に海洋水産省主催のパーティーに参加しました。

ATINA社では、これまでの品質管理・トレーサビリティーに対する、関係者全員の取り組みが評価されたことを、皆で喜んでいます。


【バナナニュース237号】ボイさん・アナさん一家の物語⑤ ~旅行を通して見るフィリピン人の暮らし~

2014年11月12日

 バランゴンバナナ生産者でありオルタートレード社(以下:ATC)のスタッフであるロッドジム・カトゥバイさん(通称:ボイさん)は10月21日~31日の計11日間、バランゴンバナナの消費者の皆さんと交流するために来日しました。ボイさんの来日が決まった時、家族はボイさんに、バランゴンバナナ生産者の代表として日本に行くことを誇りに思っていると喜んでくれたそうです。今回の日本滞在は、ボイさんにとって初めての海外。
今回は、ボイさんにフィリピン人の旅行の習慣や思いを聞いてみました。

 


パスポートを取得するのは大変だったと聞きましたが
「パスポートを取得するのは大変でした。特に必要な書類の準備。フィリピンでは、公式な書類に書かれている個人情報に誤りがあることが多々あります。私の場合、出生証明書に書かれている氏名・生年月日と、キリスト教の洗礼を受ける際に教会が発行する書類の氏名・生年月日が異なっていたので、教会の書類の内容を変更しなければいけませんでした。
私の両親が結婚した時、父は16歳、母は14歳でした。私は母が16歳の時の子どもです。まだ若かったので、書類を申請する時に書き間違えたのだと思います。」
※過去にパスポートの取得が間に合わず、来日できなかった生産者、ATCスタッフもいます。日本では比較的簡単に取得できるパスポートですが、フィリピンではパスポートを取得するのも一苦労です。

親族で海外に行ったことがある人はいますか?
「叔母が以前、家政婦として、オーストラリアで約2年働いていました。今回の日本の滞在が、私にとっての初めての海外です。妻のアナも、2人の娘も海外に行ったことはありません。私はマニラに行くのも今回が初めてで、アナは、飛行機にも乗ったこともありません。」

フィリピンでは1000万人以上(人口の約10%)海外で働いており、親戚で1人は海外で働いた経験がある人がいると言われているぐらい、海外で働くことが一般的。町や村では、よく海外での家政婦の仕事の募集ポスターが貼られているのを目にします。

家族旅行でどこに行ったことがありますか?
「1990年代に家族4人でセブ島に行ったことがあります。バスと船の旅でした。セブではモールに行くなどして、家族で休暇を楽しみました。
バランゴンバナナの集荷は毎週あり、週末に行われます。また、家畜の世話などもしないといけないので、長期休暇を取るのは難しいです。フィリピン人はお祝い事など特別な日には家族で集まるのですが、親戚がマンフヨッド町に集まることが多いので、私たちが遠くに出掛けることはあまりありません。」

ロウア・カンダボンの他の生産者はどのようなところに旅行しますか?
「他のバランゴンバナナ生産者も、遠出することはほとんどありません。普段はカラバオ(水牛)に乗っている生産者。でもアナ同様、飛行機に乗ったことがない人がほとんどです(笑)
私が日本に行くことが決まった時、他のバランゴンバナナ生産者から、自分たちは日本に行く機会などないので、ここにいる生産者全員を代表して、日本に行って欲しいと言われました。」

フィリピンの農村に住んでいる人々にとって、旅行はなかなか行けない楽しみ。一方で、多くのフィリピン人が海外に出稼ぎに行っており、海外は遠いけど身近な存在です。今回、ボイさんは福岡、東京、千葉、福島を訪問しました。お世話になった方、参加して頂いた方、本当にありがとうございました。来日中は様々なところを訪問し、色んな日本食を食べました。フィリピンの農村暮らしを考えると、今回の経験はボイさんにとって一生の思い出になったことは間違いないでしょう!!

フィリピン駐在員 黒岩竜太

【バナナニュース印刷版】ここをクリックして下さい。(Adobe社のAdobe Readerが必要です。)
※バナナニュース印刷版は、バナナと一緒にお届けしていますものです。(一部お届けしていない団体もあります)


読者アンケート

よろしければ、このニュースを読んだ感想をお聞かせください。生産者へのメッセージは生産者に伝えていきます。よろしくお願いいたします。
[Form id=”15″]

<バランゴン民衆交易公開セミナー> バランゴン生産者の素顔を探る -フィリピン、東ネグロス州編

2014年10月7日

バランゴンバナナの民衆交易は、1989年、フィリピン、ネグロス島で始まりました。島の東半分にある東ネグロス州は、現在、約700名の農民がバランゴンを栽培しており、バランゴンの出荷量全体の25%を占める主要な産地の一つです。

東ネグロス州では、バランゴンバナナは主に零細農民によって栽培されています。生産者はどういう暮らしをして生計を立てているのでしょうか。どういう思いでバランゴンバナナを栽培し、日本の消費者に届けているのでしょうか。また、バランゴンは生産者にとってどういう意味を持ち得ているのでしょうか。

東ネグロス州でバランゴン交易が始まった当初から出荷団体であるオルター・トレード社(ATC)のフィールド・スタッフとして活動するロッドジム・カトゥバイ氏、そして今年8月に東ネグロス州の3つのバランゴン産地で調査を行った市橋秀夫氏、両名より生産者の素顔と暮らし、産地の特徴、生産者が抱える課題と可能性について報告してもらいます。東ネグロス州からのゲストの生の声、そして現地調査の報告を聞けるまたとない機会です。ぜひご参加ください。

発表者プロフィール

ロッドジム・カトゥバイ氏

愛称はボイさん。オルター・トレード社(ATC)フィールド・スタッフとして、東ネグロス州でバランゴン交易が始まった当初から集荷及び生産者の栽培指導に従事。自身の農場で有畜複合農業も実践している。お連れ合いのアンさんもATC産地スタッフとして活躍。

 

市橋秀夫氏

埼玉大学教養学部教員、専門はイギリス近現代社会史研究。イギリスのフェアトレード文献の翻訳や、その歴史的変遷の調査などを行なう。2009年以降、バランゴンバナナ生産者の調査に継続的に関わっている。

日時:2014年10月25日(土)16:15~18:15 (開場:16:00)

会場:新宿コズミックセンター 3F 大会議室

東京都新宿区大久保3-1-2
http://www.regasu-shinjuku.or.jp/?p=667
東京メトロ副都心線「西早稲田」駅より徒歩約3分
東京メトロ副都心線・都営大江戸線「東新宿」駅より徒歩約10分
JR・西武新宿線「高田馬場」駅、JR「新大久保」駅より徒歩約15分

参加費:300円(資料代)

申し込み方法

参加ご希望の方は事前にお申し込みをお願いします。定員になり次第締め切りますので、お早めにお申し込みください。

ファックス(FAX:03-5273-8162)の場合:件名に「10月25日セミナー申し込み」とご記入の上、氏名(必須)、所属(任意)をお知らせください。
電話の場合:TEL:03-5273-8176、氏名と電話番号をお知らせください。

チラシはここからダウンロードして下さい。

主催:(株)オルター・トレード・ジャパン(ATJ)、NPO法人APLA(あぷら)
お問い合わせ先:ATJ 政策室 小林まで TEL:03-5273-8176

【バナナニュース236号】ボイさん・アナさん一家の物語④ ~モノを超えた生産者と消費者の交流~

2014年10月3日

毎年、ネグロスではバランゴンバナナ生産者と消費者の交流が行われており、多くの消費者が東ネグロス州マンフヨッド町ロウア・カンダボン村も訪問しています。

家畜の牛の糞尿から堆肥を作っているボイさん。
産地を訪問した消費者にそのことも説明。


バランゴンバナナ生産者兼オルタートレード社(以下:ATC)のスタッフであるロッドジム・カトゥバイさん(通称:ボイさん)とパートナーのアナ・カトゥバイさんも多くの消費者と交流しており、これからも多くの消費者と交流していくことでしょう。
そして、今年の10月下旬には、ボイさんがバランゴンバナナの消費者の皆さんと交流するために来日します。ボイさんに、生産者と消費者の交流について、お話を伺いました。

 

ボイさんのバナナ畑の視察の様子。

生産者・消費者の交流について、どう考えていますか。
「生産者・消費者の交流は民衆交易の一部だと考えており、生産者と消費者の関係性強化に繋がっています。生産者にとって、消費者が産地を訪問するということは、これからも私たちのバランゴンバナナを食べ続けていくというメッセージであり、バランゴンバナナの安定したマーケットがあることを意味しています。なので、生産者は安心してバランゴンバナナを育てることができるのです。
バランゴンバナナには、生産者の様々な想い、願いが込められています。私たち生産者は、消費者が産地を訪問した際に、私たちの生活、なぜバランゴンバナナを育てているのかなどについて話し、そのことがバランゴンバナナを食べてくれる消費者が増えることに繋がると考えています。生産者と消費者の交流こそがバランゴンバナナの大切な価値の一つだと考えています。」

生産者にとって、交流はどのような意味がありますか。
「交流は一方通行ではなく、双方向の関係性作りです。消費者が産地に来ることは、生産者の意欲向上に繋がり、生産者はバランゴンバナナの栽培により力を入れていくことで消費者の想いに応えていく。
また、消費者と交流することで、生産者は消費者のバランゴンバナナに対する期待を実際に聞くことができ、安心・安全の重要性を改めて実感することができます。交流に参加した生産者が、他の生産者にその経験を伝えていくことも大切です。」

消費者に説明をしているボイさん。以前は人前でうまく話すことができなかったそうです。

交流を通して、学んだことは何ですか。
「消費者との交流に参加することで、自分の仕事の本当の価値・目的を知ることができました。私はただ仕事をしているのではなく、生産者と消費者の連帯の一端を担っているということを、交流を通して気付くことができました。
また、消費者との交流を通して、自分に自信が持てるようになりました。私は小学校しか卒業してなく、以前は人前で話すのがとても恥ずかしかったのですが、今は自分の意見をはっきり言えるようになりました。」

日本へ行くことに関して、どう思っていますか。
「私が日本へ行く生産者として選ばれ、驚いています。夢の中でしか行けないと思っていた日本へ行くことができるのは、格好の機会だと考えています。マンフヨッド町、そしてバランゴンバナナの生産者代表として、生産者の状況、想い、夢を日本の消費者にお伝えしたいと考えています。」

フィリピン駐在員 黒岩竜太

【バナナニュース印刷版】ここをクリックして下さい。(Adobe社のAdobe Readerが必要です。)
※バナナニュース印刷版は、バナナと一緒にお届けしていますものです。(一部お届けしていない団体もあります)


読者アンケート

よろしければ、このニュースを読んだ感想をお聞かせください。生産者へのメッセージは生産者に伝えていきます。よろしくお願いいたします。
[Form id=”15″]

UAWC(パレスチナ農業開発センター)はガザ緊急キャンペーンの第1パート(最初の緊急キャンペーン)を実施しました

2014年9月29日

UAWC(パレスチナ農業開発センター)から、ガザ地区への緊急救援活動の報告が届きました。
ATJでは今後も、現地の復興状況等をお知らせいたします。
ATJ/APLAでは引き続き、ガザへの募金をお願いしています。  詳細はこちら


UAWC及びそれぞれの農民グループは、ガザ地区への第1段階の緊急救援活動を実施しました。UAWCはガザ地区への緊急支援活動として、食糧及び日用品120トンをガザ地区の避難家族に届けました。UAWCは、400箱のフードバスケット(Oxfamとの協力)、300箱のフードバスケット(World Visionとの協力)、200箱のフードバスケット(Welfare Associationとの協力)をガザ攻撃の最初の1週間に配布することに重点を置いて活動を行いました。同時に、ガザ地区では、漁民の家族のために1500箱のフードバスケット、避難民家族のために700箱のフードバスケットの配布を行いました。

 

 

 

ヨルダン川西岸地区においては、UAWCは、地域住民からの協力で2000箱ほどのフードバスケットを集めました。

キャンペーンは、特にガザ地区における10000世帯の農民と魚民に対して、緊急支援を考えています。次の支援として、農業に必要なもの、生産のための道具、家畜の飼料、水などを検討しています。10000世帯の農民には、さらに農業復興プロジェクトも検討します。

 

PARC(パレスチナ農業復興委員会)は、ガザ地区への支援活動を行っています。

2014年8月29日

8月26日、パレスチナとイスラエルはガザ地区における無期限停戦に合意し、現地時間午後7時(日本時間で8月27日午前1時)に発効しました。8月29日現在、この停戦は続いています。

50日に及んだガザ地区での戦闘、とりわけイスラエル軍による大規模な侵攻により、パレスチナ側では2,104名(うち民間人1,462名で、そのうちの495名は子ども、253名は女性)が犠牲となり、約10万8,000軒の家屋が破壊されました。また、1万人以上の負傷者が出ており、50万人以上(ガザ地区の人口が約180万人なので、約28%)が住む場所を追われています。一方、イスラエル側でも、69名(うち民間人4名)が犠牲となりました。(※8/28付国連人道問題調整事務所(OCHA)報告より)

今回の停戦合意に際し、ハマス側からは2007年から始まったイスラエルによるガザ地区の占領および封鎖を解除することが求められ、またイスラエル側からはハマスの武装解除が求められています。ガザ地区の封鎖解除や湾港・空港の再建に向けた段階的な協議は、1ヶ月以内に進められるとされており、今後の動きが注目されています。
オリーブオイルの出荷団体のひとつPARC(パレスチナ農業復興委員会)より、8月21日付の報告が届いています。


イスラエル軍による攻撃

イスラエル軍による攻撃

2014年7月7日の白昼、イスラエルはガザ地区に対する攻撃を開始しました。ガザ地区に住む人々に対するイスラエル軍の侵攻は、8月21日時点で470人の子どもと400人の女性を含む、少なくとも2,040人の民間人の死者を出す事態となりました。負傷者は、10,000人を超えました。攻撃で住むところを追われ避難民となった520,000人のなかには、家に戻り始めている人もいますが、安全でないことも多く、これからも自宅に戻れない人々の数は増えていく見通しです。一方で、完全に破壊されるか、あるいは甚大な被害を受けた家屋の数は概算で10,000件を超え、65,000人の人々はすでに帰る家がないことも事実です。このガザ侵攻の初期の目的として示唆されたのは、ガザ地区の広範囲にダメージを与え水道設備や主要な衛生管理施設、ガザ発電所を含む電力供給網等、基本的なインフラを破壊することでした。しかしながら、実際はそれだけでなく数十か所の医療関係施設や学校、障害者のためのケアセンター等への甚大な被害ももたらしたのです。

イスラエル軍の攻撃で破壊されたガザの街並み

イスラエル軍の攻撃で破壊されたガザの街並み

国連関係のジェームズ・ローリー氏は、「激しい戦闘から4週間が経過し、必要とされているものの規模は過去に類を見ないものとなった。我々のチームは、必要なものを査定し、救助を続けている。」と、語ります。

PARCは、ガザ侵攻開始後2週目より、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の学校やモスク、公共施設、病院、その他親族のところへ身を寄せている人々を中心に、支援を進めています。水タンク、衛生用品、食糧品といった救援物資を、必要な家族へ配っています。
ガザ救援アピールに応じて下さったパートナー団体や関係各位からの多大なご支援により、私たちは、ガザ地区のほぼ全域に対して支援を行うことができています。

飲料水の支援

飲料水の支援

[box type=”shadow”]

  • 1,000リットル容量の水タンク490個と30日分のタンクローリー水:(ラファ、デイル・エルバラー、シェイク・ラドワン・ベイト・ハヌーン、ガザ市、アルシファ病院)
  •  20リットル容量の水タンク330個/330家族(2,310人相当):(ガザ市北部、ガザ市、デイル・アル・バラー、ハン・ユニス、ラファ)
  •  1,155個のフードバスケット/避難家族:(ラファ、ベイト・ハヌーン、アルシファ病院、ワディ・アルサイカ、カザイヤ、コザー)
  •  26,000リットルの飲料水/2,889家族:(ガザ市北部、ガザ市、デイル・アル・バラー、ハン・ユニス、ラファ)
  •  855個の衛生用品/991家族:(ラファ、ベイト・ハヌーン、アルシファ病院、デイル・アル・バラー)[/box]

 

支援物資の詰め込み

支援物資の詰め込み

ヨルダン川西岸地区にあるPARC本部には、イスラエルの侵攻開始以降、ガザ地区への義捐金や救援物資が寄せられています。PARC事務所の駐車場は、届いた救援物資の受け付け、仕訳作業、荷造り、ガザへの荷物の送り出しのセンターとなっています。PARC職員だけでなく、一般市民のボランティア、子供も含めた民間ボランティアが、日夜作業を行っています。

 

 

 

荷造りされた支援物資

荷造りされた支援物資

ガザ地区の悲惨な状況から考えると、今後の支援活動はより重要になるものと思われます。PARCは、ガザ地区の支援を継続し、パレスチナ人に対する侵略を明らかにし、またイスラエルの残虐な行為に対する各国政府の圧力を強めていくために、パートナー団体やパレスチナ人全員へ呼びかけを行います。

 

 

最後に、ネルソン・マンデラの言葉を引用致します。
「人生で大切なのは、ただ生きたということではない。自分の人生を通じて、他の人々の人生をいかに変えることができたか、それが重要なのだ。」


【バナナニュース235号】ボイさん・アナさん一家の物語③ ~ボイ・アナさん一家から見る東ネグロス州の食文化~

2014年8月29日

東ネグロス州マンフヨッド町ロウア・カンダボン村(地図)のバランゴンバナナ生産者兼オルタートレード社(以下:ATC)のスタッフであるロッドジム・カトゥバイ(通称ボイ)さんとパートナーのアナ・カトゥバイさん。共働きのため、食事の支度は基本的に長女リゼル(23歳)の担当。リゼルは以前、小学校の臨時教員として働いていましたが、今は新しい職場を探し中。今回はリゼルに一家の食事について話しを聞きました。

朝食を準備する長女リゼル

一家の食費などの支出は週に約3000ペソ(約7000円)。買い物は基本的に週に1回、庶民が利用する市場で行います。同一家は軽トラックを所有しており、それをバランゴンバナナの集荷に使用していますが、ガソリン代を節約するためにバランゴンバナナの集荷の帰りにまとめて買い物をしています。「財布のひもを握っているのはお母さんだけど、使うのはお父さんの給料」と笑いながら説明するリゼル。

東ネグロス州では良く見られるトウモロコシ畑

東ネグロス州の農村の人々の主食はトウモロコシ※1。そのため東ネグロス州の農村では多くのトウモロコシ畑が見受けられます。ただし、ボイ・アナさん一家の主食はお米。トウモロコシは週に1回、夕食時に食べます。「お父さんはトウモロコシが好きだけど、他のみんなはお米の方が好き。私の家族は他の農家の様にトウモロコシも植えていないし、安いお米なら価格もトウモロコシと同じで、30ペソ/㎏ぐらい。トウモロコシはパサパサするからお米の方が好き。」

※1 東ネグロス州の農村部の主食はトウモロコシ。トウモロコシを挽いて、お米の様に炊いて食べます。フィリピンではセブアノ人の主食はトウモロコシですが、他の人はお米を主食とします。

インスタントコーヒーとパン

一家が日常食べているのは、朝食にお米と干し魚、昼食にお米と魚、夕食にお米と野菜。リゼルはだいたい毎日朝の6時に朝食の支度を始め食べるのは8時頃、10時に昼食の仕度を始め食べるのは11時頃、夕食の支度は6時から始めて食べるのは7時頃。ガスコンロも持っていますが、基本的には費用がかからない薪で料理をします。薪を集めるのはボイさんの仕事。月に2~3回、仕事の後に薪集めをします。メリエンダ※2 は毎日は食べませんが、食べる時はインスタントコーヒーとパンを食べることが多いです。

※2 フィリピンでは一般的に朝食と昼食の間の「モーニングメリエンダ」と、昼食と夕食の間の「アフタヌーンメリエンダ」と呼ばれているおやつを食べる習慣がありますます。

薪で料理するリゼル

モリンガ※3 、ナス、カボチャといった野菜は自給しており、買っている食材はお米、トウモロコシ、魚(生・干し魚)、調味料、トマト、玉ねぎ、ニンニクなど。豚肉は滅多に食べず、誕生日やお客さんが来た時には自分たちで飼っている鶏を絞めて食べます。

 ※3モリンガはワサビノキ属であり、東南アジアでは果物、葉が野菜やスパイスなどに用いられています。

フィリピンの大衆食堂、トゥロ・トゥロ

日曜日は家族全員で教会に行き、帰りにトゥロ・トゥロ(Turo Turo)※5と呼ばれている大衆食堂でご飯を食べます。トゥロはタガログ語で「指さす」を意味しています。トゥロ・トゥロにはメニューがなく、自分が食べたい料理を指さして頼みます。「トゥロ・トゥロではおかずが1品25ペソ程度、ご飯が10ペソでトウモロコシは6ペソ。」マンフヨッド町にはマクドナルド、ジョリビー、チョウキン※4 といったファーストフード店がなく、ドマゲッティ市などにでかけた際にはファーストフード店で食事をすることもあるとのこと。

 ※4ジョリビーはフィリピンで有名なハンバーガーショップ、チョウキンは中華料理店。
※5出来合いのおかずを何品か並べておいてそこから注文を取る食堂。

 

家族皆の好物はギナタアン。これはカボチャ、モリンガ、モンゴ豆などを水とココナッツミルで煮詰める、フィリピンでは一般的な料理の1つ。ココナッツミルクを入れることで料理がクリーミーになり、風味も増します。ココナッツミルクはフィリピンでは一般的な調味料です。

とある日のボイ・アナさん一家の食事

 ボイさん・アナさん一家の場合、ココナッツミルクは畑に植えているココナッツから作ります。まずはココナッツの実の内側の白い果肉部分を細かくおろし、水を加え果肉を搾ります。そうすると水が白くなり、それがココナッツミルクです。ココナッツの果肉を細かくおろす作業は力仕事なので、基本的には男性の仕事。近所に住んでいる甥などが手伝います。アナさんの兄弟は近くに住んでいるため、料理の準備を手伝い、一緒に食事をします。

 

今後もボイ・アナさん一家の様々な物語を、Webサイトを通して発信していきますので、ご期待ください!また、ボイさん・アナさんについて知りたいことやメッセージなどがありましたら、以下のアンケートにぜひご記入ください!(日本語で大丈夫です)。

皆さまからのメッセージはATJ/ATCスタッフからボイさん・アナさんにお届けします!!

フィリピン駐在員 黒岩竜太

【バナナニュース印刷版】ここをクリックして下さい。(Adobe社のAdobe Readerが必要です。)
※バナナニュース印刷版は、バナナと一緒にお届けしていますものです。(一部お届けしていない団体もあります)


読者アンケート

よろしければ、このニュースを読んだ感想をお聞かせください。生産者へのメッセージは生産者に伝えていきます。よろしくお願いいたします。
[Form id=”15″]

8/23 Stop the killing in GAZA ガザの命を守りたい NGO共同 シューズ・アクション

2014年8月15日

Stop the killing in GAZA ガザの命を守りたい

すべての犠牲者を追悼し、戦闘の即時停止を訴えます

NGO共同 シューズ・アクション

7月8日に始まったイスラエル軍による「境界防衛」作戦以来、ガザにおける死者は1900人を超えました。国連によれば8月11日時点で子どもの犠牲は458人にのぼっています(※)。


一人ひとりの命を見つめて
私たちNGOは、市民を巻き添えにするこのような攻撃を直ちに停止するようイスラエル政府に訴え、国際社会がこの紛争下で起きた戦争犯罪に対して断固とした行動をとるようアピールします。そして、犠牲となった子どもたちの名前を読み上げ、458人分の靴を並べる追悼アクションを行います。
※国際法上、「子ども」は18歳未満のすべての者をさします。

● 皆さんへのお願い ● 靴を持ち寄ってください!


犠牲となった子どもたちの名前を呼び上げ、彼らが「数字」ではなく「一人ひとりの人間」であることを心に刻むために、靴を並べていきます。
 子ども用に限りませんので、靴をお持ち寄りください。
 靴は集会の終了後、お持ち帰りください。


日時:8月23日(土) 16:00 ~ 17:30 (受付開始:15:30)

場所:増上寺境内(港区芝公園)  都営地下鉄三田線 御成門駅から徒歩3分、芝公園から徒歩3分
少雨決行


● 内容(予定) ●
・現地からの報告:志葉玲さん(フリージャーナリスト)
・犠牲者の追悼:犠牲となった子ども458人の名前を読み上げ、境内にその数だ け靴を並べ
ていきます。
・ 黙とう
・ 主催団体からのアピール


<主催団体> 五十音順
アーユス仏教国際協力ネットワーク/APLA/アムネスティ・インターナショナル日本/オルター・トレード・ジャパン/サラーム・パレスチナ/浄土宗平和協会/パレスチナ子どものキャンペーン/パレスチナの子どもの里親運動/ピースボート/ヒューマンライツ・ナウ


【この件に関するお問い合わせは】
アムネスティ・インターナショナル日本 Tel: 03-3518-6777 (担当・川上)
パレスチナ子どものキャンペーン  Tel: 03-3953-1393

ガザ地区への緊急支援金のお願い

2014年8月14日

(※8/18にPARCの緊急救援状況等について加筆修正を行いました。)

私たちがオリーブオイルでつながるパレスチナの人びとが過酷な状況に置かれています。2014年7月8日にイスラエルが開始したガザ地区への空爆、7月17日(現地時間)以降は地上戦も展開され、ガザ地区ではこの軍事攻撃により民家、病院、国連機関、発電所等、人びとの生活基盤が壊滅的に破壊されるという危機的な状況にあります。

UAWC WEBより転載

UAWC WEBより転載

ATJおよびAPLAでは、こうしたガザの状況を受け、パレスチナの人びとに心からの連帯を送るために、復興に向けた支援のための募金を呼びかけます。この募金は、オリーブオイルの出荷団体であるUAWC(パレスチナ農業開発委員会)、PARC(パレスチナ農業復興委員会)などが行うガザ地区の緊急支援活動に使います。

  • UAWC・PARCを中心に、現地NGO等が連携し、ガザの人びとに支援物資を送ることを開始しています。
  • ヨルダン川西岸地区で調達した食料物資は、ガザ地区がイスラエル政府により封鎖されているため、国連機関や赤十字の協力を得て搬送されます。
  • UAWCでは、支援の対象は、農民・漁民を中心としたガザで被害に遭った人びとで、10,000家族へ届けることを目標としています。
  • PARCでは、当面8,500人を対象に、10万ドル相当分の緊急救援物資を届けることで動いています。
  • 緊急救援物資の支援が終了した後には、現地の状況に合わせて必要な支援を行うことになります。その使途については、追ってご報告させていただきます。

[box type=”shadow”]郵便振替の場合

00190-3-447725 特定非営利活動法人APLA

※通信欄に必ず「ガザ緊急支援」と明記ください。[/box]

[box type=”shadow”]銀行振込の場合

みずほ銀行高田馬場支店(普通)2650327


特定非営利活動法人APLA

※振込人名、金額、「ガザ緊急支援」である旨をAPLA事務局までご一報ください。[/box]

◎領収書の発行は省略させて頂きます。領収書が必要な場合はAPLA事務局までご連絡下さい。

◎募金総額の一部(上限10%)を事務経費のために使用させていただきますこと予めご了承ください。

なお、国連人道問題調整事務所(OCHA)によれば、7月8日の空爆開始以来、8月10日までに1,948人の犠牲者が出ており、その7割以上が多くの子どもや女性を含む民間人です。家屋の破壊についても11,855の家屋が破壊されたり甚大な被害を受けています。そのため、人口の約4分の1にあたる40万人以上の人びとが国連施設や親戚の家での避難生活を強いられています。

ユニセフ・パレスチナ事務所特別代表の功刀純子(くぬぎじゅんこ)さんは、「今回の攻撃によりガザ地区では、(この7年間に起きた)紛争の中で、最も長く、最も多くの方が亡くなり、そして最も甚大な破壊をもたらしています。ガザに暮らす方やガザへの物質的な損害は、言葉では言い表せません」と述べています。

こうした状況を踏まえて、ATJ/APLAでは関連団体との連名でイスラエル大使館、外務省に対して、「人道的な観点から軍事攻撃の即刻停止と人道物資搬送の保証」を要請し、日本の消費者等がガザ攻撃に対して抗議の意思を持っていることを表してきました。

今、ガザの人びと、ひいてはパレスチナの人びとにとって必要なことは、同じ人間として尊重され、人間らしく生きることができ、子どもたちが希望を持って毎日を生きられる平和な環境です。パレスチナの人びとは過酷な状況にあってもオリーブを栽培し、野菜や花を栽培し、経済的な自立に努力を惜しまず子どもたちの未来を願って生きています。

【現地状況、支援活動に関するお問い合わせ】

ATJ 企画課(持井/幕田)までお願いします。
TEL:03-5273-8176  メール:pr@altertrade.co.jp

【募金についての問い合わせ先】
特定非営利活動法人APLA
TEL: 03-5273-8160 / FAX: 03-5273-8667

陸海空からのイスラエル軍の攻撃が、パレスチナの人々の命を奪い、生活を破壊しています。~UAWCからの報告(8月2日付)~

2014年8月5日

[box type=”shadow”]現在のパレスチナ状況について、ATJのパレスチナのオリーブオイルの生産者団体の一つである、UAWC(パレスチナ農業開発センター)より報告がありました。

子供たちの遊んでいた公園の爆撃前と後の状況、街の状況に怒りがこみ上げてきます。ヨルダン川西岸地区の状況も報告されています。
[/box]

ガザ地区の様子

7月7日のイスラエルのガザ軍事攻撃開始以来、イスラエル占領軍によって1,525名のパレスチナ人が殺害され、負傷者も8,265名に達しました。そして、この数は日々急速に増え続けているのです。イスラエル軍は、ガザ地区における残忍かつ非道な攻撃の手を緩めることはなく、国際法及び人道法において保障された戦時下の人民の保護を行わず、集団的懲罰の理念を変えようとしません。陸海空からの攻撃を続け、ガザ市民に大参事を引き起こし、また彼らの日々の生活を破壊し続けています。

イスラエルによって破壊された公園。イスラム教休暇の初日、この公園で遊んでいた子供のうち、少なくとも10名が殺された。

 

家族が殺され一人きりになった人、自分の子供が肉片となった瞬間を目の当たりにした父親、自分の腕の中で母親が息絶えたのを何もせずに見守るしかなかった少年…、日常ではあり得ない悲劇が毎日のように繰り返されています。

 


Al-Shajaiya(アル・シャジャイヤ)の街の様子。イスラエルによる空爆の前後。

8月2日時点でのガザにおける被害の概要は、以下の通りです。
■ 国連OCHAによると、22の病院をはじめとした医療機関(診療所等も含む)が爆撃によって被害を受けている。
■ 47万5千人が家を追われ、UNRWAの施設や別の親戚の元へ身を寄せている。
■ 農業、畜産業、漁業等を営む人々が育てている家畜も、危機に瀕している。しかし、地上戦が展開されている今のガザ地区において、十分な情報が入手できない。(ガザ)食糧保障局によると、少なくとも3千人の飼育者のところで、家畜に餌が与えられないなどの問題が生じている。
■ 11ヶ所ある(UNRWAの?)学校に身を寄せている家族は、8,000世帯ほど、人数にして50,000人近くと見込まれている。
■ 17万6千人以上の住まいを追われた人びとは、食糧等の援助を必要としている状況下に置かれている。

 

ヨルダン川西岸地区の様子

西岸地区全土でも、パレスチナ人とイスラエル人兵士との間に衝突が起こっています。パレスチナ人の抵抗運動は、ガザへの攻撃が始まった7月7日以降に始まりました。本日までで、13名のパレスチナ人がデモ中にイスラエル軍によって射殺された他、負傷者も多数出ています。

カランディア検問所付近の、大規模デモの様子

パレスチナ・ガザ状況~現地入りしている日本人ジャーナリスト・NGO発~

2014年8月1日

パレスチナのガザ地区につきましては、厳しい状況がマスメディアでも伝えられていますが、現在日本人ジャーナリスト、NGO関係者が現地に入り日々現地の生の情報を伝えています。

≪ガザ情報のリンク集≫

ガザで取材している日本人ジャーナリストのWEB等
【志葉 玲さん】
https://www.facebook.com/rei.shiva?hc_location=timeline
https://twitter.com/reishiva
http://bylines.news.yahoo.co.jp/shivarei/20140731-00037856/

【田中龍作さん】
http://tanakaryusaku.jp/
https://twitter.com/tanakaryusaku

【土井敏邦さん】
https://twitter.com/doi_toshikuni

【古居みずえさん】
http://www.asiapress.org/apn/

 

現地で活動しているNGO。

【JVCのブログ】
http://www.ngo-jvc.net/jp/projects/palestine-report/2014/07/20140718-gazavoice4.html

【JVCのレポート】
http://www.ngo-jvc.net/jp/projects/palestine-report/data/20140729-gaza-ptsd.pdf

【パレスチナこどものキャンペーン】
http://ccp-ngo.jp/

パレスチナ・ガザ地区に対する「軍事攻撃即刻停止」の要請書を、イスラエル大使館と日本の外務省に送りました。

2014年7月31日

ATJでは、関係の団体に呼びかけを行い、状況が悪化するガザ地区への軍事攻撃に対して、イスラエル大使館及び日本の外務省に対する要請書を送りました。
ガザ地区では、けが人が運び込まれている病院や国連が運営する学校までもが攻撃の的とされ、、死者は1,300人を超えています。多くの子どもや女性など戦争に巻き込まれて犠牲となる市民の数が日々増えています。
この状況に対して、ATJに関連する団体、及びパレスチナ・オリーブオイルを取り扱っている団体(各団体の組合員・会員の合計世帯数は230万人)の皆さんが、この状況を重く憂慮し、イスラエルによるパレスチナ・ガザ地区に対する軍事攻撃の即刻停止、市民の安全確保及び人道的支援物資搬送の保障を7月31日にイスラエル大使館、外務省に対して申し入れました。

 

イスラエル大使館に提出した要請書

 

外務省に提出した要請書

【バナナニュース234号】ボイさん・アナさん一家の物語② ~「生産者のために」ボイ・アナ夫婦の仕事~

2014年7月31日

皆からボイさんと呼ばれている東ネグロス州マンフヨッド町ロウア・カンダボン村のバランゴンバナナ生産者兼オルター・トレード社(ATC)のスタッフであるロッドジム・カトゥバイさんとパートナーのアナ・カトゥバイさん。ボイさんは1994年からはATC現場スタッフとして働き、アナさんも2003年からATC現場スタッフとして働いています。

ボイさんは現場スタッフとして2002年12月に品質向上及び出荷数量に貢献したと評価されてATCから感謝状が贈られ、さらに、2013年7月に行われたATC25周年式典では最優秀フィールド・ワーカー賞を受賞。2つの賞を受賞したのはボイさんですが、「アナがいなければ賞を受賞することはできなかった」と語ってくれました。

現場スタッフとして特に大変だったのは2002年、ATCがバランゴンバナナの品質改善と出荷量向上のために手入れ作業を導入した頃。今までバランゴンバナナの手入れ作業を行っていなかった生産者に対して、袋がけ・タグ付け、脇芽管理、病気にかかった葉っぱの除去などといった手入れ作業の技術が紹介されました。

「生産者が手入れ作業を実施するために、
まずは手入れ作業をすることの効果を実証する必要があった。」とボイさんは当時を振り返りました。手入れ作業の効果を実証するために、試験農園を作った2人。「試験農園には週に3日通い、バランゴンバナナの手入れ作業をした。私が袋掛けやタグ付け、アナが除草や病気になった葉っぱの除去などを担当した。」

また、バランゴンバナナの生産者の中には読み書きが十分に行えない人も多く、中には色の違いが覚えられない生産者もいました。記録の取り方から手入れ作業の具体的な方法、どの色のタグをいつ付けて、それがいつ頃収穫期を迎えるのかなどといったことを、生産者が理解して、実践できるようになるまで、ボイさん・アナさんは生産者を指導・サポートし続けました。

 現場スタッフとして様々な困難に直面しているボイさん・アナさん。しかし、アナさんは「現場スタッフの仕事を続けることで、娘が大学を卒業できたことはとても嬉しい」と話してくれました。また、ボイさんはATC現場スタッフとして働くことで、いろいろなことを学ぶことができたと言います。ボイさんは、ミンダナオ島やネグロス島各地で行われたスタッフ向けの様々な研修ツアーに参加しました。小学校しか卒業してないボイさん。「以前は何も考えずに野菜を栽培していた。有機農業について、すべてATCで働くようになってから学んだ」。研修ツアーなどで学んだ技術を、地域で活用できる資源を使いながら実践している2人。有畜複合農業に取り組んでいるボイさん・アナさんの実践は地域のモデルとなっています。

最優秀フィールド・ワーカー賞を受賞したことに当初は驚いていた2人ですが、「この賞を受賞したということは、フィールド・ワーカーとして一番高い位置にいるということ。これからもベスト・オブ・ザ・ベストを目指す」と頼もしく話してくれました。

向上心を忘れずに、ひたむきに生産者と向き合い続けている2人。今後も2人の様々な物語を、Webサイトを通して発信していきますので、ご期待ください!また、2人について知りたいこと、ボイさん・アナさんに対してのメッセージなどがありましたら、以下のアンケートにご協力ください!
皆さまからのメッセージはATJ/ATCスタッフがボイさん・アナさんにお届けします!!

フィリピン駐在員 黒岩

【バナナニュース印刷版】ここをクリックして下さい。(Adobe社のAdobe Readerが必要です。)
※バナナニュース印刷版は、バナナと一緒にお届けしていますものです。(一部お届けしていない団体もあります)


読者アンケート

よろしければ、このニュースを読んだ感想をお聞かせください。生産者へのメッセージは生産者に伝えていきます。よろしくお願いいたします。
[Form id=”15″]

ガザに攻撃に対するPARCからの緊急声明

2014年7月29日

イスラエルにより7月8日より始まったガザへの攻撃は、学校や病院などへの攻撃も行われ死者は1000人を超えています。国連、世界各国からの停戦要請等に関わらず攻撃は継続しています。

このガザ攻撃に対して、オリーブオイル生産者団体の一つであるPARC(パレスチナ農業復興委員会)から、ガザ攻撃に対する緊急声明が7月22日付で公開されました。各国政府に対する圧力をかけていくことを求められています。

PARCからの緊急声明(英語)
http://www.pal-arc.org/press22072014.html
[box type=”shadow”]

2014年7月22日

武力による侵略を今すぐ中止せよ

14日間に渡り、イスラエル占領軍はガザ地区に住むパレスチナ人を激しく攻撃し続けています。その結果、130名の子どもと34名の女性を含む511名以上が殺害され、3,600人以上が負傷しました。さらに、2,700軒以上の家屋が壊され、そのうちの404軒は完全に破壊されました。6ヶ所ある水源と公衆衛生機関は狙い撃ちにされ、100以上の学校が何らかの形で被害を受けているのです。

一連の攻撃が激化していく中、13万5千人以上のガザ住民は住む場所を追われ、いつ攻撃を受けるとも知れない学校などへ身を寄せています。このような人々の大規模な強制退去に伴い、ガザ地区の人道支援組織は、食糧、水、寝具、そして薬といった最低限必要な物資を提供するために、更なる努力を強いられている状況です。この現状に鑑みPARCは、ガザの人々が置かれている厳しい状況を軽減するために活動している国際機関が重要な役割を果たし、彼らが仕事や救護活動ができるための緊急かつ迅速な支援を世界に要求していくことを望みます。

PARCは国際社会に対し、今起こっていることについて沈黙せず、正々堂々と意見を述べることを求めます。そして、「敵対勢力の管理下に置かれている市民は、全ての事象において人道的に扱われなければならず、不利を被るような差別を受けることなく、殺人や拷問を含むあらゆる形態の暴力や屈辱的な処遇に対し、保護されなければならない」という記述に基づき、市民を直接の攻撃対象とすることや集団的懲罰の実行といった、国際的に批准された条項の全てを超えて行われているイスラエルの熾烈な攻撃を止めるための動きを、起こして欲しいのです。

我々PARCは、パレスチナ全土の人々にデモを組織すること、及びガザに住む人々のための募金活動を行うことを訴えかけます。また、アラブ世界の全ての人々や市民団体に対し、各国政府が傍観者を脱却してガザ地区では毎日子供たちが殺されているという事実に立ち戻り、国際圧力をかけていく体制を整えることを呼び掛けていきます。

我々はまた、各々の友人たち、とりわけ市民団体で活動をしている友人たちに対しても、連帯運動を拡大し、侵略を止める調停を直ちに実現するべく、各国政府に対する圧力をかけていくことを求めます。そして、パレスチナ自治区内に住む全てのパレスチナ人が国際的な保護を受けられること、ならびにパレスチナ人に対してイスラエルが犯した罪を罰するため、パレスチナが国際刑事裁判所へ入ることへの支援を要請致します。[/box]

UAWCから皆様へ ガザ地区への国際的な連帯運動に対するお礼

2014年7月25日

[box type=”shadow”]

2014年7月24日

UAWCは、ガザにいる家族にも等しい我々の仲間を支援するためにデモを扇動し、そこへの参加を呼びかけ、またこちらへ支援のメッセージを送って下さった全てのパートナーの皆様へ、心からお礼を申し上げます。皆様が起こしてくれたアクションの一つ一つが大衆やメディアの心を捉え、ひいてはこの局面を打開していくことにつながるものと信じています。そして、このような皆様のメッセージや行動はガザに住む我々の仲間を勇気づけ、ここから立ち直っていくための力となります。

UAWCは、国際的なつながりの中で、多くの支援メッセージを頂きました。また、彼らの多くは、ガザとの連帯に向けた具体的な運動を起こし、その様子を送って下さいました。そのような皆様の連帯の心と運動を、最大限の敬意と感謝の念を持ってパレスチナ市民に伝え、我々の土地を取り戻す糧としていくことが、我々UAWCの責務です。

(中略)

7月7日以降、イスラエル軍はパレスチナ人732名を殺害し、4,605名を負傷させてきました。そして、その数は、現在も急速に増え続けています。イスラエル軍は、ガザ地区におけるこのような残虐非道な戦争を継続し、国際法や条約を無視した集団的懲罰の方針を貫いています。陸海空からの攻撃が続けられ、ガザ市民にさらなる惨事を引き起こすだけでなく、彼らの日常生活そのものを奪っているのです。

お礼の手紙(原本英語)
[/box]

UAWCが受け取ったメッセージや写真のいくつかが、お礼の手紙の中で紹介されています。

この中に7/21の東京でのアクションが紹介されました。
「東京では、ガザ地区におけるイスラエルの軍事行動に反対する500名ほどの人々が集会を開き、即時停戦とガザ地区の平和を願い、灯りを灯して「GAZA」という人文字を作りました。」

その他世界各地での動きについても紹介されています。

ガザ攻撃に対するUAWCからの緊急の呼びかけ

2014年7月25日

[box type=”shadow”]ガザへの攻撃は厳しさを増しており、攻撃による死亡者が700名(7月24日時点)を超えるという事態となっています。この状況に対してATJのパレスチナのオリーブオイルの生産者団体の一つである、UAWC(パレスチナ農業開発センター)より、緊急の呼びかけが行われました。悲しいことにUAWCのスタッフの家族等の犠牲も出ています。ATJとしても、今後イスラエル大使館への要請、現地への支援等を行う予定です。

UAWCからの緊急の呼びかけ(英語)[/box]

UAWCからの緊急の呼びかけ(日本語翻訳)

2014年7月21日

家族を救うために… 自由を勝ち取るための戦いへの参加を!

イスラエル占領軍は15日間に渡り、ガザ地区への残虐で非人道的な軍事攻撃を続けています。さらにイスラエルは、「集団懲罰」の方針を貫いており、戦時下における一般市民の保護を保証することを謳った国際法ならびに人道法を無視し、違反しているのです。イスラエル軍はガザ地区のあらゆる場所に対して陸海空からの攻撃の手を緩めず、家屋や礼拝所(モスク)といった建物の破壊にとどまらず、多くの民間人に死傷者が出る大惨事を引き起こしています。

7月21日時点で、509人のパレスチナ人が殺害され、3,150人が負傷しました。ラファ(※注:エジプト国境の検問所があるところ)に住むSyamさん一家は、家が爆撃されたことで、少なくとも9人が一夜にして死亡し、その中には12歳と8歳の子どもに加え、赤ちゃんもいたのです。連日このような状態で、一日前に発表された「112人の子どもが死亡」という報道も、既に過ぎ去ったことになってしまいます。

老若男女を問わず、家の中にいることもままならず、かといって路地に出ればイスラエルによる激しい無差別爆撃にさらされます。語られるべき痛ましい話は、枚挙に暇がありません。病院は、既に飽和状態。国連の人道問題調整事務所(OCHA)によると、ガザ地区の43%はイスラエル軍による撤退勧告がなされており、もはや「行くべきところは無い」と宣告されているに等しいのです。また、OCHAの最新の報告では、パレスチナ人死亡者のうち、72-80%は民間人と言われています。

10万人近いパレスチナ人は住む場所を追われ、そのうちの84,000人は61ヶ所の国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)学校へ身を寄せています。少なくとも90万人の人々は、インフラ修理が追い付いていないために、飲み水が確保できていない状況です。

7月16日には、イスラエル軍は、ガザ市の浜辺で遊んでいた10才-11才の4人の子供たちを殺害しました。子供の生命がないがしろにされているのです。

また、7月20日の夜には、UAWCガザ事務所の同僚であるSaad Ziadaさんの家族6名が死亡した、という報告がありました。イスラエルのロケットが彼らの家に直撃し、Saadさんは彼の大切な家族を失ったのです。これは、その時に彼が送ってきたメッセージです。
「我々は、この愛すべき故郷、パレスチナの地が勝利と解放に向かっている道の途中にいる。私の家族は、Al Falujaから住むところを追われてきた難民である。私は、このパレスチナの地のために犠牲となった6人の家族 ― 最愛の母(Um Jamil)、兄Jamil(Abu Shaaban)とその妻(Um Shaaban)、その息子(Shaaban)、もう一人の兄Yousef(Abu Wadih)、そして弟のOmar(Abu Abdullah) ― の命を、送り届ける。不滅の天国へ・・・・。そして、我々は必ず勝利を得る。」

皆様がこの文章を読んでいる間にも、我々パレスチナ人が絶えず死に至っているということを、どうか思い出して下さい。

UAWCは、以下のことを至急呼びかけています。
– 国際社会の沈黙を打破し、パレスチナ人を守るための動きを直ちに開始すること。
– 国内外の社会運動団体や活動家達が、イスラエルに対し、「戦時における文民の保護に関する1949年8月12日のジュネーヴ条約(第四条約)」ならびに関連する国際法や条約の遵守を促すための圧力をかけること。
– 国際社会や人権団体が、パレスチナ市民に対するイスラエルの攻撃を取り止めさせるための動きを強めること。
– 国際社会が、イスラエルの加害者に国際司法を執行し、長年続いている占領の終わりを求めるよう、直ちに行動を起こすこと。

どうか、今すぐ行動を起こして下さい。

イスラエル大使館への行政拘禁に対する嘆願書についてのご報告

2014年7月24日

アブドゥル・ラザック・ファラージ氏

ハンガーストライキを行っているパレスチナ行政拘禁者の即時の釈放を求める嘆願書はATJに関連する団体の組合員、会員を含め合計で230万人の日本の消費者からの声としてイスラエル大使館に届けることができました。この嘆願書につきましては、6月23日に書留郵便を投函し、6月24日にはファクシミリでイスラエル大使館に届けました。しかし、大変残念なことに書留郵便で送付した嘆願書は、イスラエル大使館が最終的に受け取らず、郵便局での保管期限が切れたためにATJに返送されてきました。

ATJのパレスチナオリーブオイル輸出団体である、パレスチナ農業開発センター(以下UAWC)の財務担当のファラージさんを含む行政拘禁に反対した人々の現状につきましては、7月3日にハンガーストライキが中止されたことをUAWCと確認しました。一方で、この時点ではファラージさん、その他のハンガーストライキ参加者の状況についてUAWCも把握できない状況にありました。しかし、最終的には7月22日にファラージさんの無事を確認することができました。

ハンガーストライキが中止された時にUAWCから日本の皆さんに届いたメッセージを以下にご紹介します。

「報告の通りファラージさんを含むパレスチナの行政拘禁された人々のハンガーストライキについては中止されました。しかし、イスラエルの行政拘禁は現在も続いており、現状は何も変わっていません。そして、パレスチナでは、オリーブの木が焼かれたり抜き取られるというパレスチナ農民への嫌がらせは、これまでも、そして現在も相変わらず多発しています。」

「日本からのパレスチナの人々に対する継続的な支援に感謝しています。日本の消費者とパレスチナのオリーブ生産者や関係者が、お互いによりそれぞれの状況を理解しあえる関係ができれば、今回のハンガーストライキのことなどについても皆さんによりご理解いただけると思っています。また、そうした顔と顔の見える関係は、パレスチナの生産者たちにとっても力になり、日本の皆さんにとってもまた違った側面からパレスチナの状況をご理解していただけると考えております。」

なお、今回の行政拘禁を巡る動きについては、以下にまとめましたのでご参照ください。

最後に、ご存知の通り、現在ガザ空爆が行われています。ATJは国内NGOとともに、イスラエル大使館に対し軍事攻撃の即刻停止と市民の保護を求める要請書を7月15日に送りました、パレスチナは予断を許さない状況にあります。ATJは今後も、継続してこの状況についてお知らせします。

[box type=”shadow”]この間の経過:

2月25日UAWCの財務担当であるファラージさんが行政拘禁制度により拘束されました。

4月30日よりファラージさんが行政拘禁制度に反対して、他の拘禁者とともにハンガーストライキに入りました。

5月29日 UAWCから緊急アピールが関係団体に出される。行政拘禁され、その他の行政拘禁された人々とともに、4月末よりハンガーストライキを行い健康状態についても危険な状況になっており、この状況に関して多くの人々に対して伝えて欲しいとの内容でした。。
ATJでは、この状況をオリーブオイルでつながっている日本の消費者の皆様に情報を共有するため、WEB、フェイスブック、ツイッター等で情報を発信し、関係団体の方々には、メール等で状況のご連絡を致しました。UAWCに対しては、ATJから6月6日に連帯のメッセージを送り、日本からの連帯の意思表示を行いました。

6月7日、国連のパンギムン事務総長から、行政拘禁された人々のハンガーストライキによる体調の悪化に関して、声明が出されました。
その後のUAWC、その他メディアから、ハンガーストライキを行っている拘禁者の体調が悪化し、声明の危機にさらされており、胃腸内の出血、吐血、心拍数の減少して意識を失っている方もおり、また病院に搬送された拘禁者は、ベッドに縛り付けられ、夜間トイレ行くことさえ禁じられているなどの状況報告がありました。

6月13日 国際的な人権団体である、Amnesty Internationalが、ファラージさんを始めとするハンガーストライキを行っている行政拘禁者の健康状態の悪化に対して緊急行動を呼びかけました。イスラエル政府、イスラエル監獄局、各国の大使館に対して、抗議の手紙を送ることを呼びかけました。ATJでもこの活動をWEB等でも紹介しました。6月18日には、Amnesty日本でもこの緊急行動が日本語に翻訳されて呼びかけが行われました。

6月23日 ATJではこの状況に対して関係団体に呼びかけを行い、行政拘禁者の即時釈放を求めた嘆願書を作成しイスラエル大使館に書留にて送りました。24日には、この嘆願書をファクシミリでも送付いたしました。この嘆願書には、パレスチナのオリーブオイルでつながった約230万世帯の消費者が。現在行われているパレスチナの行政拘禁者等が行っているハンガーストライキで生命の危機に陥っている状況を深く憂慮していることを伝え、命を守る見地から、行政拘禁者の即時釈放を嘆願する内容で送っています。書留で送った嘆願書に関しては。配達を行いましたが、一旦郵便局に持ち帰られ、イスラエル大使館よりATJに対して送られた書留の内容についての問い合わせがあり、嘆願書の内容を説明しました。その後イスラエル大使館では、その書留を受け取らず、最終的には、郵便局より保管期間が過ぎたためにATJに7月4日に返送されました。

6月25日 ハンガーストライキが中止になったとの報道が流れました。

7月3日 UAWCから被行政拘禁者のハンガーストライキが中止になった旨の報告が入りました。

7月22日 UAWCから、ファラージさんの妻経由でファラージさんの無事を確認。
[/box]

14/7/23 パレスチナ現状報告(UAWCからの聞き取り)

2014年7月23日

オルター・トレード・ジャパン(ATJ)ではパレスチナ農民の作ったオリーブ・オイルを民衆交易品として輸入しております。このオリーブオイル生産者を支援する農民支援組織UAWCから聞き取った現地の状況をお伝えします。

 

現在、パレスチナに関する日本及び海外メディアの報道は、イスラエル軍のガザへの侵攻が中心となっております。この間ATJとしても憂慮してきたファラージ氏をはじめとする被行政拘禁者のことは、全く報道されなくなりました(行政拘禁とは裁判なしに拘禁されるもので、民主主義と相容れないとして世界から批判の対象となっています)。

 

昨日(14/7/22)UAWCと連絡を取ったところ、ファラージ氏の妻経由で、ファラージ氏は無事であることが知らされたそうです。しかしながら、彼の拘禁期限は8月21日とされていますが、それが延長されてしまう可能性があるとのこと。また、UAWCとしても、ファラージ氏のご家族や弁護人が直接彼にコンタクトを取ることができたのかどうか定かではなく、依然として状況は不確かなままとなっています。一つだけ言えることは、イスラエル政府側は、行政拘禁という人権を無視した制度について一切変える意志がない、ということです。

 

なお、日本でも連日報道されていますが、イスラエル軍のガザ地区への空爆や侵攻、およびハマスとの交戦は、日々凄惨な結果を積み上げています。

 

Palestinian Center for Human Rightsによると、7月8日~23日の間に、ガザ地区内で600人以上の人が殺され、4,000人以上の負傷者が出ています。死者のうち、少なくとも161人(全体のほぼ1/4)は子どもです。負傷者についても、1,213人が子ども、698人が女性、161人が老人であり、この交戦によって多大な被害を被っているのは、過半数が民間人であることに疑いの余地はありません。(http://www.imemc.org/article/68429

 

そのような中、現在のヨルダン川西岸地区について聞いたところ、今は比較的落ち着いた状況だそうです。とはいえ、現在のイスラエルとガザの交戦のきっかけの一つとなった3人のユダヤ人入植者誘拐殺人事件、及びその後発生した1人のパレスチナ人誘拐殺人事件の際は、エルサレム周辺も非常に緊張感が走ったとのこと。特に、イスラム教徒にとって重要な「断食月」に発生したこと、また、「火葬」を忌み嫌うイスラム文化の中で生きたまま火を付けて殺されたことは、ヨルダン川西岸地区に住む多くのイスラム教徒に対する侮辱と捉えられたようです。

 

オリーブオイルの生産者の中には、近くにユダヤ人入植地が作られた環境下で暮らす人も大勢います。彼らの状況についても、「入植者との間の大きな衝突などは発生していない」とのこと。しかし話を聞いてみると、「日常の範囲」内での衝突や入植者によるオリーブの引き抜きなどは依然として発生しており、我々が考える「日常」とは、そもそもの常識が大きく異なることを感じました。

また、UAWCは、ガザ地区にも事務所があります。そちらの状況については、報道されている以上に凄惨な様子です。大変悲しいことに、UAWCガザ事務所職員のご家族についても、少なくとも8名が、今回のイスラエル軍の空爆及び侵攻の結果、命を落としたそうです。このように考えると、ガザ地区の出来事は決して他人事ではありません。

 

ATJでは、引き続きファラージ氏の状況、及びパレスチナの情報を追って参ります。ご注目をお願いいたします。