カテゴリー: レポート(コーヒー)
コーヒー
東ティモール:コーヒーからつながるひよこプロジェクト その1
東ティモールの子どもたちが食卓でもっとたくさん卵と鶏を食べられるようになり、栄養状態の改善を支援したい。
そのために、エルメラ県のコーヒー生産者が庭先養鶏のノウハウを習得・実践し、生産性を向上させる小さなプロジェクトが始まりました。
東ティモールの村々では、人々が鶏を飼っている光景は日常的です。しかし、その方法はまったく粗放的なものです。鶏舎はなく、鶏は昼間は放し飼い、夜間は木の上か軒下の籠で寝ています。そのため、動物(鷲、蛇、ねずみ、犬)による獣害が頻繁に起こっています。
親鶏が産卵・孵化する籠は、薪で調理するため煙でモクモクの台所の隅に吊り下げられていたり、中には屋外の物置やコーヒー果肉除去機のチェリー投入口に置かれたりしています。
病気が発生しても人々は有効な処方を知りません。ただ自分たちが飼っている鶏が死んでゆくのを見守るだけという状況です。
餌はトウモロコシ、キャッサバ、生米を与えています。しかし、栄養が十分ではなくて雛が死んでしまったり、誤って石を食べて死んでしまう成鶏がいたりします。
このような状況において、限られた現金収入の中、人々が日常的に卵と鶏を食べることは出来ず、伝統的な行事などのハレの日にしか食べられません。
こうした現状を改善するため、オルター・トレード・ティモール(ATT)にコーヒーを売っているポエテテ村レキシ集落の生産者6世帯は、まず村にある竹や木材を自主調達し、鶏舎を建設しました。鶏と雛は喜んで鶏舎の中で過ごすようになり、外に出たがることもありません!これによって、獣害を減らしたいと考えています。
同時に病気対策、給餌の改善、生産記録付けといった改善策に取り組んでいきます。その様子を今後レポートさせていただきます!
(事業部商品課 名和尚毅)
※このプロジェクトの運営資金は、(株)大地を守る会のレギュラーコーヒー「東ティモールコーヒー」の売上げの一部を積み立てる「東ティモールこども基金」を活用しています。
ラオスからサバイディー その3 : 40代ですが、孫がいます。 ウンさん(46歳)
***ATJラオスコーヒーは、ラオス南部に位置するボラベン高原(ラベン族が住む高原という意味)で暮らすJCFC(ジャイ・コーヒー生産者協同組合)により生産されています。ここでは生産者の横顔と暮らしを紹介します***
私はチャンパサック県ムアンコーン郡出身のラオルム族です。従兄弟がノンルワン村にいたので19歳のときにこの村に来て、ここに住もうと思いました。その前はお米を作っていました。今はパクセ出身の妻(カオさん、40歳)とこのノンルワン村でコーヒーを作っています。
私たちには3人の娘と2人の息子がいますが、そのうち4人が一緒にコーヒーを作っています。2人の息子は結婚して子供もいるので、実はもうおじいちゃん、おばあちゃんです。でも、1番下の娘はまだ小学校3年生です。
コーヒーが主な収入源です。ティピカ6,000本、カティモール3,000本、ロブスタ4,000~5,000本を所有しています。ロブスタはすべて切ってティピカに植え替える予定です。肥料としては牛糞などを使用しており化学肥料は使っていません。30年前にコーヒーやお茶の専門機関で栽培について学び、それ以降は人が作っているのを見たりしながら学んでいます。よい品質のコーヒーを作ることをめざして頑張っています。
コーヒー以外に作っている唐辛子、ナス、香菜、ネギなどは自給用です。収入は十分ではありません。お金があったら食べ物や医療費などに使いたいです。
JCFCとATJはお互いに嘘をつくことのない、正直でいい関係を築けていると思います。私ももっと品質のよいものを作るので、この関係が長く続くといいと思っています。JCFCにはより高い価格で買ってくれることを期待しています。
チョコラ デ パプア:東ティモールからのメッセージ
東ティモールのコーヒー豆とパプアのカカオで作った豆チョコレート。東ティモールでコーヒー生産者を支援するKSIのネタさんから東ティモールのコーヒー豆とパプアのカカオで作った豆チョコレートについてのメッセージです。
コーヒー豆チョコレート
パプア(インドネシア)の生産者から届いたカカオで作ったビターチョコレートで、東ティモールの珈琲豆を包みました。チョコレートのほのかな酸味とコーヒーの苦味が絶妙な、ちょっと大人な風味のチョコレートです。珈琲豆には香りのよいアラビカ種の焙煎豆を使用。民衆交易のカカオとコーヒーがコラボレーションした製品です。
チョコラ デ パプア商品リスト
東ティモール:新年と雨季とコーヒー予報
新年を迎えて、学校では新学期が始まりました!
東ティモールの人々からはウキウキした雰囲気が感じられます♪
天候は雨季が真っ盛り。
端境期のコーヒー産地では、毎日が雨で、1日中降り続いている日もあります。
来シーズン(2013年収穫分)のコーヒー収穫の作柄をエルメラ県の生産者に聞いたところ、西部のハトリア郡と北部のエルメラ郡は作柄が良さそうですが、東部のレテフォホ郡はあまり良くないようです。
地域によって少々の違いはありますが、2011年のような凶作ではないようで、ほっと胸を撫で下ろしているところです。
2011年の凶作の原因は、前年の乾季に雨が降り続く天候不順の影響で、コーヒーの花が咲く時期(10月頃)に大雨が降って、花が落ちてしまったからです。
ATTのコーヒー生産者たちの中には、現金収入のほとんどを占めるコーヒーからの収入が非常に少なくて、コーヒー収穫シーズンが終わったばかりにも関わらず、現金が底を尽いてしまったという生産者もいました。そこで、ATTは翌年のコーヒー代金の前払いとして米の緊急支援を実施したのです。
コーヒーの収穫は5月から始まります。それから約3ヶ月間がコーヒー収穫シーズンです。
その間、生産者は毎日のコーヒー生産で大忙しな日々を送ります。
今年もまた、そのための準備が今から少しずつ始まります―。
東ティモール:今年1年を振り返って
Merry Christmas!
クリスマスを迎えて東ティモールではごちそうを用意して、家族・親戚と夜通しお祝いしています。
東ティモールの今年1年を振り返ってみます。
今年5月、東ティモールは主権回復10周年を迎えました。
3-4月の大統領選挙で当選したマタンルアク氏の就任式も併せて行われ、
ポルトガルとインドネシアを含む各国の首脳・議員が来訪し、盛大に祝福されました。
7月には議会選挙があり、その後、与党による連立政権発足までの経過で暴動が起こり、犠牲者が出ました。
過去のトラウマを抱える東ティモールの人々は、2006-07年の騒乱の二の舞に発展することを危惧し、恐怖を抱きました。
しかし、幸いにも、事態は早期に収束しました。
国内では、政府の政策方針によって、インフラ整備が盛んに進められています。
ディリを含む3県では、(まだ臨時停電はありますが)電気が24時間通るようになりました。
エルメラ県でも電線の配備が進んでおり、夜でも明かりが灯る集落が増えてきています。
道路は、ディリでは常にどこかで工事が行われているような状況ですが(毎年、同じ場所を工事していますが…)、
地方の道路状況はなかなか改善されません。
一方、雇用状況は未だ改善の兆しがなく、多くの人々が現金収入を得るために必死になって、日々を暮らしています。
通りを歩けば、国連(UNMIT)職員の姿は、今年中の撤退に伴い、すっかり見かけなくなった今日この頃です。
それでも、治安はとても落ち着いています。
今後、雇用や汚職の問題で人々の不満が治安の悪化に繋がらないか懸念されていますが、
どうかこの平和がいつまでも続きますように…。
では、みなさま良い年をお迎えください。
東ティモール:脱穀、選別、いよいよ日本へ輸出
前回の産地レポートでお伝えした大豊作の今年のコーヒー。
生産者から集荷した後、港のある首都ディリに送られ、2次加工が始まります。
1本のコンテナに18トンのコーヒー。
600袋のコーヒーをみんなで手分けして加工します。
まずは、パーチメント(内果皮が付いた状態)を脱穀し、生豆(グリーンビーンズ)の状態にします。
その後、作業場の近所から女性たちが集まってきて、虫に喰われている豆や、発酵して黒ずんでいる豆などの欠陥豆を手作業で取り除きます。 1粒の欠陥豆が100粒の良豆をダメにするとも言われており、コーヒー生産のとても大切な作業なんです。
その後、麻袋に詰めて、計量を終えた後、遂に日本へ輸出するためにコンテナに積み込みます。
炎天下の中、1袋1袋、力仕事でコーヒーの入った麻袋を積んでいきます。
多くの人の努力と汗によって遠い日本に届く東ティモールコーヒー。
そんな人々のことを思い浮かべながら飲んでもらえたら嬉しいです。
東ティモール:今年は大豊作!
今年のコーヒー収穫は大豊作でした!!
@タロ加工所
加工所で働くコミュニティの人たちが、シーズン中の70日間、
朝から日が暮れて暗くなるまで、一生懸命に働いてくれました。
乾燥スペースが不足するほどの活況ぶりで、おかげさまで大きな問題が起きることもなく、大成功でした!!
@コーヒー生産者によるパーチメント加工
今年から9つのコミュニティが新たにATT(オルター・トレード・ティモール社)の生産者コミュニティに加わりました。
全22コミュニティの約400世帯がパーチメント加工してATTに売りました。
現地スタッフによる指導の甲斐もあって、各生産者がATTの加工方法を忠実に守り、
本当に真っ白のきれいなパーチメントを作ってくれました!
収穫シーズン前に実施したコーヒー代金前払い制度は、
生産者が「現金収入の無くなるコーヒーシーズン前に、近所・親戚から高利(年利100%!)の借金をしなくて済んだ」と喜んでくれました。
実施した全8コミュニティからは、きちんとコーヒーで完済されました!
今年は昨年とは異なり、多くの生産者がコーヒーから収入を得られました。
その収入を少しでも貯金して、もっと良い家を建てたり、子どもの教育に充てたり、老後の暮らしに備えたり、将来の肥やしに出来るように、
ATTからも生産者にアドバイスしてゆこうと考えています。
新しい時代の幕開け 独立10周年を迎えた東ティモール
今年の独立記念日は10周年という節目、そして新大統領の就任と東ティモールの人々にとっていっそう特別な日となりました。
独立記念式典に先立ち、新大統領の就任式が各国首脳・要人(インドネシア、オーストラリア、ポルトガル、中国、ニュージーランド、ツバル)の立会いの下、執り行われました。時間は深夜0時(そういう習慣だとか?)!会場には多くの人々が集まり、大きな歓声を上げていました!
午前8時から始まった独立10周年の記念式典には、かつて殺しあったインドネシア軍と東ティモール軍も出席しました。友好的かつ平和裏に執り行われた様子は、とても印象的な光景でした。
各国の首脳が出席した今回の式典は、東ティモールという国の存在を世界に示す、特別なものだったと思います。
一方、人々が熱狂して街中で大騒ぎというようなことはなく、控えめな東ティモールの人々の民族性を表しているのかなとも感じました。
演説でマタン・ルアク新大統領は、今後の国際関係において、他国との協力・友好姿勢を強調すると共に、近隣諸国との境界線についても言及しました。
それは、いまだ東西半分に分割されているティモール島のこと。
そして、オーストラリアとの天然資源をめぐる海域の問題です。
今回、インドネシアとのとても友好的な祝福は素晴らしいものでしたが、これで終わりではありません。東ティモールにとって、インドネシアとの間には、引き続き、直面しなければならない非常に緊迫した問題が横たわっていると感じました。
今年12月には、国連東ティモール統合ミッション(UNMIT)は撤退し、再び、東ティモールの国家・人民に全権が返還されます。
新しい時代の幕開けを象徴するイベントだったと感じました。
名和
東ティモール:エルメラでコーヒー収穫が始まりました!!
いよいよエルメラでコーヒー収穫が始まりました!!
生産者にとっては家計を支える現金収入を得られる大切な季節。
レキシ集落では、今年から75名の生産者がパーチメント加工にチャレンジ!!
ATTのダニエルが加工方法を実践講習しました。
それを聞き入る生産者の表情は、真剣そのもの。
ATTでは、初めてパーチメント加工する生産者を対象に、実践講習の約10日後に最初のサンプルを取り、品質確認します。
もしも十分な品質でない場合、その原因を指摘し、改善してもらうという流れです。
このプロセスを経て、生産者は良質のパーチメント加工方法を身に付けていきます。
果肉除去した後、パーチメントを水洗いし、混ざったチェリーを取り除きます。
約24時間、発酵させます。発酵させることによって、パーチメントに付着しているヌメリが取り除きやすくなるのです。
報告:名和
東ティモール:独立10周年記念フェスタ in Tokyo 開催!
10周年という節目の年に、たくさんの方々に東ティモールについて知ってもらうために、ATJ、APLAも呼びかけ人となっている「東ティモール独立10周年を記念する会」主催イベントが今月19日、20日に東京(青山学院アスタジオB1Fホール)であります。
映画、トークショー、エゴ・レモスさんのライブなど、色々な角度から東ティモールに触れるチャンスです。沢山の皆さんのご参加、お待ちしています!
詳しいプログラム、会場については公式ホームページをご覧ください。
※会場では、メインプログラム以外にも、写真展示、東ティモールの産品や関連書籍などの紹介・販売などをおこないます。どうぞお楽しみに!
■参加申込み:
資料代として、1日につき1,200円をいただきます。事前に申込みをいただいた方は、200円割引!
お申込み
■問い合わせ先:
東ティモール独立10周年を記念する会 事務局:
APLA事務局内(担当:吉澤・野川)
電話:03-5273-8160
メール:timor.leste.10th@gmail.com
東ティモール: 生産者が振り返る独立10年
独立からの10年、そしてこれからの10年に期待することを、コーヒー生産者の一人であるジュリオさんに伺いました。
■ジュリオ・マデイラ(エルメラ県・コーヒー農民・38歳)
この10年間を振り返ってみると、インドネシアの占領中と独立後の変化を感じます。インドネシア占領期にはコーヒーを買い付ける企業はNCBA(注1)のみでしたが、独立後には、コーヒー農民はティモール・コープ、エルサ・カフェ、ティモール・グローバル、オルター・トレード・ティモール社(ATT)など、数多くの企業にアクセスできるようになりました。
以前の自分の夢は、ポルトガルの植民地時代、そしてインドネシア統治時代にコーヒープランテーションとして使用された、コーヒー農園にある先祖伝来の土地の権利を自分達の手に取り戻すことでしたが、残念ながら現在までそれは実現していません。むしろ政府の意図は、外国企業を送り込んで、コーヒープランテーションを再度運営させることにあるようです。「独立」はしたものの夢見ていた状況とは程遠く、社会正義の実現のために闘いつづけなくてはいけないと思っています。
日本の人たちへのメッセージはたくさんあります。コーヒー生産地域(特にエルメラ県)でより多くの生産が可能になるように、コーヒーを買い支えてほしいです。また、生活を保障するような持続可能な農業のシステムをつくりあげるために、コーヒー生産者や農業者、学生などが海外で学べる仕組みや、品質が保証されたコーヒーを生産する地域にできるように農民の子どもたちが教育をうけるための奨学金をだしてもらえるとうれしいです。近隣地域での小規模な産業をつくりだせないかとも考えています。海外から輸入したコーヒーを市場から減らしていくためにも、自分たちのコーヒーを国内でももっと広めたいと思っているところです。
注1:National Cooperative Business Associationの略で、米国の非営利全国協同組合。90年代半ばから米国開発庁(USAID)とともに開発プロジェクトを実施し、その後CCT(Cooperative Café Timor)という「協同組合」の設立を支援した。NCBA/CCTの最大の買い手はスターバックス社。
東ティモール: 独立10周年&大統領選
4世紀以上もの植民地時代を経て独立(主権回復)した東ティモールは、今年5月20日に独立10周年を迎えます。独立記念日には、4月16日の大統領選挙決戦投票で選出されたタウル・マタン・ルアク氏が大統領の就任式が予定されています。ルアク氏は独立闘争を戦った元ゲリラ兵で、独立闘争を指揮した国民的英雄のシャナナ・グスマン首相と、同氏が率いる東ティモール再建国民会議(CNRT)の後押しを受け当選しました。今年は新たな国家元首のもとに、例年になく特別な独立記念日となります。
しかし、独立して10年経った現在も、国内産業は全く育っていません。一方で人々が使用する日用品や食料品の多くを輸入に頼り、物価は上がる一方です。政府公務員の給与の引き上げや、独立闘争に関わった人々や高齢者へは手厚い年金が支給され、その恩恵を受けない人々との貧富の差はますます顕著になっており、「物価があがり、生活はますます苦しくなった」という声が上がっています。新大統領の手腕が問われることになります。