ATC設立24周年を祝う

2012年8月3日
ATC職員とバナナ生産者

7月末、フィリピンのオルター・トレード社(ATC)が設立24周年の祝賀イベントを開催しました。24周年?と思われる方も多いと思いますが、ATCは登記したのが1987年ですが、会社そのものの設立は前年の1986年。今年がちょうど25年の節目にあたるという訳です。固いことは言わずに一緒にお祝いしましょう!

ぬかるむ急坂を登って植樹場所へ向かうぬかるむ急坂を登って植樹場所へ向かう

24年前、ネグロス島を飢餓が襲っていました。海外から寄せられた援助により一時的に貧困や飢餓は和らいだものの、残念ながら援助は持続せず多くの砂糖労働者の暮らしは元のままでした。その状況の中で「援助ではなく交易を」という理念のもと、ATCが生まれたのです。

そして24年経った現在、フィリピン全土でバランゴンとマスコバド糖生産者は5,000名を超えました。最初のテスト輸出で日本に届いたのは低品質の砂糖と黒くなったバランゴンでしたが、今では品質も安定しました。輸出先は日本から韓国、ドイツ、スイス、フランス、アメリカ、アジア各国へと広がっています。

7月27日と28日、「進めよう、人間開発。深めよう、パートナーシップ。変えよう、コミュニティ」というテーマのもと様々な記念行事が行われました。27日にはノルマ・ムガール理事長とヒルダ・カドヤ社長が地元のテレビABS-CBNの番組に出演、引き続き記者会見を開きました。また、地元の新聞「Sun Star」にもATC24周年を伝える記事が掲載され、ATCの活動を一般にアピールしました。

他にも感謝のミサ、記念パーティー、バランゴン産地の一つ、パンダノン村での記念植樹、記念ロゴ・コンテストなど、遊びの天才、フィリピン人らしくATC社員、生産者で楽しく24周年を祝ったのでありました。(広報室 小林)

記者会見には地元のメディアが集まった ようやく到着、ランブータンなどの苗木を植樹
記者会見には地元のメディアが集まった
ようやく到着、ランブータンなどの苗木を植樹
ロゴ・コンテスト受賞者のパウロさん(中央) 24周年を祝うケーキ
ロゴ・コンテスト受賞者のパウロさん(中央)
24周年を祝うケーキ

ネグロス東州地震被災者支援活動報告

2012年5月29日

ATJはオルター・トレード社(ATC)の要請を受けて本年2月6日、ネグロス東州で起きた地震の被災者への募金を2月末より呼びかけてまいりました。株主生協、APLA会員をはじめ、多数の方からご協力をいただき、約143万円をATCに送金することができました。ATCは現地で集めた募金を加えて、バナナ産地であるプラナス村、ホマイホマイ村で5回の支援活動を実施しました。活動にはATC職員も多数バコロドから駆けつけました。

1. 支援活動内容

第1次救援活動:2月13日(月)、ネグロス東州ギフルガン市プラナス村
大規模な地滑りが発生し、多くの住民が避難しているプラナス村1,000家族に対して米2キロ、いわし缶詰3缶、マスコバド糖250gの食料パック、ATC社員が集めた古着を配布しました。

第2次救援活動:3月3日(土)、同ホマイホマイ村
米3キロ、干魚500g、マスコバド糖1キロを450家族に配布。校舎が損壊して休校中のホマイホマイ小学校に対しては、仮教室の建築資材として屋根用に大きなキャンバス地の布7枚、合板を提供しました。

第3次救援活動:3月11日(日)、ホマイホマイ村
この日のプログラムは、精神的に辛い日々を送っている小学生のために企画されました。集まったホマイホマイ村、プラナス村、アンテバラス村の子どもたち350名に対して、学用品、教科書、靴、おもちゃ、お菓子等、また学級ごとに絵本やスポーツ用品を配りました。この後、ATC職員が子どもたちとゲームを行い、笑いと歓声が村中に沸き起こりました。プログラムのハイライトはキャンドルナイト。親と子どもが順番にローソクを灯し地元の犠牲者とともに東日本大震災の犠牲者も追悼しました。

第4次救援活動:3月24日(土) 同プラナス村
地滑りで避難生活を送る49家族に対して、トタン板10枚、合板6枚、針金・釘2キロ相当などの建築資材を配布しました。

第5次救援活動:3月27日(火) 同プラナス村
小学生及び就学前児童、計701名のためにATC職員が集団でゲームを行い、靴やお菓子などを配布しました。

2. 募金総額

1,431,050円(団体・法人16、個人17名)

3. 送金状況

第1回送金:1,016,000円
第2回送金:415,050円
現地通貨換算:計732,448ペソ

4. 支援活動経費

第1次~第5次救援活動費総計:691,084ペソ

なお、残額はホマイホマイ村長の要請により、同小学校の用地取得(現校舎の敷地は高台にあり地滑りの危険があるため、小学校は移転する計画)の一部として活用されます。

【支援活動の様子】

お米などを食料配布
お米などを食料配布(3月3日)
小学校仮教室を建設中
小学校仮教室を建設中(3月3日)
犠牲者を追悼
犠牲者を追悼(3月11日)
追悼イベント集合写真
追悼イベント(3月11日)
子どもとゲームで遊ぶ
子どもとゲームで遊ぶ(3月24日)
建築資材で家を建築中
建築資材で家を建築中(3月24日)

オルター・トレード社(ATC)からのお礼状(訳文)

募金していただいた日本の皆様へ

ネグロス東州で発生したマグニチュード6.9の地震被災者、とくにギフルガン町の農民とバランゴン生産者に代わって、最も辛く困難な時期に彼らを心に留め、支援の手を差し伸べてくださった皆様に心からの感謝を表明したいと思います。皆様からのご寄付、メッセージや思いによって、どれほど彼らの心の痛みが和らぎ、もう一度暮らしを再建しようと前向きな気持ちになったことでしょう。

元の暮らしに戻るプロセスは、この先長くかかるでしょう。プラナス村で起きた地滑りによって愛する者を失った人はなおさらです。しかし、私たちの継続的な関与とバランゴン民衆交易がつないでくれたつながりは、復興に向けた手段を必ずや提供してくれるものです。

改めて感謝の気持ちを表します。皆様からの計り知れないご支援をいつまでも心のなかに大切にしまっておきます。

オルター・トレード社(ATC)社長
ヒルダ・カドヤ

2012年2月6日に発生したネグロス東州の地震について

2012年3月29日

前回のバナナニュースで台風被害(北ミンダナオ・ネグロス東州)を報告したばかりですが、今回はネグロス東州での地震被害についてお伝えします。 2012年2月6日のお昼前、ネグロス東州の北東沖を震源とするマグニチュード6.9の地震が発生しました。一時は政府から津波警報も発令されたとのことですが、幸いなことに津波の被害はありませんでした。しかしながら、建物の倒壊、道路の亀裂や土砂崩れで大きな被害が出ています。特に、土砂崩れの被害が大きいギフルガン市のプラナス地域は、日本ネグロス・キャンペーン委員会(JCNC、現APLA)時代にネグロス救援復興センター(NRRC)が支援活動を行った場所で、周辺地域も含めてバランゴンバナナの生産地です。

ATC(オルター・トレード社)は翌日にはスタッフを派遣して被災地の視察を行いました。道路のあちこちに亀裂が入り、余震が続く中、家の倒壊を恐れて安全な場所を求めて移動する人やテント生活を送る人などを多く見かけたとのことです。プラナス地域では必死の捜索活動が続いていますが、土砂に埋まり 亡くなった方・行方不明の方が多くいます。支援物資もなかなか届かないため、ATCも緊急救援物資を被災地に直接届けました。
土砂災害などの被害がない地域でも余震が続いているため、バナナの収穫を見合わせている生産者がいます。ATCとしては出荷できる生産者がいるのであればバナナの集荷は続け、なるべく収入につながるようにしたいと考えています。

日本のメディアでは報道が小さくなりましたが、事態が収まったわけではありません。ATJとしても何が出来るのかを検討し、バナナニュース、ATJのホームページやツイッターでも状況についてフォローをしていく予定です。