NGO「インドネシア保全(KOIN)」のゴミ回収プログラム活動
エコシュリンプの産地、インドネシア・東ジャワ州シドアルジョ県。ここはジャワ島中部から流れる全長540キロメートルのブンガワン・ソロ川が海に流れこむ川の終点です。
ソロ川からのいくつもの支流があるシドアルジョでは昔から魚・エビの粗放型養殖が盛んです。エコシュリンプを加工するオルター・トレード・インドネシア社と地元のエビ生産者が協力して立ち上げたNGO「インドネシア保全」(KOIN)はこの地で粗放型養殖が持続的に行えるように、環境の整備を活動の柱としています。
KOINは2015年にりそなアジアオセアニア財団からの助成金を受けて、シドアルジョの養殖池地域に接する村でのゴミ回収プログラムに取り組んでいます。
インドネシアのゴミ問題は、行政によるゴミ回収システムが発達していないことにあります。KOINがゴミプログラムを始めたクドゥン・ペル村でも、ゴミは住民各自が村に一つある集積場まで持っていき、そこで燃やす、というシステムです。しかし実態的に多くの住民は自分の家の庭や道路でゴミを燃やしたり、家の庭に集めていたゴミが外に飛び散ったりと、衛生的にも外観的にもゴミは大きな問題となっていました。
KOINではこのプログラムに参加を希望する家にコンクリート製のゴミ箱を与え、ボランティアでゴミ回収作業をする人が毎日ゴミ箱からゴミを回収し、村のゴミ集積場まで運ぶというシステムをつくりました。2015年6月から、最初は70世帯がこのプログラムに参加しました。ゴミ回収役を引き受けたイスマイルさんは日雇いで大工仕事などしている人でしたが、早朝の数時間をゴミ集めに割き、回収したゴミのうち再利用できるものは分別しそれを廃品回収業者に売りたいと思っています。(ただし、家々のゴミから再利用できるものはそれほど量が集まらないそうです。コツコツと集めてまとまった量になったら売りたいと言っています。)
イスマイルさんが毎日ゴミを集める姿は村の住民の目に留まり、KOINのゴミ回収プログラムに参加したいと言う人がどんどん増えていきました。当初100軒くらいの参加を見込んでいたところが、今年初めまでに370軒の家々にKOINのロゴ入りゴミ箱が並ぶようになりました。ゴミ回収者も一人増え、今は2人で集めています。
このプログラムに参加している住民何人かに話を聞くと、皆口を揃えて、「ゴミを回収してもらえるので嬉しい」と言い、村の路上もゴミが散らかることなく、きれいになりました。これに喜んだのは、村長さんでした。村長自らのアイディアで、いくつかの家にペットボトルなど再利用可能なゴミを分別するための黄色いゴミ箱を配りました。ゴミ箱の上に植木鉢を置いて飾っている家もあります。また、イスマイルさんたちがゴミを回収しやすいように、ゴミ袋に入れてからゴミ箱に入れる、という動きも広まっています。イスマイルさんも「最初は大変だったけど、住民とコミュニケーションするなかで少しづつ改善されていっている」と嬉しそうに語ってくれました。
KOINの次の目標は、村の住民によりゴミ回収・リサイクルを運営する組織を立ち上げることです。KOIN代表でエコシュリンプ生産者のイルルさんは、「クドゥン・ペル村がモデルとなり、ゴミの自治的マネージメントを地域で拡大していきたい。」、と抱負を語ってくれました。
事業部商品課 津留
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