【PtoP NEWS vol.2 縁の下の力持ち】ヴァージニア・デマイシップさん(フィリピン/ATC財務責任者)~前編~
オルタートレード社(ATC)で仕事を始めて29年になります。8人兄弟姉妹の6番目としてネグロス島に生まれました。学生時代は、大学を卒業してきちんとした仕事につき、安定した収入を得られるようになることが最大の夢でしたが、ATCで仕事をすることで人生観が変わりました。それまで考えたこともなかったこと、つまり自分たちの周囲で起こっていることや社会の不正義の真実が見えるようになったのです。
フィリピンでは長年、社会変革を主張する人びとは政治的活動に加わることが主でしたが、ATCの活動は、貧困に喘ぐ人びとのための具体的な経済活動だということが、私にとっては目からウロコでした。
1987年、私は設立されたばかりのATCに会計担当として入社しました。当時ATCにはスタッフが5人しかいませんでしたから、私は会計にとどまらず何でもしなければなりませんでした。総務の仕事、マスコバド糖の買付けや袋詰めの手伝いまでしました。
忘れられない出来事があります。マスコバド糖のサンプルを日本に送り出すために、私にとっては右も左もわからない土地に買付けに行ったときのことです。マスコバド糖を積んだトラックが事故に遭ったのです。偶然にも私は別の車に乗っていたのですが、同乗していなかったのですが、同乗していた同僚は怪我をして病院に担ぎ込まれ、運転手は亡くなってしまうという大変な事故でした。
さらに周囲の人びとが横転したトラックからマスコバド糖を盗んでいくのです。目の前で起こっていることがショックで、私は動転してしまいました。
知っている人が誰もいない土地で、私はとにかく村長さんのところに駆け込んで助けを頼みました。盗まれたマスコバド糖を取り戻すことはできないと思うととても空虚な気持ちになりました。
そんなひどい経験をしながらも残ったマスコバド糖を何とかバコロドに持ち帰り、日本に送り出すためにそれを篩にかけて袋詰めをしなければなりませんでした。
今ではとうてい考えられない状況で、自分がしたことに驚いてしまいます。
そんなところから始まったマスコバド糖の民衆交易が、やがて生産者とのつながりができ、家内工場のような砂糖づくりから現在の製糖工場までに発展するなんて、当時は想像すらできませんでした。
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その後、バナナの仕事につくことになるヴァージニアさん。後編もお楽しみに!
幕田恵美子(まくた・えみこ/ATJ)
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