【縁の下の力持ち】アブラハム・J・パッティラジャワネ(インドネシア/ATINA)
オルター・トレード・インドネシア社(以下、ATINA)に勤めるブラムさん。本名はアブラハムです。
7人の子がいるわけではありませんが、アンボンというインドネシア東部の島の出身で、そのためATINAでは珍しいキリスト教の信者であり、やや寡黙ながらも一緒にお酒が飲める貴重な存在です。幼少より賛美歌に慣れ親しんだせいか、カラオケに行くと美声を披露してくれるという一面もあります。
そんなブラムさんは、エビ加工工場として名を馳せるATINAにおいて、工場に必要な諸々を作り上げるクリエイターであり、壊れたところを修理するテクニシャンとして働いています。
エビに直接関わるわけではないので、訪問した際には話ができないこともしばしば。しかし彼が作る器具は、絶妙に配慮された傾斜を持つ作業台や、業者顔負けの石けん製造機など、使いやすさとその機能性でATINA社員の間でも評判の逸品ばかり。磨き抜かれて丁寧に角取りされた、キラリと艶のある銀色のステンレス器具の表面には、自然と彼の顔が浮かび上がります。
次々と新しいものを生み出すブラムさん。そんな彼とその仕事に魅せられたATINA社の工員さんとただならぬ関係になっていた2007年には、東ティモールへ長期出張の末、コーヒー豆の集荷に必要な作業場を作り上げ、過酷な遠距離恋愛を成就させて幸せなケッコン生活を構築しました。そして子どもが生まれたのも束の間、スラウェシ島に派遣されてATINA社の集荷倉庫の改築をするなど、大きなものから小さなものまで、公私にわたり、実に様々なものを作り上げてきました。
ブラムさんの最近のブームは、もっぱら2013年に稼働した新工場に導入したBMW技術のプラントでの作業。工場で出る排水を自然の仕組みを再現する形で浄化する、というこの技術に魅せられた彼は、自身が手塩にかけて完成させたプラントで日がな一日を過ごし、浄化された水を汲んで眺めてはウットリしている様をよく見かけます。
日本でもDIYが流行していますが、それを地で行くブラムさん。どうしても工場というと「そこで作られるもの」に目が行ってしまいがちですが、その裏で工員さんが働きやすいように器具を作る彼は、まさにATINA社の「縁の下の力持ち」なのです。
若井俊宏(わかい・としひろ/ATJ)
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