台風30号ヨランダ被災者(パナイ島)に緊急救援実施~ATJ現地駐在スタッフが同行~(第5報)

11月27日、ATCはパナイ島北部のバラサン町とカルレス町で緊急救援物資(米/5㎏、缶詰3缶、麺5パック、マスコバド糖)の配布を行いました。配布部隊は、ATC職員9人、PARTNER(パナイ島のバランゴンバナナ出荷団体)スタッフやフィールドアシスタント5人、ATJ現地駐在スタッフ1人で構成されました。11月23日にATC職員及び家族も手伝って1200パックを越える救援物資の袋詰めが行われました。一方PARTNERスタッフは、被災地のバランゴンバナナ生産者のリストをつくり、緊急救援の通達などの準備を行いました。
11月27日早朝にバコロドから船でパナイ島のドゥマンガス港に渡りました。イロイロ市など南部では、それほどの被害の跡は見えませんでした。北上するに従い、倒れた木々や電柱、崩壊した家が目立つようになりました。しかしながらバナナは根こそぎ倒れたり、葉や茎まで引きちぎられるような大きな被害を受けていました。バナナ以外の農作物の被害も深刻なようです。
午前中はバラサン町のサルヴァション村での配布活動が行われました。生産者31人、集荷スタッフ2人、その他地域の人々102人に緊急救援物資が配布されました。PARTNERの準備により配布はスムーズに行われました。また、ATCスタッフは、生産者に被害状況などの聞き取りを行いました。
午後はカルレス町の4つの村で生産者145人、集荷担当者12人、地域の人々726人に緊急救援物資が配布されました。炎天下のなか大勢の人々が集まりました。その場にきていないバランゴンバナナ生産者にはPARTNERスタッフが自宅まで届けました。
途中、サンディオニシオ町の2つの村のバランゴンバナナ生産者40人、その地域の人々157人にも緊急救援物資が配布されました。
【カルレス町タロン村のジョエル・ブアヤさんの場合】
ジョエルさん(54歳)には9歳~32歳まで9人の子供がいます。独立していた上の子供も台風で家が壊れてしまったために今はいっしょに暮しています。1000本ほどのバナナを栽培して隔週のバランゴンバナナ出荷で月に5000~6000ペソ(10000~12000円)の収入があります。バナナの他に、1ヘクタールほどの畑でオクラ、カボチャ、ナスなどの野菜を栽培して、月額14,000~17,000ペソ(28000~34000円)近く稼いでいました。野菜は、農薬や化学肥料を使わず無農薬でつくっていました。ジョエルさんは育てた野菜は自家消費にもまわし、食材で購入するのは米と魚くらいだったということです。「子供が多いから頑張って働かないといけない」と、ジョエルさん。そうした大切な作物ですが、今回の台風でオクラとカボチャ170㎏を除いて壊滅状態となり、来年2月までは収入のめどがたたなくなりました。ジョエルさんは、すでにカボチャ、ナス、ニガウリの種を購入しました。地元で手に入る種は、F1品種で1缶が180ペソもします。それでも「頑張ってまた野菜を植えるしかない。今から植えたら収穫は来年の2月ごろになる」と、話しました。
港町のエスタンシアでは、まるで津波の跡のような光景が広がっていました。