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エコシュリンプ:ジャワ島東部でのエコシュリンプの養殖

エコシュリンプ:ジャワ島東部でのエコシュリンプの養殖

エコシュリンプ養殖池(シドアルジョ)

エコシュリンプ養殖池(シドアルジョ)

エコシュリンプが始まって約20年。いつも食べて下さっている皆様のおかげで、続けてくることができました。これを機に、少しエコシュリンプや粗放養殖のことについて振り返ってみたいと思います。まだ知られていない、新しい発見があるかもしれません。今回は、エコシュリンプを製造するATINA社が位置する、ジャワ島東部の粗放養殖についてご紹介致します。

現在、ジャワ島東部では、シドアルジョとグレシックという2つの地域からエビの買い付けを行っています。位置的には、「インドネシア第二の都市」といわれるスラバヤを挟んで、南北の沿岸部に養殖池が広がっているイメージです。(産地地図)

池干し

池干し

■池の準備

エビの養殖は、概ね1年間を通して行われますが、それなりに波があります。これは、インドネシアの気候が雨季と乾季に分かれており、それによって養殖池の環境やエビの生育状況が変わるためです。例年10~11月頃、乾季の終わりが近づくと、生産者(※)は養殖池の水を抜きます。そして、池底の土(泥みたいな土)を露出させ、強い日差しの下でカラカラに乾燥させます。これにより、土壌が殺菌されたり、土にヒビが入ることで土中に酸素が取り込まれて地力の回復につながったりして、養殖池がリフレッシュされるのです。これを怠ると、その後のエビの生育が遅くなったり、悪い時には病気の発生につながったりして、結果的に痛い目を見ます。

 

稚エビ放流風景

稚エビ放流風景

■稚エビの放流

1ヶ月ほどの池干しの間に水門などの修復を並行して行い、準備が整ったら、改めて水を入れ直します。池の大きさや立地条件は様々ですが、10ヘクタール近い池の場合、水を入れるだけでも1週間以上かかるそうです。水が入ったら、稚エビを放流。今は、ハッチェリーと呼ばれる稚エビを孵化させて販売する業者から買い付けることが一般的ですが、その昔(1970年代頃)は、海まで出かけていって三角網で捕まえた稚エビで養殖していました。買ってきた稚エビは、熱帯魚の飼育と同じで、池の水温や塩分濃度に少し慣らしてから放流するのがコツです。放流後は、無事に育つことを祈りながら3ヶ月ほど待ちます。雨が降って水温と塩分濃度が下がったり、逆に日照りが続いて上がったり、風が吹いて水面が荒れて池の中がかき回されてしまったり、決して一様に事が進まないのが、粗放養殖の難しいところ。池の畔にほぼ常駐する管理人(※)などは、日々戦々恐々としながら養殖状況を見守っているようです。

■エコシュリンプの生育

一方、生産者の心労をよそに、池の中では、放流された稚エビ達が脱皮を繰り返しながら大人への階段を上っていきます。その様子を詳しく知ることは難しいですが、生産者は、エビが少しでも快適に育つよう、心を砕いています。例えば、水草の茂り具合を調整することで日陰を作ったり、一旦干して発酵させて水草を池に戻すことで植物プランクトンの発生を促したり、そういうことをしています。ブラックタイガーは雑食と言われ、小さいうちはプランクトンを、大きくなってからは池に棲む小さな虫などの生き物や水草などを食べているようです。

■エコシュリンプの収獲

3ヶ月程で、エビは我々が食べている程度のサイズまで成長します。そこで、いよいよ収獲となります。基本的な日取りは、潮の満ち引きの関係から満月/新月の時期を狙いますが、ジャワの暦にも左右されるとのこと。日本で言えば大安に結婚式を挙げるようなものでしょうか。シドアルジョには広い池が多く、プラヤンという仕掛けを使って数日かけて収獲を行い、残ったエビは、水を半分以上抜いて手づかみで収獲していうスタイルが一般的です。一方、グレシックは割と小さめの池が多く、また内陸部にも池が広がっているため、ポンプを使って水を抜き、ほとんど沼地のような状況になった後で、泳げなくなって右往左往しているエビを手で捕まえていくスタイルが多いです。その土地によって、人々は工夫をしてエビを捕まえています。(エコシュリンプが届くまで)

■池干し

1回の収獲が終わると、多くの生産者は一度水を全部抜き、短い池干しをします。そして、また水を入れ、稚エビを放流して養殖を再開します。1回の養殖サイクルが大体3ヶ月ですので、池干し期間を考慮すると、年に3サイクルの養殖を行う人が多いです。欲張って、池干しを怠って4サイクルを狙うと、後でしっぺ返しが来ます。ちなみに、エコシュリンプはブラックタイガー(和名:ウシエビ)という品種ですが、寿命は2年程度あるそうですので、収獲される時期は、まだまだ青春を謳歌していることになります。

※ 養殖池に関わる人々はたくさんいます。まず、池の所有者(池主=Pemilik)がいます。池主が直接養殖を行うパターンも多いですが、たくさん池を持っている場合、一人ではとても面倒見きれません。そのため、家族や親戚、知り合いを総動員したり、人を雇ったりします。そこで、直接養殖実務に関わる人(管理人=Pendega)や、複数の池を統括する中間管理職的な人(スーパーバイザー=Anemar)といった立場に分かれます。ここでは、総じて「生産者」という言葉でまとめさせて頂いています。

事業部商品課 若井

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