【バナナニュース295号】相次ぐ天候被害
今年は天候被害が続いており、収穫量の低迷が続いています。8~9月の2か月間の収穫量は、同時期としては過去10年で2番目の少なさでした。前々回のニュースで、ネグロス島の様子をお伝えしましたが、その後も台風9号による強風被害が発生しました。ミンダナオ島でも竜巻被害が発生しています。バナナは風に弱い植物で、強い風が吹くと葉が切れぎれになり光合成が阻害されます。その場合、親株に実るバナナは生育不良になりやすく、次の世代(脇芽)が親株に成長するのを待つことになります。
東ネグロスのマンティケル村(ダニーさん)
「1月から6月の長い干ばつと7月の台風の影響で収穫量が減少しています。雨が降らない時期がここまで長く続くとは思っておらず、収穫量が半減することも予測できませんでした。雨が降り出したので、7月には回復すればと思っていた矢先の台風被害でした。」「バランゴンの栽培をやめるつもりはありません。私達の村まで定期的にバランゴンを買付けに来てくれるのはオルタートレードだけです*。また他に売るよりもいい値段で買い取ってくれます。」「回復が始まるのは10月以降の収穫(11月以降の販売分)になりそうです。」
*マンティケル村は町から離れた山奥にあり、日用品を町に買いに出るために舗装されていないガタゴト道を片道3時間ほど乗合バイクで下っていかなければならないような地域です。『PtoP News』でマンティケル村のバランゴンの様子を特集しています。
東ネグロスのタンハイ市
◆収量減少の要因について
乾季(12~5月)に雨が降らずに干ばつに苦しんだものの、雨季に入った後にここまで収量が減少するとは思っていませんでした。6月にようやく雨が降り出して、これから収量が回復すると思っていました。しかし7月に2つの台風が強風をもたらしました。長い干ばつからの回復段階にあった私達のバランゴンはまだ弱く、強い風に耐えられずに途中で折れてしまいました。
◆生活について
セルジオさん「干ばつや台風の被害がなかった頃は、バランゴンから毎月1,600ペソ(約3,200円)の収量がありましたが、現在は200ペソ(約400円)にまで減少しています」
ベネランドさん「バランゴンからの収入は1ヶ月あたり800ペソ(約1,600円)減少しました。日用品の購入に充てていたお金でした」
◆現在の心境
「バランゴン栽培への意欲は失っていません。他の作物に転換する予定もありません。天候被害も私達の生活の一部です。自然には逆らえません。良い価格で定期的に買ってもらえ、また栽培に大きな手間がかからないのがバランゴンの魅力です。バランゴンの栽培は今後も続けていきたいです」(セルジオさん・ベネランドさん)
ミンダナオ島のツピ町
ジュバート・バディさん
◆収量状況
2018年12月に2度、竜巻被害にあい、820株が被害にあいました。3~4月の収穫を見込んでいた株でした。竜巻被害をうけて、6月までしばらく畑の世話に割く時間を減らしました。そのため、収量がゼロだったり、非常に少ない量に留まっています。
◆今後の収量
今後天候被害がなければ、12月の収量が多くなりそうです(※1月販売分)。
◆生計に与える影響
他の収入源があるので、そこまで大きな影響はありませんが、心情としては、とてもがっかりしています。
◆現在の心境
やる気は失ってはいませんが、しばらくがっかりしていたので、畑の世話をしませんでした。バランゴンは、安定して買い取ってもらえるし、協同組合のサポートが受けられることが魅力です。違う作物に転換することは考えていません。安定して買い取ってもらえる保証がなく、リスクが大きいからです。
フランシスコ・ハトゥランさん
昨年新規に作付けした分の最初の収穫は終わりましたが、次の世代の生育が今年の乾季(1~5月)のエルニーニョの影響で遅れています。回復は11~12月の見込みです(※12~1月販売分)。
収入が減少しているので、子どもの小遣い(学校への交通費やおやつ代)を減らしています。ただ、現在はむしろやる気が出てきており、一生懸命バランゴンを世話していこうと思っています。協同組合のサポートがあるし、安定的に買い取ってもらえるのが何よりの魅力です。私がやることは、目の前で育っているバランゴンの世話をすることです。
ミンダナオ島のレイクセブラムラハック村
レイクセブのラムラハック村の一部の畑で、9月13日に竜巻被害がありました。特に3人の生産者の畑で大きな被害がありました。(被害前は、その畑からの出荷量はレイクセブ全体の5%ほどありました)。
回復の時期には地域差がありますが、需要を上回るようになるのは、1月あたりの販売分からになる見込みです。
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