【バナナニュース365号】「困難があっても、家族のために、ただ前に進むだけ」~ティボリ族 デュエラ・ロゴンさん~
「農業は祖父の代からずっと家族で続けてきた仕事なんです」と語るのは、自然豊かなミンダナオ島・レイクセブに暮らす、ティボリ族のデュエラ・ロゴンさん(52歳)です。幼いころから父の働く姿を見て農作業に興味を持ち、のちに農業の専門学校でも学びました。

ロゴンさんは5人家族の父親で、3人の子どもたちはすでに成人しています(長男31歳、次男24歳、長女19歳)。長男と次男はすでに結婚し、それぞれの家庭を築いているそうです。子どもたちも同じく農業に携わっていますが、日雇いの仕事が多いそうです。ロゴンさん一家が暮らすラムカディ村も、他の農村と同じように、若者が安定した職を見つけるのは難しい状況が続いています。
かつては父親から引き継いだ土地の一部で、米の栽培をしていたそうですが、2022年からはバランゴンバナナの栽培を始めました。現在は4ヘクタールの圃場で、約70株のバランゴンバナナを育てています。さらに、他の生産者の圃場管理のサポートも行い、収入を得ています。
また、ロゴンさんの親戚もバランゴンバナナを栽培しており、親戚の圃場管理を手伝う機会も多いそうで、その作業が新たな収入源となっています。家族や親戚同士で協力し合いながら、この地域ではバランゴンバナナの栽培が徐々に広がっています。

最近は気候変動の影響で、農業にもさまざまな課題が立ちはだかります。「予期せぬ天候により作物が打撃を受け、思うように収穫できない年もあります。しかし、悩んでいても天気は変えられませんから、一つひとつやれることをしていくだけ」と笑いながら話してくれました。

そして、こう続けました。「どんな失敗やつらいことがあっても、バランゴンバナナの栽培はやめるつもりはありません。家族のために、ただ前に進むだけです」そう語るロゴンさんの笑顔は、力強く、とても穏やかでした。
ロゴンさんのエピソード番外編
実は、インタビュー前日、ロゴンさんの話に登場したバランゴンバナナを栽培している親戚ルニーさんの圃場を訪れていました。
クルビ村の生産者であるルニーさんの圃場は、車で麓まで移動したあと、舗装されていない坂道を30分ほど登った山の中腹に広がっています。


険しい斜面に栽培されているバランゴンバナナの圃場を歩くだけでも大変でしたが、ルニーさんたちは次から次へとバナナを収穫して出荷の準備をしていました。

雲行きが徐々に怪しくなるなか、ルニーさんの圃場からの帰り道で大雨に見舞われ、しばらく雨宿りを余儀なくされました。川のように水が流れたあとの道を、ドロドロになりながら、滑るようにして麓まで戻りました。


▼大雨に見舞われた圃場からの帰り道
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