お店レポート 食卓パンの店 ロコパン
埼玉県所沢市で小谷さんご夫妻が営むロコパンは、素材にこだわった地元の方に愛されるパン屋さんです。店名は、「ローカル、コタニ、パン」の頭を文字ってつけられました。
お店のパンには全てマスコバド糖を使っています。最初はグラニュー糖や三温糖を使っていたそうですが、マスコバド糖を使い始めてからは、グラニュー糖のストレートな甘さに敏感になるようになったそうです。ハード系のパンにはゲランドの塩を使っていて、同じフランス産の小麦を使ったフランスパンは、やはり同郷のものは相性が良いのかパリッと焼きあがるのだそう。
「材料の種類だけじゃなく、甘さ控えめっていうことにもすごくこだわっているんです。できるだけ砂糖を減らして、素材の味を前面に出すという事を心がけています」。
例えば、あんパンに使うあんこは低糖のものを探し求め、市販品の半分近い糖度のあんをやっと見つけて使っています。冷蔵でないと保管できなかったり、材料費も割高であったりとこだわるが故の大変さがありながらも、素材の味を活かすロコパンのパンには譲れないポイントです。パンごとに希望の材料を探し、方々から仕入れをしているので仕入先は多岐に渡ります。
ショーケースには、そんなこだわりがたくさん詰まったパンが並びます。1つ1つに込められた想いやストーリーがあって、全部のパンを食べたくなってしまいます。
季節ごとに気候に合わせたパン作りをしていて、販売するパンの種類を年4回変えています。予約販売を行っているツチノコパンは、ハーフカットしたバランゴンバナナがまるっと入った“キモかわ”なパン。ふわっとしつつしっかり感があるパンを一口かじると、小麦のおいしさのあとからバランゴンバナナとシナモンの香りが一気に広がります。余計な甘さが一切ない、素材の味が活きたパンは、食べると心がほんわりと温かくなります。マスコバド糖のラスクも販売していますが、こちらはフランスパンが余った時にしか作っていないので、見つけたらラッキー!な一品です。
シャッター会社の営業マン時代に食べたフランスパンの美味しさに衝撃を受け、パン屋になろうと脱サラ、3年の修行期間を経てお店をオープンした小谷さん。オープンから20年以上経っても「今が完璧だと思わずに、常に最適化を目指している」とキラキラしながら話す、仕事への真摯な姿勢がとても素敵でした。
※このレポートはPtoPニュース61号「つながるひろがるピートゥーピーの輪」からの転載です。
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