アグリビジネスと闘うブラジルのアグロエコロジーと世界の食料システムの危機
2月11日、明治学院大学で「日本アグロエコロジー会議第1回勉強会」が開かれました。400名もの参加者を得て、日本の有機農業を牽引してこられている金子美登(かねこ よしのり)さんが執筆された「アグロエコロジー推進宣言」が読み上げられました。
この学習会の中で、ATJ政策室の印鑰(いんやく)が「アグリビジネスと闘うブラジルのアグロエコロジーと世界の食料システムの危機」をテーマに報告を行いました。時間が限られていたために十分報告できませんでしたので、この場で改めて報告させていただきます。
世界的な食のシステムの危機とアグロエコロジー
現在、世界で食と農に起因する危機が大きな問題になっています。本日配付された資料には工業型農業モデルとアグロエコロジーとが対照されていますが、この対比がとても重要です。国連機関の中でもこれまで推進されてきた工業型農業モデルをすぐにアグロエコロジーに転換しなければ世界は破局的なことになると警告する報告が出ており、アグロエコロジーへの転換の必要性、緊急性が語られています。
しかし、一方、日本政府が「企業の農業参入」などと工業型農業の推進に固まっていますが、それはきわめて時代錯誤的な政策になっているといわざるを得ないと思います。
ブラジルでアグロエコロジーはどう生まれたか?
まずブラジルでアグロエコロジーがどのように生まれたかについて、概観したいと思います。
ブラジルでも1970年代頃から有機農業の実践が本格的に始まります。そして1980年にサンパウロ州農業技術者協会、ブラジル最初の有機農業の教習課程を開設します。講師は Ana Maria Primavesiさんと続木善夫さんでした。Ana Mariaさんは土壌の専門家でブラジルのアグロエコロジーの母と呼ばれている方で、オーストリア人移民、続木さんは日本人移民、移民の方たちがブラジルの有機農業の立ち上げに活躍されています。
ブラジルでは農地改革が大きな課題です。日本では農地改革が戦後行われますが、ブラジルではポルトガルの植民地時代以来の巨大地主が土地を独占しており、1988年憲法でも農地改革が規定されているのですが、地主層は政治権力を握っており、農地改革はなかなか進んでいません。有機農業を学ぶ人たちの中にこの有機農業と貧困層を救う農地改革という社会変革を結びつけようと考える人たちが出てきます。この人たちによってオルタナティブ農業運動が1980年代後半から活発になっていきます。
このオルタナティブ農業運動に『アグロエコロジー:持続可能な農業の科学的基礎』という本を通じてミゲル・アルティエリさんというチリ出身の学者の研究が伝わります。この概念がオルタナティブ農業運動に大きな影響を与え、科学としてのアグロエコロジーがさっそく取り入れられます。外国の学者の説を農民に押しつけるのではなく、地域の農民の伝統的な知恵と科学者の知見を対話させる中で、農民が自分の使う方法を選び取っていくという方法によって、ブラジルにおけるアグロエコロジー運動が始まっていきます。
アグロエコロジーとは何か?
ミゲル・アルティエリ氏は「アグロエコロジーとはエコロジーの原則を農業に適用するものである」と1983年に定義します。ここではアグロエコロジーとは科学的な原則であると同時に農業のあり方に関わる定義となっています。
しかし、現実に農業にエコロジーの原則を適用しようとしても、農業は実際の政治、経済に規定され、また文化のあり方とも関わっています。そのリンクを解明していかない限り、実現することができません。こうして農だけでなく、食のチェーン、消費者を含めた食のシステムすべてがその対象へと拡がっていきます。
こうした中で、アグロエコロジーは科学であると同時に、農業実践であり、政治的・社会的運動であるという3つの次元を含み込む概念に発展していきます。
ちなみにブラジルにはアグロエコロジー全国連合(Articulação Nacional de Agroecologia, ANA)というネットワークがありますが、学者・研究者・学生中心のブラジル・アグロエコロジー協会(Associação Brasileira de Agroecologia, ABA)もあり、このABAはANAのネットワークにも加盟しています。つまりANAのネットワークには農民も、社会運動も、学者も参加しています。
ブラジルのアグロエコロジーが直面した課題第1ラウンド
「緑の革命」との闘い
前に見たとおり、ブラジルでは農地を得た人びとが最初からアグロエコロジーを実践するケースもありましたが、一方で80年代、90年代は支配的な農業のあり方、つまり化学肥料、農薬、ハイブリッド種子の「緑の革命」パッケージを導入する人びとも少なくありませんでした。
しかし、そうした技術を導入した農園ではその後借金漬けとなるケースが続出し、さらに農薬被害なども出てきて、農地放棄することも出てきました。
一方、アグロエコロジーを選択した農園は生産力も上がり、成功率が高くなりました。10数年の試行錯誤を経て、MST(土地なし地方労働者運動)は2000年前後にアグロエコロジーこそ進むべき道と決断するに至ります。
この転換は大きな意味を持ったと思います。以前は農薬や化学肥料を使う農民たちと環境運動とが対立することもありました。しかし、今や農民運動も環境運動もアグロエコロジーに賛同し、互いを支援し合う関係に変わったからです。
ブラジルのアグロエコロジーが直面した課題第2ラウンド
遺伝子組み換えの侵略
ブラジルのアグロエコロジーが直面する問題、その第2ランドが、第2次「緑の革命」とも言われる遺伝子組み換えの「侵略」と書きました。大げさに思われるかもしれませんが、実際の事態を見ればそれが「侵略」といわざるをえないものなのです。1988年、ブラジルの裁判所は遺伝子組み換えの耕作を禁止します。しかし、この禁止にも関わらず、遺伝子組み換え大豆がアルゼンチンから密輸され、その栽培が既成事実化されてしまいます。その当時、ブラジルの世論も圧倒的に遺伝子組み換え反対でした。そして遺伝子組み換え禁止を公約として労働者党のルラが大統領に当選します。
しかし、その後、遺伝子組み換え大豆を耕作した大規模地主層の力に屈し、ブラジル政府は2005年、遺伝子組み換えを合法化してしまうのです。
こうして遺伝子組み換え大豆の耕作、そして後ほど、遺伝子組み換えトウモロコシ、コットンなどがブラジルに続々と入っていきます。ブラジルだけでなく、アルゼンチン、パラグアイ、ボリビアにも広がり、この地域は遺伝子組み換え企業が「大豆連合共和国」と呼ぶなど、遺伝子組み換え大豆に支配された地域に変わってしまいます。
こうした耕作地域では100ヘクタールに1人か2人の職しか生み出しません。100ヘクタールあれば小規模家族農業であれば地域にもよりますが50家族が生きることも可能であるにも関わらず、農民のいない農業が拡がっています。
遺伝子組み換え大豆の生産が国外の家畜飼料やバイオ燃料原料としての需要に駆られて急激に伸びたこともあり、土地の独占、森林破壊(実際には牧場が大豆耕作地に転換され、追い出された牧場が森林破壊するケースが多い)、そして農薬使用の激増が引き起こされました。アルゼンチンやパラグアイでも、出生異常、流産、ガン、白血病、糖尿病が急激に上昇してしまっています。ブラジルでは農薬の使用量が2008年に世界一位となってしまいました。それに対して農薬反対運動が全国的に取り組まれています。
遺伝子組み換えと健康被害
こうして拡がった遺伝子組み換えは健康にどのような影響を及ぼすでしょうか? そのことを考える上で、同様に遺伝子組み換え生産の集中している米国における疾病の動向がひじょうに参考になると思います。
米国では近年、慢性疾患が急激に高まっています。アレルギー、糖尿病、ガン、さらには自閉症や認知症という神経系の病気、さらには不妊などの問題も指摘されています。
この慢性疾患が急激に増え出したのが1996年の後、つまり遺伝子組み換えが登場してからです。これ自体は因果関係を立証するものではありません。しかし、そこになんらかの関連があると考える研究者は増えており、これらの病気と遺伝子組み換えとの関連を指摘する研究が最近山のように発表されています。
危険度が増す遺伝子組み換え
1996年から商業栽培ー流通を始めた遺伝子組み換えがもたらす健康被害についてその懸念が世界的に高まっていますが、これまでの遺伝子組み換えはそれでもまだ「古き良き」遺伝子組み換えだったと言えるのではないかと思えるほど、今後、危険度が大幅に増していく危険が高いことに注意いただきたいと思います。
その主要原因はモンサント開発の除草剤グリホサート(ラウンドアップは商品名)の効力が失われていることにあります。このグラフの青の線はグリホサートの使用量、赤いグラフはグリホサートをかけても枯れないスーパー雑草の出現数です。グリホサートが効かなくなっており、そのために散布量が増えていることがわかります。その結果、大豆やトウモロコシに含まれる残留農薬も増え続け、米国環境庁は2013年にこの残留農薬許容量を市民の反対を押し切って大幅に引き上げる決定を行いました(2014年に実行)。
輸入される遺伝子組み換え大豆やトウモロコシの有害性は以前よりも今後高まっていく可能性が極めて高くなります。
そしてさらに問題であるのは、新しい遺伝子組み換え作物の導入です。グリホサートだけでは対応できないとして、ベトナム戦争で使われた枯れ葉剤、2,4-D、ジカンバなどをまぜて使うことを遺伝子組み換え企業は考えました。これに対して、米国でも大きな反対運動が起こり、50万人以上が反対のパブリックコメントを送るなど、2年にわたり、米国政府も承認できない事態が続きました。
しかし、昨年9月から今年1月にかけて、これらの遺伝子組み換えは相次いで承認されてしまう事態になっています。米国ではこの問題は大きな騒ぎになったのですが、日本ではマスコミは報道しませんでした。国会も社会も問題をほとんど知らないまま、2年前にすでに日本ではこうした遺伝子組み換えは米国に先んじて承認されてしまっています。
日本には遺伝子組み換え食品表示義務はありますが、ひじょうに緩い義務となっているため、家畜の飼料や加工食品に遺伝子組み換えが使われていてもその表示義務はありません。だから日本の住民はその肉や食品に枯れ葉剤が入っていることも知る術がありません。そのため、米国で生産がそうした新しい遺伝子組み換えが始まってしまえば知らない間に日本の食卓に上がって、胃の中に枯れ葉剤が入っていく事態になっていってしまいます。
この枯れ葉剤耐性の新しい遺伝子組み換えは現在、世界最大の市場である中国が承認していないため、まだ本格的な耕作が始まっていませんが、もし中国が認めてしまえば、米国だけでなく、南米、さらには南アフリカなどでも耕作が拡がってしまう可能性があります。
「モンサント法案」
しかし、遺伝子組み換えはどんどん拡大するという状況では必ずしもありません。その1つの要因は遺伝子組み換えの危険性に気がつく人が世界で増え、反対運動が日々強まっていることが上げられます。そしてもう1つの要因は農民の中に遺伝子組み換えの耕作から離反する動きも出ているからです。実際に、遺伝子組み換えの耕作国は20年近くたっても大きくは拡がっていません。遺伝子組み換え企業も減収の傾向を見せています。
それではこうした遺伝子組み換えに基づく工場型農業は衰退に向かっているのでしょうか? そうあってほしいのですが、政治的な力を持って、この農業モデルを維持しようとしています。
それがここで申し上げる「モンサント法案」の動きです。この名前はこの法案がラテンアメリカで出された時、モンサントに代表される遺伝子組み換え企業を利するものであり、またモンサントなどが米国政府を通じてさまざまな国に押しつけているものだとして「モンサント法案」という呼び名がつけられました。もちろん、そういう名前の法案が存在しているわけではありません。
この法案の原型は米国やインドでいち早く制定された法律にあると思われます。メキシコ、チリ、コロンビア、アルゼンチン、グアテマラにその法案が出され、コロンビアやグアテマラは成立してしまいます(ベネズエラでも似た動きがありました)。この法律が成立すると、農民が種子を保存することを犯罪として、登録された種子を毎年買わなければならなくなります。
自由貿易協定の締結により、多くの国がこうした国内法の整備が強制されています。ラテンアメリカではすべての国で大反対により実質的に廃案になりました(コロンビアは2年間凍結、グアテマラは法の成立後、裁判所が違憲判決、国会が撤回)が、チリやメキシコではTPPによって、廃案に追い込んだ「モンサント法案」が再浮上する懸念が持たれています。ラテンアメリカだけでなく、アフリカやアジアでも同様の法制定が進んでおり、EUでもそれは進みつつあります。TPPは中でも一番もっとも強権的な権利をアグリビジネスに認める自由貿易協定になると懸念されています。
そもそも遺伝子組み換え企業は化学企業であり、農業関連企業ではなかったのですが、遺伝子組み換え種子を作り始めた頃から、種子企業の買収を進め、現在では6つの遺伝子組み換え企業が世界の7割近い種子市場を独占しているといいます。こうした種子市場の独占と、自由貿易協定で強制する国内法により、遺伝子組み換えでないにせよ、農民に種子を買わせることを義務付けることができるようになります。そしてその種子は化学肥料や農薬なしには育てることが難しいものであり、その結果、農民は否が応でも化学肥料や農薬を買わなければならなくなってしまいます(ただし、家庭内菜園などは除かれ、商業流通を前提とした農業活動に限られてはいますが)。
つまり、農民が農薬を使わない健康な作物を作りたいと欲しても、消費者がそれを望んでも、こうした市場独占と法律により、それをできなくさせてしまう動きが世界的に進んでいるのです。
食料主権を確立しよう!
自分たちの食べたいものを選び、自分たちの作りたい作物を選ぶことができなくしてしまう。知らない間に枯れ葉剤の入った肉を食べ、農薬まみれの食品を食べることになってしまう。そんな危機的な世界の食のシステムを変えていこうという動きが世界で起きています。
食とは人間が生きる上でもっとも基本な行為です。作りたいものを作り、食べたいものを食べるというのは人間の基本的な権利でなければなりません。そして、人びとは食文化を自由に形成し、自分たちが依拠する食のシステムを選ぶ権利を持っているはずです。そうした権利、食料主権は今、アグロエコロジーの最重要課題であり、国際的な小農民の運動団体であるVia Campesinaは国際的に食料主権の確立とアグロエコロジー推進に向け運動を進めています。
アグロエコロジーが社会のオルタナティブの大きな軸に
世界の食料システムが少数の多国籍アグリビジネスに支配されようとしている中、アグロエコロジーそして食料主権の追求は農民の枠を超えて、社会の多くの人びとが関わる大きなテーマとなり、連帯の軸になってきています。
ブラジルでも農民、環境運動、反貧困運動、女性運動、先住民族、マイノリティ、消費者運動、労働運動、住民運動、医療関係者を巻き込む大きな動きになっています。MST(土地なし地方労働者運動)は最初は土地を持たない人たちの生存のための活動だった、しかし、今は、健康な食を社会に提供する使命が加わった、とMSTのリーダー、ジョアン・ペドロ・ステジルも語っています。
ブラジルのアグロエコロジーを支えるもの
農民や市民の自発的な動きだけではアグロエコロジーは成立しません。それを支える政府や自治体の動きが不可欠です。ブラジルの政府は大きな地主のための政策のみに関心を払ってきていますが、その中でもアグロエコロジーの運動の高まりに対して、いくつかの重要な政策を認めるにいたっており、それがアグロエコロジーの展開を発展させる基礎になっています。
2003年 種子法の中にクリオーロ種子条項成立
2003年 食料調達計画(PAA)
2009年 全国学校給食プログラム(PNAE)で地域の家族農家からの買い付け義務
2012年 アグロエコロジーと有機生産政策(2013年実施)
2014年 革新的な栄養ガイドラインを発表
先ほど、「モンサント法案」について触れました。種子が握られてしまえば食料生産の自由は奪われてしまいます。それほど大きな問題ですが、ブラジルではアグロエコロジー運動の成果で、農民の権利として種子の権利が勝ち取られています。これがクリオーロ種子条項で、農民が長く育ててきた在来種子の権利を認めるものです。クリオーロ種子は人びとの共有財産であり、それぞれが自然の恵みとして保存し、共有することができます。
2003年に作られた食料調達計画は貧窮者や戦略的な食料調達のために、家族農家から直接、国が農産物を買い付け、食料の権利を確保し、アグロエコロジー的な農業生産を振興させる政策です。2009年に学校給食プログラムは地域の家族農家からの30%の買い付けを義務付けます。このことにより、辺境地であっても、地域の家族農家がアグロエコロジー生産をしながら現金収入を得ることが可能になります。
こうした政策の獲得を経て、2012年の画期的なアグロエコロジーと有機生産政策が実現することになります。ブラジル政府は相変わらず大規模地主の影響力が強いのですが、草の根のアグロエコロジー運動がついにその政府の政策にアグロエコロジーを採用させるまでに至ったのです。2013年から政府の予算がアグロエコロジー振興のために、使われますが、それは官僚が勝手に決めるのではなく、その使い道まで、市民組織であるアグロエコロジー全国会議との協議によって決めることになっており、地域の農家が必要な種子バンクや貯水槽などその地域にもっとも必要なアグロエコロジー政策が追求され、実施され始めています。
世界化するアグロエコロジー
ブラジルの例を追ってきましたが、アグロエコロジーが盛んになっている国はキューバやブラジルだけではありません。英国でもアグロエコロジー研究はすでに年を重ねており、2013年には英国政府の政策を変えるためのアグロエコロジー連盟(Agroecology Alliance)が設立され、活動しています。フランスでは2013年5月 フランス、農業省、アグロエコロジー推進プロジェクトを開始し、2014年9月にはアグロエコロジーを推進させるために農業未来法が作られています。
国連でも2010年12月、食料への権利特別報告者のオリビエ・デ・シュッター(Olivier De Schutter)が人権の食料への権利のためにアグロエコロジーこそ進むべき道であると報告し、2013年9月には国連貿易開発会議が『手遅れになる前に目覚めよ』と題したレポートでアグロエコロジーへの転換の緊急性を訴えています。
2014年9月には国連食糧農業機関(FAO)がローマでアグロエコロジー国際シンポジウムを開催し、世界の学者が賛同するメッセージを表明しました。この場には日本政府の代表も参加しており、アグロエコロジーの振興に賛同しています。日本の政策への反映(日本国内の農業政策とODA政策)を求めていきましょう。
ジェンダー問題、若者との関係
農業が工業化されていく、工業型農業になっていく過程の中で、以前は大きな役割を果たしていた女性が工業型農業では排除されていきます。アグロエコロジーを進める中で、その問題が当然のことながら浮上していきます。右の写真の横断幕には「フェミニズムがなければアグロエコロジーはありえない」と書かれています。女性運動はアグロエコロジーを進める大きな要素です。
日本の地域がアグロエコロジーで再生していく場合にもこの問題は避けて通れないことと思います。アグロエコロジーとは単に農法の問題ではなく、社会のあり方、主体のあり方に関わるものなのです。
そして若者に対して何ができるかを問うことでもあります。ブラジルでのアグロエコロジー運動の中には若者の存在が目立ちます。大学でアグロエコロジーを学ぶ人の数も格段に増えており、新しい世代と古い世代の対話も活発になっています。
国際連帯の必要性
アグロエコロジーは地域によって当然取り組み方も違いがあります。気候や自然環境が違えば当然、そのアグロエコロジーのあり方も変わってくるでしょう。しかし、ブラジルのアグロエコロジー運動は当初から積極的に国際連帯を追求しています。特にアフリカの農民運動への連帯も活発に行っています。
工業型農業を進める多国籍企業が世界で破壊的な農業を進めようとすることに対して、それに対抗するアグロエコロジーが国際連帯で対抗するというのはいわば必須なことかもしれません。
現在、日本は食料の6割以上を国外に依存しています。その問題を考える上でも、日本で、どうアグロエコロジーを通じて国外の人びとと国際連帯していけるかは、日本社会にとってもとても重要な課題になってくると思います。
日本には世界に誇れる有機農業の実践経験があります。ブラジルでもこの日本人の経験は生かされており、この経験は世界的にも貴重なものだと思います。そうした経験を元にした日本独自のアグロエコロジーを発展させること、そしてそれを世界に向け発信することで世界に対しても貴重な貢献ができることと信じます。
オルター・トレード・ジャパンでは国内外の小規模生産者とともにこのアグロエコロジーの可能性を追求していきたいと考えております。そのために必要な情報や経験を多くの方たちと分かち合うことができればと思います。ぜひ、進めていきましょう。
印鑰 智哉(オルター・トレード・ジャパン政策室室長)
資料
アグロエコロジーと工場型農業の対比をしたThe Christensen Fundのインフォグラフィックの日本語版です(翻訳:日本アグロエコロジー会議第1回勉強会)
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上記の講演のプレゼン資料
オルター・トレード・ジャパンによるブラジルのアグロエコロジー全国連合事務局長インタビュー(12ページ)
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