レポート

アワダ・ハサリーンさんを偲んで

2025年8月1日

日本でも報道されていますが、ヨルダン川西岸の南部マサーフェル・ヤッタ地区で殺害された活動家・アワダ・ハサリーンさんは、パレスチナのオリーブオイル出荷団体パレスチナ農業開発センター(UAWC)のメンバーでした。
UAWCから届いた悲報です。


2025年7月28日、マサーフェル・ヤッタ地区の農民であり、教師であり、活動家として親しまれていたアワダ・ハサリーンさんが、彼の暮らすウンム・ヘイル村をイスラエル人入植者の暴力的な襲撃から守ろうとして、入植者の銃撃により殺害されました。アワダさんは、パレスチナ農業開発センター(UAWC)の地域農業委員会のメンバーでもありました。

アワダさんは、3人の幼い子どもの父親でした。地元の生徒たちに英語を教え、情熱と技術を持って農地を耕していました。彼はマサーフェル・ヤッタ地区のサッカーチームでプレーし、隣人や仲間から深く愛されていました。また、米アカデミー賞(オスカー)を受賞したドキュメンタリー映画『ノー・アザー・ランド』にも出演し、パレスチナ人の闘いについて明瞭な語り口で勇気をもって語っていました。

彼を殺害したイーノン・レビという入植者は、パレスチナ人に対する暴力行為によってカナダ、英国、米国からすでに制裁を受けている人物です。しかしながら、イスラエル占領軍は現場に到着した時、犯人を逮捕するどころか、保護したのです。そればかりか、弔問のためのテントを襲撃し、弔問に集まった人びとに対して催涙ガスとゴム弾で攻撃し、入植者の逃亡を阻止しようとしたアワダさんの従兄弟を含む親戚を逮捕したのです。

これは、ウンム・ヘイル村のようなコミュニティを彼らの土地から引き剥がすことを目的として、長年続けられてきた入植型植民地支配の暴力のほんの一部です。2022年1月には、アワダさんの祖父であるシェイク・スレイマン・ハサリーンさんが、占領軍の保護下にあったイスラエルのレッカー車に故意に轢き殺されました。今、同じ家族、同じ村が再び悲しみに暮れているのです。

私たちは、この痛みを分かち合うためだけでなく、皆さんに行動を起こしていただくためにこの文章を書いています。
私たちは、皆さんに下記のことをお願いします:

  • アワダさんの殺害を公に非難し、説明責任を求めること。
  • 国際刑事裁判所(ICC)と国際司法裁判所(ICJ)を通じた国際的な法的措置を求めること。
  • マサーフェル・ヤッタや周辺地区での「プロテクティブ・プレゼンス(注)」や連帯活動を支援すること。
    -アワダさんの物語を広めること。彼の名前、彼の闘いを共有すること。

アワダさんは亡くなったが、彼の声は消えない。
悲しみと抵抗とともに。

パレスチナ農業開発センター(UAWC)

注:外部者が現場に存在することで、入植者の暴力からパレスチナ人やコミュニティを守る平和運動の手法。

ATJでは、パレスチナの平和を求める他団体とともに「パレスチナ国家承認を求める実行委員会」に加わり、日本政府に対してパレスチナの国家承認を求めるオンライン署名を集めています。
ぜひご協力お願いいたします。

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