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エコシュリンプ交易の歩み

1992年4月に始まった『エコシュリンプ』交易の取組みは、自然のエネルギーを最大限に活用した粗放養殖の手法、環境保存型の持続的な生産方法を重視しています。
生産者が伝統的に営んできた手法の大切さを認識してもらうために、
生産者との相互交流や内部確認のしくみの導入などが行われています。
また、豊かな自然環境を維持するために石鹸使用の普及など環境キャンペーンを行っています。
2003年6月に現地法人ATINA社を設立、2008年にはシドアルジョに生産者グループが立ち上がり、より生産者との距離が近くなっています。

【エコシュリンプ取り組み開始の背景】

ハジ・アムナン氏との出会い

 ATJ設立の翌年、1990年にネグロスを襲った超大型台風の影響でバナナの出荷中断に見舞われたATJは、事業基盤を支えるもうひとつ事業の必要性が出てきました。同じ頃、株主生協であるグリーンコープでは環境に負荷を与えない持続的な漁業(養殖)のありかたを考えていく必要性が打ち出されていました。そして、「エビと日本人」の著者である村井吉敬氏の紹介で、インドネシアのエビの粗放養殖をしている生産者との出会いがありました。ATJはエビをもうひとつの事業として取り組んでいくことを検討し始めました。1991年には、ATJ株主の各生協からの代表が参加してインドネシアの養殖池を視察し、訪問した東ジャワ州のグレシックでハジ・アムナンという生産者に出会いました。豊かな自然と水に恵まれた池で、「土地は子孫からの預かり物」と考え、環境に負荷を与えない方法でエビを養殖しているアムナン氏に出会ったことが、エコシュリンプ取り組みのきっかけとなりました。

【エビ養殖における様々な問題の発生】

 1961年のエビの輸入自由化にともない、日本では、60年代後半から70年代にかけての輸入量が急増し、1973年には米国を抜いて世界一になりました。その日本の食卓に並ぶエビの80%以上が生産されている東南アジアでは、大規模な資本投資が可能な商社や多国籍企業が参入し、利益重視のエビ産業が進められていました。当初はインド洋やインドネシアでのトロール漁法による天然エビの捕獲で、海底資源の破壊が問題視され、インドネシアでは日本のトロール漁法が禁止される事態となりました。次いで台湾での集約型エビ養殖が開発されていきます。短期間で成果のでる集約型養殖(狭い池にたくさんの稚エビを放流する密飼で、人工飼料や抗生物質を使用して短期間で大量生産をする養殖方法)が広まり、日本の輸入量はどんどん増えていきました。しかし、生産地ではマングローブ伐採や水の汚染などの環境破壊、エビの病気の蔓延が問題化していました。対策として抗生物質など様々な化学薬品が投与され、エビ自体も薬漬けになっていました。その結果、周辺環境は汚染され、使用不可能となった池は放置され、新たに養殖池がタイ、マレーシア、インドネシア、とアジアの国々の沿岸のマングローブ地域に切り開かれていくという事態になっていました。このようにして生産されたエビが、日本の食卓に並んでいるのです。

 これらの背景を契機として、1992年、集約型養殖へのオルタナティブとしてのエビ「エコシュリンプ」の取り組みが始まりました。

【生産・出荷管理工程の透明性を目指して】

出荷・加工の工程の確認

 ATJはエコシュリンプ事業を開始した1992年には、粗放養殖の「エコシュリンプ」を理解し協力してくれる現地加工工場に製造と輸出を委託することで、エコシュリンプの取引を開始することになりました。日本側が求める管理基準を満たすためには、収獲してから工場に搬入するまでの工程をトレースできる必要がありました。 しかしながら、一般的には商社や水産会社は最終製品となった冷凍エビを買い付けるだけのエビ業界のシステムでした。 輸入者がすべての工程を把握できるシステムは例がないことでした。

内部確認のしくみの導入

「産直・生消提携」で相互交流など顔の見える関係を重視して産地での取組みを進めていく中で、2001年、ATJは生産者の伝統や価値観、生産方法を守りつつ、エビの品質と安全性の向上を進めていくことを目的として、内部確認の導入を進めています。それは、生産者が伝統的に生業としてやってきた粗放養殖の生産手法の大切さを認識することにもなり、環境保全型養殖のあり方として国際会議などで報告もするようになりました。また、生産者が伝統的に生業として行ってきた生産手法の大切さを認識してもらい、持続させていくための取組みでもあります。

現地法人オルター・トレード・インドネシア(ATINA社)設立と産地の拡大

 2003年6月、産地での活動範囲の広がりや、生産者との関係構築に向けたさらなる基盤を確立するために、シドアルジョにATJの100%出資現地法人、オルター・トレード・インドネシア(ATINA社)が設立されました。産地においては、2004年に従来の主力産地シドアルジョに加えて、グレシックからの買入れ強化、ならびにスラウェシ島南部(ピンラン県)からの買入れが始まりました。次いで、製造部門での取組みとして2005年5月にATINA加工工場を立ち上げることで、事業開始以来の目標であった自社工場でのエコシュリンプ加工を実現すると共に、原料の受け入れから加工までをATINA社で一貫して管理する体制が整いました。さらに、その管理を強化するため、同年にはATINA社独自の検査実験室を立ち上げ、製品の微生物分析を中心に、産地の環境分析などにも取り組み始めました。
 また、エビ事業の枠を超えて、工場で使う作業衣の洗濯には石けんをつくって使用するなど、環境との調和を目指した活動も展開されています。

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