PtoP NEWS vol.38

2020年6月1日

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新型コロナウイルス:コーヒー産地東ティモールでの物資支援

2020年5月20日

東ティモールでは、新型コロナウイルスの影響により3月27日に発令された緊急事態宣言が、5月27日まで延長されています。

現在は、乗合バスやトラックなどの公共交通機関が動き出しましたが(ただし、ソーシャルディスタンスが求められ、車内の人数制限があり)、解禁されるまでは個人で車やバイクを持っている人以外は移動手段がなかったため、街まで買い物に行くことや、首都ディリのスーパーなどが直接買い付けしている一部の生産者グループを除いては生産物の販売もできず、という状況が続いていました。

現地パートナーAlter Trade Timor社(ATT)では、農民が直面しているこうした厳しい状況を少しでも和らげるため、5月前半に物資の支援を実施しました。ATTの事務所から各村へ物資を運び、生産者に配布している時の様子が現地から送られてきました。

各村のコーヒー生産者に一家族米25キロ、食用油2リットル、そして石けんを届けました。

物資の運搬・分配作業は生産者と一緒に行いました。映像のなか、届けている道中にぬかるみにはまってしまったトラックを生産者みんなで引っ張っているシーンでは、現地のインフラ状況が伝わってきます。

 東ティモールのテレビ局(RTTL)のニュースでもこの取り組みが紹介されました。
以下、ニュースの内容を要約したものです。

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月曜日、Alter Trade Timor社はエルメラ県のコーヒー生産者667人に米、食用油、石鹸の配布を行いました。

ATT社のエヴァンジェリノ・モンテイロ・ソアレス代表は、
「ATT社は品質のいいコーヒーを生産している地元企業ですが、COVID-19を受けて社内で話し合い、生産者グループの社会活動のために積み立てているソーシャルプレミアムを活用して、食料を購入し、厳しい状況にあるコーヒー生産者に配布することに決めました。グループが直面している問題は会社の問題でもあります。
こうした危機的状況が続けば、継続してサポートする準備があります」と話しています。
農民のマテウス・ソアレスは、「現在の危機的状況において、私たちは食べものに困っています。移動もできず家にいるだけで、仕事もありません。会社が農民を支援してくれることに大変感謝しています」
と同社に対して感謝を述べています。

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※:ATT社がコーヒー買い付けの際、パーチメント1キロにつき10セントを上乗せしてプールしている基金。用途は生産者グループと話して決めている。
詳しくはこちら⇒PtoP NEWS vol.36 コーヒー・プレミアム七変化

【バナナニュース302号】バランゴンバナナを作り続けて26年 ~ダクダオ地域の生産者エディさん~

2020年5月19日

ネグロス西州・シライ市のダクダオ地域で暮らすエディ・パレンシアさん(69歳)は、バランゴンバナナ栽培を26年間続けています。

航海中に集めた各国の紙幣を懐かしそうに眺めるエディさん

エディさんは、当時この地域のほとんどの若者がそうであったように、ハイスクールを卒業すると同時に地元を離れて職を得ました。マニラで建設の仕事に就いた後、船乗り(料理人)となってクルーズ船にも乗り世界を航海しました。33歳を過ぎた頃、ドルでかなり良い収入がありながらも故郷に戻り農業を始めました。父親のロレンソ・パレンシアさんは有機農法を推奨する農民でバランゴンバナナも栽培していました。「有機農法は、持続的に作物をつくれるような環境を守れるし、仕事をする我々も、できた作物を食べる人にとっても安全なんだ」と、子どもたちに話していました。

エディさんが、高額の収入を捨てて農業を選んだのは、「建設の仕事も船の仕事も契約が切れると失職してしまう。農業は自分が続けていく限り、有機農業ならなおさら持続可能だ」と考えているからです。

エディさんがバランゴンバナナを始めたのは、ちょうどこの地域でバランゴンバナナ出荷がピークとなった1993年頃で、400本を作付しました。その後4年で2000本まで増やしましたが、バンチートップ病害で300本まで減ってしまいました。ココナッツなどを出荷しつつ、集中的な病害バナナの抜き取りと植え替え作戦に参加するなど試行錯誤しながら、何とか栽培を継続してきました。2019年7~8月に相次いだ台風の影響でほぼ全滅状態になってしまいましたが、すぐに300本のバランゴンバナナを植えました。

ジュンさん

実は、弟のジュンさんもバランゴンバナナ生産者です。地元の学校を卒業してネグロス島内にある製糖工場で職を得ましたが、地元に戻って農業を始めたのです。ジュンさんは「バナナも他の作物も、喜んで食べてくれる人のためにつくれることが嬉しい」と言って、農業を楽しんでいるようです。

パレンシア兄弟は、バランゴンバナナ民衆交易のように、定期的に安定価格で買い取られる仕組みは、農業でやっていくためには大切なことで、地域からなくしてはならないと考え、仲間たちにもバランゴンバナナを続けていくことを呼びかけています。

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よろしければ、このニュースを読んだ感想をお聞かせください。
生産者へのメッセージは生産者に伝えていきます。よろしくお願いいたします。
なお、すべての質問項目に関してご回答は任意です。

 

【続報】フィリピンにおける新型コロナウイルス感染症の状況②

2020年5月11日

フィリピンにおける状況の続報です(前回の報告はこちらをご覧ください)。
※7/6更新:新しい続報はこちらをご覧ください。

感染者数は下表のように、約3週間で倍増しています。

 

◆フィリピンの感染状況

4月14日時点 5月7日時点
感染者数 死者数 感染者数 死者数
フィリピン全体 5,223 291 10,343 685
  マニラ首都圏 3,621 191 6,709 492
  カラバルソン地方(マニラの南側) 781 61 1,251 84
  ダバオ地方 95 15 162 21
主なバランゴンバナナ産地    
  ネグロス島バコロド市
(ATPI事務所がある市)
7 1 11 3
  ネグロス西州 1 0 6 0
  ネグロス東州 4 2 4 2
  カガヤンバレー地方
(産地:北ルソン)
15 1 35 1
  ソクサージェン地方
(産地:ツピ・レイクセブ・マキララ)
16 1 16 1
  北ミンダナオ地方
(産地:北ミンダナオ)
12 3 17 5

 

データ元:

 

フィリピン政府のデータを元に国連人道問題調整事務所(OCHA)がまとめている資料※1によると、5月5日時点で検査機関から集約されたPCR検査の対象人数は約12.6万人で陽性率は約10%です。(陽性者は約1.3万人と上表の政府公式発表の数値と異なりますが、検査機関からのデータを精査した上で公式発表となるようです。)
陽性者の86%は軽症であり、感染者数が2倍になる日数は、以前の3日間から、5日間へと緩やかになっているとのことです。

ちなみに、ネグロス西州の陽性率は1.6%(376人中6人)、東州は0.6%(681人中4人)という状況です(各州のWebサイトにある情報)。ATPIによると、ネグロスではバランゴン生産者やスタッフに感染者は出ていないとのことです。

※1:国連人道問題調整事務所(OCHA)

 

バランゴン産地は規制緩和

マニラ首都圏では依然として厳しい状況が続いており、3月17日から始まったロックダウン(ECQ:Enhanced Community Quarantine:強化されたコミュニティ隔離措置)が二度にわたり延長され5月15日まで継続することが決まっています。5月3日から5日にかけて、マニラ港も含まれるトンド地域(感染者数が多い地域)で48時間の「厳しいロックダウン措置(Hard Lockdown)」がとられました。この48時間の間に1,451人分の抗体検査が行われ、109人に抗体反応があり、現在その人たちへのPCR検査が行われています。

一方、感染者数が少ない地域は5月1日から規制が緩和され、ECQからGCQ(一般的なコミュニティ隔離措置:General Community Quarantine)に移行しています。
バランゴンバナナの産地がある地域は全てGCQに移行しています。ただ、ネグロス東州の自治体(市町村)の中には独自にECQ体制を継続している地域もあります。またATPI事務所があるバコロド市は、市長の判断でロックダウン(ECQ)が5月15日まで継続することになっており、ATPIでは縮小した勤務体制が続いています。

5月から規制が緩和されたことを受けて、最後まで出荷が止まっていた北ミンダナオとボホール島の出荷が先週無事に再開されました。北ミンダナオは、州知事の判断により他地域よりロックダウン(ECQ)の規制が厳しかった地域(Bukidnon州)に属しており、大手のバナナプランテーションの輸出にも支障が出ていると現地でニュースになっていました。

 

GCQにおける規制内容

「GCQ下の地域では、5月1日以降は労働者の外出が許可されるが、若者や高齢者、健康リスクの高い人は引き続き外出禁止とするとした。また、モールの営業については、21歳から59歳のみの入場許可、入場人数の制限、マスク着用アルコール消毒の義務付けの上、生活必需品販売店など余暇関連の店舗以外を対象に厳しい条件を付した上で、モールの営業再開を行うとした。」

引用元:日本貿易振興機構(ジェトロ)

 

ネグロス西州で発令されたGCQについての規制(Executive order No.20-23, 2020)は、例えば下記のようになっています。

  • GCQ期間は5月1日から5月15日
  • 農業、漁業、病院、小売業などは100%の事業操業可能
  • 生活必需品以外の製造業、床屋、修理業などは50%の事業再開可能
  • 学校、レジャー施設、観光業、ジム、スポーツ・宗教等の大規模イベントは禁止継続
  • ECQでは停止だったジプニー(乗合バス)は半分の搭乗率での運行(席は1人分空席をあけて座る必要あり)。トライシクルの乗客は1人のみ。
  • 州の境の厳しい移動制限は継続。

ATPIスタッフによると、ECQ下においては西州域内の自治体(市町村)をまたぐ移動が非常に厳しく制限されバナナの運搬に大変苦労したが、GCQ下では許可証なしで比較的自由に移動できるようになっているとのことです。ただ、自治体によっては厳しい規制を継続しているところもあるとのことです(特に東州の自治体)。

いつものジプニー

乗客多めのトライシクル

ジプニー(乗合バス)の運行は許可されていますが、搭乗率を低く抑える必要があるため利益が出ないためか、まだあまり走っていないとのことです。西州と東州をまたぐ移動は依然として厳しく規制されており、西州と東州の間を結ぶバスもまだ動いていません。

 

物流面での不安定さは継続

前回報告したマニラ港の混雑(コンテナヤードにコンテナがあふれたために発生)は改善されていますが、マニラ港を出入りする船の遅れは継続しており、物流面で不安定さは継続しています。

マニラ港に停泊中のクルーズ船(ATPIハロルドさん撮影)

世界的にクルーズ船の乗組員の帰国が課題となっていますが、乗組員の中にはフィリピン人も多くいます。現在マニラ港にはフィリピン人乗組員の帰国のために多数のクルーズ船が停泊しており、貨物船の航行に支障が出てきています。この関係で、フィリピン国内の船に大きな遅れが発生しています。

ネグロスのバナナは、船を使ってルソン島のマニラ港かミンダナオ島のダバオ港に運んでいますが、マニラ-ネグロス-ミンダナオをつなぐ航路の船がマニラで足止めをくらいました。今後しばらくは運航スケジュールが乱れる見込みで、フィリピンから日本へ出発する船に間に合わない可能性があります。その場合は1週間後の船に載せて日本へ出発となり、品質面が心配されます。
予断を許さない状況がしばらく続く見込みです。

 

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このニュースを読んだ感想・生産者へのメッセージなどありましら
以下よりお寄せください。なお、すべての質問項目に関してご回答は任意です。

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【バナナニュース301号】フィリピンにおける新型コロナウィルスの状況

2020年4月17日

※5/11更新:新しい続報はこちらをご覧ください。

 フィリピンでも、新型コロナウィルスの影響で、経済活動に大きな影響が出ています。バランゴンバナナの産地であるネグロス島においては、東京に比べるとかなり感染者数が少ない段階で、西州が3月30日、東州が4月3日からロックダウン(都市封鎖)になっています。4月15日時点では、都市封鎖の期間は西州は4月30日まで、東州は5月2日までとされています。(共に当初の予定よりも延長されています。)

 ロックダウン後は、人の移動が厳しく制限され1世帯に1枚の外出許可書が配布されました。家から外出できるのは1人のみで、外出時にはマスク着用が義務付けられています。自治体をまたいでの移動も厳しく制限されているほか、飛行機や船を使ってのネグロス島と他島間の人の移動は停止されています。

 貨物については規制の対象外で、農家は外出制限の対象外であるため、ネグロス島でのバランゴンの出荷はなんとか継続できる見込みです。しかし、州内の自治体によって規制内容が異なるケースがあったり、検問強化で激しい交通渋滞が発生したりと、日ごとに状況が変化している中で、バランゴンは生産者にとって貴重な収入源であるため、集荷を担うスタッフは出荷が継続できるように尽力してくれています。

 

◆バランゴンバナナ産地を含むフィリピンでの感染状況

感染者数 死者数
フィリピン全体 5,223人 291人  4月14日時点 ※1
・マニラ首都圏 3,621人 191人  4月14日時点 ※1
・カラバルソン地方(マニラの南側) 781人 61人  4月14日時点 ※1
・ダバオ地方 50人 15人  4月14日時点 ※1
主なバランゴンバナナ産地
・ネグロス島バコロド市
(ATPI事務所がある市)
7人 1人  4月9日時点 ※2
・ネグロス西州 1人 0人  4月14日時点 ※3
・ネグロス東州 4人 2人  4月14日時点 ※4
・カガヤンバレー地方(産地:北ルソン) 15人 1人  4月14日時点 ※1
・ソクサージェン地方
(産地:ツピ・レイクセブ・マキララ)
16人 1人  4月14日時点 ※1
・ 北ミンダナオ地方
(産地:北ミンダナオ)
12人 3人  4月14日時点 ※1

 

 北ルソンや北ミンダナオなどでは、移動制限に伴う混乱で出荷を見合わせている産地もありますが、通行許可書などの必要な準備を整え出荷再開を準備しています。経済活動にも影響がでており、政府から現物(お米や缶詰など)・現金給付も始められているとのことです。しばらく予断を許さない状況が続きそうです。

外出許可書とともに配給されたお米など

 ダバオ地域(ミンダナオ島)におけるロックダウン時の規則は、在ダバオ総領事館のサイトで確認できます。例えば、閉店しなければいけない職種(サリサリストアー(個人経営の小さな雑貨店)は可)、生鮮食品マーケットにおいては人の動きは一方通行としなければならない、ジプニー(乗合バス)の運航停止、未成年(18歳未満)・高齢者(60歳以上)は外出できない、夜間外出禁止、闘鶏は法により処罰などが定められています。

 フィリピン国内の飛行機は、マニラ首都圏のロックダウンが継続している関係で、3月後半から4月末まですべての路線の旅客機は運航休止となっています。マニラのロックダウンのあとマニラ港に貨物が滞留する問題も発生しました。
荷主が貨物を引き取りに来ないために、コンテナヤードにコンテナがあふれ、オペレーションの効率が記録的なレベルまで低下。冷蔵コンテナも滞留し、電源をつなぐプラグが不足。そのため政府は、4月2日に、期限内に取りに来ない貨物は没収するという行政命令を出し、そのあとは改善に向かっているようです。
しかし、こうしたことからマニラ港が活用しづらい状況のため、今バランゴンバナナはダバオ港からのみ輸出しています。マニラ港から輸出している北ルソンのバナナ出荷再開のタイミングにも影響を与えています。

 イースターの日(4月12日)のバコロド市の市場の様子。通常は、多くの人が買い物をしたり、喫茶店に行ったりしますが、閑散としており閉まっている店も多かったそうです。パートナーのATPIスタッフによると、イースターを含むホーリーウィークには、教会でミサに参加したり、家族で山や海に出掛けてリフレッシュをしたりしますが、今年は外出禁止のためすべてキャンセルになったそうです。

 ネグロス東州のカンラオン町の入口の検問所では、州境だけでなく、州内の地域ごとに検問所があります。州政府が出した規則では、農産物の移動は規制の対象外ですが、輸出用の農産物も対象外なのか否か等、同じ州内でも市町村によって規則の解釈が異なり、バナナの集荷作業を難しくしています。

バナナを運ぶトラックに貼られた通行許可書(ミンダナオ島)

※フィリピン政府はEnhanced Community Quarantine(強化されたコミュニティ隔離措置)という言葉を使っています。現地ニュースではこれをロックダウンとも表現しています。州境の移動は厳しく制限されています。
参照:
※1 フィリピン保健省のCOVID-19のWebサイト
※2 バコロド市Facebook(バコロド市はネグロス西州に位置しているが、西州とは行政区が異なる)
※3 ネグロス西州のWebサイト
※4 ネグロス東州のWebサイト(フィリピン保健省のサイトの数と若干異なっている)

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PtoP NEWS vol.37

2020年4月1日

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【バナナニュース300号】フィリピン・東ネグロス州のパーチェサー、エリザーさん

2020年3月27日

フィリピンにおける新型コロナウィルス関連の情報はこちらをクリック

 今回は東ネグロス州のパーチェサー(バナナ買い付け担当者)の一人、エリザーさんを紹介します。

パーチェサーの仕事は、生産者が各村の集荷所まで運んできたバナナを検品し、基準をクリアした分についてその場で生産者にお金を支払い、バナナをトラックに載せてパッキングセンターまで届けることです。また、買付時に持参する金額を推計するため、事前に生産者を訪ね、バナナの生育状況などから今後の収穫量を予測することも仕事です。ネグロス島には14人のパーチェサーがいます。

エリザーさん(41歳)はパーチェサーになって7年目です。2人の子どもがおり、長女のザイリルさん(16歳)は脳性麻痺を患って産まれました。彼女の医療費を賄うために懸命に働いています。パーチェサーになる前の3年間は、パーチェサーの手伝い(バナナの積み下ろし作業)をしていました。その前は0.5ヘクタールの畑で専業農家をしていました。

彼の担当地域は、彼の住まいのあるビンドイ町サロン村とその隣村です。2週間ごとに買付日があり、1回で1000~2000本のバナナを買い付けます。

バナナの品質は天候に左右される部分が大きいと考えているとのことですが、集荷所からパッキングセンターまで2時間の運搬の間にも、バナナが傷つかないようにいつも注意を払い、品質には特に気を使っています(パッキングセンターでの再検品において不良となる割合が10%未満の場合はパーチェサーに報酬があり、10%を超えると罰金が発生する仕組みがあります。)

 

★バナナの集荷がある日のエリザーさんの1日★

朝4時 起床。家の仕事や畑作業をする。
6時~ 50羽ほどの鶏を絞めて精肉の状態にする。「the Boxへの出荷用」
8時~ バランゴンバナナの集荷作業開始(集荷トラックは別途ドライバーが村まで運転してくる)。
20時 集荷したバナナを載せたトラックに乗り、パッキングセンター到着。事前に仮払いを受けていた生産者への支払い金を精算。これで仕事は終了。パッキングセンターで一夜を過ごす。
翌朝8時 早朝のバスに乗り帰宅。

 

パッキングセンターでトラックからバナナを降ろすエリザーさん

パーチェサーは働いた日数に応じた給与となり、彼の場合は4週間で7日間ほど働き、月に平均2,600ペソ(約5,500円)の収入となります。この他の収入源として、地鶏の買付と販売で月に950ペソ(約2,100円)の収入があり、また鶏・アヒル・ヤギ・豚などの飼育もしています。

自家消費用に野菜も育て、余った分は近所の方にも販売したり、バランゴンバナナも100株植えています。

 

「パーチェサーの給与は、わたしの主要な収入源です。バランゴンは生産者のみならず、私たちパーチェサーにとっても生活の支えとなっています。12月に支給されるボーナスにも助けられています。」

多くの人に支えられてバランゴンは日本に届いています。引き続きバランゴンバナナをよろしくお願いします。

 


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『バランゴンとバナナ村の人々』制作秘話 

2020年3月4日

以前ご紹介した『バランゴンとバナナ村の人々』は、30年前にバランゴンバナナの輸入が始まった当初のバナナ産地(ネグロス西州ラカルロータ市ラグランハ地区)の様子を記録した貴重な映像です。その撮影を担当したカサマフィルム代表の長倉徳生さんにお話を聞きました。

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当時、私はフリーのカメラマンをしていて、堀田正彦さん(ATJ初代社長)からの誘いで、制作に携わることになりました。全体像はよくわかっていないところもあったのですが、撮影への使命感から引き受けることにしました。1週間くらい現地に滞在して、映像に登場する家族の家に泊まりながら撮影をしていました。始まったばかりのバナナの民衆交易に対する期待感を生産者やパッキングセンターの人たちからすごく感じました。

60kg以上もあるバナナを天秤棒で担いで運ぶ生産者

撮影でこだわったのは、山の上からバナナを担ぎ裸足で降りてくるシーンです。降りてくる時の「ひたひたひた」という足音に彼らの暮らしの現実を感じるとの堀田さんのこだわりがあり、その足元がよく写るようにしました。

集荷したバナナをタライで洗っていたのですがきれいにならなかったり、始めは試行錯誤の連続でした。日本で購入した人に届くのは追熟させていない青いバナナだったので、「手わたしバナナくらぶ」(会員制のバナナの頒布サービス)では、新聞に包んで暖かいところに置いたり、みんなそれぞれの方法で追熟していました。

そうしたことを思い返すと、失敗が許容されづらい世の中になったなと感じます。当時は、失敗を繰り返しながら自然の産物であるバナナと付き合いながらやっていました。自然との付き合いが減ったから、失敗を面白がれる余裕がなくなっているんじゃないでしょうか。

私自身は、コミュニティのつながりを取り戻したいという思いから、荒川区でボランティア活動をしています。今自分たちが取り戻そうとしているものって、ネグロスの人たちが元々持っているものなんですよね。ネグロスの人々への支援と言っているけど、自分たちが学ばせてもらっている一面もあるのだと思います。

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映像を見ると山奥に住む農民がバナナを収穫し、箱詰めされるまでのプロセスは、文字通り「人から人へ、手から手へ」つながれていたことがよくわかります。ちなみに、収穫してから集荷所まで農民が重いバナナを天秤棒で担いだり、カラバオ(水牛)で運ぶのは今もありふれた光景です。多くの人の期待を背負って始まったバナナの民衆交易をこれからも未来へとつないでいきたいと思います。

 

『バランゴンとバナナ村の人々』(1992年制作、26分)

 

【バランゴンバナナ産地・地震被害続報2】2020年1月マキララ町視察報告

2020年3月3日

2019年10月にマグニチュード6の地震の被害を受けたミンダナオ島のバランゴン産地の一つ、マキララ町のその後の状況をご報告します。

2019年11月の時点では、バナナの下部を機って区画分け、整地している段階だった

マキララ町では、12月15日にもマグニチュード6.9の地震が発生しており、関係者に被害などはなかったものの、前回の地震で辛うじて残っていた建物に更なる被害も出ています。

2020年1月には家がいくつもできていた

ATJでは、1月18日に再びマキララ町を訪問しましたが、生産者の多くは今でも避難生活を続けています。断層の関係で、元々住んでいた村が居住禁止区域に指定された生産者も多く、新たな移転先を探している段階です。ドンボスコ財団(マキララにおける出荷責任団体)が位置するバタサン村の生産者も行き先を失ったため、財団の敷地の一部を提供し、いったん集落ごと引き受けています。その集落の人々が、さらなる移転先が見つかるまでの間少し落ち着いて生活できるよう、家の建設も始まっています。

住民自身が建設作業を行う

支援金で竹や木材などを購入、建設作業自体は、住民自身が担っています。現金収入につながるような仕事はほとんどありませんので、元の村のバランゴンバナナの畑に行って収穫作業をしたりしていますが、ドンボスコ財団では、集落の人々が自分たちの食べるものを栽培できるように各家の前の一部を家庭菜園として使えるようにする予定です。この地震で水脈が変化し、まだ水質が安定せずに飲料水としては使用できない状態ですが、敷地内に泉が湧くようになりました。別の地域の飲料水用水源が枯れてしまい、その対策も必要です。

 

11月に配布した便器も設置された

ほぼ全壊したドンボスコ財団の事務所もようやく再建を始めており、事務所の建設が終わった段階で、ドンボスコ財団の重要な活動である若者や農民のためのセミナーを行う研修棟を徐々に建てていく予定です。
今後も地震が発生する可能性を考慮し、倒壊によって人命などに大きな被害が出るコンクリート製の建物ではなく、木材や竹などの素材を中心に使った建物を建設しています。

 

 

 

 

一方、隣のブハイ村のバランゴン生産者がいる集落でも「危険地域」に指定された地域の人々がいますが、そちらの人々はまだ仮の移転先も見つからず、避難所でのテント生活を継続しています。

ブハイ村第45集落の人々の避難所

この避難所は、大手企業のバナナプランテーションのすぐ横に位置しているため、 週に2回の農薬散布時はとりあえずテントの中で過ごすようにしている。

訪問時に実施したおかゆの給食活動に子どもたちは大喜び

元の村には住めないため、バナナの畑から離れてしまっているのは不便ですが、避難生活の中での貴重な現金収入源なので、みな収穫作業は続けています。こちらの集落の人々には水を引いてくるための引水用ホースの支援は実施しましたが、移転先がみつかった時点でさらに建築資材などの支援を実施する予定です。

おかゆを食べる子どもたち

※2月4日にこの避難所を訪問したATPIスタッフによると、その時にはすでにホースが設置されていて、子どもたちも避難所での水浴びができる状態になっていたとのことです。

 

 

 

 

 

 

 

【バナナニュース299号】フィリピン・東ネグロス州マンティケル村

2020年2月25日

ネグロス島には現在10のバランゴンバナナ生産者組合があります。

そのうち最も活発に活動しているのがマンティケル村のグループです。2013年にバランゴンバナナの出荷を開始し、2014年に生産者組合が設立されました。

マンティケル村は、1980年代後半から1990年代初頭にかけて政府軍とゲリラの戦闘が激しく、多くの村民が村外への避難を強いられていました。しかし、2000年代に入って状況が落ち着くと、人々が村に戻ってきました。

この村は町から離れた山奥にあり、日用品が高いことが課題でした。2017年に、組合員からの出資金や、バナナの出荷量に応じて受け取る奨励金を積み立てて共同購買所を設立しました。調味料から缶詰、ソフトドリンクにビール、学用品や石鹸など品揃えは多岐にわたり、共同購買所はコミュニティの結束を強める役割を果たすようになってきています。

これらの物資は、バランゴンバナナの集荷が行われる日に空の集荷トラックに載せて町から運ばれるため、輸送費の節約にもつながっています。

 

 

 

東ネグロス州マンティケル村の生産者

\ ダニーロ・サビナンさん(40歳)に聞きました! /

ダニーロさん(右)と妻のゲラルダさん

2019年前半の干ばつは深刻でした。バランゴンバナナの収穫量は前年に比べて10分の1以下に減少してしまいました。バランゴンバナナが主な収入源でしたので、収入を確保するために、被害を受けたいくつかのバランゴンを抜き取り、その場所に販売および自家消費用の野菜を植え急場をしのぎました。

バランゴンバナナを栽培していて一番苦労することは、台風や干ばつなどの天候被害です。バナナは風に弱い作物で、また干ばつの被害を受けると回復に時間がかかります。そうした災害に備えて、今後は畑の作物を多様化していくことを考えています。それでもバランゴンバナナの栽培を決してやめるつもりはありません。この山間の村まで定期的に集荷に来てくれるのは本当に助かっています。他の野菜の場合は、町まで運ばないといけないですし、価格も安定していません。

小さい頃の夢は、どんな分野でもいいので専門家になって、オフィスで働くことでしたが、経済的な理由で高校に行くことができず、夢は叶いませんでした。村は山間にあるため、農業で生計を立てざるを得ませんでした。バランゴンバナナは7年前に栽培を始めました。村までの道路事情が悪いにも関わらず定期的に集荷に来ているのを見て興味を持ったのがきっかけです。今は、バランゴンの他には、ナスとゴーヤを栽培しています。3人の子供たちは高校を卒業することができ、今は皆家を出て働いています。

日本の皆さん、いつもバランゴンバナナを選んでいただき、ありがとうございます。皆さんとの関係が今後も続くことを願って、バランゴンの栽培を続けていきます。

 

マンティケル村での集荷の様子。太さや外見の品質確認をしている。

村長もバナナの交易が地域に与える効果を高く評価しています。山奥まで入ってきて適切な価格で買い取ってくれるため、かつては経済的な悩みを抱える村民が多かったようですが、そのような生活相談が減ったとのことです。

 

 

 


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【バナナニュース298号】バランゴンパートナーフォーラム

2020年2月7日

2019年10月4日、フィリピン・ネグロス島バコロド市にて、バランゴン・パートナーフォーラムが開催されました。

参加者は、ネグロス島、ミンダナオ島、パナイ島、ボホール島、ルソン島の5つの島からバランゴンの出荷の責任を担う団体、韓国からもバランゴンを輸入している生協の代表等、そして日本からATJと、総勢23名が一堂に会し、バランゴンの取り組みについて話し合いました。

 

日本と韓国からは、バランゴンを含むバナナ全般の国内消費動向の説明、各出荷団体からはそれぞれの出荷量推移や産地での取り組み、抱えている課題等が報告されました。多くの団体で苗の確保や病害管理、栽培技術に課題があることを受け、ミンダナオ島マキララのドンボスコ財団からは、自分たちが実践している苗の増産技術の研究について共有されました。また、資金確保という共通の課題や、自然災害等で被害に遭った場合に備え、災害基金を積み立てる仕組みづくり等について、情報交換を継続して行っていくことが確認されました。

 


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PtoP NEWS vol.36

2020年2月1日

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【バナナニュース297号】ミンダナオ島コタバト州マキララ町での地震被害

2019年12月17日

2019年10月、ミンダナオ島コタバト州でマグニチュード6規模の地震が相次いで発生し、バランゴンバナナの産地もあるコタバト州マキララ町でも大きな被害が出ました。バランゴンの出荷団体であるドンボスコ財団のスタッフや生産者の命は無事でしたが、生産者の中には崩れてきた建物によって怪我をした人もおり、多くのスタッフや生産者は住む家を失っています。また、ドンボスコ財団の事務所や宿泊棟、研修施設などは全壊し、それらが位置していた敷地は、断層との関係で今後建物の建設が認められない地域に指定されました。

被災したドンボスコ財団食堂棟

ドンボスコ財団は自身も被災者でありながら、地震発生翌日から近隣住民や、より被害の大きかった隣村へ緊急救援物資(飲料水、食料、毛布、テントなど)の配布などを実施しました。家屋が全壊し、今後の居住が禁止された集落の住民には家を建設するためにドンボスコ財団の土地を提供しています。また、復興に向けて水を引くためのホースや、仮設住宅用の便器や住宅建設に必要な資材の提供も行っています。

テントで避難生活を続けながら出荷作業を再開

マキララでは、今年8月にバランゴンへの竜巻被害もあり、ようやくその被害から回復してきていたところでした。そうしたなかで、ドンボスコ財団では、今後の復興への足掛かりとして、被災3週目からバランゴンバナナの出荷を再開しています。皆さんもぜひ応援してください。

バナナは竜巻被害から順調に回復してきています。

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生産者へのメッセージは生産者に伝えていきます。よろしくお願いいたします。

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【バランゴンバナナ産地・地震被害続報】ミンダナオ島コタバト州マキララ町

2019年12月5日

先に報告しましたように、2019年10月、ミンダナオ島コタバト州でマグニチュード6規模の地震が相次いで発生し、特に10月31日の地震ではコタバト州マキララ町のバランゴンバナナ産地で大きな被害が出ました。

11月22日、社長の生田とバナナ担当者1名が、バランゴンバナナの出荷団体であるドンボスコ財団スタッフや生産者のお見舞いと現状確認のため、マキララを訪問しました。

ドンボスコ財団の事務所や宿泊棟、研修施設などは全壊し、それらが位置していた敷地は、断層との関係で今後建物の建設が認められない地域に指定されています。

ドンボスコ財団の敷地内で地割れが発生している。今後この敷地内では、建物の建設は認められない。

ドンボスコ財団宿泊棟。

ドンボスコ財団の事務所の建物

食堂棟

ドンボスコ財団は自身も被災者でありながら地震発生翌日から、近隣住民や、より被害の大きかった隣村へ独自のネットワークで集めた緊急救援物資(飲料水、食料、毛布、テントなど)の配布などを実施しました。家屋が全壊し、今後の居住が禁止された集落の住民には家を建設するためにドンボスコ財団の土地を提供しています。

ドンボスコ財団敷地内にできた仮設テント

支援金で引水用ホースなどを配布

APLAは、過去のフィリピンの台風被害の際に寄せられたカンパをプールした緊急災害支援準備金から緊急措置として3万ドルを送金しました。支援金は、人びとが今後復興していくための家の建設資材などの支援に充てる予定で、11月22日の訪問時には水を引いてくるためのホースや、仮設住宅用の便器の配布などが実施されました。

いまだ余震も続いており、ドンボスコ財団のスタッフの皆さんは、被災地域の復興に向けて奔走されているなかで、支援をくださった皆さんへの感謝の手紙が届きました。

仮設住宅に設置する便器を寄贈。

水道も壊れているため、水を引いてくるためのホースを寄贈。この集落も居住不可地域に指定されているが、集落の人々はこの地域に残り続けている。

ドンボスコがある村の村役場。1階部分は完全に崩れてしまった。ここは2階部分。村長は避難しきれず、建物の下敷きに。

至る所にテント村が。

新校舎が建設されるまでは、青空教室。雨が降ると風が吹き込んでくる。

ATJ、APLAでは、視察を通じて確認したドンボスコ財団や生産者が被った甚大な被害状況や長期化すると予想される避難生活を考慮し、第2弾の被災地支援を検討中です。

PtoP NEWS vol.35

2019年12月1日

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【バナナニュース295号】相次ぐ天候被害

2019年10月7日

今年は天候被害が続いており、収穫量の低迷が続いています。8~9月の2か月間の収穫量は、同時期としては過去10年で2番目の少なさでした。前々回のニュースで、ネグロス島の様子をお伝えしましたが、その後も台風9号による強風被害が発生しました。ミンダナオ島でも竜巻被害が発生しています。バナナは風に弱い植物で、強い風が吹くと葉が切れぎれになり光合成が阻害されます。その場合、親株に実るバナナは生育不良になりやすく、次の世代(脇芽)が親株に成長するのを待つことになります。

東ネグロスのマンティケル村

東ネグロスのマンティケル村(ダニーさん)
「1月から6月の長い干ばつと7月の台風の影響で収穫量が減少しています。雨が降らない時期がここまで長く続くとは思っておらず、収穫量が半減することも予測できませんでした。雨が降り出したので、7月には回復すればと思っていた矢先の台風被害でした。」「バランゴンの栽培をやめるつもりはありません。私達の村まで定期的にバランゴンを買付けに来てくれるのはオルタートレードだけです*。また他に売るよりもいい値段で買い取ってくれます。」「回復が始まるのは10月以降の収穫(11月以降の販売分)になりそうです。」

*マンティケル村は町から離れた山奥にあり、日用品を町に買いに出るために舗装されていないガタゴト道を片道3時間ほど乗合バイクで下っていかなければならないような地域です。『PtoP News』でマンティケル村のバランゴンの様子を特集しています。

セルジオ・ベルガーラさん

東ネグロスのタンハイ市
◆収量減少の要因について
乾季(12~5月)に雨が降らずに干ばつに苦しんだものの、雨季に入った後にここまで収量が減少するとは思っていませんでした。6月にようやく雨が降り出して、これから収量が回復すると思っていました。しかし7月に2つの台風が強風をもたらしました。長い干ばつからの回復段階にあった私達のバランゴンはまだ弱く、強い風に耐えられずに途中で折れてしまいました。

◆生活について
セルジオさん「干ばつや台風の被害がなかった頃は、バランゴンから毎月1,600ペソ(約3,200円)の収量がありましたが、現在は200ペソ(約400円)にまで減少しています」

ベネランドさん「バランゴンからの収入は1ヶ月あたり800ペソ(約1,600円)減少しました。日用品の購入に充てていたお金でした」

ベネランド・ローマーさん

◆現在の心境
「バランゴン栽培への意欲は失っていません。他の作物に転換する予定もありません。天候被害も私達の生活の一部です。自然には逆らえません。良い価格で定期的に買ってもらえ、また栽培に大きな手間がかからないのがバランゴンの魅力です。バランゴンの栽培は今後も続けていきたいです」(セルジオさん・ベネランドさん)

 

 

ミンダナオ島のツピ町

ジュバート・バディさん

ジュバート・バディさん
◆収量状況
2018年12月に2度、竜巻被害にあい、820株が被害にあいました。3~4月の収穫を見込んでいた株でした。竜巻被害をうけて、6月までしばらく畑の世話に割く時間を減らしました。そのため、収量がゼロだったり、非常に少ない量に留まっています。

◆今後の収量
今後天候被害がなければ、12月の収量が多くなりそうです(※1月販売分)。

◆生計に与える影響
他の収入源があるので、そこまで大きな影響はありませんが、心情としては、とてもがっかりしています。

◆現在の心境
やる気は失ってはいませんが、しばらくがっかりしていたので、畑の世話をしませんでした。バランゴンは、安定して買い取ってもらえるし、協同組合のサポートが受けられることが魅力です。違う作物に転換することは考えていません。安定して買い取ってもらえる保証がなく、リスクが大きいからです。

フランシスコ・ハトゥランさん

フランシスコ・ハトゥランさん
昨年新規に作付けした分の最初の収穫は終わりましたが、次の世代の生育が今年の乾季(1~5月)のエルニーニョの影響で遅れています。回復は11~12月の見込みです(※12~1月販売分)。

収入が減少しているので、子どもの小遣い(学校への交通費やおやつ代)を減らしています。ただ、現在はむしろやる気が出てきており、一生懸命バランゴンを世話していこうと思っています。協同組合のサポートがあるし、安定的に買い取ってもらえるのが何よりの魅力です。私がやることは、目の前で育っているバランゴンの世話をすることです。

ミンダナオ島のレイクセブラムラハック村
レイクセブのラムラハック村の一部の畑で、9月13日に竜巻被害がありました。特に3人の生産者の畑で大きな被害がありました。(被害前は、その畑からの出荷量はレイクセブ全体の5%ほどありました)。

回復の時期には地域差がありますが、需要を上回るようになるのは、1月あたりの販売分からになる見込みです。

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PtoP NEWS vol.34

2019年10月1日

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PtoP NEWS vol.33

2019年8月1日

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PtoP NEWS vol.32

2019年6月1日

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PtoP NEWS vol.31

2019年4月1日

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