レポート

大型台風22号被災産地への復興支援が完了しました

2023年4月3日

2021年12月16日夜から17日にかけて非常に強い台風22号(フィリピン名:オデット)がフィリピンを直撃し、ネグロス島のバナナとサトウキビに大きな被害が出ました。また、多数の生産者や事業関係者の家屋が全半壊し、米、さまざまな種類の果樹や野菜、家畜にも被害が出ました。

このような被災状況に対して、オルタートレード・フィリピン社(ATPI)とオルタートレード財団(ATPF)は、バナナとサトウキビの生産復興及び生活支援事業を進めてきましたが、昨年12月に復興支援が完了しました。

事業報告】

<生活支援事業>

■食糧支援

米(10kg)を1,726名に配布(バランゴンバナナ生産者、フィールドワーカー、サトウキビ生産者、ATPI職員(フィールドワーカー、パッカー、マスコバド糖製糖工場スタッフ)など。

■住宅資材の配布

サトウキビ生産者、バランゴン生産者、パッカー計254名に自宅屋根修理のための資材(波トタン)提供。

■生産者組合施設の修理

・ボホール島バランゴンパッキングセンターの修繕工事
・17のバランゴン及びサトウキビ生産者組合が所有する多目的センター、バナナ買付センターの修理・建設に必要な資材提供。

<農業生産復興事業>

・サトウキビ生産

(1)活動実績

① 収穫補助金 台風の影響で通常の収量より少なかった分を一部補填。サトウキビ1トン当たり100ペソ、115.19ヘクタール対象。

② 燃料補助金 燃料費高騰に伴い、サトウキビ1トン当たり50ペソ補填。

③ 肥料 マッドプレス(搾汁したサトウキビ残渣)及びリン鉱石を生産者団体に配布。

(2)成果  

刈り取り労働者の賃金、肥料(マッドプレス=サトウキビ搾汁後の沈殿物)、燃料代も高騰したが、収穫補助金、燃料補助金及び肥料配布により農作物の生産コストを削減できた。

・バランゴンバナナ生産

(1)活動実績

① 2回(2022年2-3月、9-10月)にわたり848.79トンの鶏糞をネグロス西州、東州の451名の生産者に配布。

② 新しく39,165株のバナナを植え付け、施肥をした。

③ 施肥効果で月間平均生産量は18%増加した。

④ バナナ生産者とオルタートレード社員がバヤニハン(日本の結に相当)で協力して整地、倒伏したバナナ株の除去、株の植付と施肥を行った。作業者には労賃が支払われた。

(2)成果

① 施肥がバランゴンの回復を早めた。茎が丈夫になり、葉が青々と繁り、果実が大きく重くなった。

② 鶏糞施肥の効果を目にして、生産者はより積極的に施肥をするようになった。

③ バヤニハン(結)によって農地の整地、バナナ株の植え付け、施肥の作業が迅速に進んだ。それにより、バランゴンの回復が9月~10月の予定から、地域によっては5月~6月に早まった。

④ バランゴン生産量は減っても、運搬担当者やパッカーは生産者の畑の復旧を手伝うことで日当を継続的に手にできた。

⑤ バヤニハンで一緒に作業することで生産者、フィールドワーカー、運搬担当者やパッカーの距離が縮まり、すべての関係者が感謝の気持ちをもって協力し合うことの大切さと価値を実感した。

・他の農業支援

(1)短期間で育つ野菜(レタス、キャベツ、大根、キュウリ、ナス、トマト、ニガウリ、カボチャ、パパイヤ)の種、果物(カラマンシー、ジャックフルーツ、レモン、ライチ)の苗を配布。

(2)果物や樹木の苗の配布

(3)生計手段への支援

・メルセデス灌漑組合(MERFIA)の被災した9ヘクタールの水田用に27袋のリン鉱石を配布。
・ノラン労働者組合(AMANO)による養鶏事業(鶏肉、卵)に対し、27羽の地鶏とフェンスを配布。

<会計報告>

バランゴンバナナやマスコバド糖を取り扱う生協・産直団体より復興事業に対して多額の支援金が寄せられました。また、APLAも緊急災害支援準備金の一部を拠出しました。改めてご支援に感謝申し上げます。他に韓国の生協・民衆交易団体、マスコバド糖を扱うEU諸国のフェアトレード団体からも資金提供がありました。

(単位:ペソ)※残額は2023年度バランゴンバナナ肥料代に充てる予定です。

■収入(支援金)

(単位:ペソ)

■支出(事業費内訳)

上記のご報告の通り、日本の皆様からのご支援もあり被災産地への復興支援事業を完了することが出来ました。心より御礼申し上げます。

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