投稿者: okubo
【バナナニュース326号】<大型台風22号・その後3>ボホール島のバナナ生産者たち
昨年12月に発生した台風オデットは、バランゴンバナナの産地の一つボホール島にも甚大な被害を与えました(ボホール島は輸入量の約2%)。台風の被災から4ヵ月経ち、生産者たちの様子を聞いてみました。多くの人がバナナだけに頼らず収入源を多様化することで、生活を成り立たせようとしています。
■ロベルト・カサルハイさん
バナナ以外に玉ねぎなど様々な野菜を栽培しています。台風の被災後は、一時的に収入が減ってしまうので大工の仕事をしています。畑の復興も進めていて、既に野菜が収穫でき始めています。バナナも新たに植え付けて、既に実がなり始めているものもあります。

■ヴィルマ・オラガーさん
バナナの生産者であると同時に、サリサリストア(地域の小さな商店)の店員をしています。夫がトゥバ(ココナッツで作るフィリピンの伝統的なお酒)を集荷する仕事をしており、時には海で釣った魚を販売したり、家で豚を飼育して、収入の足しにしています。台風後にはバナナの畑の復興も進めています。

■ジュニア・リオアさん
もともとは船員でした。妻は学校の先生です。2年前からバランゴンバナナを育て始めました。台風の被害により、バナナはほぼ全滅してしまいました。さらにはバナナの病害にもかかってしまい気落ちしましたが、またバナナを育てたいと思い、100株分の苗をもらいました。
■オクトバー・ガルベさん
バランゴンバナナの他には切り花と野菜を育てています。小さなサリサリストアも経営しています。またバナナを出荷したいと考えていて、現在畑の復興中です。
■エスター・ベルニルさん
台風被災後は、家が全壊してしまったので、義理の兄弟の家に仮住まいをしています。漁業、大工、豚の飼育をして収入に充てています。畑の復興も始めています。
ボホール島のバナナのパッキングセンターは台風で壊滅してしまい、日本からの台風被害のカンパ金の一部を再建のために届けています。出荷団体であるPFTAC(人々のためのフェアトレード支援センター)では、農業省や自治体へ支援を要請し、農業生産復興のための鶏糞や資金をバナナ生産者に支給しました。
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食のギャラリー/塩「塩鍋②」
PtoP NEWS vol.49
【バナナニュース325号】<大型台風22号・その後2>バナナの畑の回復と生産者
今回のバナナニュースも台風被害後の現地の様子をお届けします。
2月から、支援金を活用して新しく植え付ける苗や被害にあったバナナが早く回復するように鶏糞を配布しています。被災したネグロス島の生産者たちに近況を伺いました。
■テレシータ F. ブリロさん (ネグロス東州カンランオン市)
2月に入ってから、バナナの回復の兆しが見えてきて、いくつかのバナナは花芽が付き始めました。今回の台風は、21年の秋にあった強風と竜巻の被害からちょうど回復し始めたバナナをなぎ倒しました。たくさんバナナを出荷して収入も入ってくると期待していた矢先のことだったので、とても残念でした。
そんな時に鶏糞を支援していただきました。バナナの回復を早めてくれると思います。
台風から2か月以上たって、私たちの暮らしも少しずつですが戻りつつあります。早く元の生活が戻ってきて、収入が減った分を取り戻していきたいです。
■ザカリアス ジラソルさん(ネグロス西州コッドコッド)
畑のバナナは少しずつ回復してきています。台風オデットの影響で出荷量も収入も大きく減ってしまいました。
鶏糞のご支援をいただき、バナナの早期回復に役立ちます。これから本格的な乾季となりますが、まだ雨が降っていたのでタイミングがよかったです。この天気が続いて鶏糞の効果が持続することを願っています。
バナナや他の作物からの収入は日々の生活を支える基盤です。それが減ってしまい、とても悲しい思いです。2022年内には回復するようにと願っています。

その他、新しいバナナの株の植付も始まっています(東ネグロス州パンプローナ)。
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エコシュリンプとトマトの卵炒め
エコシュリンプの簡単押し寿司
【バナナニュース324号】<大型台風 22 号・その後> 屋根材の配布を実施しました
前回のバナナニュースでご報告した大型台風22号が通過してから約2ヶ月半が経とうとしています。オルタートレード・フィリピン社(ATPI)の海外パートナーである日本やヨーロッパから支援金が届き始め、徐々にですが家屋の被害にあったバナナ生産者に屋根材の配布が始まっています。
その他、日本から送った支援金(注1)を使って、2月中旬より、屋根材配布以外にお米10kgを、生産者及び集荷や箱詰めを担うスタッフを含めて被災地域の人たちに届けました。
1月~2月前半は、ATPI社があるネグロス西州の州都バコロド市では、コロナの感染が広がっていました。それに伴い、隣接する自治体を移動する際には健康観察のチェックポイントがあります。そのため、移動できるスタッフと地域の中にいるスタッフが建材の調達などを担って動きました(注2)。
最も被害の大きかったネグロス東州北部の生産者から報告が届いています。
■ラライネ・ゲオパノさん(2022年1月7日屋根材受け渡し)
台風が来る数時間前に、2人の子ども(14歳、10歳)と一緒にバナナのパッキングセンターへ避難しました。しかし、パッキングセンターも壊滅的な被害を受けたので、翌朝に親戚の家に移動しました。従兄弟が海辺の小屋を貸してくれることになり、家が再建されるまでそこで生活をしています。幸いなことに家族全員無事です。自分たちで家を建て直す資金を持ち合わせていなかったので、支援をしていただき大変助かりました。心よりお礼申し上げます。

■マルディ・ティトンさん(2022年1月16日屋根材受け渡し)
私たちの家は壊れやすい材料でできているので、台風が強くなる数時間前には避難することを決めました。家を離れている間、強風で家が壊されてしまうのではないかと心配していました。台風が過ぎ去った後、家を確認しに行くと、心配していた通り、屋根はすべて吹き飛ばされてしまっていました。停電が長く続いたのもとても大変でした。家を建て直す経済的な余裕がないので、皆さまからのご支援が大変ありがたいです。
■ルルデス・マラライさん(2022年1月7日屋根材受け渡し)
オルタートレードの皆さん、ご支援してくださった皆さん、ありがとうございます。
■ジェライン・エンピラドさん(2022年1月7日屋根材受け渡し)
屋根材をご支援くださりありがとうございます。
■お米配布の様子
(注1) 関連団体の特定非営利活動法人APLAの緊急災害支援準備金より送金。詳しくはAPLAウェブサイトへ。
(注2) フィリピンでは、他の自治体へ入域する際に「チェックポイント」といって健康観察のチェックがある。毎月15日毎に各自治体にコロナ感染に伴う隔離措置のレベルが定められ、そのレベルによりチェックされる内容が変わる。感染レベルが3以上のときにはワクチン接種カードや抗原検査結果を求められる。バコロド市では2月後半には感染レベルが下がっている。
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パプアのカカオで作る!ホット塩ココア
カカオ担当者が試行錯誤を重ね、民衆交易品を使ったおいしい組み合わせを見つけました。
ゲランドの塩がマスコバド糖のコク深い甘みを引き締めてくれる、ちょっと大人のドリンクです。
寒い時期のほっと温まるひとときにいかがですか?
<塩ココアの素>
◆材料(カップ約5杯分)
・マスコバド糖:60g
・パプアのココアパウダー:40g
・ゲランドの塩(細粒塩):2g
◆作り方
①適当な大きさの器か保存容器に材料を全て入れ、均一に混ぜ合わせる。
◆飲み方
①カップに塩ココアの素を小さじ山盛り3杯と少量の熱湯を入れ、ダマがなくなるまで混ぜ合わせる。
②①に温めた牛乳約200㏄を少しずつ注ぎながら混ぜる(冷たい牛乳を注いだ後、電子レンジで温めてもOKです)。
この時、一気に牛乳を入れるとココアが溶けにくくなってしまうので、少しずつ入れて混ぜるのがポイント!
★塩ココアの材料はAPLA SHOPでご購入いただけます。
<おすすめ調理法①>高温調理
<おすすめ調理法②>低温調理
食のギャラリー/エコシュリンプ「高温でさっと炒めます」
徹底解説!パプアのクラフトチョコレート fromインドネシア・パプア州
茶色くて甘い物体に一途な念を込め、老いも若きも意中の人を射止めるべくさまよう日。それこそが日本のバレンタインデーです。今回は、そんな目出度い日を彩る一助となるべく、パプアクラフトチョコレートの魅力をご紹介致します。
カカオ豆から、手間ひまかけて作られます
パプアクラフトチョコレ ートは、その名の通り「インドネシア・パプア州産カカオ豆から手づくりされたチョコレ ート」です。パプア州のカカオ豆の味をダイレクトにお届けしたいということで出来上がったこの製品は、将来的にはパプア州で一貫生産するオールパプア品を目指していますが、今のところは現地にそういう設備もノウハウもないため、東ジャワ州の小規模な工場で手作りされています。
市販の多くのチョコレートは、ざっくり言えば「仕入れたカカオマスやココアバターを溶かして、砂糖や粉乳(の調整品)などと混ぜて、練って粒子を細かく滑らかにして、調温をして、冷やして完成」なのですが、カカオ豆から作ろうとすると、「カカオ豆を分別して(石など混ざっている可能性があるので)、焙煎して、殻を剥いて中身(胚乳部分)だけにして、それをすり潰してドロドロにする」という作業が追加されます。実際やってみるとわかりますが、殻が思うように剥がれない=きちんと剥がれたか目視確認する必要がある、焙煎温度が不適切だと焦げ臭くなったり良い風味が吹っ飛んだりする、本当にドロドロで作業しづらい・・・ 等々、手をかけないとできない工程ばっかりです。その分大切に仕込まれていきます。
ベテランの技を駆使して完成!
できあがったドロドロに砂糖や粉乳などを混ぜ、さらに滑らかにしていきます。設備も限られている小規模手づくり工場なので、一晩ローラーを回しっぱなしにして、ようやく食べたときにザラつかない程度の粒径まで小さくなります。見た目にも滑らかでして、これが、すっぴんのチョコレート生地です。そのまま舐めると止まらなくなります。
出来上がった生地を調温し(調温することで、食べたときにパキッとなる分子構造と言いますか、そういう組成を作り出します)、型に入れます。それを冷蔵庫で冷やすことでチョコレート自体は完成するのですが、パキッとなる=割れやすいのです。割れたら、当然やり直しです。そして一つの型の中には6枚のチョコレートが寝そべっていて、一人が脱落すると連鎖的に皆が脱落する怖さを孕んでいます。しかしこれまで何万枚というチョコレートを作ってきたベテラン達は、この型に対して繊細かつ大胆に打撃を加えることで、チョコレート達を優しく型から引っぺがしていくことができます。こうして出来上がったチョコレートは、割れや欠けが無いかをチェックされた後、1枚1枚袋に封入されてから箱詰めされ、緩衝材に守られながら日本に到着します。
毎年微妙に違うのも、一つの『味』!?
このように、―つ一つの工程が人の手によって行われて出来上がるパプアクラフトチョコレ ート。今のところのフレーバーはカカオ67%(緑)とミルクココナッツ(白)の2種類です。カカオ67%は、本当にカカオ豆と砂糖だけの、超シンプル配合。絶妙に散りばめられたカカオニブが作り出す、歯に心地よいザクっとした食感がチャームポイントです。単純な中にも味と食感のダブルパンチ。甘すぎず、ダイレクトにガツンと、パプア州産カカオをお楽しみ頂ける一品です。
打って変わってミルクココナッツは、脱脂粉乳を使用した優しい風味のチョコレ ート生地。そこに生から採って乾燥させて作ったココナッツ果肉のパウダーを配合することで、インドネシアを感じるト口ピカルな風味を出すことに成功しています。
日本の市販チョコレートの品質やその安定感は、もはや世界ーと言っても過言ではありません。それでも、手づくりされたチョコレ ートには手づくりの良さがあります。カカオ豆は農産物ですし、収穫後に発酵も行われるので、毎年、いや毎回の収穫でも出来が異なります。パプアクラフトチョコレートは、そんなわけで毎年味が微妙に違います。それも含めて手づくりの魅力•••と捉えて、チョコレ ートが溶けない程度の温かい目で見守って頂けると嬉しいです。さーて今年はどんな味に仕上がっていますでしょうか。お楽しみに!
若井俊宏(わかい・としひろ/ATJ)
PtoP NEWS vol.48
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【バナナニュース323号】大型台風22号(フィリピン名:オデット)がバナナ産地を通過
非常に強い台風22号が2021年12月16日夜から17日にかけてフィリピンを直撃し、バランゴンバナナの産地であるネグロス島及びボホール島が大きな被害を受けました。バランゴンバナナ生産者には人的被害は報告されていませんが、ネグロス島から届くマスコバド糖のサトウキビ生産者1名が、全壊した家屋の下敷きになりお亡くなりになったと連絡がありました。台風通過直後は停電が発生し、通信状況もしばらく安定せず安否確認に時間を要しました。40代の現地スタッフ曰く、今までに経験したことがないくらいの台風だったとのことです。
バナナ生産者においては、家屋の全壊や半壊の報告が105軒分ありました。バナナと一緒に育てているココナッツや果樹類、野菜などその他の農作物、家畜への被害がありました。生産者からは強風や豪雨への恐怖や収入源が少なくなってしまうといった心配の声が届いています。
■バランゴンバナナの被害
バナナは木ではなく草であるため強風に弱く、大きな実をつけているものはすぐに倒れてしまいます。今回も多くのバナナが倒され、ネグロス島では、葉が切れるなども含めると、約9割の株が被害を受け、ボホール島は全滅してしまいました。台風からの回復は6~10ヵ月かかると見込まれており、今回被害を受けていない他の島の産地から届くバナナと合わせて、通常の約6割の出荷量となります。
当面、皆様にお届けするバナナが少なかったり、届かないなどご迷惑をおかけいたしますが、何卒ご了解いただけると幸いです。
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生産者へのメッセージは生産者に伝えていきます。よろしくお願いいたします。
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食のギャラリー/エコシュリンプ「エコシュリンプとトマトの卵炒め」
ホット塩ココア
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アイス塩ココア
食のギャラリー/エコシュリンプ「エビのガーリックパン粉焼き」
明らかになった産地の被害全容―台風オデット被害状況【第2報】
昨年12月16日夜から17日にかけてフィリピンを直撃した台風22号(フィリピン名:オデット)による産地の被害状況が明らかになってきました。

ネグロス島には900名近くのバナナ生産者がいます。オルタートレード・フィリピン社(ATPI)及びオルタートレード・フィリピン財団(ATPF)が行った現地調査によると、約5万3千本のバナナが根こそぎ倒れ、15万7千本のバナナに茎が折れたり、葉が裂けるといった影響がありました。

一方、マスコバド糖の原料となるサトウキビ畑では、300ヘクタールのうち約40%にあたる115ヘクタールでサトウキビが倒伏する被害が出ました。
被害程度にもよりますが、バナナは回復までに6-10か月を要する見込みです。また、台風に比較的強いサトウキビも倒伏したため糖分の含有量が減る影響が心配されています。他にも生産者の水田、ココナッツ、様々な種類の果樹や野菜、家畜にも被害が出ています。

家屋の被害も甚大です。ネグロス島では生産者、集荷や運搬担当者、バナナのパッカーなど90軒の家屋が全壊、半壊は300軒近くに上りました。さらにボホール島、ミンダナオ島北部のバナナ産地でも、生産者の家屋倒壊はなかったものの、それぞれ1万本近くのバナナに被害が出ている模様です。
ATPIとATPFが産地の被害状況を動画にまとめました(約5分)。
倒伏したバナナやサトウキビ畑、倒壊した家屋の惨状には目を覆うばかりです。夜半から朝方に通過した台風の豪雨と強風は本当に怖かったと一人のサトウキビ生産者が回顧しています。
被害を受けた産地では依然として飲み水の不足、停電が続いています。電力会社からは大きな被害があった場所では、電気の復旧は2月頃になる見込みとも発表されています。家が全壊・半壊した生産者からは、早く家に帰るために壊れた屋根を修復するための材料がほしいとの要望も届いております。ATPIとATPFは、生産者らの家屋再建やバランゴン、サトウキビの生産復興を中心とする支援を計画しています。ATJもどういう形で協力できるか、ATPI、ATPFと協議しています。