【エコシュリンプ生産者来日】|資源管理型漁業について学び、海の幸を堪能する(野付訪問その1)
今回のエコシュリンプ生産者来日の背景の一つは、野付植樹協議会の設立10周年を記念して2012年3月にインドネシアで行われた交流がきっかけでした(当時の報告はこちら。インドネシアで持続的なエビ養殖を営んでいるエコシュリンプ生産者に、今度は野付の資源管理型漁業を見せたい!という有難いお招きに預かり、この度の訪問が叶ったわけです。
さて、乾季で暑いインドネシアから初来日の翌日、羽田空港に集合してさっそく中標津空港まで飛んだレギミンとアサッド。空から見える広大な牧草地を珍しそうにしげしげ眺めるアサッドと、その横で揺れに怯えて縮こまるレギミンが、対照的でした。
牧草とウシの香る中標津空港から、一路野付漁協へ。ヒトよりウシが多く、あまりに通行人が少ない様子に驚きながらも、広大な土地の真ん中での快適なドライブでした。野付漁協では、3月にインドネシアでお会いした懐かしい皆様がお出迎え下さり、早速、北海道の漁業の概要から、野付漁協の資源管理型漁業への取り組みレクチャーを頂きました。
北海道の年代別漁業就業者は、やはり50代以上が中心。そして全体的には減少傾向にあります。それを見たアサッド(=50歳、孫あり)は、しみじみと一言。「高齢者ががんばって支えているのか・・・」。シドアルジョのエビ生産者でも同じような傾向はあるようで、人事ではないと感じた模様。アサッドにはまだまだ現役で頑張ってもらうとしても、今回残念ながら来られなかったイルルのような若手生産者も一緒に支え合って行ける関係が、これからのエコシュリンプには求められているのです。
一方、資源が豊富な野付地区の漁場で資源管理型漁業が始まった背景は、乱獲や環境変化による水産資源の枯渇でした。現在は、稚貝の放流や親魚の捕獲を計画的に実施すると共に、漁獲の前には資源量調査を行い、獲り過ぎにならないように漁業制限を設けながら、水揚げを行っています。漁協の組合員もそのことを理解し、「譲りと協同」の思想の下、個々人の漁獲高に固執しない漁業が営まれているのです。
インドネシアではまずお目に掛かることの無いこの取り組み。まずアサッドからは「どういう意識があると、そういうことができるのか!?」と驚き混じりの質問があり、続いてレギミンからは「漁獲制限は政府から割り当てられるものなのか?」と、これも不思議な表情。「自分達で決めて進めていく」という野付漁協のあり方が、まずは彼らにとって斬新だったと言えます。それでも、「守らない人にはペナルティーも辞さない」という徹底振りに、「将来を考えた取り組みを、協同で自発的に進めている点」が少なからず腑に落ちたようです。
夜は、そんな野付半島で獲れた海の幸を堪能。さすがに生のホタテやイクラには抵抗があったものの、野付漁協のご好意によって「ホタテ揚げ」に変身した途端、旺盛な食欲で頂きました。なお、かの有名な「北海しまえび」を山ほど食べたことは、言うまでもありません。
(報告:商品課 若井俊宏)
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