レポート

PARCによる救援活動報告~ガザ地区に希望を~

2025年5月30日

2023年10月から始まったイスラエル軍のガザへの攻撃を受けて、2つのパレスチナのオリーブオイル出荷団体ではガザへの支援活動を開始しました。現地からの呼びかけを受けて、日本でも募金を集めて現地へ届けました。

パレスチナ農業復興委員会(PARC)では2023年11月初めよりガザ地区で緊急支援「ガザ地区に希望を」募金キャンペーンを継続しています。日本からの支援金が活用されているPARCのフェアトレード事業会社であるアルリーフ社の支援実績が届きました。

ガザ地区に希望を~募金キャンペーン報告(2025年4月現在)

2023年10月7日以降に始まったガザ地区でのジェノサイドに対応し、アルリーフ社は、2023年10月22日に募金キャンペーン「ガザ地区に希望を」を開始しました。

このキャンペーンの目的は、イスラエル占領軍による侵攻の影響を軽減することにあります。この侵攻により、ガザ地区では貧困が深刻化、大規模な破壊、死亡者64,000人以上、負傷者111,000人以上、住居の破壊と喪失がもたらされ、食料・清潔な水・生活必需品の喫緊の必要性が増しています。アルリーフ社は、難民キャンプや国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の学校、その他の避難所に避難している人々に対し、食料などの人道支援物資を送っています。

国連によると、戦争中にガザ地区全体で少なくとも190万人(人口の約90%)が避難を強いられ、繰り返し避難し、中には10回以上避難している人もいます。2025年1月からの停戦は3月18日のイスラエルによるガザ地区への爆撃により破られ、わずか1ヶ月で1,630人以上が死亡し、50万人以上が再び避難を強いられました。ガザ地区では全住宅の92%が損傷または破壊されました。今でも緊急支援、避難所、生活必需品の差し迫ったニーズがあり、復興には530億ドル以上が必要と見積もられています。

2025年3月2日から、イスラエルは支援物資トラックのガザ地区への搬入を止めていますが、アルリーフ社は引き続きキャンペーンを継続し、支援を届ける機会を待っています。

寄付金の活用方法

日本を含む海外から寄せられた寄付金は、西岸地区のパレスチナ人農家から以下の農産品を購入するために寄付金を活用しています:

  • マジョールデーツ(ナツメヤシ)・ペースト(1kgパック)
  • ザアタル(タイムスパイス)(1kgパック)
  • フリーケ(緑のロースト小麦)(700gパック)
  • エキストラバージン・オリーブオイル(3リットルボトル)
  • その他適した食品

これらの製品は、栄養価が高く、簡単な調理で摂取でき、常温での長期保存が可能なため、ガザの状況に適しているものです。

支援・第1便

アルリーフ社は、西岸地区の農家から食品を購入することで、経済的に困難な状況にある農家の支援も行っています。第1便では、ザアタル、マジョールデーツ・ペースト、フリーケを計20パレット準備しました。

2024年5月、イスラエルによりガザ地区との国境が閉鎖された後、南部のカレム・アブ・サレム検問所経由で支援物資を搬入できる可能性があると通知されました。2024年5月26日に支援物資を積み込みましたが、イスラエル当局はパレスチナ側の支援トラックの通行を再度禁止し、わずかなトラックだけが通過を許可され、その後長期間に渡って国境は再び閉鎖されました。

アルリーフ社は品質保持のため、西岸地区北部のトゥルカレムの倉庫に支援物資を保管し、その後、アル・ラムにある自社倉庫に支援物資を戻さざるを得ませんでした。

ヨルダン・ハシェミット慈善機構(JHCO)を通じた支援物資配送

その後、アルリーフ社は、ヨルダン王室が管轄するJHCOを通じて支援物資をガザへ届けることを決定し、2024年8月25日にヨルダンへ支援物資を発送しました。そして、2024年10月25日に、ガザ北部にあるPARCの倉庫にようやく物資が到着しました。

JHCOは、アンマンの倉庫からイスラエル領内を経由し、北部のジキム検問所を通ってガザへ輸送。PARCのガザ支部が支援物資を受け取り、スタッフがボランティアと共にPARCの支援対象区の人々へ配布しました。

JHCOは、国内外での慈善活動、人道支援、難民支援を行うヨルダン王室直属の非営利団体です。様々な非営利団体や組織と協同して、世界中の被災地域や難民を支援しています。パレスチナやガザ地区の人々への支援も実施し、学校や医療センター、難民キャンプの設立・管理も担っています。

アルリーフ社は、JHCOの西岸地区代表を通じて正式な申請を行い、西岸地区においてガザへの支援物資配送ができた唯一の団体となりました。

支援物資の分配

アルリーフ社がガザに送った支援物資の分配は、PARCが担当しました。PARCは、西岸およびガザ地区で農業開発プロジェクトを展開しており、現地スタッフとボランティアが、難民キャンプ、UNRWAの学校、避難所などで被災した人々へ支援物資を配布しました。

第2便および今後の支援について

キャンペーンによる残りの資金と、現在も継続的に寄せられている海外からの支援により、第2便の支援を計画中です。第2便には、2024年産の新しいオリーブからとれたオリーブオイルを主に届ける予定です。これは、売れ残ったオリーブオイルの買い取りによる農家支援(2年連続で状況が困難な中で収穫・製造)と、ガザの人々への人道支援という二重の効果があります。

アルリーフ社は、このキャンペーンに関わったすべての人々に深く感謝しています。ガザ地区での危機の規模に比べればささやかな支援かもしれませんが、何らかの形で行動を起こす一人ひとりの貢献に心より感謝申し上げます。

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