パレスチナの農民のために、オリーブオイルの評価を高めたい!イッサ・シャトラさん fromパレスチナ
パレスチナ農業復興委員会(PARC)が設立したフェアトレード事業会社(アルリーフ社)の副社長を務めるイッサ・シャトラさん。
イエス・キリストの生誕地、ベツレヘム出身のクリスチャンであるイッサさんは、高校生のときにPARCのボランティアとして活動を始め、PARCの奨学金を得てフランスの大学で農学を学びました。以来、さまざまな形で働いてきました。
イスラエル占領下にあるパレスチナ西岸地区において、農業が経済活動に占める位置は高く、オリーブは主要作物です。
1990年代よりPARCは農民への技術指導や搾油・保管施設の改善を通して、付加価値の高いエキストラバージン・オリーブオイルを生産し、欧米のフェアトレード市場に向けて輸出してきました。
しかし、知名度が低いパレスチナのオリーブオイルの市場開拓は容易なものではありませんでした。イッサさんはイタリアやスペインといった「オリーブオイル先進国」の事情を勉強して、品質を保証する制度や仕組みの必要性を痛感しました。
イタリアなどではワインのソムリエのように、政府公認のオリーブオイル・テイスター(鑑定士)がいます。エキストラバージン・オリーブオイルには酸度0.8%以下、過酸化物価20以下という国際的な基準があります。
テイスターの役割は、化学的数値では測りきれない質的特徴を判断し、粗悪なリーブオイルを発見することです。
PARCは、イッサさんのアイデアを受けて政府やNGO、農民団体と協力して認証制度を整え、テイスターを養成し資格を与えるパレスチナ基準協会(PSI)を1996年に設立しました。現在、パレスチナには24名(うち2名はPARC職員)のテイスターがおり、海外に輸出する前にすべてのオリーブオイルを検査しています。
品質の高いオリーブオイルを生産するには、何より最高のオリーブオイルを作りたいという農民の意識や熱意が必要不可欠です。
これまた「オリーブオイル先進国」に倣って、PSIは収穫が終わる毎年12月に品評会を開催しています。
化学的数値とテイスティングによって金賞、銀賞、銅賞に等級分けされ、農民の大きな励みとなっています。今では0.8%という基準よりもずっと酸度の低いオリーブオイルも生産されるようになりました。
イッサさんは、パレスチナ農民のオリーブ生産を後押しする認証制度の整備や品評会開催の立役者の一人です。こうした努力の積み重ねによって、パレスチナのオリーブオイルは欧米の市場でも評価が高まりつつあります。
小林和夫(こばやし・かずお/ATJ)
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