レポート

<今月のおいしい!>パレスチナの伝統料理「ムサッハン」

2025年2月6日

「今月のラディーズ!(おいしい)」は、パレスチナの伝統料理「ムサッハン」。

※「ラディーズ」はアラビア語で「おいしい」という意味です。


パレスチナ農業開発センター(UAWC)スタッフのサナ・カラジェさんに紹介していただきます。

パレスチナの食卓には、オリーブオイルが欠かせません。ザータル(乾燥させたタイムの粉末とゴマを混ぜたもの)はオリーブオイルと混ぜて使いますし、炒め物などにも頻繁に使います。食卓でも、ほぼ全ての料理の仕上げにオリーブオイルを垂らします。
中でもこのムサッハンは、オリーブオイルをたっぷり使って味わいます。

ムサッハンは、力強い風味で具だくさんの伝統的な料理です。焼いた鶏をタブーンというパンに乗せ、炒め玉ねぎ、スマック(酸味のあるスパイス)、オリーブオイルと松の実を混ぜた酸味のある濃厚なソースに浸して食べます。味付けにはオールスパイスやたっぷりのスマックなど様々なスパイスを使うので、大地のような味わいと同時に柑橘系の風味も感じられます。玉ねぎや鶏から出た風味豊かな汁をパンにしっかり染み込ませてからオーブンで焼き、端のカリっとした食感と中央のしっとりした食感を両方楽しみます。

親戚が集まる時など、ちょっと特別な日に食べます。女性たちが台所に集まり、オーブンでパンを焼く人、玉ねぎソースにパンを浸す人など、みんなで手分けをして作業します。特に新鮮なオリーブオイルが手に入りやすいオリーブの収穫時期に、ぴったりの料理です。パレスチナでは夕食ではなく、お昼が一日のメインの食事なので、このボリュームたっぷりの料理は、お昼に向いています。

~ムサッハンのレシピ~

材料:
・丸鶏1羽 切り分けておく
・玉ねぎ 大4個(みじん切り)
・エキストラバージンオリーブオイル 1/2カップ
・スーマック 大さじ2-3
・オールスパイス 小さじ1
・シナモン 小さじ1/2
・塩、胡椒 適量
・タブーン(平らな丸いパン。しっかりと油を吸うように厚めの方がよい) 4-6枚
・炒った松の実 1/4カップ


作り方:
1.塩、胡椒、オールスパイスとシナモンで鶏に下味をつけ、200℃のオーブンで45分程(黄金色に焼き色がつき、中に火が通るまで)焼く。
2.大きめのフライパンにオリーブオイルを熱し、玉ねぎがあめ色になるまで炒める。スマック、塩、胡椒で味を調える。
3.タブーンを軽くオリーブオイルに浸し、上にたっぷりの玉ねぎを広げ、焼いた鶏肉と炒った松の実を散らす。
4.パンの淵がカリっとするまでオーブンで焼く。温かいうちに召し上がれ!

私の実家にはオリーブの樹があり、オリーブの収穫シーズンには一年分のオリーブオイルを作って大きな甕で貯蔵します。農村地域の多くの家庭にはオリーブの樹がありますし、オリーブの樹がなくても、できたオリーブオイルを親戚に分けてもらったりして、オリーブオイルを買うことはほとんどありません。

サナ・カラジェ(UAWCスタッフ)

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コラム「今月のおいしい!」では、産地の食事や食文化について紹介していきます。
前回の記事はこちら→ 社員食堂の人気メニュー
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