『遺伝子組み換えルーレット−私たちの生命のギャンブル』日本語版実現へ
少し前になりますが、2013年7月4日、米国独立記念日に米国の母親たちのグループ(Moms Across America)が全国172カ所で遺伝子組み換えに反対し、遺伝子組み換え食品表示を求めるパレードを行いました。
遺伝子組み換え作物の耕作が始まったのは1996年。それ以来、20年近くがたった米国では遺伝子組み換え食品がもたらす健康被害についてとても具体的に語られ始めています。それはお母さんからお母さんに伝わり、大きな動きになってきました。母親たちのグループは「止められない母親たち(Unstoppable Moms)」というニックネームで呼ばれ、米国の多くの州で米国では現在存在していない遺伝子組み換え食品表示義務制度を求める運動を大きくする上で大きな役割を果たしています。
なぜ、このような大きな動きが生まれたのでしょうか? その背景には、さまざまな病気が今、米国で激増しており、その原因として遺伝子組み換え食品が与えている影響が指摘されているという現実があります。そして、この動きは米国国内に留まりません。世界の母親たちと連携し、今年の5月にはオーストラリア、台湾、中国も含む母親たちが参加し、世界中の母親たち(Moms Across the World)として遺伝子組み換え問題について語り合うイベントが開催されています。
急増している病気は広範囲に及び、腸の病気、アレルギー、自己免疫疾患、自閉症、アルツハイマー症などの疾患、うつ病、不妊、出生異常、糖尿病、栄養失調、ガン、白血病、心臓病、喘息など呼吸器疾患など多岐にわたります。
「遺伝子組み換え作物は従来の遺伝子組み換えでない作物と実質的に同等であり、安全です」というのが遺伝子組み換え企業や政府の主張です。しかし、それならばなぜ、このような健康被害が急増しているのか。この問題に焦点を絞ったドキュメンタリーがあります。それが『遺伝子組み換えルーレット−私たちの生命のギャンブル(原題Genetic Roulette – The Gamble of Our Lives)』です。
この映画の中には遺伝子組み換えの健康問題に詳しい多数の専門家が登場します。医学者、獣医、遺伝子組み換え作物の承認に当たった政府機関の担当者、そうした人びとのインタビューから、いかに遺伝子組み換え食品が人体に危険をもたらしうるかが語られます。
字幕は本番ではプロフェッショナルなものが入ります
現在、もっとも遺伝子組み換えを食べさせられているのは豚や鶏などの家畜かもしれません。その家畜にも多くの病気が発生しています。それについても詳しくインタビューが行われます。そこで語られていることはこの遺伝子組み換え企業が説明してきたこととはまったく真逆の事態です。
こうした事態はあくまでも米国で起きていることであって、日本は関係ないでしょうか? 日本には遺伝子組み換え食品表示義務がありますが、その表示義務はひじょうに緩く、たとえば家畜の餌が遺伝子組み換えであったとしてもその肉や卵に遺伝子組み換えを使っているという表示は不要です。また加工食品の中で、遺伝子組み換え大豆やトウモロコシを使っていても、多くの場合には表示の必要がありません。
実際に日本に輸入される大豆やトウモロコシはほとんどが米国からの輸入であり、その大部分は遺伝子組み換えです。それはいずれ日本列島の住民の胃袋に消えるわけですから、そう考えると、私たちにとっても米国で起きていることがまったく対岸の火事では済まされないことになります。
このドキュメンタリーはこうした事実に警鐘を鳴らすだけでなく、いくつもの解決策を提示してくれています。遺伝子組み換えを一切食事から排除した時、その症状はどう変わったか。親たち、そして家畜と向き合う農家が証言します。さらに、こうした遺伝子組み換え農業をなくしていくことはできないのか、そうした疑問に対しても、実現可能な方法を提示しています。
このドキュメンタリーの監督を務めたのはジェフリー・スミス氏で米国で遺伝子組み換えに反対する論陣の先頭を長く担ってきています。そして、このドキュメンタリーにはこの間、遺伝子組み換え問題に影響を与えてきた人びとがオールスターで登場しています。単なるスローガンが並んでいるのではなく、具体的に遺伝子組み換えがどんな問題を引き起こしうるのか、客観的な観点を提供してくれています。
2012年に公開された後、このドキュメンタリーは大きな反響をよび、米国では多くの上映会が開かれ、遺伝子組み換え食品表示義務を求める運動や、遺伝子組み換えをやめることを求める運動を大きなものにしました。その変化はもはや米国での反遺伝子組み換え運動はティッピング・ポイントを超したと言われるほどのものとなっています。ティッピング・ポイントとは量的変化が質的変化に変わるポイントで、米国では確実な変革の段階に入ったということです。
一方、日本ではどうでしょうか? 実は日本では遺伝子組み換えが引き起こすさまざまな問題をマスコミがほとんど報道していません。米国では50万人以上が反対の声をあげ、2年以上承認されたなかった枯れ葉剤耐性遺伝子組み換えも、日本では2012年に何の報道もないまま日本政府が承認してしまっています。世界有数の遺伝子組み換え作物輸入国であるにも関わらず、世界で飛び交っている遺伝子組み換えやその農薬が持つ被害については、日本ではほとんど知られていないのが現実です。
こうした現実に対して、日本の中でこうした情報が日本語でわかるようにしていく必要があります。オルター・トレード・ジャパン(ATJ)ではアジア太平洋資料センター(PARC)とともにこのドキュメンタリー『遺伝子組み換えルーレット−私たちの生命のギャンブル(原題Genetic Roulette – The Gamble of Our Lives)』日本語版DVDを作成するプロジェクトを7月20日から開始いたしました。
ただ単にDVDを作るだけでなく、学習会の企画や関連する情報の発信も考えていきたいと考えております。ぜひ、このドキュメンタリー日本語版をいっしょに作っていきたいと思います。
10月初旬完成をめざして、クラウドファンディングによる資金集めと翻訳ボランティアを募っています。
クラウドファンディング
少額寄付でのオンライン寄付で資金協力いただける方は下のボタンでMotionGalleryからの寄付をご検討ください。可能な金額をお選びいただけます。
[button link=”https://motion-gallery.net/projects/parc201507″ newwindow=”yes”] 遺伝子組み換えルーレット日本語版製作プロジェクトを支援する[/button]
翻訳ボランティア
このドキュメンタリーの翻訳を手伝っていただける方を募集します。翻訳は編集の上、最終的に専門家のチェックを通しますので、プロフェッショナルな翻訳ができなくても、意味がわかる状態に訳していただければ十分です。翻訳の期間は8月末日までに仕上げることを目標にしております。4ページ以上を翻訳していただいた方には完成品DVD一部を贈呈いたします。
おかげさまで全文の翻訳をボランティアの方に分担していただきました。翻訳のピンチヒッター、あるいは編集でご協力いただける方をさらに募集いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
翻訳ボランティアあるいはプロジェクトへのメッセージは以下のフォームからご送信ください。
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