カネシゲファーム・ルーラルキャンパス(KF-RC)の挑戦~民衆交易バランゴンバナナの生産者に~fromフィリピン・ネグロス島
ネグロス島では、1980年代の砂糖危機注1、その後の土地闘争を経て、多くの小規模個人農家やサトウキビ生産者協同組合が生まれました。彼・彼女たちの「農民自身が農法や技術に関する学びや経験を共有し合う場所、後継者となる若者を育てるための場所が必要だ!」という強い思いが形となったのが、2009年7月に開校したカネシゲファーム・ルーラルキャンパス(KF-RC)です。 開校から16年を迎えたKF-RCでは、6人のスタッフが、養豚と野菜・果樹の生産を中心とした循環型農業を実践しながら、バランゴンバナナやサトウキビの産地などから地域の農業の担い手となる若者たちを研修生として受け入れています。2025年12月現在、11期生として4人が住み込みで研修中です。

民衆交易の生産者として
これまでバナナに関しては地元で販売するラカタンやサバ(調理用)といった種類を中心に栽培していましたが、事務局長のエムエムさんが2024年に来日したことをきっかけにして本格的にバランゴンバナナの栽培を開始しました。エムエムさん、日本で生協の組合員の皆さんと交流できたことで「今までは、日本の皆さんからネグロスの若者たちの学びの機会を『支援してもらう』という関係性だったけれど、自分たちも民衆交易の生産者に仲間入りして、日本の消費者の皆さんにバナナを届けられるようになりたい」と強く感じたとのこと。もちろん根底には、バランゴンバナナの生産と出荷によって、農場運営注2の安定化につなげたいという思いもありますが、長年にわたって自分たちの活動をサポートしてきてくれた方たちにバナナを届ける生産者になることでそれが実現できたら最高!というわけです。

そうして、帰国後に議論を重ね、オルタートレード・フィリピン社(ATPI)の協力も得て、約2000株のバランゴンバナナを植え付けました。バナナの栽培管理は、第8期研修の卒業生であり、卒業後はスタッフとして経験を積んできたドロイさんが中心となり、農場長のカルロスさんが補佐を務めています。2025年5月末に初めて収穫、その後も順調に出荷ができるようになり、10月までに約4000キロのバランゴンバナナをATPIに販売しました。また、ATPIと協力して生育実験なども実施してきており、将来的には、ネグロス島のバランゴンバナナ生産者がKF -RCに集い、栽培技術向上のための学び合いの場となっていくことも期待されます。

台風ティノによる被害
そんな矢先の2025年11月初旬、超大型の台風25号(フィリピン名:ティノ)がフィリピン中部を直撃・横断しました。その影響で、ネグロス島全域で、鉄砲水、川の増水や強風による被害が相次ぎました。
幸いにも民衆交易の関係者に人的被害はありませんでしたが、家屋や家畜の被害、またバナナを含む作物への甚大な被害が出ました。
KF-RCでも、前述のバランゴンバナナ2,000株がほぼ全滅状態となってしまいました。バナナの茎が強風によってポキリと折れたり、根っこから倒れてしまったりするなど、去年からの努力が水の泡に……。

バランゴンバナナが復活して再び収穫ができるようになるまでには、少なくとも半年以上かかりますが、「自分たちに落ち込んでいる暇はありません」とエムエムさん。台風被害の後片付けやネグロス各地にいる卒業生の台風被害の聞き取りや支援準備を進めながら、12月に入ってからは、近隣の農業高校の短期研修プログラムを担当し、若者たちに養豚の技術や循環型農業の魅力を伝えるなど、精力的に動き回っています。
KF-RCのバランゴンバナナが復活して、皆さんの食卓に届くのを待ち望みながら、彼らの奮闘を応援いただけたらうれしいです。
野川未央(のがわ・みお/APLA)
注1:ネグロス島は、スペインによる植民地化以来、砂糖が基幹産業となる経済構造が150年以上も続き、島全体が砂糖産業に支えられてきました。1980年代前半、砂糖の国際価格が暴落し、ネグロス島では深刻な飢餓が発生。サトウキビ生産の休止により仕事を失った農園労働者は食料が買えなくなり、15万人以上の子どもたちが飢えに苦しみました。
注2:KF-RCは、農場部門(KF)と農民学校部門(RC)から成っています。後者の研修や交流プログラムはAPLAが全面的に支援をして実施していますが、農場部門は、養豚や野菜・果物の売上によって近年は自立した運営ができるようになりました。
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※このレポートはPtoPニュース72号の特集からの転載です。
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