【バナナニュース298号】バランゴンパートナーフォーラム

2020年2月7日

2019年10月4日、フィリピン・ネグロス島バコロド市にて、バランゴン・パートナーフォーラムが開催されました。

参加者は、ネグロス島、ミンダナオ島、パナイ島、ボホール島、ルソン島の5つの島からバランゴンの出荷の責任を担う団体、韓国からもバランゴンを輸入している生協の代表等、そして日本からATJと、総勢23名が一堂に会し、バランゴンの取り組みについて話し合いました。

 

日本と韓国からは、バランゴンを含むバナナ全般の国内消費動向の説明、各出荷団体からはそれぞれの出荷量推移や産地での取り組み、抱えている課題等が報告されました。多くの団体で苗の確保や病害管理、栽培技術に課題があることを受け、ミンダナオ島マキララのドンボスコ財団からは、自分たちが実践している苗の増産技術の研究について共有されました。また、資金確保という共通の課題や、自然災害等で被害に遭った場合に備え、災害基金を積み立てる仕組みづくり等について、情報交換を継続して行っていくことが確認されました。

 


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【バナナニュース297号】ミンダナオ島コタバト州マキララ町での地震被害

2019年12月17日

2019年10月、ミンダナオ島コタバト州でマグニチュード6規模の地震が相次いで発生し、バランゴンバナナの産地もあるコタバト州マキララ町でも大きな被害が出ました。バランゴンの出荷団体であるドンボスコ財団のスタッフや生産者の命は無事でしたが、生産者の中には崩れてきた建物によって怪我をした人もおり、多くのスタッフや生産者は住む家を失っています。また、ドンボスコ財団の事務所や宿泊棟、研修施設などは全壊し、それらが位置していた敷地は、断層との関係で今後建物の建設が認められない地域に指定されました。

被災したドンボスコ財団食堂棟

ドンボスコ財団は自身も被災者でありながら、地震発生翌日から近隣住民や、より被害の大きかった隣村へ緊急救援物資(飲料水、食料、毛布、テントなど)の配布などを実施しました。家屋が全壊し、今後の居住が禁止された集落の住民には家を建設するためにドンボスコ財団の土地を提供しています。また、復興に向けて水を引くためのホースや、仮設住宅用の便器や住宅建設に必要な資材の提供も行っています。

テントで避難生活を続けながら出荷作業を再開

マキララでは、今年8月にバランゴンへの竜巻被害もあり、ようやくその被害から回復してきていたところでした。そうしたなかで、ドンボスコ財団では、今後の復興への足掛かりとして、被災3週目からバランゴンバナナの出荷を再開しています。皆さんもぜひ応援してください。

バナナは竜巻被害から順調に回復してきています。

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【バナナニュース296号】バランゴンバナナが日本に届くまで

2019年11月7日

1989年フィリピン・ネグロス島から始まったバランゴンバナナの交易は、現在5つの島(ネグロス島・ルソン島・パナイ島・ボホール島・ミンダナオ島)に広がり、約3,000人の生産者がバナナを届けてくれています。

①収穫
バナナは多年草で、1本の株が実をつけるのは一度だけ。次は株の根元から出てくる脇芽が成長して実をつけます。収穫はバナナの茎を切り倒して行います。

バランゴンバナナの収穫

収穫したバナナの房分け

集荷所までの山道をバナナを担ぎながら運ぶ様子

②集荷
収穫したバナナは畑や集荷所で房ごとに切り分けて、傷まないようにコンテナに入れるなどしてパッキングセンターまで運ばれます。

集荷所

③洗浄/箱詰め
パッキングセンターでは、バナナを水でていねいに洗浄して、汚れなどを洗い落とします。そして、熟度、傷、サイズなどをチェックしてから箱詰めします。

④日本へ運搬
各産地から冷蔵コンテナ船や空輸でマニラやダバオの国際港に運ばれたバナナは、最終検品を経て、国際冷蔵コンテナ船に積み替えられ日本に向けて出港します。

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【バナナニュース295号】相次ぐ天候被害

2019年10月7日

今年は天候被害が続いており、収穫量の低迷が続いています。8~9月の2か月間の収穫量は、同時期としては過去10年で2番目の少なさでした。前々回のニュースで、ネグロス島の様子をお伝えしましたが、その後も台風9号による強風被害が発生しました。ミンダナオ島でも竜巻被害が発生しています。バナナは風に弱い植物で、強い風が吹くと葉が切れぎれになり光合成が阻害されます。その場合、親株に実るバナナは生育不良になりやすく、次の世代(脇芽)が親株に成長するのを待つことになります。

東ネグロスのマンティケル村

東ネグロスのマンティケル村(ダニーさん)
「1月から6月の長い干ばつと7月の台風の影響で収穫量が減少しています。雨が降らない時期がここまで長く続くとは思っておらず、収穫量が半減することも予測できませんでした。雨が降り出したので、7月には回復すればと思っていた矢先の台風被害でした。」「バランゴンの栽培をやめるつもりはありません。私達の村まで定期的にバランゴンを買付けに来てくれるのはオルタートレードだけです*。また他に売るよりもいい値段で買い取ってくれます。」「回復が始まるのは10月以降の収穫(11月以降の販売分)になりそうです。」

*マンティケル村は町から離れた山奥にあり、日用品を町に買いに出るために舗装されていないガタゴト道を片道3時間ほど乗合バイクで下っていかなければならないような地域です。『PtoP News』でマンティケル村のバランゴンの様子を特集しています。

セルジオ・ベルガーラさん

東ネグロスのタンハイ市
◆収量減少の要因について
乾季(12~5月)に雨が降らずに干ばつに苦しんだものの、雨季に入った後にここまで収量が減少するとは思っていませんでした。6月にようやく雨が降り出して、これから収量が回復すると思っていました。しかし7月に2つの台風が強風をもたらしました。長い干ばつからの回復段階にあった私達のバランゴンはまだ弱く、強い風に耐えられずに途中で折れてしまいました。

◆生活について
セルジオさん「干ばつや台風の被害がなかった頃は、バランゴンから毎月1,600ペソ(約3,200円)の収量がありましたが、現在は200ペソ(約400円)にまで減少しています」

ベネランドさん「バランゴンからの収入は1ヶ月あたり800ペソ(約1,600円)減少しました。日用品の購入に充てていたお金でした」

ベネランド・ローマーさん

◆現在の心境
「バランゴン栽培への意欲は失っていません。他の作物に転換する予定もありません。天候被害も私達の生活の一部です。自然には逆らえません。良い価格で定期的に買ってもらえ、また栽培に大きな手間がかからないのがバランゴンの魅力です。バランゴンの栽培は今後も続けていきたいです」(セルジオさん・ベネランドさん)

 

 

ミンダナオ島のツピ町

ジュバート・バディさん

ジュバート・バディさん
◆収量状況
2018年12月に2度、竜巻被害にあい、820株が被害にあいました。3~4月の収穫を見込んでいた株でした。竜巻被害をうけて、6月までしばらく畑の世話に割く時間を減らしました。そのため、収量がゼロだったり、非常に少ない量に留まっています。

◆今後の収量
今後天候被害がなければ、12月の収量が多くなりそうです(※1月販売分)。

◆生計に与える影響
他の収入源があるので、そこまで大きな影響はありませんが、心情としては、とてもがっかりしています。

◆現在の心境
やる気は失ってはいませんが、しばらくがっかりしていたので、畑の世話をしませんでした。バランゴンは、安定して買い取ってもらえるし、協同組合のサポートが受けられることが魅力です。違う作物に転換することは考えていません。安定して買い取ってもらえる保証がなく、リスクが大きいからです。

フランシスコ・ハトゥランさん

フランシスコ・ハトゥランさん
昨年新規に作付けした分の最初の収穫は終わりましたが、次の世代の生育が今年の乾季(1~5月)のエルニーニョの影響で遅れています。回復は11~12月の見込みです(※12~1月販売分)。

収入が減少しているので、子どもの小遣い(学校への交通費やおやつ代)を減らしています。ただ、現在はむしろやる気が出てきており、一生懸命バランゴンを世話していこうと思っています。協同組合のサポートがあるし、安定的に買い取ってもらえるのが何よりの魅力です。私がやることは、目の前で育っているバランゴンの世話をすることです。

ミンダナオ島のレイクセブラムラハック村
レイクセブのラムラハック村の一部の畑で、9月13日に竜巻被害がありました。特に3人の生産者の畑で大きな被害がありました。(被害前は、その畑からの出荷量はレイクセブ全体の5%ほどありました)。

回復の時期には地域差がありますが、需要を上回るようになるのは、1月あたりの販売分からになる見込みです。

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ビデオ『バランゴンとバナナ村の人々』 from フィリピン・ネグロス(PtoP NEWS vol.34/2019.10より)

2019年9月30日

60kg以上もあるバナナを天秤棒で担いで運ぶ生産者

フィリピン・ネグロスのバナナは、どんな人びとの手を通して食卓まで届くのか。その全行程を収録したのが『バランゴンとバナナ村の人々』というビデオです。舞台は1990年代初頭、バナナの主産地であったラグランハ地区、ネグロス島中央部にそびえたつカンラオン山の中腹に広がる通称「バナナ村」です。

 

夜通しバナナを洗うパッカーた

60kg以上もあるバナナを天秤棒で担いで、山を越え、川を渡って集積所まで運ぶ生産者たち。着いたバナナを夜通し水洗いをし、乾燥させて箱詰めをするパッカーたち。人から人へ、手から手へ渡されるバナナ。何と1回の出荷に600家族が関わっていたそうです。まさしく人海戦術です。

 

 

人から人へ、手から手へ

バナナは温度管理が難しい果物です。プランテーションでは収穫してから24時間以内に冷蔵して、そのまま日本まで運んでいます。道路もない山中から、それが可能なのだろうか。バナナ業者からは「素人にバナナの輸入ができる訳がない」「無謀だ」と揶揄されたそうです。しかし、手探りの状態で試行錯誤を繰り返しながら、バナナを日本に届ける仕組みを整えることが出来たのです。それを実現させたバランゴン交易にかける人びとの熱い思いが映像から伝わってきます。

 

『バランゴンとバナナ村の人々』(1992年制作、26分)

 

ATJは過去30年間に民衆交易事業や商品に関するさまざまな動画やブックレットなどを制作してきました。創立30周年を機にウェブサイトでも見られるようにしていきます。
乞うご期待!

【バナナニュース294号】野菜の宅配事業「the BOX」

2019年9月6日
★バナナニュース295号のQRコードからアクセスしていただいた皆さまへ★

【お詫び】
バランゴンバナナお届けの際に同梱されている「バナナニュース295号」に記載されたQRコードが、294号のページが表示されてしまうQRコードとなっておりました。
ご迷惑をおかけし、大変申し訳ございません。お詫び申し上げます。
295号はこちらから閲覧をお願いいたします。

the BOX事業のスタッフたち

バランゴンバナナの輸出を担うオルタートレード・フィリピン社(ATPI)は、バナナの輸出以外にマスコバド糖という黒砂糖の製造と輸出、そして野菜などの宅配事業を実施しています。

小分けされた野菜たち

The BOX(ザ・ボックス)と呼ばれる野菜の宅配事業は、ネグロス島内のバランゴンバナナ産地(西ネグロスのパタグやパンダノン、カンラオンなど)やカネシゲファームで生産された野菜や果物などを、バコロド市内の消費者に届けるシステムです。

2019年7月現在のBOXの登録消費者数は235人で、定期的な注文をしているのは60-70人程度です。BOXは注文書が届けられ、好きな野菜や果物を注文する形です。毎週新しい注文書が印刷され、水曜日に注文書を回収、木曜に集約しながら袋分けし、金曜日に配達します。個人宅の他、職場への配達もあります。

 

生産者から野菜を買い取る時の様子

野菜の買い取りは、注文書の締切日と同じ水曜日に実施されます。残った分は会社に併設された小さな店舗で販売したり、週末の屋外マーケットで販売したりしますが、受注予測を誤って発注数量が多すぎると、ロスが出てしまいます。また、野菜の買取時には生産者から翌週の出荷予測をもらいますが、翌週になったら予測通りに野菜が揃わないということもあります。その他、野菜の種類が少ない、出荷される野菜が消費者の需要とうまくマッチしていないこと、品質に関するクレームが多いことが相変わらず課題です。

現在the BOX用の野菜の生産者は60人。最も売上高が大きいのは鶏肉、次にサツマイモや卵、パパイヤなどが続きます。

私立学校などで保護者向けに講師を招いてのセミナーを開催して食に対する意識を高めてもらい、BOXの登録者を増やす努力をしていますが、2019年はまだセミナーを開催できていません。事業的にはまだ採算が合わない状況ですが、「ほんものの食べもの運動」を進めるATPIとしては、引き続き課題の解決に取り組んでいます。

 


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【バナナニュース293号】干ばつに台風、バナナへの被害が続いています

2019年8月21日
雨の降り始めを期待して植えたものの、立ち枯れてしまったバナナ

雨の降り始めを期待して植えたものの、立ち枯れてしまったバナナ

数ヶ月前のバナナニュースでは、西ネグロスのカンラオン市で雨が降り始めたということをお伝えしました。

ところが、同じネグロス島の中でも、東ネグロスの産地ではその後もなかなか雨が降らずに、深刻な干ばつに見舞われていました。

干ばつの影響でバナナは成育せず、実のなりも悪い状態でした。

実がなっても出荷基準のサイズに満たないまま熟し始めてしまうものもあります。

 

 

 

実の重みに耐えきれずに折れたバナナ

実の重みに耐えきれずに折れたバナナ

そのような中、6月に入って一部地域で雨が降り始めたものの、今度は別の問題が起きています。

干ばつの影響で弱った幹が雨に耐えられず、重たい実をつけたまま折れてしまったり、倒れてしまう株が続出したのです。

 

 

 

 

 

 

台風5号の影響で倒れてしまった株

台風5号の影響で倒れてしまった株

さらに7月中旬には追い打ちをかけるように台風5号がフィリピン付近を通過しました。

ネグロス島には上陸しなかったものの、東ネグロスでは強風が吹いて株が倒れたり、葉が細かく切れてしまったりする影響が出ています。

 

 

 

 

 

 

バナナの出荷が少ないと仕事も少なくなるため、箱詰め担当者たちも出荷量が増えることを待ち望んでいます。

バナナの出荷が少ないと仕事も少なくなるため、箱詰め担当者たちも出荷量が増えることを待ち望んでいます。

東ネグロスで再びたくさん収穫できるようになるのは、10月以降の予定です。

収穫から日本でのお届けまでには約1ヶ月かかりますので、みなさんへのお届けは11月頃になる予定です。

この時期は国産の果物も多くあり、日本での需要が落ちる時期でもありますが、度重なる天候被害からようやく回復してきたバナナを、ぜひたくさん食べてください!

 

 

 

 

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【バナナニュース291号】エシカルバナナ・キャンペーン〜あなたのバナナはいいバナナ?〜

2019年7月4日

スーパーでは実にさまざまなブランド名のバナナが販売されています。選ぶポイントとして、価格、見た目、安全性などがあると思われますが、そのバナナは誰が、どう栽培しているのか知って買っている人は多くはないのではないでしょうか。

日本で流通しているバナナの8割以上を供給しているフィリピン、ミンダナオ島の大規模プランテーションでは、農薬による健康被害や環境汚染、大企業と生産者間の不公正な栽培契約などが問題視されています。

 事例① 

 IDEALS(フィリピンの人権NGO)制作

 “Destiny of Debt” 「債務の運命-フィリピン・バナナ農家らの苦悩」

 (6分5秒、日本語字幕付)

 

バナナ農家の多くは日本向けにバナナを生産する契約を結んでいます。しかし、その契約内容は時に生活もままならないほど。作れども作れども借金が返せない農家、5年間しか契約しなかったつもりが25年間バナナを作り続けなければならなくなった農家―。バナナ農家の苦難の声は決して少なくありません。

 

 

 

 事例② 

 IDIS(フィリピンの環境NGO)制作 

 ”Poison Rain” 「毒の雨」

 (11分39秒、日本語字幕付)

 

プランテーションで育てられるバナナはとりわけ病気・害虫・カビに弱い作物。様々な外敵からバナナを守るために多様な農薬が大量に投入されます。「効率よく」その散布をするために用いられる手段は飛行機による空中散布。プランテーションの上空から多種類の農薬が振りまかれます。空高くから散布された「農薬カクテル」は風に乗って周辺の家屋やプランテーションで働く労働者に浴びせられることも。それはまさに「毒の雨」―。高地の栽培では先住民族への影響も無視できません。

 

そうした産地の実態を多くの人に知ってもらい、大企業に改善を求める動きを作っていきたい。そうした思いから、昨年「エシカルバナナ・キャンペーン」を立ち上げました。オルター・トレード・ジャパンも実行委員会メンバーです。最終的には日本に輸入されるすべてのバナナが「エシカル(倫理的)なバナナ」-持続可能な農法で作られ地球にやさしく、サプライチェーン上で働くすべての人の人権が守られているバナナ-になることをめざしています。2019年度はバナナの残留農薬や大手小売会社の調達方針を調査、公開する活動を予定しています。

エシカルバナナ・キャンペーンの公式ウェブサイトやSNSアカウントでは、エシカル(orエシカルでない)バナナに関する情報、キャンペーンの活動報告やイベント案内などを随時アップしています。ウェブサイトからキャンペーン個人賛同(メールニュースが届きます)も出来ます。キャンペーンにぜひご注目ください!

キャンペーン公式サイト

キャンペーン公式Facebook

 

 

DVD

アジア太平洋資料センター(PARC)制作、ATJ編集協力)

『甘いバナナの苦い現実』(2018年)

 

 

フィリピンバナナとその最大消費国である日本との関係性、私たちの日常の食の在り方を問い直すドキュメンタリーです。

ビデオは3部構成となっています。第2部ではフィリピンの農民と日本の消費者が提携して持続的な地域作りをめざす取り組みとしてバランゴンバナナの民衆交易が紹介されています。

 

第1部「農薬の空中散布と健康被害」(30 分)

第2部「公正で持続可能な生産を求める農民・先住民」(28分)

第3部「どう変える?私たちの食と農業、消費あり方」(17分)

 

ぜひ、ご覧ください。

予告編はこちらから。

 

 

 

 

【バナナニュース290号】ネグロス島・カンラオン市プラ村のマルコス・アビラさん

2019年6月4日

生産者グループの代表、マルコス・アビラさん

カンラオン市プラ村在住のバランゴン生産者、マルコス・アビラさんは、2009年からバランゴンバナナの出荷をしていて、現在はカンラオン市のバランゴン生産者グループの代表を務めています。

カンラオン市は、ネグロス島で一番高いカンラオン火山(2,465m)の中腹に位置していて、島内で流通している高原野菜の産地としても有名です。全部で62人いるカンラオン市のバランゴン生産者の中には、自家消費用の野菜は植えていても、一般市場に出荷する野菜を生産している人はあまりいません。「一般市場は価格が不安定で、せっかく作った野菜を販売しても元手が取れないこともあるため、一定の価格で買ってもらえるバランゴンが安心だ」と皆口々に言います。

ただ、バナナ栽培にとって水は不可欠。今年はエルニーニョの影響で、なかなか乾季から雨季に移らず、生産者たちはみんな気を揉んでいました。4月になって何日か雨が降り、5月からはまとまって降り始め、バナナの収穫量も増えて一安心です。

マルコスさんの圃場では、バランゴンの間にコーヒーやカカオ、桑や果樹などが植わっています。バランゴンバナナの安定した収入に魅かれて、バランゴン栽培を始めたいという近所の仲間に、近いうちに苗を譲る予定です。

 

 

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【バナナニュース289号】フィリピン・ミンダナオ島ツピ町から生産者が来日しました②

2019年5月31日
エンピグさん(左)と、同行したATPIスタッフのアーウィンさん

エンピグさん(左)と、同行したATPIスタッフのアーウィンさん

去る3月に来日した、ミンダナオ島ツピ町のバランゴンバナナ生産者であり生産者協同組合の事務局長でもあるエンピグさんの報告第二弾です。

 
日本の納品先の担当者が集まる会議に参加した際、ツピで行なわれた作付け拡大の結果を報告してもらいました。作付け拡大には2つの目的がありました。

一つは、2016年に大干ばつに見舞われ減少したツピの出荷数を立て直すこと、もう一つは、日本でバナナの注文が増える時期である一方でフィリピンでは天候的にバランゴンの収量が伸び悩む時期である4~6月に収穫量を増やすことでした。

 
結果は計画通りには行きませんでした。植えつけた苗の半分近くが病気などの原因でうまく育ちませんでした。

また苗の準備が遅れたことや、4~6月にめがけて収穫するためには苗が育ちにくい乾季に植える必要がありますが、それを敬遠する生産者がいたことから、結果的に昨年4~6月に収量を伸ばすことはできませんでした。

 
健康な苗をどう確保するか、病害虫対策含めて生産性をどう上げていくか等が今後の課題として挙げられました。

日本でバナナの注文が伸びる4~6月にバナナを多く出荷することにも引き続きチャレンジしていきたい、とのことでした。

 
「ツピでは、キリスト教徒、イスラム教徒、先住民族が、皆で協同してバランゴンを出荷しています。バランゴンは組合のメンバー間に平和と団結をもたらしてくれています。

日本の皆さんの継続的な購入に感謝しています。日本で見聞きしたことはツピに戻って仲間に伝えます」と語ってくれました。

 

読者アンケート

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【バナナニュース288号】フィリピン・ミンダナオ島ツピ町から生産者が来日しました①

2019年5月31日
「日本の大根は太いね」と驚くエンピグさん

「日本の大根は太いね」と驚くエンピグさん

 去る3月にミンダナオ島ツピ町からバランゴンバナナ生産者のエンピグさんが来日しました。エンピグさんは、ツピ町にあるバランゴンバナナ生産者組合の事務局長も務めています。

 生産者としてバランゴンを2005年から出荷しており、現在62歳。「この年になって有機栽培の大切さを感じる。農薬や化学肥料を使った農業は健康にも環境にも害を与えるから」と言います。

 海外に出るのは初めてで、電車に乗るのも、シャワートイレに座るのも、羽根つき遊びも初めてのエンピグさん。日本の印象を聞くと、「会議が時間どおりに始まることが新鮮」(フィリピンでは会議の開始時刻に人が集まりだす)、「日本人は勤勉と聞いていたけど、実際にそうだった」、バナナの選別・パック詰め作業所では、てきぱき動くスタッフの皆さんに「結構お年を召されているのに、動きはフィリピンの若い人よりも格段に早い」と女性陣には微妙な賛辞を贈っていました。

 配送トラックにも同乗させてもらい、スピーディーなスタッフを見失い、迷子になりかけながらも、自分で育てたバランゴンをおみやげに配りました。

 配送スタッフと組合員が良いコミュニケーションをとっていたことが印象的だったそうで、顔の見える関係のつながりを通してバナナが届けられる一端を体感することができました。(次号につづく)

配送トラックに同乗。

お店にバランゴンを買いに来た小さなお子さんには目じりを下げながら写真にパチり。

羽根つき。老眼でたびたび羽根を見失う元テニスプレーヤーのエンピグ。

 

読者アンケート

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【バナナニュース287号】西ネグロス州パンダノン村マイケルさん ⑥ ~ 若者たちにこの地域で活躍をしてもらいたい ~

2019年5月31日

前回に続き、APLA(ATJ関連団体)が運営をサポートしている研修農場を卒業した、バランゴンバナナ生産者マイケルさんのお父さんのお話をご紹介します。

マイケルさん親子

マイケルさん親子

「これからの農業を考え、息子のマイケルをカネシゲファーム・ルーラルキャンパス(研修農場:KF-RC)に送りました。彼が小さいときに私は病気をし、思うように働くことができませんでした。マイケルを学校に行かせることができずに畑で働いてもらい、他の兄弟を学校に送るために街に働きにも行ってもらいました。彼には本当に申し訳ないことをしたと思っています。やがて私も回復して働けるようになり、『また学校に通いだすか』と彼に聞きましたが、周りの小学生と比べて自分だけ大きいなかで学校に通うということを嫌がり、そのまま働き続けました。今では息子は農業が好きで、農家であることを喜んでいます。私はそんな彼を誇りに思います。
KF-RCに送り出すときに、『お前は周りと比べて、農民である時間が長い。KF-RCに研修をしに行くが、自分が何か教えられることがあればそれは伝えてくること。自分が何のために研修をしにいくのか常に考えながら過ごしてくること』と彼に伝え、送り出しました。
研修から息子が帰ってきて、まず驚いたことは彼が作るラスワ(フィリピンの家庭料理のスープ)の味が以前と違ったことです。私はこのとき初めてオーガニックの良さを舌でも理解しました。息子は以前よりもさらによく働き、家族のサポートをしてくれています。本当に自慢の息子です。」

インタビューまとめ NPO法人APLA スタッフ 寺田俊

 

APLAの活動の詳細はこちらから

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【バナナニュース286号】西ネグロス州パンダノン村マイケルさん ⑤ ~ なぜ持続的な農業をしているのか ~

2019年4月24日

若手農民の研修農場を卒業したバランゴンバナナ生産者のマイケルさんを、ATJの関連団体で研修農場の運営をサポートするAPLAのスタッフが連載で紹介しています。

 

APLAは定期的に地域訪問をして、生産者や地域の人びととじっくり対話し、家族の思いや今後の取り組みについて共有していきながら、寄り添いサポートしていくことを大切しています。そこでスタッフが感動・印象に残ったマイケルさんのお父さんのお話をご紹介します。

対話の様子(右が父のアレックスさん)

 

「ここの土地は先祖から受け継いできた土地。私も次の世代に継いでいかなくてはいけません。そのために、私なりに工夫をして耕し、土地をより良くしてきました。農業セミナーなどの研修にも参加しました。しかし、その多くが高度な技術のもので、実践することは難しく、この地には適していないように感じました。その後、有機農業に出会ったのです。」

 

「これこそが持続的なものだと思いました。化学的な肥料や農薬を使えば、もちろん一時的には生産量が増えて、収入は良くなるかもしれませんが、いつかはダメになってしまうかもしれない。“一時的”は、子どもたちやこれからの農業を担う世代のことを思えば、結果的に自分たちが損をすることにつながります」

 

以来、持続可能な農業を続け、その大切さを息子のマイケルさんをはじめ、地域の農民仲間に伝えながら、バランゴンバナナの生産もしています。

 
NPO法人APLA スタッフ 寺田俊

 

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【バナナニュース285号】西ネグロス州パンダノン村マイケルさん ④  ~東ティモールの若者の刺激にもなりました~

2019年2月19日

 

若手農民の研修農場を卒業したバランゴンバナナ生産者のマイケルさんを、ATJの関連団体で研修農場の運営をサポートするAPLAのスタッフが連載で紹介しています。

 

3カ国交流プログラム(注)で東ティモールを訪問し、さらにコーヒー栽培への意欲をかきたてられたマイケルさんですが、彼も東ティモールの農民にもたくさんの刺激を与えました。印象的な一場面をご紹介します。

 

交流の休憩中、何気なく池の周りでおしゃべりをしていた時、ふとしたことからマイケルさんの話を聞くことになりました。彼は、家庭の事情で小学校を中退しています。行きたかった学校に行くことができず、長男として他の兄弟を学校に送るために、辛い中で農業を続けてきたことや、その中で楽しさも見つけ、今は農業にやり甲斐を感じていることを話してくれました。その場には同じく小学校を中退してしまった東ティモールの青年がいました。マイケルさんの話は、青年を勇気づけ、さらに東ティモールの地域の人たちにも刺激を与えたのでした。

 

その後、「マイケルは学校へ行けなかったのに、あれだけの循環型農業で家計を支えている。なぜ自分たちはできていないのか」という議論が夜中まで続いたそうです。学歴ではなく、やる気や自分がしていることをどれほど誇りに思っているかが大切ということを、彼はその振る舞いや農業に対する姿勢から私たちに教えてくれています。

 

 

NPO法人APLA スタッフ 寺田俊

 

(注)フィリピン-東ティモール-ラオス3カ国交流プログラム
2016年10月から2017年9月にかけてAPLAが企画した3か所の民衆交易産地(フィリピン・ネグロス島=マスコバド糖+バランゴンバナナ、東ティモール=コーヒー、ラオス=コーヒー)の若手農民の交流プログラム。民衆交易を通じた暮らしの改善、単一作物栽培への依存から脱却するための作物多様化の取り組みや技術をお互いに学びました。

【報告】東ティモールでの交流プログラム

【動画】学び合いが生み出す農家の未来

 

APLAの活動の詳細はこちらから

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【バナナニュース284号】西ネグロス州パンダノン村マイケルさん ③ ~柔軟な行動力がマイケルさんの魅力です~

2019年2月14日

若手農民の研修農場を卒業したバランゴンバナナ生産者のマイケルさんを、ATJの関連団体で研修農場を軸に地域創り活動をしているAPLAのスタッフが連載で紹介しています。

 

マイケルさんが「最近バナナとコーヒーの混作を始めたよ」と教えてくれました。そのきっかけは、APLAが企画した、フィリピン-東ティモール-ラオスの3カ国交流プログラム(注)に参加したこと。フィリピンから4名の若手農民が参加し、マイケルさんもその一人として東ティモールを訪問しました。そこでのコーヒー栽培の技術に刺激され、今まで片手間でやっていたコーヒー栽培を今後はもっと頑張ろうと思ったそうです。

 

ここパンダノン村も山間部に位置しているため、コーヒーを栽培している農家がたくさんいます。コーヒーの木にはシェイドツリーといって、木を直射日光から守るための影をつくる植物が必要で、背の高い木を周りに植えることが一般的なのですが、実の成るバナナをシェイドツリーとすることで、そこからも収入を得て、多様化をしていこうと学んだのでした。

 

学んだことをすぐに自分ができる範囲で実践する行動力や柔軟性がマイケルさんの魅力でもあり、同世代の若者農民に影響を与えています。それはフィリピンの若者だけではありません。東ティモールから刺激をもらった彼ですが、東ティモールの農民にも刺激を与えました。それはまた次回に。

 

NPO法人APLA スタッフ 寺田俊

(注)フィリピン-東ティモール-ラオス3カ国交流プログラム
2016年10月から2017年9月にかけてAPLAが企画した3か所の民衆交易産地(フィリピン・ネグロス島=マスコバド糖+バランゴンバナナ、東ティモール=コーヒー、ラオス=コーヒー)の若手農民の交流プログラム。民衆交易を通じた暮らしの改善、単一作物栽培への依存から脱却するための作物多様化の取り組みや技術をお互いに学びました。

【報告】東ティモールでの交流プログラム

【動画】学び合いが生み出す農家の未来

 

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【バナナニュース283号】西ネグロス州パンダノン村マイケルさん ② ~養殖した魚を食べない!?~

2018年12月13日
養殖池の周りで

養殖池の周りで

若手農民の研修農場を卒業したバランゴンバナナ生産者のマイケルさんを、ATJの関連団体で研修農場を軸に地域創り活動をしているAPLAのスタッフが連載で紹介しています。

ここはネグロス島パンダノン村。幹線道路から山に入り、車を停め、細い道を約1時間登っていきます。サトウキビ畑の光景の隙間に時々やってくる水田や山あいの風景に癒やされながらも、炎天下では体力が奪われていきます。

歩き疲れた頃、ようやくマイケルくんの家に到着すると、綺麗な花や様々な植物たちが私たちを迎えてくれました。木陰や養殖池の周りにはお手製ベンチがあり、つい毎回のんびり時間を過ごしてしまいます。

お昼を食べた午後に、この木陰のベンチでみんなと他愛もない話をするひとときは最高です。

養殖池にはたくさんの魚がいるのですが、料理として出てきたことがこれまで一度もありませんでした。「どうしてなの?」と質問をすると、「食べるのがもったいないから」とマイケルくん。食べる魚を養殖するために始めたのですが、だんだんと愛着が湧いてきて食べることができなくなってしまったとのことです。そんなおちゃめな一面もみんなから愛されている理由です。

両親がバランゴンバナナの生産者で、小さい時からバナナ生産の手伝いもしていました。最近は畑の一部を父親から譲ってもらい、自分のバランゴンバナナとして、約300株を植えたそうです。そこではバナナとコーヒーの混作をしているそう。その理由は次回♪
NPO法人APLA スタッフ 寺田俊

 

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【バナナニュース282号】西ネグロス州パンダノン村マイケルさん ① ~農業研修で学んだことを実践しています~

2018年12月7日
豚舎の前で

豚舎の前で

ATJの関連団体であるNPO法人APLAは、フィリピン・ネグロス島で若手農民の研修農場(カネシゲファーム・ルーラルキャンパス、KF-RC)の運営を支援しています。

その卒業生でバランゴン生産者のマイケルさんを今回からシリーズで紹介します。

 

西ネグロス州パンダノン村のマイケル・リアネスさん(28歳)。バランゴンバナナやマスコバド糖用サトウキビ生産者でありながら、米・野菜・果物・家畜なども育てる複合循環型有機農業を実践し、さらには養殖池や家造りなどもしてしまう、まさに百姓です。
マイケルさんは、カネシゲファーム・ルーラルキャンパスの研修生として、2013年に約半年間、家畜を育てながら栄養分をまた土に戻す循環型の農業知識を深めました。現在は学んだことを地元で実践しながら、その知識や経験を地域に広めています。

生まれ持った才能を持ち、ネグロスの農民からも一目置かれる存在です。農業の知識が豊富なこともそうですが、考え方が柔軟で、今あるもので工夫してやりくりする能力がずば抜けています。

きっとみなさんもマイケルさんに一度会ったら、その能力と優しさと、そしてとびきりの笑顔にファンになってしまうこと間違いなしです。
マイケルさんの紹介、次回も是非お楽しみに!

 

NPO法人APLA スタッフ  寺田俊

 

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【バナナニュース281号】若者が農業を学ぶ カネシゲファーム・ルーラルキャンパス

2018年10月5日

バランゴンバナナを輸入しているオルター・トレード・ジャパン(ATJ)の関連団体のAPLAは、バナナ産地フィリピンの農民技術交流活動などを実施しているNPO法人です。フィリピン・ネグロス島においては、養豚を軸とした有畜複合循環型農業を実践する農場であるカネシゲファーム・ルーラルキャンパス(KF-RC)の運営をサポートしています。

カネシゲファームは、1986年の砂糖危機以来、ネグロスの人びとへの支援に尽力された故兼重正次氏(1995年逝去)にちなんで名づけられています。兼重氏は、日本とネグロスの民衆交易のスタートにも多大な貢献をされた方です。ネグロスの貧しい農民を支援するという彼の夢を、KF-RCが引き継ぐべく「カネシゲファーム」という名前が残っています。

KF-RCの目的は、「農民の収入を増やし、農業をより楽しいものにするために、農法や技術を紹介しながら、農地を発展させていくよう納得してもらうこと」であり、農業の新しい価値観を創りだすことと、具体的な農業技術の普及により地域の農民の自立を後押しすることにあります。

KF-RCには、循環型農業と適正技術の実践と普及(農場部門)、そしてルーラルキャンパス(農民学校)の役割があります。

 

循環型農業の適正技術の実践と普及(農場部門)

KF-RCでは、BMW技術(※1)を取り入れ、養豚、堆肥作り、耕作、生産を農場の中で完結させ、ごみが排出されない循環型農業を実践しています。まず、豚から排出された糞尿はバイオガスタンクに貯まり、ここで糞尿の発酵を進めます。これが液肥となり、畑への肥料となります。また、液肥は生物活性水(BMW技術)へと培養されてミネラル豊富な水が作られ、この水を豚や農場内にいる家畜が飲水として利用し、再び糞尿となって、バイオガスタンクに貯まります。

その他、バイオガスタンクからはメタンガスを活用したエネルギー創出や発電を実践していたり、ランポンプ(自動揚水器)(※2)を活用し、適正技術の導入と普及活動をしています。
※1 BMW技術:バクテリア(微生物)・ミネラル(造岩鉱物)・ウォーター(水)の略。バクテリアとミネラルの働きをうまく利用し、土と水が生成される生態系のシステムを人工的に再現する技術のこと。
※2 ランポンプ:傾斜を利用し、水を流すことで、外からのエネルギーに頼らず水を汲みあげられる自動揚水器。

 

ルーラルキャンパス(農民学校)

KF-RCには、ネグロス島内の若者を研修生として受け入れ、約半年間住み込みで循環型農業の実践を学ぶ研修制度があります。研修生としての受け入れ基準は、農業を生活の糧とすると決めている青年で、地域や関係する人たちの推薦があり、家族の理解もあること。2018年8月までに7期32人を受け入れ、3人が卒業後KF-RCのスタッフとなり、13人が地元で農業を続けています。そのうち、8人が自分の豚舎を作り、1名がカラバオ(水牛)を使って農業を継続しています。

KF-RCの卒業生サポート制度は、研修終了時に、各卒業生に豚舎を建設する材料費をAPLAが支援し、建設は研修生たちと家族、KF-RCのスタッフが協力して実施します。養豚を中心に有畜複合の循環型農業を実践することで、豚の売り上げに加えて、養豚から出る糞尿を活用した肥料を使って農業に励み、野菜の自給や余剰分は販売していくことを目指しています。

この制度を始めた初期は、豚舎が完成すると、卒業生は子豚4匹と3ヵ月分の餌代をローンで現物支給され、3ヵ月後に育った豚を販売してローンを返済し、残った金額が手取りとなる仕組みになっていました。しかし、子豚がうまく育たなかったり、豚が売れなかったり、卒業生の家族の状況や住んでいる地域によって有効性が異なり、現在では各卒業生に合ったサポートをその都度検討して実施しています。例えば、水がなくて養豚をするには厳しい地域で、かつ町から家までの道路事情が悪く豚の運搬が厳しい卒業生には、妊娠しているカラバオ(水牛)を渡し、子牛が生まれたらKF-RCへ返す仕組みを実施しました。卒業後、農業を始めるには初期投資がない若者たちにとって、農業を始めるための基盤づくりと続けていくためのモチベーションにつながるように、KF-RCにとっては卒業生のサポート制度は重要な位置づけとなっています。

卒業後も、定期的に連絡を取り合ったり、卒業生を訪問して農業をする上での相談に乗ったり、KF-RCでの行事や交流、研修に参加してもらい、研修後も卒業生へのサポートができるような体制を作っています。

卒業生には、バランゴンバナナの生産者もいます。卒業生で若手生産者の一人であるマイケル・リアネスさんについて、次回から数回にわたって紹介します。

商品一課   赤松 結希

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【バナナニュース280号】「甘そうで苦い」 高地栽培バナナの裏側

2018年8月21日

近年、スーパーの売り場でよく見かける「高地栽培バナナ」。自然な甘みを売りにしたプレミアムバナナとして、高めの値段で販売されています。高地栽培バナナのプランテーション(農園)は、日本で出回るバナナの80%以上を供給しているフィリピン、ミンダナオ島で、2000年代以降、続々と開発されました。

ATJは、その一つ、南コタバト州ティボリ町にある日系企業のプランテーションを視察しました。早朝、上空を軽飛行機が飛び回っています。バナナ栽培にもっともやっかいなシガトカ病を防ぐため、数種類の殺菌剤を散布しているのです。検査等で因果関係が証明されている訳ではありませんが、住民は空中散布による健康被害を訴えています。とくに、子どもに皮膚病や呼吸器系疾患の症状が出ています。自家消費用の野菜を作ることも、家畜を飼うことも難しくなり、飲料水も買わなければならなくなってしまったそうです。

高地栽培バナナのほとんどが日本向けです。住民たちは日本の消費者にこうした現実を知ってもらいたいと口々に話していました。

詳しくは報告書「フィリピン、ミンダナオと私たちの今を考える」をご覧ください。

 

 

 

 

 

 

フィリピン、ミンダナオと私たちの今を考える

 

 

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【バナナニュース279号】乾季を無事に乗り越えて、順調に生育中

2018年7月11日

ミンダナオ島ツピ町では現在130人の生産者がバランゴンバナナを栽培しています。生産者でもあり、ツピ町の生産者組合の事務局長も務めるエンピグさんからのメッセ―ジをお届けします。

 

 

ツピのバランゴン生産者、ノルマさんの畑を上空からドローンで撮影してみました。バランゴンバナナはココナツと混植されています。バランゴンは多少の日陰を好むので、ココナツとの相性が良いとされています。ココナツは3ケ月に1度の収穫、バランゴンは毎週あるいは2週に1度の収穫です。畑の周囲にはパイナップルのプランテーションが拡がっています。

 

 

ツピの生産者、ビクターさんがバランゴンバナナを収穫しています。

 

商品一課  松本 敦

 

 

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