カテゴリー: バナナニュース
バランゴンバナナ
【バナナニュース247号】バランゴンバナナが日本に届くまで① ~バランゴンバナナ圃場の様子~
1989年にネグロス島から始まったバランゴンバナナの出荷。今年で26年目を迎えたバランゴンバナナ民衆交易ですが、現在はネグロス島だけでなく、北ルソン、ボホール島、パナイ島、ミンダナオ島(北ミンダナオ、マキララ、ツピ、レイクセブ)からバランゴンバナナが出荷されており、3,000人以上の生産者がバランゴンバナナを栽培しています。
バランゴンバナナ民衆交易の歩みをご参照。
今回からシリーズで、バランゴンバナナがどのような産地で栽培されていて、どのような工程を経て日本の食卓に届くのかをご紹介していきます。
まずはバランゴンバナナの圃場について。
バランゴンバナナの圃場の特徴は、地域によって異なります。海抜0mの産地から標高1000m以上の産地、幹線道路へのアクセスが良い産地からトラックが入ることのできない山道を何キロも歩かなければならない産地。中にはまだ電気・水道などが通っていない産地もあります。
近年、美味しさを売りにした高地栽培バナナを頻繁に見かけるようになりましたが、バランゴンバナナの一部の産地は、昔から高地でバナナを栽培していたのです!
また、産地によって受けやすい天候被害なども異なります。例えばバランゴンバナナ産地の1つである東ネグロス州タンハイ村。ここは海抜0mであり、川の近くにある産地ですので、大雨が降ると洪水被害を受けやすい産地です。
また、風向きによって強風被害を受けやすく、葉っぱが切れ切れになりやすい産地もあります。葉っぱが切れ切れになると、バナナは光合成をうまく行うことができず、生育不良を起こしてしまいます。山奥にあり、アクセスが悪い産地では、大雨が降ると収穫に行けなくなるという問題も発生します。
多国籍企業のバナナプランテーションのように一律管理されていないので、バランゴンバナナの手入れも生産者によって異なり、中には意欲的で様々な工夫をしている生産者もいます。例えば、自分でミミズ堆肥を作っている生産者、家畜の糞尿を有効活用している生産者など。3,000以上の生産者がいるので、生産者の農業技術の底上げというのは、課題の1つです。
また、標高の低い産地で育てられているバランゴンバナナは、標高の高い産地に比べ、早く収穫できる傾向がある、土壌が豊かで水が豊富な産地のバナナは実が大きく育つ傾向があるなど、産地によって様々な特徴を見せてくれます。
今度、バランゴンバナナを食べる時は、このバランゴンバナナはどんな産地から来ているのだろうと思いを馳せながら食べてみてください!!
ミンダナオ島ツピ及びレイクセブについて詳しく知りたい方は、下記動画をご覧ください!
商品一課 黒岩竜太
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【バナナニュース246号】ビクターさんは今!! ~バランゴンバナナの価値と課題~
交流会を通しての学び
2013年9月に来日したミンダナオ島ツピのバランゴンバナナ生産者であるビクター・コルテスさん。日本での消費者との交流会を通して、バランゴンバナナの価値を再認識することができたと言います。
「バランゴンバナナ生産者として、日本に行くことができたことを光栄に思っています。日本での経験を通して、生産者と消費者が交流していくことの重要性を学ぶことができました。また、日本の消費者との交流を通して、バランゴンバナナの価値を再認識することができました。
バランゴンバナナはTUBAGA(ツピのバランゴンバナナ生産者組合)にとって、重要な事業です。また、バランゴンを通して、生産者、栽培を手伝っている人々、消費者が繋がることができています。
有機農業の大切さについても、改めて学ぶことができました。農薬を使用せずに栽培しているバランゴンバナナは、生産者にも、環境にも良いバナナです。そのようなバナナ栽培を続けていく必要があります。」
現在のツピの状況について
現在、ツピでは多国籍企業の契約栽培によるパパイヤやバナナ、大規模なパイナップルプランテーションなどが拡大しています。バランゴンバナナ以外にも数多くの現金収入の手段がある中で、生産者がバランゴンバナナを作り続けていることに、ビクターさんは感謝していると言います。
一方で今後もバランゴンバナナ栽培をツピで続けていくには、買取り価格などの経済的価値、生産者と消費者の関係などの社会的価値を高めていく必要があるとビクターさん。
日本の消費者へのメッセージ
[box type=”shadow”]「今後もバランゴンバナナ民衆交易を続けていくには、生産者と消費者の関係を強化していく必要があります。そのことが、生産者の暮らし、地域を良くしていくことに繋がります。」[/box]
取材・まとめ 商品一課 黒岩竜太
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【バナナニュース245号】 ボイさんは今!! ~交流会での経験を日々の仕事に活かして~
日本での交流会後の仕事・暮らしについて
2014年10月に来日した東ネグロス州マンフヨッド町ロウアカンダボン村のバランゴンバナナ生産者でありオルタートレード社(以下:ATC)のスタッフであるロッドジム・カトゥバイさん(通称:ボイさん)。現在、バランゴンバナナは2014年12月に結婚した長女リゼル夫婦が世話をしていますが、今年の2月から6月の干ばつ及び台風によってもたらされた強風の影響でバナナがうまく育たず、収穫がほとんどない状況です。「バランゴンバナナの世話を通して、私は様々なことをバランゴンバナナから始めることができたことを娘夫婦に理解してもらいたい」と語るボイさん。
「消費者が生産者の現状を知ること。また生産者が、なぜ消費者がバランゴンバナナを食べているのかを知ることが重要」と話すボイさん。日本での交流会後は、ロウアカンダボン村の生産者、他の地域を担当しているATCの現場スタッフに日本での経験を共有してきました。継続的な交流を通して、生産者はバランゴンバナナには安定的な販売先があると感じることができ、今後もバランゴンバナナ栽培を続けていこうという想いにつながっています。
また、ボイさんの仕事にも大きな変化がありました。以前はマンフヨッド町を担当していましたが、2015年3月からはギフルガン町、ビンドイ町を担当しています。ロウアカンダボン村を含めたマンフヨッド町は現在、ボイさんのパートナーであるアナさんが担当していますが、時折生産者との会合に参加するなどして、アナさんをサポートしています。
現在担当している地域は、ボイさんが住んでいる地域から約90㎞離れており、山道などを移動しなければならないため、バイクで片道3時間程かかります。朝6時に家を出て、帰ってくるのが夜11時頃という生活を送っており、必要であれば産地で寝泊まりもしているボイさん。家に戻る頃には家族はすでに寝ており、以前のように家族と一緒に食事をとるのが少なくなったとのこと。「現場スタッフとして、求められていることはしっかりやりますが、やはり家族が恋しい」と少し寂しげに話すボイさん。
現在担当しているギフルガン町、ビンドイ町はバランゴンバナナの手入れをしている生産者が少ない地域のため、生産者協会の組織化及び強化のサポートだけでなく、バナナの袋掛け・タグ付け、脇芽の管理といったバナナの手入れ方法も生産者に教えています。
「バランゴンバナナには安定的な売り先があるので、バランゴンバナナ栽培を軸に生産者協会を組織し、強化をしていくことができます。バランゴンバナナは生産者協会の“傘”であり、生産者の生活向上のため、バランゴンバナナだけでなく、他の農作物、家畜へと多様化していくことを目指しています。」
一方で、生産者の組織化は簡単な仕事ではないと言います。「生産者を組織化していくためには、理論と実践が伴わなければいけません。そうすれば、生産者に説明していくことも容易になり、円滑にコミュニケーションを取ることができます。」
消費者との交流を通して感じたこと
「日本での交流会を通して、改めて生産者と消費者が強い関係性を構築することが必要であると気付かされました。」来日前から、多くの消費者がロウアカンダボン村を訪問しており、消費者との交流を通して、消費者はただバランゴンバナナに関心があるのではなく、産地の環境や持続性、生産者の暮らしに関心があることを感じることができたと言います。
「消費者が産地に来るということは、生産者にとっては非常に喜ばしいことであり、消費者がただバランゴンバナナにのみ関心があるのではなく、他のことにも関心があることの証でもあります。」
日本の有機農家を訪問して学んだこと
日本では有機農家も訪問することができたボイさん。「日本の農業技術は非常に高く、有機農業の価値を評価している売り先があるということを今回の訪問を通して学ぶことができました。農家として、日本の高い技術をそのまま取り入れていくのは難しいですが、日本で学んだ農業技術を少しでも実践できればいいなと考えています。例えば、農業において、土づくりというのが非常に重要であるということを学びました。このような学びを自分の農業、そして仕事に活かしていきたいと思います。」
ATCでは2013年8月にBOX(Bio-Organic eXchange)という食品宅配のサービスの取り組みを開始しました。これはATCが関わりを持っている小規模生産者が育てた農産物をネグロス島バコロド市の消費者に届けるという事業ですが、2013年11月の台風ヨランダ以降、BOX事業は休止しており、2015年6月に再開しました。ボイさんは、日本の生協の取り組みがBOXの参考になると言います。BOXがうまくいくためには、「消費者が信頼できる農産物を届けることを大事である」と話していました。
日本の皆さんへのメッセージ
「日本で会った人々のことは、絶対に忘れません。皆さんは私を農家として認めて下さり、また私を温かく迎え入れてくれました。消費者と生産者が目指していることを実現するために、今後もATC/オルター・トレード・ジャパン(ATJ)/消費者/生産者の強固な関係が続いていくことを望んでいます。私たちの世代が第一線を退いたとしても、次世代がバランゴンバナナ民衆交易を続けていってくれることを望んでいます。本当にありがとうございました!」
取材・まとめ 商品一課 黒岩竜太
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【バナナニュース244号】ジェイムスさんの今! ~よりよいバランゴンバナナを届けるための挑戦~
ジェイムスさんの仕事
2013年9月に来日したジェイムス・シモラさんは、ミンダナオ島のバランゴンバナナの産地の1つであるレイクセブで、バランゴンバナナの出荷責任者を務めています。現在はバランゴンバナナの収穫から買付、箱詰め、出荷までの全工程を管理しています。
「日本に行ったことにより、消費者を含めた、バランゴン交易全体を理解することができました。また、品質・数量の大切さを日本での交流を通して実感することができました。日本人は規律をしっかりと守るだけでなく、訪問したセットセンター、倉庫、追熟ムロなどでは、衛生管理がしっかりとされていました。」
日本での交流後、ジェイムスさんは日本での経験をレイクセブの生産者に共有し、品質及び安全面の重要性を生産者に伝えました。より品質の良いバナナを作るため、バナナの手入れに関する研修も改めて行いました。また、買付時点及び箱詰め時点での廃棄を減らすために、収穫後の運搬方法の向上にも取り組んでいます。
「バランゴンバナナの収穫及び運搬の見直しを行うことで、廃棄されるバランゴンバナナが減りました。また、雨季に比べると乾季はバナナ1本1本もより大きく育ち、病虫害被害も減少し、出荷数量が増えます。」
日本での交流会について
「生産者と消費者の交流は、お互いの経験を共有し、学び合える場であり、強固な関係性を築いていくために必要です。私は日本での交流会で、先住民族であるレイクセブの生産者が直面している課題や希望を消費者の皆さんに話しました。私たちの知識、経験を交流会では共有することができ、バランゴンバナナ栽培の難しさについて消費者の皆さんにお伝えすることができたと感じています。」
「また、交流は日本の消費者の皆さんにとっても新たな発見があったのではないでしょうか。例えば、バナナがどのように育つのかを知るなど。日本の子供たちが、バナナを描くように言われ、大きな木にバナナがなっている絵を描いたことを今でも覚えています。生産者と消費者の交流は、バランゴンバナナで繋がっている異なる人々が、交流を通してお互いの経験を共有し、お互いの理解を深めていく場であると感じています。」
日本の皆さんへのメッセージ
「レイクセブの生産者を代表して、バランゴンバナナを買い続けて下さっていることに、感謝の意を表したいと思います。長年、バランゴンバナナを買い続けて下さり、ありがとうございます。消費者の皆さんの協力がなければ、私たちの努力が無駄になってしまいます。
日本での交流が、お互いの関係の強化に繋がり、今後も私たちの関係が続いていくことを望んでいます。」
取材・まとめ 商品一課 黒岩竜太
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【バナナニュース243号】マカオさんは今!~日本での交流が役立っています~
2012年9月に来日したネグロス島パンダノン村のバランゴンバナナ生産者であるウバルド・マカオ・セラルボ(通称:マカオ)さん。2013年7月にパンダノン村のバランゴンバナナ生産者協会の副委員長に選出されました。現在は、自分の畑の手入れだけでなく、副委員長として生産者協会の活動にも積極的に取り組んでいます。
パンダノン村のバランゴンバナナ栽培
日本での交流後、バランゴンバナナの作付け拡大に取り組んでいるマカオさん。しかし、病害被害を受け、出荷数量は思ったように増えていないとのこと。また、日本での経験を他の生産者にも伝えています。他の生産者は、マカオさんの経験を通して、バランゴンバナナが日本でどのように食べられているのかを知ることができ、消費者に必要とされていることを実感することができているとのこと。その結果、パンダノン村でのバランゴンバナナの作付けは増えています。
「日本でお会いした消費者の皆さんに、バランゴン栽培に力を入れ、出荷数量を増やしていくことを約束しました。帰国後、バランゴンバナナの作付けを拡大したのですが、病害被害が広がり、バナナの数量を増やすことが出来ませんでした。皆さんとの約束を守ることが出来ず、大変申し訳なく思っています。
私を含めたパンダノン村のバランゴンバナナ生産者は、病害被害などといった困難がありますが、今後もバランゴンバナナの作付け拡大に取り組んでいきます。」
マカオさんが行っている農業
日本の農家との交流が、農業技術の向上に繋がったと語るマカオさん。
「日本に行く前は、知識ではなく経験のみに基づいて農業をしていた。日本で訪問した地域から、お米や野菜を植えるには、土作りが非常に重要であるということを学びました。作付けの前にしっかりとした準備をすることが、非常に重要。また、農家は細かなことにも気を配ることが大切だということを日本の農家との交流を通して学ぶことが出来ました。」
以前は水牛(カラバオ)で土を耕していましたが、現在は購入した耕耘機で土地を耕しています。「水牛に比べ耕耘機は早く簡単に土を耕すことができる。例えば水牛で15日かけて耕していた土地も、耕耘機であれば6日で耕すことができる。」と説明をしてくれたマカオさん。
また、マカオさん一家の主収入源はサトウキビですが、2012年からサトウキビを、マスコバド糖製糖工場(ATMC)に販売しています。2012年からオルタートレード社(ATC)のサポートを受けながら、有機栽培への転換に取り組み、現在作付けを行っているサトウキビから有機認証を取得することが出来ました。
「慣行栽培であれば、1ha当たり8袋(約50㎏/袋)の化学肥料で足りるが、有機転換の1年目は、マッドプレス(製糖過程で出る有機資材)、石灰、リン鉱石などといった有機肥料を多く畑に投入しなければならず、畑での仕事が増え、大変だった。2年目、3年目は畑の土の質が良くなり、1年目に比べると有機肥料の投入量も少なくなった。」
家族も増えました
2013年5月に9番目の子供であるズゥイちゃんが産まれ、子育てにも奮闘しているマカオさん。また、息子の1人であるマルジュン君は、2012年に約6ヵ月間、カネシゲファーム・ルーラルキャンパス で有機農業の研修を受け、現在はマカオさんと一緒に農作業を行っています。
「カネシゲファーム・ルーラルキャンパスの研修でマルジュンの農業知識は増えたが、まだまだ私がマルジュンに農業を教えているよ」と笑いながら話すマカオさん。
最後にマカオさんからのメッセージです。
「この間、産地及び日本で積み重ねてきた交流を通して、素晴らしい関係を築くことができています。私たち生産者にとっては、消費者の皆さんとの交流は、生活の一部になっています。」
カネシゲファーム・ルーラルキャンパスの詳細に関しましては、APLA(あぷら)のウェブサイトをご確認ください。
http://www.apla.jp/activities/negros-philippines/kf-rc
取材・まとめ 商品一課 黒岩竜太
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【バナナニュース242号】伝統的な箒が作られている村、カンルソン
西ネグロス州の山奥にあるバランゴン産地であるカンルソン村。主に自給用に植えられている、美しい水田が見受けられるこの村では、タイガーグラスと言うススキのような草の穂を束ねた伝統的な箒が手作りされています。柔らかく扇のように広がるこの草は、箒に適しています。フィリピンでは一般的に、家の外回りの掃き掃除を行う時にはヤシの葉の芯を束ねた箒(ティンティン)を使い、室内の掃き掃除の時には、タイガーグラスを束ねた箒を使います。
カンルソン村の人々の主な収入源はこの箒作り。タイガーグラスの収穫期を迎えると、道端でタイガーグラスを乾燥させている風景を目にします。タイガーグラスの収穫は年に1回。約1,000本の草から約30本の箒を作ることができます。生産者によって収穫量は異なりますが、年に約30,000~60,000本のタイガーグラスを収穫することができ、箒を作っています。1本1本、丁寧に手作りされた箒は、1本約40ペソ(2015年4月時点のレートで100円強)で販売されますが、コストが約10ペソかかるとのことです。
箒作りが主な収入源ではありますが、タイガーグラスの収穫が年に1回。そのため、定期的な現金収入を確保する必要があります。その役割を担っているのがバランゴンバナナ。ATCはカンルソン村に2週間に1回、バランゴンバナナを買いに行っています。生産者によってバランゴンバナナからの収入源は異なりますが、平均すると生産者1人あたり、約450ペソの現金収入を2週間に1回、バランゴンバナナから得ています。タイガーグラスやお米の収穫がない時には、バランゴンバナナからの定期的な現金収入は非常に重要であると生産者は話します。
ただし、カンルソン村も昨年の台風21号(現地名:クイニー)で大きな被害を受けた産地の1つ。台風クイニーにより、実をつけていた収穫間近なバナナが約4,400本倒れ、多くの生産者の収穫量が約1/4程度に減少してしまいました。今はタイガーグラスの収穫時期ですので、箒からの収入を得ることはできていますが、やはりバランゴンバナナからの現金収入が無くなったことで生活は厳しくなったと生産者は言います。
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台風クイニー後は、バンチトップ病という病害被害も広がってしまいましたが、ATCと一緒に、病気の拡大を防ぎながら、バランゴンバナナの回復に努めています。
【バナナニュース241号】台風ヨランダ復興支援完了報告
2013年11月にフィリピン中部を襲った台風30号(フィリピン名:ヨランダ)には、日本、マスコバド糖でつながる韓国、ドイツ、フランス、スイスの生協、フェアトレード団体から多額の募金が寄せられました。日本国内で集まった義援金のうち21,248,616円が、オルター・トレード社(ATC)により、パナイ島、ネグロス島、ボホール島のバランゴンバナナやマスコバド糖用サトウキビの生産者に対して緊急支援(食料は一般住民にも配布)と産地の復興支援に活用されました。
このうち、もっとも被害が大きかったパナイ島での163名のバランゴン生産者に対する復興支援活動を写真でご紹介します。
○バナナ生産復興のためにバナナの苗22,700本、元肥として鶏糞112トンとマッドプレス(サトウキビの搾りかす)40トンを配布しました。
○倒伏したバナナを片付けるためにシュレッダー(裁断機)1台、生産者全員にボロ(山刀)を支給しました。このほかにも各産地にバナナを植え付けるための鋤が配布されました。
○バナナ生産に効果が高いと言われているミミズ堆肥(家畜の糞やバナナの茎など植物の残渣をミミズに食べさせてその糞を有機肥料とする)を、生産者たちが自分たちで生産できるように小規模プラントを設置し、技術研修を実施しました。
○自家消費用として、かぼちゃ、大根、オクラ、ニガウリなどの種を配布しました。収穫できるまでの1年間、バナナからの収入は期待できないので、2-3ヶ月で育つ野菜は貴重な食料となりました。
○せっかく植え付けたバナナの苗も雨水頼りの地域では枯れてしまうケースがありました。そのため、農業用水の確保が課題として挙がってきました。その対策として手押しポンプや自転車揚水型ポンプ計9基を設置し、地下水を汲み上げて農業用水として利用することができるようにしました。
〇バラサン町サルバシオン村では太陽光パネルを使った灌漑用水システムも設置しました。初期投資はかかりますが、一定規模の用水量を確保でき、その後の維 持費が安く環境にも優しいためパイロット事業として施工しました。太陽光で地下水を汲み上げて丘陵地にあるタンクに貯水し、パイプで畑に水を送る仕組みです。これにより約20世帯が恩恵を受けることができる見込みです。
〇フィリピンの農村ではサルバシオン村のように電気や水道などのインフラが整備されていない地域がまだ広く残っています。水は飲料水として、電気は家庭の照明、ラジオやテレビ、携帯電話の充電などに活用されるなどライフラインとしても貴重です。
生産者の努力により回復したバランゴンバナナ生産ですが、残念ながら昨年11月に台風により再度被害を受けてしまいました。しかし、ミミズ堆肥プラントや灌漑施設、ソーラーパネルは現在も稼働しています。
【バナナニュース240号】度重なる台風にも負けず~東ネグロス州バナナ生産者~
昨年11月28日、台風21号(フィリピン名:クイニー)がネグロス島中部を横断し、東ネグロス州では、バナナ全体の約20%にあたる約18,000本が倒伏してしまいました。昨年シリーズで紹介したボイ・カトウバイさんが住むロウアカンダボン村でもバナナ全体の約30%が倒れてしまいました。
2013年11月の超大型台風ヨランダでは若いバナナの木も茎から折れたため、回復には1年程度の時間がかかりましたが、今回被害を受けたのは実を付けたバナナだけ。3-4ヶ月後には次の世代のバナナが成長し収穫できる見込みのため、生産者も大きく落胆しているわけではありません。
ホメルさんは2008年からバランゴンを出荷している生産者。作付拡大に取り組み、バナナの手入れも丁寧に行い、バランゴンを3,000本まで増やしてきました。しかし、台風によって毎週1,500本程度の出荷量が半減してしまいました。ホメルさんの収入のほぼ100%がバランゴンからです。半減は大きな打撃ではあるものの、主食であるトウモロコシと野菜は自給できており、買うのは干し魚、コーヒー、調味料程度なので何とかしのげるとのことでした。
ATCは倒伏した約18,000本の植え替え用苗の植え付けに際して1本あたり6キロの鶏糞を配布して、生産者が早くバナナ生産を復興できるように支援しています。これにより7-8月頃には台風前の生産量まで回復できる見込みです。
近年、フィリピンでは大型台風が度々発生しています。また、進路が南下しミンダナオ島を通過したり、発生期間が長期化するなど異常気象の影響が及んでいると考えられています。
台風以外にも、東ネグロス州では1月から強風の影響でバナナの葉っぱが切れ切れになる被害が生じています。ネグロスでは例年1月からアミハンと呼ばれる北東季節風が例年吹くのですが、特に今年のアミハンは強く、生産者からは台風のような強風が吹いているという声が上がっています。バナナの葉っぱが切れ切れになると、光合成をうまくすることができず、生育が遅くなる、実が大きくならないなど、バナナの成育に影響してしまうので、生産者も心配しています。
因みにアミハンは(フィリピンで他の季節に吹く風と比べると)冷涼で乾燥した風で、シベリアの寒気が吹き込むものだそうです。元をたどると日本の冬の季節風と同じなんですね。
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【バナナニュース】ボイさん・アナさん一家の物語 最終編
バナナニュースでは6回にわたって東ネグロス州マンフヨッド町ロウアカンダボン村のバランゴンバナナ生産者であり、オルター・トレード社(ATC)地域開発担当スタッフでもあるロッドジム・カトゥバイさん(ボイさん)とパートナーのアナさんを紹介してきました。二人の出会いからこれまでの家族のストーリー、バランゴン民衆交易との関わり、ボイさんにとって初めての海外旅行となった日本訪問、そして最終回は長女リゼルの結婚式で大団円を迎えました。
読者アンケートではたくさんの方から感想、コメント、家族へのメッセージが寄せられました。改めてお礼を申し上げます。ボイさん、アナさんへのメッセージはご家族にすべて伝えました。
ボイさんからのコメントです。
「自分の暮らし、家族、農業や家畜の取り組みに関心を持って、たくさんのメッセージを下さったことを大変うれしく思います。昨年は日本の2つの生協が私の村を訪問して下さり、10月には私が日本で消費者の方々と交流するという本当に貴重な機会をいただきました。ロウアカンダボン村の生産者がどのように消費者と関係性を築いてきたのか、他の村の生産者にも共有したいです。」
もっともメッセージが多かったのが最終回リゼルの結婚についてでした。
○ 甘いバナナがよりスウィートに感じます!
○ 結婚式の写真が、バナナとともに届きました。ご結婚、おめでとうございます。フィリピンでも、かかあ天下の家庭が幸せなようですね!
○ お幸せな笑顔を見て私までも幸せな気持ちになりました。軽トラックに乗って教会に向かう写真は映画のワンシーンのようです、などなど。
リゼルさんはマンフヨッド町にある小学校で臨時教員として働き始めました。みなさんからのメッセージに対しては、暖かいメッセージに心からの感謝の気持ちをお伝えしたい、との返事がありました。
ATJでは今後もボイさん、アナさん、リゼルさんの様子を折に触れてお伝えしたいと思います。
【バナナニュース239号】 本当に残念です。でもゼロから再スタートだと仲間と話しているんです~パナイ島バナナ生産者を訪ねて~
昨年12月8日に台風ルビーの被害を受けたパナイ島のバランゴン生産者の現状はどうなのでしょうか。ATJ現地駐在の黒岩が、先週、現地を訪問しました。
アナニアス・ラチカさん(78歳)とネニタ・ラチカさん(76歳、年齢はともに2013年11月当時)夫婦は、カーレスに住むバランゴンバナナ生産者。台風ヨランダ直後は、バランゴンバナナや他の作物が全滅、家屋も壊れ、すべてを失ってしまったと非常に落胆した様子でした。その姿は次の動画「Wrath of Yolanda(台風ヨランダの怒り)」に記録されています。
台風30号ヨランダによるパナイ島バナナ生産者の被災状況をお伝えします(第4報)
その後、オルター・トレード社(ATC)の支援を受けて、300本のバナナを植え付け、隔週で約1,000本のバナナを出荷できる程度までに回復していました。しかし、無情にも台風ルビーは実を付けていた200本のバナナを倒してしまいました。家屋は大丈夫だったものの他の農作物も被害を受け、自家消費用のお米も不足するかもしれないとのこと。「バナナの収穫が再開できる5月まで暮らしは苦しくなる」
サン・ディオニシオ町でバランゴンを生産するホアニト・バラヨンさんも、隔週で2,000~3,000本のバナナを出荷するまでに立ち直っていましたが、台風ルビーにより実を付けていたバナナはすべて倒伏してしまいました。収穫が再開できる3月までは収入が期待できません。「支援のおかげでバナナの作付本数を拡大できたが…。本当に残念です。11人の子どもの学校の授業料を支払えるか心配です」
同じサン・ディオニシオ町でATCのフィールド・アシスタントとして生産者の栽培・出荷管理にあたっているチャーリー・カノイさん。家が海の近くにあり、台風ヨランダでは5メートルの高さの高潮が押し寄せ、何とか山に逃げて難を免れましたが、家やすべての家財道具を失いました。当時の状況を上記の動画で話しています。
チャーリーさんはこの1年間、復興事業の現場担当者の一人として、バナナの作付拡大や肥料配布などの活動をしてきました。「バナナ生産が順調に回復していたからもったいない気持ちでいっぱいです。でも、何もかも失った台風ヨランダ後の絶望感は感じません。生産者とはゼロから再スタートだと一緒に話しているんです」と話してくれました。
ATCでは、半年後に台風前の出荷水準に戻し、生産者が生計手段を確保できるよう復興支援活動を、今週から開始しました。見舞金(倒伏したバナナ1本につき20ペソ、約53円)、鶏糞配布(1本につき6キロ)、農業用水が不足している農場での簡易用水施設の整備などです。
ネグロス島、ボホール島でもバランゴンの苗床整備、鶏糞配布や技術サポートを計画しています。
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【バナナニュース238号】 ボイさん・アナさん一家の物語⑥ ~長女リゼルの結婚式~
2014年12月2日、ボイさん・アナさんの長女リゼル が、幼馴染であり、現在はアナさんと一緒にバランゴンバナナの買付け・集荷の仕事をしているロネルと結婚式を挙げました。
フィリピンの農村では、教会で式を挙げた後に、自宅でパーティをするのが一般的。2人もボイさん・アナさん宅から約8km離れた教会で式を挙げ、その後自宅でパーティを行いました。教会への移動は、ボイさんの愛車である軽トラック。炎天下の中、新郎新婦は軽トラックの荷台で揺られながら、凸凹道を移動しました。
自宅でのパーティには、友人・親戚・近所の人々など総勢150人以上が集まりました。両家から豚が9頭も準備され、そのうち4頭はレチョン・バボイとして振舞われました。これは、子豚の丸焼きで、レチョンは丸焼き、バボイは豚を意味しています。子豚の内臓を取り除いた後に、中に香草を詰め、頭から尻尾にかけて棒で串刺しにした後、炭火の上でゆっくり回しながらじっくり焼き上げます。誕生日、結婚披露宴、お祭り、クリスマスなどに欠かせないフィリピンの代表的な料理です。また、特大のウェディングケーキも準備され、盛大に2人の結婚を祝いました。
「ロネルと結婚できて本当に幸せ。私が落ち込んでいる時、彼は私を助けてくれたの」とリゼルが話すと、非常に恥ずかしがり屋のロネルは、「リゼルは強い性格の持ち主で、子供の時は彼女のことを少し怖く感じていた。そういうことも乗り越え、今一緒にいられるのが嬉しい」と答えてくれました。
フィリピンの結婚式パーティーは、新郎新婦がダンスを披露するのが一般的で、リゼルとロネルのダンスのために、自宅にはオーディオセットが準備されました。リゼルとロネルがダンスを披露している姿を終始笑顔で見守っていたボイさん。
「娘の幸せな姿を見ることができて、本当に幸せだ」とボイさん・アナさん。
以下のメッセージフォームから、ボイさん・アナさん、そして新婚のリゼル・ロネルにメッセージを送ることができます!ぜひメッセージをお送り下さい!!
皆さまからのメッセージはATJスタッフが翻訳して、本人にお届けします。
フィリピン駐在員 黒岩竜太
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※バナナニュース印刷版は、バナナと一緒にお届けしていますものです。(一部お届けしていない団体もあります)
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【バナナニュース237号】ボイさん・アナさん一家の物語⑤ ~旅行を通して見るフィリピン人の暮らし~
バランゴンバナナ生産者でありオルタートレード社(以下:ATC)のスタッフであるロッドジム・カトゥバイさん(通称:ボイさん)は10月21日~31日の計11日間、バランゴンバナナの消費者の皆さんと交流するために来日しました。ボイさんの来日が決まった時、家族はボイさんに、バランゴンバナナ生産者の代表として日本に行くことを誇りに思っていると喜んでくれたそうです。今回の日本滞在は、ボイさんにとって初めての海外。
今回は、ボイさんにフィリピン人の旅行の習慣や思いを聞いてみました。
パスポートを取得するのは大変だったと聞きましたが
「パスポートを取得するのは大変でした。特に必要な書類の準備。フィリピンでは、公式な書類に書かれている個人情報に誤りがあることが多々あります。私の場合、出生証明書に書かれている氏名・生年月日と、キリスト教の洗礼を受ける際に教会が発行する書類の氏名・生年月日が異なっていたので、教会の書類の内容を変更しなければいけませんでした。
私の両親が結婚した時、父は16歳、母は14歳でした。私は母が16歳の時の子どもです。まだ若かったので、書類を申請する時に書き間違えたのだと思います。」※
※過去にパスポートの取得が間に合わず、来日できなかった生産者、ATCスタッフもいます。日本では比較的簡単に取得できるパスポートですが、フィリピンではパスポートを取得するのも一苦労です。
親族で海外に行ったことがある人はいますか?
「叔母が以前、家政婦として、オーストラリアで約2年働いていました。今回の日本の滞在が、私にとっての初めての海外です。妻のアナも、2人の娘も海外に行ったことはありません。私はマニラに行くのも今回が初めてで、アナは、飛行機にも乗ったこともありません。」
フィリピンでは1000万人以上(人口の約10%)海外で働いており、親戚で1人は海外で働いた経験がある人がいると言われているぐらい、海外で働くことが一般的。町や村では、よく海外での家政婦の仕事の募集ポスターが貼られているのを目にします。
家族旅行でどこに行ったことがありますか?
「1990年代に家族4人でセブ島に行ったことがあります。バスと船の旅でした。セブではモールに行くなどして、家族で休暇を楽しみました。
バランゴンバナナの集荷は毎週あり、週末に行われます。また、家畜の世話などもしないといけないので、長期休暇を取るのは難しいです。フィリピン人はお祝い事など特別な日には家族で集まるのですが、親戚がマンフヨッド町に集まることが多いので、私たちが遠くに出掛けることはあまりありません。」
ロウア・カンダボンの他の生産者はどのようなところに旅行しますか?
「他のバランゴンバナナ生産者も、遠出することはほとんどありません。普段はカラバオ(水牛)に乗っている生産者。でもアナ同様、飛行機に乗ったことがない人がほとんどです(笑)
私が日本に行くことが決まった時、他のバランゴンバナナ生産者から、自分たちは日本に行く機会などないので、ここにいる生産者全員を代表して、日本に行って欲しいと言われました。」
フィリピンの農村に住んでいる人々にとって、旅行はなかなか行けない楽しみ。一方で、多くのフィリピン人が海外に出稼ぎに行っており、海外は遠いけど身近な存在です。今回、ボイさんは福岡、東京、千葉、福島を訪問しました。お世話になった方、参加して頂いた方、本当にありがとうございました。来日中は様々なところを訪問し、色んな日本食を食べました。フィリピンの農村暮らしを考えると、今回の経験はボイさんにとって一生の思い出になったことは間違いないでしょう!!
フィリピン駐在員 黒岩竜太
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<バランゴン民衆交易公開セミナー> バランゴン生産者の素顔を探る -フィリピン、東ネグロス州編
バランゴンバナナの民衆交易は、1989年、フィリピン、ネグロス島で始まりました。島の東半分にある東ネグロス州は、現在、約700名の農民がバランゴンを栽培しており、バランゴンの出荷量全体の25%を占める主要な産地の一つです。
東ネグロス州では、バランゴンバナナは主に零細農民によって栽培されています。生産者はどういう暮らしをして生計を立てているのでしょうか。どういう思いでバランゴンバナナを栽培し、日本の消費者に届けているのでしょうか。また、バランゴンは生産者にとってどういう意味を持ち得ているのでしょうか。
東ネグロス州でバランゴン交易が始まった当初から出荷団体であるオルター・トレード社(ATC)のフィールド・スタッフとして活動するロッドジム・カトゥバイ氏、そして今年8月に東ネグロス州の3つのバランゴン産地で調査を行った市橋秀夫氏、両名より生産者の素顔と暮らし、産地の特徴、生産者が抱える課題と可能性について報告してもらいます。東ネグロス州からのゲストの生の声、そして現地調査の報告を聞けるまたとない機会です。ぜひご参加ください。
発表者プロフィール
ロッドジム・カトゥバイ氏
愛称はボイさん。オルター・トレード社(ATC)フィールド・スタッフとして、東ネグロス州でバランゴン交易が始まった当初から集荷及び生産者の栽培指導に従事。自身の農場で有畜複合農業も実践している。お連れ合いのアンさんもATC産地スタッフとして活躍。
市橋秀夫氏
埼玉大学教養学部教員、専門はイギリス近現代社会史研究。イギリスのフェアトレード文献の翻訳や、その歴史的変遷の調査などを行なう。2009年以降、バランゴンバナナ生産者の調査に継続的に関わっている。
日時:2014年10月25日(土)16:15~18:15 (開場:16:00)
会場:新宿コズミックセンター 3F 大会議室
東京都新宿区大久保3-1-2
http://www.regasu-shinjuku.or.jp/?p=667
東京メトロ副都心線「西早稲田」駅より徒歩約3分
東京メトロ副都心線・都営大江戸線「東新宿」駅より徒歩約10分
JR・西武新宿線「高田馬場」駅、JR「新大久保」駅より徒歩約15分
参加費:300円(資料代)
申し込み方法
参加ご希望の方は事前にお申し込みをお願いします。定員になり次第締め切りますので、お早めにお申し込みください。
ファックス(FAX:03-5273-8162)の場合:件名に「10月25日セミナー申し込み」とご記入の上、氏名(必須)、所属(任意)をお知らせください。
電話の場合:TEL:03-5273-8176、氏名と電話番号をお知らせください。
チラシはここからダウンロードして下さい。
主催:(株)オルター・トレード・ジャパン(ATJ)、NPO法人APLA(あぷら)
お問い合わせ先:ATJ 政策室 小林まで TEL:03-5273-8176
【バナナニュース236号】ボイさん・アナさん一家の物語④ ~モノを超えた生産者と消費者の交流~
毎年、ネグロスではバランゴンバナナ生産者と消費者の交流が行われており、多くの消費者が東ネグロス州マンフヨッド町ロウア・カンダボン村も訪問しています。
バランゴンバナナ生産者兼オルタートレード社(以下:ATC)のスタッフであるロッドジム・カトゥバイさん(通称:ボイさん)とパートナーのアナ・カトゥバイさんも多くの消費者と交流しており、これからも多くの消費者と交流していくことでしょう。
そして、今年の10月下旬には、ボイさんがバランゴンバナナの消費者の皆さんと交流するために来日します。ボイさんに、生産者と消費者の交流について、お話を伺いました。
生産者・消費者の交流について、どう考えていますか。
「生産者・消費者の交流は民衆交易の一部だと考えており、生産者と消費者の関係性強化に繋がっています。生産者にとって、消費者が産地を訪問するということは、これからも私たちのバランゴンバナナを食べ続けていくというメッセージであり、バランゴンバナナの安定したマーケットがあることを意味しています。なので、生産者は安心してバランゴンバナナを育てることができるのです。
バランゴンバナナには、生産者の様々な想い、願いが込められています。私たち生産者は、消費者が産地を訪問した際に、私たちの生活、なぜバランゴンバナナを育てているのかなどについて話し、そのことがバランゴンバナナを食べてくれる消費者が増えることに繋がると考えています。生産者と消費者の交流こそがバランゴンバナナの大切な価値の一つだと考えています。」
生産者にとって、交流はどのような意味がありますか。
「交流は一方通行ではなく、双方向の関係性作りです。消費者が産地に来ることは、生産者の意欲向上に繋がり、生産者はバランゴンバナナの栽培により力を入れていくことで消費者の想いに応えていく。
また、消費者と交流することで、生産者は消費者のバランゴンバナナに対する期待を実際に聞くことができ、安心・安全の重要性を改めて実感することができます。交流に参加した生産者が、他の生産者にその経験を伝えていくことも大切です。」
交流を通して、学んだことは何ですか。
「消費者との交流に参加することで、自分の仕事の本当の価値・目的を知ることができました。私はただ仕事をしているのではなく、生産者と消費者の連帯の一端を担っているということを、交流を通して気付くことができました。
また、消費者との交流を通して、自分に自信が持てるようになりました。私は小学校しか卒業してなく、以前は人前で話すのがとても恥ずかしかったのですが、今は自分の意見をはっきり言えるようになりました。」
日本へ行くことに関して、どう思っていますか。
「私が日本へ行く生産者として選ばれ、驚いています。夢の中でしか行けないと思っていた日本へ行くことができるのは、格好の機会だと考えています。マンフヨッド町、そしてバランゴンバナナの生産者代表として、生産者の状況、想い、夢を日本の消費者にお伝えしたいと考えています。」
フィリピン駐在員 黒岩竜太
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【バナナニュース235号】ボイさん・アナさん一家の物語③ ~ボイ・アナさん一家から見る東ネグロス州の食文化~
東ネグロス州マンフヨッド町ロウア・カンダボン村(地図)のバランゴンバナナ生産者兼オルタートレード社(以下:ATC)のスタッフであるロッドジム・カトゥバイ(通称ボイ)さんとパートナーのアナ・カトゥバイさん。共働きのため、食事の支度は基本的に長女リゼル(23歳)の担当。リゼルは以前、小学校の臨時教員として働いていましたが、今は新しい職場を探し中。今回はリゼルに一家の食事について話しを聞きました。
一家の食費などの支出は週に約3000ペソ(約7000円)。買い物は基本的に週に1回、庶民が利用する市場で行います。同一家は軽トラックを所有しており、それをバランゴンバナナの集荷に使用していますが、ガソリン代を節約するためにバランゴンバナナの集荷の帰りにまとめて買い物をしています。「財布のひもを握っているのはお母さんだけど、使うのはお父さんの給料」と笑いながら説明するリゼル。
東ネグロス州の農村の人々の主食はトウモロコシ※1。そのため東ネグロス州の農村では多くのトウモロコシ畑が見受けられます。ただし、ボイ・アナさん一家の主食はお米。トウモロコシは週に1回、夕食時に食べます。「お父さんはトウモロコシが好きだけど、他のみんなはお米の方が好き。私の家族は他の農家の様にトウモロコシも植えていないし、安いお米なら価格もトウモロコシと同じで、30ペソ/㎏ぐらい。トウモロコシはパサパサするからお米の方が好き。」
※1 東ネグロス州の農村部の主食はトウモロコシ。トウモロコシを挽いて、お米の様に炊いて食べます。フィリピンではセブアノ人の主食はトウモロコシですが、他の人はお米を主食とします。
一家が日常食べているのは、朝食にお米と干し魚、昼食にお米と魚、夕食にお米と野菜。リゼルはだいたい毎日朝の6時に朝食の支度を始め食べるのは8時頃、10時に昼食の仕度を始め食べるのは11時頃、夕食の支度は6時から始めて食べるのは7時頃。ガスコンロも持っていますが、基本的には費用がかからない薪で料理をします。薪を集めるのはボイさんの仕事。月に2~3回、仕事の後に薪集めをします。メリエンダ※2 は毎日は食べませんが、食べる時はインスタントコーヒーとパンを食べることが多いです。
※2 フィリピンでは一般的に朝食と昼食の間の「モーニングメリエンダ」と、昼食と夕食の間の「アフタヌーンメリエンダ」と呼ばれているおやつを食べる習慣がありますます。
モリンガ※3 、ナス、カボチャといった野菜は自給しており、買っている食材はお米、トウモロコシ、魚(生・干し魚)、調味料、トマト、玉ねぎ、ニンニクなど。豚肉は滅多に食べず、誕生日やお客さんが来た時には自分たちで飼っている鶏を絞めて食べます。
※3モリンガはワサビノキ属であり、東南アジアでは果物、葉が野菜やスパイスなどに用いられています。
日曜日は家族全員で教会に行き、帰りにトゥロ・トゥロ(Turo Turo)※5と呼ばれている大衆食堂でご飯を食べます。トゥロはタガログ語で「指さす」を意味しています。トゥロ・トゥロにはメニューがなく、自分が食べたい料理を指さして頼みます。「トゥロ・トゥロではおかずが1品25ペソ程度、ご飯が10ペソでトウモロコシは6ペソ。」マンフヨッド町にはマクドナルド、ジョリビー、チョウキン※4 といったファーストフード店がなく、ドマゲッティ市などにでかけた際にはファーストフード店で食事をすることもあるとのこと。
※4ジョリビーはフィリピンで有名なハンバーガーショップ、チョウキンは中華料理店。
※5出来合いのおかずを何品か並べておいてそこから注文を取る食堂。
家族皆の好物はギナタアン。これはカボチャ、モリンガ、モンゴ豆などを水とココナッツミルで煮詰める、フィリピンでは一般的な料理の1つ。ココナッツミルクを入れることで料理がクリーミーになり、風味も増します。ココナッツミルクはフィリピンでは一般的な調味料です。
ボイさん・アナさん一家の場合、ココナッツミルクは畑に植えているココナッツから作ります。まずはココナッツの実の内側の白い果肉部分を細かくおろし、水を加え果肉を搾ります。そうすると水が白くなり、それがココナッツミルクです。ココナッツの果肉を細かくおろす作業は力仕事なので、基本的には男性の仕事。近所に住んでいる甥などが手伝います。アナさんの兄弟は近くに住んでいるため、料理の準備を手伝い、一緒に食事をします。
今後もボイ・アナさん一家の様々な物語を、Webサイトを通して発信していきますので、ご期待ください!また、ボイさん・アナさんについて知りたいことやメッセージなどがありましたら、以下のアンケートにぜひご記入ください!(日本語で大丈夫です)。
皆さまからのメッセージはATJ/ATCスタッフからボイさん・アナさんにお届けします!!
フィリピン駐在員 黒岩竜太
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【バナナニュース234号】ボイさん・アナさん一家の物語② ~「生産者のために」ボイ・アナ夫婦の仕事~
皆からボイさんと呼ばれている東ネグロス州マンフヨッド町ロウア・カンダボン村のバランゴンバナナ生産者兼オルター・トレード社(ATC)のスタッフであるロッドジム・カトゥバイさんとパートナーのアナ・カトゥバイさん。ボイさんは1994年からはATC現場スタッフとして働き、アナさんも2003年からATC現場スタッフとして働いています。
ボイさんは現場スタッフとして2002年12月に品質向上及び出荷数量に貢献したと評価されてATCから感謝状が贈られ、さらに、2013年7月に行われたATC25周年式典では最優秀フィールド・ワーカー賞を受賞。2つの賞を受賞したのはボイさんですが、「アナがいなければ賞を受賞することはできなかった」と語ってくれました。
現場スタッフとして特に大変だったのは2002年、ATCがバランゴンバナナの品質改善と出荷量向上のために手入れ作業を導入した頃。今までバランゴンバナナの手入れ作業を行っていなかった生産者に対して、袋がけ・タグ付け、脇芽管理、病気にかかった葉っぱの除去などといった手入れ作業の技術が紹介されました。
「生産者が手入れ作業を実施するために、
まずは手入れ作業をすることの効果を実証する必要があった。」とボイさんは当時を振り返りました。手入れ作業の効果を実証するために、試験農園を作った2人。「試験農園には週に3日通い、バランゴンバナナの手入れ作業をした。私が袋掛けやタグ付け、アナが除草や病気になった葉っぱの除去などを担当した。」
また、バランゴンバナナの生産者の中には読み書きが十分に行えない人も多く、中には色の違いが覚えられない生産者もいました。記録の取り方から手入れ作業の具体的な方法、どの色のタグをいつ付けて、それがいつ頃収穫期を迎えるのかなどといったことを、生産者が理解して、実践できるようになるまで、ボイさん・アナさんは生産者を指導・サポートし続けました。
現場スタッフとして様々な困難に直面しているボイさん・アナさん。しかし、アナさんは「現場スタッフの仕事を続けることで、娘が大学を卒業できたことはとても嬉しい」と話してくれました。また、ボイさんはATC現場スタッフとして働くことで、いろいろなことを学ぶことができたと言います。ボイさんは、ミンダナオ島やネグロス島各地で行われたスタッフ向けの様々な研修ツアーに参加しました。小学校しか卒業してないボイさん。「以前は何も考えずに野菜を栽培していた。有機農業について、すべてATCで働くようになってから学んだ」。研修ツアーなどで学んだ技術を、地域で活用できる資源を使いながら実践している2人。有畜複合農業に取り組んでいるボイさん・アナさんの実践は地域のモデルとなっています。
最優秀フィールド・ワーカー賞を受賞したことに当初は驚いていた2人ですが、「この賞を受賞したということは、フィールド・ワーカーとして一番高い位置にいるということ。これからもベスト・オブ・ザ・ベストを目指す」と頼もしく話してくれました。
向上心を忘れずに、ひたむきに生産者と向き合い続けている2人。今後も2人の様々な物語を、Webサイトを通して発信していきますので、ご期待ください!また、2人について知りたいこと、ボイさん・アナさんに対してのメッセージなどがありましたら、以下のアンケートにご協力ください!
皆さまからのメッセージはATJ/ATCスタッフがボイさん・アナさんにお届けします!!
フィリピン駐在員 黒岩
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【バナナニュース232号】台風の後、豚と野菜で生活をつなぎました。 ~ホノラト・アグスティノさん、パナイ島カーレス町~
ホノラト・アグスティノさん(62歳)は、パナイ島でプロジェクトが始まった1990年代からずっとバランゴンバナナを栽培しています。5人の子供のうち2人は失くしてしまいましたが、3人の子どもたち全員に、大学教育まで受けさせることができました。末の子が今大学生です。
最初は、1本5ペソでバナナの苗を買って植えるところから始めました。昨年の超大型台風ヨランダの前には、バランゴンバナナからの収入は1800ペソ/月(約3600円)程度ありました。一番収入が多いココナッツからは100ペソ/日、その他野菜などから20~25ペソ/日の収入がありましたので、農産物からの現金収入のうちバランゴンバナナは3割ぐらいになっていました。他に、米や野菜は自給ができており、豚を4頭飼育していました。
台風で農産物は被害を受け、その後の乾季で水不足のために生育不良に見舞われました。仕方なくまだ小さかった豚を2頭売って、米や生活必需品を買い生活をつなぎました。台風の後は短期間で収穫できる野菜の種を蒔き、自給用と少しばかりの現金収入を得られるようになりました。日本からの支援で、100本のバランゴンを植え、合計120本のバランゴンを育てています。1年後の収穫に期待しています。これらのバランゴンバナナで何とか台風前の生活水準を取り戻したいと願っています。
ネグロス東州、ホマイホマイ村の子供たちは 新しい教室で勉強を始めています。【231号】
2012 年2 月に発生したネグロス東州の地震から2 年が過ぎました。皆様からいただきました支援金は、緊急救援、そしてホ
マイホマイ村の子供たちが学ぶ校舎を安全な場所に建て直すことに使わせていただきました。
地方行政との協力で2013 年3 月には2つの教室が完成し、その後、幼稚園児のための教室が増設され、トイレや電気・水道関係の設備などが整えられていきました。さらに、同じ敷地のなかに村役場やクリニックが建てられました。
一方、地震の後2012 年5 月、ATC はホマイホマイ村の人々と、地震後の復興について話し合いを行いました。村の状況調査や村人の聞き取りを行い、バランゴンバナナ民衆交易プロジェクトをやっていきたいという村人の意志が確認されました。
2012 年11 月には、20 人の生産者とともにバナナの苗床をつくり、1900 本のバナナの株をつくり、植え付けました。その成果として、2013 年11 月の台風ヨランダの前までは、隔週で8000 本(約650房)のバナナを収穫できました。台風ヨランダの影響でバナナの葉がボロボロになるなどの被害があり、収量は3000~5000 本に減ってしまいました。現在は、少しずつ回復に向かっています。
台風30号(ヨランダ)被害からの 総合的な復興をめざして頑張っています~ネグロス島~【230号】
昨年11月にフィリピンを襲った台風ヨランダは、ネグロスのバランゴン生産者にも被害をもたらしました。風でバナナの葉が裂けたり、ストレスで生育に支障が発生しています。ネグロス島は土壌も肥沃ではなく、バナナも小ぶりです。まずは出荷に合格する品質にするために、早急な対策をとり、生産者の収入とバナナの出荷数量を取り戻す必要があります。
台風の被害を受けた生産者たちは、昨年中は倒れたバナナの片付けなどを行いましたが、それだけではバランゴンバナナの復興とはなりません。
今年1月、生産者たちはATC(オルター・トレード社)担当者との話し合いをして、ネグロス西州で19035本、東州で15070本のバランゴンバナナに、有機肥料を施すプロジェクトを実施することにしました。ネグロス西州DSB-コマリスキス地域では2月に入ると早々に有機肥料の原料として鶏糞やサトウキビの搾りかすが運び込まれました。2月20日には日本からの支援でシュレダーが配置されました。バナナの茎や木々など地域の残渣を細かく粉砕して、鶏糞などと混ぜて有機肥料をつくります。24日には隣接するスパー14地域も含めて有機肥料プロジェクトを開始しました。西州のパタグでは地域内にある家畜の糞など有機物を集めての有機肥料づくりが行われています。西州で影響のあった他の産地や東州のマンフヨッド町にある2カ所の産地で同様のプロジェクトが進められています。
大型台風がバランゴンバナナ産地に上陸~ネグロス島及びミンダナオ島北部の被害状況~【216号】
昨年(2012年)の12 月初旬に大型の台風24 号(フィリピン名:Pablo(パブロ))がフィリピンに上陸し、多大な被害を与えました。この台風の影響により540 万人以上が被災し、1000 人以上の人が亡くなりました。
また、気象当局によると、台風24 号の中心付近の最大風速は35m/s、最大瞬間風速は50m/s であり、被害総額は約370 億ペソ(約740 億円)、農業部門への被害総額は約265 億ペソ(約530 億円)に登ります。
幸い、バランゴンバナナの関係者に犠牲者が出たという報告はありませんでしたが、台風が上陸したネグロス島及びミンダナオ島北部ではバランゴンバナナの畑に大きな被害がありました。被害が大きかった産地では、その地域全体の80~90%のバナナが強風によって倒されてしまいました。
今後オルタートレード社は、バランゴンバナナに被害があった生産者を対象に、新たなバナナの作付けの支援などを行っていく予定です。収量の回復には8~10 ヶ月かかる見込みです。
今後、台風の影響による収量不足により、供給面でご迷惑をおかけしますが、回復へ向け努力をしておりますので、今後ともバランゴンバナナをよろしくお願い致します。