カテゴリー: レポート(オリーブオイル)
オリーブオイル
ガザ攻撃に対するUAWCからの緊急の呼びかけ
[box type=”shadow”]ガザへの攻撃は厳しさを増しており、攻撃による死亡者が700名(7月24日時点)を超えるという事態となっています。この状況に対してATJのパレスチナのオリーブオイルの生産者団体の一つである、UAWC(パレスチナ農業開発センター)より、緊急の呼びかけが行われました。悲しいことにUAWCのスタッフの家族等の犠牲も出ています。ATJとしても、今後イスラエル大使館への要請、現地への支援等を行う予定です。
UAWCからの緊急の呼びかけ(英語)[/box]
UAWCからの緊急の呼びかけ(日本語翻訳)
2014年7月21日
家族を救うために… 自由を勝ち取るための戦いへの参加を!
イスラエル占領軍は15日間に渡り、ガザ地区への残虐で非人道的な軍事攻撃を続けています。さらにイスラエルは、「集団懲罰」の方針を貫いており、戦時下における一般市民の保護を保証することを謳った国際法ならびに人道法を無視し、違反しているのです。イスラエル軍はガザ地区のあらゆる場所に対して陸海空からの攻撃の手を緩めず、家屋や礼拝所(モスク)といった建物の破壊にとどまらず、多くの民間人に死傷者が出る大惨事を引き起こしています。
7月21日時点で、509人のパレスチナ人が殺害され、3,150人が負傷しました。ラファ(※注:エジプト国境の検問所があるところ)に住むSyamさん一家は、家が爆撃されたことで、少なくとも9人が一夜にして死亡し、その中には12歳と8歳の子どもに加え、赤ちゃんもいたのです。連日このような状態で、一日前に発表された「112人の子どもが死亡」という報道も、既に過ぎ去ったことになってしまいます。
老若男女を問わず、家の中にいることもままならず、かといって路地に出ればイスラエルによる激しい無差別爆撃にさらされます。語られるべき痛ましい話は、枚挙に暇がありません。病院は、既に飽和状態。国連の人道問題調整事務所(OCHA)によると、ガザ地区の43%はイスラエル軍による撤退勧告がなされており、もはや「行くべきところは無い」と宣告されているに等しいのです。また、OCHAの最新の報告では、パレスチナ人死亡者のうち、72-80%は民間人と言われています。
10万人近いパレスチナ人は住む場所を追われ、そのうちの84,000人は61ヶ所の国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)学校へ身を寄せています。少なくとも90万人の人々は、インフラ修理が追い付いていないために、飲み水が確保できていない状況です。
7月16日には、イスラエル軍は、ガザ市の浜辺で遊んでいた10才-11才の4人の子供たちを殺害しました。子供の生命がないがしろにされているのです。
また、7月20日の夜には、UAWCガザ事務所の同僚であるSaad Ziadaさんの家族6名が死亡した、という報告がありました。イスラエルのロケットが彼らの家に直撃し、Saadさんは彼の大切な家族を失ったのです。これは、その時に彼が送ってきたメッセージです。
「我々は、この愛すべき故郷、パレスチナの地が勝利と解放に向かっている道の途中にいる。私の家族は、Al Falujaから住むところを追われてきた難民である。私は、このパレスチナの地のために犠牲となった6人の家族 ― 最愛の母(Um Jamil)、兄Jamil(Abu Shaaban)とその妻(Um Shaaban)、その息子(Shaaban)、もう一人の兄Yousef(Abu Wadih)、そして弟のOmar(Abu Abdullah) ― の命を、送り届ける。不滅の天国へ・・・・。そして、我々は必ず勝利を得る。」
皆様がこの文章を読んでいる間にも、我々パレスチナ人が絶えず死に至っているということを、どうか思い出して下さい。
UAWCは、以下のことを至急呼びかけています。
– 国際社会の沈黙を打破し、パレスチナ人を守るための動きを直ちに開始すること。
– 国内外の社会運動団体や活動家達が、イスラエルに対し、「戦時における文民の保護に関する1949年8月12日のジュネーヴ条約(第四条約)」ならびに関連する国際法や条約の遵守を促すための圧力をかけること。
– 国際社会や人権団体が、パレスチナ市民に対するイスラエルの攻撃を取り止めさせるための動きを強めること。
– 国際社会が、イスラエルの加害者に国際司法を執行し、長年続いている占領の終わりを求めるよう、直ちに行動を起こすこと。
どうか、今すぐ行動を起こして下さい。
イスラエル大使館への行政拘禁に対する嘆願書についてのご報告
ハンガーストライキを行っているパレスチナ行政拘禁者の即時の釈放を求める嘆願書はATJに関連する団体の組合員、会員を含め合計で230万人の日本の消費者からの声としてイスラエル大使館に届けることができました。この嘆願書につきましては、6月23日に書留郵便を投函し、6月24日にはファクシミリでイスラエル大使館に届けました。しかし、大変残念なことに書留郵便で送付した嘆願書は、イスラエル大使館が最終的に受け取らず、郵便局での保管期限が切れたためにATJに返送されてきました。
ATJのパレスチナオリーブオイル輸出団体である、パレスチナ農業開発センター(以下UAWC)の財務担当のファラージさんを含む行政拘禁に反対した人々の現状につきましては、7月3日にハンガーストライキが中止されたことをUAWCと確認しました。一方で、この時点ではファラージさん、その他のハンガーストライキ参加者の状況についてUAWCも把握できない状況にありました。しかし、最終的には7月22日にファラージさんの無事を確認することができました。
ハンガーストライキが中止された時にUAWCから日本の皆さんに届いたメッセージを以下にご紹介します。
「報告の通りファラージさんを含むパレスチナの行政拘禁された人々のハンガーストライキについては中止されました。しかし、イスラエルの行政拘禁は現在も続いており、現状は何も変わっていません。そして、パレスチナでは、オリーブの木が焼かれたり抜き取られるというパレスチナ農民への嫌がらせは、これまでも、そして現在も相変わらず多発しています。」
「日本からのパレスチナの人々に対する継続的な支援に感謝しています。日本の消費者とパレスチナのオリーブ生産者や関係者が、お互いによりそれぞれの状況を理解しあえる関係ができれば、今回のハンガーストライキのことなどについても皆さんによりご理解いただけると思っています。また、そうした顔と顔の見える関係は、パレスチナの生産者たちにとっても力になり、日本の皆さんにとってもまた違った側面からパレスチナの状況をご理解していただけると考えております。」
なお、今回の行政拘禁を巡る動きについては、以下にまとめましたのでご参照ください。
最後に、ご存知の通り、現在ガザ空爆が行われています。ATJは国内NGOとともに、イスラエル大使館に対し軍事攻撃の即刻停止と市民の保護を求める要請書を7月15日に送りました、パレスチナは予断を許さない状況にあります。ATJは今後も、継続してこの状況についてお知らせします。
[box type=”shadow”]この間の経過:
2月25日UAWCの財務担当であるファラージさんが行政拘禁制度により拘束されました。
4月30日よりファラージさんが行政拘禁制度に反対して、他の拘禁者とともにハンガーストライキに入りました。
5月29日 UAWCから緊急アピールが関係団体に出される。行政拘禁され、その他の行政拘禁された人々とともに、4月末よりハンガーストライキを行い健康状態についても危険な状況になっており、この状況に関して多くの人々に対して伝えて欲しいとの内容でした。。
ATJでは、この状況をオリーブオイルでつながっている日本の消費者の皆様に情報を共有するため、WEB、フェイスブック、ツイッター等で情報を発信し、関係団体の方々には、メール等で状況のご連絡を致しました。UAWCに対しては、ATJから6月6日に連帯のメッセージを送り、日本からの連帯の意思表示を行いました。
6月7日、国連のパンギムン事務総長から、行政拘禁された人々のハンガーストライキによる体調の悪化に関して、声明が出されました。
その後のUAWC、その他メディアから、ハンガーストライキを行っている拘禁者の体調が悪化し、声明の危機にさらされており、胃腸内の出血、吐血、心拍数の減少して意識を失っている方もおり、また病院に搬送された拘禁者は、ベッドに縛り付けられ、夜間トイレ行くことさえ禁じられているなどの状況報告がありました。
6月13日 国際的な人権団体である、Amnesty Internationalが、ファラージさんを始めとするハンガーストライキを行っている行政拘禁者の健康状態の悪化に対して緊急行動を呼びかけました。イスラエル政府、イスラエル監獄局、各国の大使館に対して、抗議の手紙を送ることを呼びかけました。ATJでもこの活動をWEB等でも紹介しました。6月18日には、Amnesty日本でもこの緊急行動が日本語に翻訳されて呼びかけが行われました。
6月23日 ATJではこの状況に対して関係団体に呼びかけを行い、行政拘禁者の即時釈放を求めた嘆願書を作成しイスラエル大使館に書留にて送りました。24日には、この嘆願書をファクシミリでも送付いたしました。この嘆願書には、パレスチナのオリーブオイルでつながった約230万世帯の消費者が。現在行われているパレスチナの行政拘禁者等が行っているハンガーストライキで生命の危機に陥っている状況を深く憂慮していることを伝え、命を守る見地から、行政拘禁者の即時釈放を嘆願する内容で送っています。書留で送った嘆願書に関しては。配達を行いましたが、一旦郵便局に持ち帰られ、イスラエル大使館よりATJに対して送られた書留の内容についての問い合わせがあり、嘆願書の内容を説明しました。その後イスラエル大使館では、その書留を受け取らず、最終的には、郵便局より保管期間が過ぎたためにATJに7月4日に返送されました。
6月25日 ハンガーストライキが中止になったとの報道が流れました。
7月3日 UAWCから被行政拘禁者のハンガーストライキが中止になった旨の報告が入りました。
7月22日 UAWCから、ファラージさんの妻経由でファラージさんの無事を確認。
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14/7/23 パレスチナ現状報告(UAWCからの聞き取り)
オルター・トレード・ジャパン(ATJ)ではパレスチナ農民の作ったオリーブ・オイルを民衆交易品として輸入しております。このオリーブオイル生産者を支援する農民支援組織UAWCから聞き取った現地の状況をお伝えします。
現在、パレスチナに関する日本及び海外メディアの報道は、イスラエル軍のガザへの侵攻が中心となっております。この間ATJとしても憂慮してきたファラージ氏をはじめとする被行政拘禁者のことは、全く報道されなくなりました(行政拘禁とは裁判なしに拘禁されるもので、民主主義と相容れないとして世界から批判の対象となっています)。
昨日(14/7/22)UAWCと連絡を取ったところ、ファラージ氏の妻経由で、ファラージ氏は無事であることが知らされたそうです。しかしながら、彼の拘禁期限は8月21日とされていますが、それが延長されてしまう可能性があるとのこと。また、UAWCとしても、ファラージ氏のご家族や弁護人が直接彼にコンタクトを取ることができたのかどうか定かではなく、依然として状況は不確かなままとなっています。一つだけ言えることは、イスラエル政府側は、行政拘禁という人権を無視した制度について一切変える意志がない、ということです。
なお、日本でも連日報道されていますが、イスラエル軍のガザ地区への空爆や侵攻、およびハマスとの交戦は、日々凄惨な結果を積み上げています。
Palestinian Center for Human Rightsによると、7月8日~23日の間に、ガザ地区内で600人以上の人が殺され、4,000人以上の負傷者が出ています。死者のうち、少なくとも161人(全体のほぼ1/4)は子どもです。負傷者についても、1,213人が子ども、698人が女性、161人が老人であり、この交戦によって多大な被害を被っているのは、過半数が民間人であることに疑いの余地はありません。(http://www.imemc.org/article/68429)
そのような中、現在のヨルダン川西岸地区について聞いたところ、今は比較的落ち着いた状況だそうです。とはいえ、現在のイスラエルとガザの交戦のきっかけの一つとなった3人のユダヤ人入植者誘拐殺人事件、及びその後発生した1人のパレスチナ人誘拐殺人事件の際は、エルサレム周辺も非常に緊張感が走ったとのこと。特に、イスラム教徒にとって重要な「断食月」に発生したこと、また、「火葬」を忌み嫌うイスラム文化の中で生きたまま火を付けて殺されたことは、ヨルダン川西岸地区に住む多くのイスラム教徒に対する侮辱と捉えられたようです。
オリーブオイルの生産者の中には、近くにユダヤ人入植地が作られた環境下で暮らす人も大勢います。彼らの状況についても、「入植者との間の大きな衝突などは発生していない」とのこと。しかし話を聞いてみると、「日常の範囲」内での衝突や入植者によるオリーブの引き抜きなどは依然として発生しており、我々が考える「日常」とは、そもそもの常識が大きく異なることを感じました。
また、UAWCは、ガザ地区にも事務所があります。そちらの状況については、報道されている以上に凄惨な様子です。大変悲しいことに、UAWCガザ事務所職員のご家族についても、少なくとも8名が、今回のイスラエル軍の空爆及び侵攻の結果、命を落としたそうです。このように考えると、ガザ地区の出来事は決して他人事ではありません。
ATJでは、引き続きファラージ氏の状況、及びパレスチナの情報を追って参ります。ご注目をお願いいたします。
7.21 NGO緊急集会とキャンドル・アクション STOP! 空爆 ~ガザの命を守りたい~ 是非ご参加ください
7.21 NGO緊急集会とキャンドル・アクション
STOP! 空爆 ~ガザの命を守りたい~
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7月8日から始まったイスラエルによるガザへの軍事攻撃によって、死傷者の数は増え続けています。イスラエル軍は人口密集地への空爆などを繰り返し、多くの女性、子どもが犠牲となっています。一方、パレスチナ武装勢力も応戦し、イスラエルに向けてロケット弾を無差別に発射しています。一般市民を意図的に標的にする行為は戦争犯罪であり、絶対に許されることではありません。さらに16日、イスラエル軍はガザ北部住民に避難勧告を出し、空爆を強化する姿勢を見せています。
7月21日に、開発支援、人権、フェアトレード、宗教交流など、さまざまな形でパレスチナに関わる市民団体が結集し、市民を巻き込む無差別攻撃を直ちに停止するよう訴えます。また、パレスチナ、イスラエル双方で犠牲になったすべての人びとへの哀悼の意を表し、キャンドル・アクションを実施します。
日 時:2014年7月21日(月・祝日) 18:30開始(18:00受付)~ 20:00終了
場 所:明治公園 仮設ステージ
JR中央線「千駄ヶ谷」下車 徒歩5分
都営地下鉄大江戸線「国立競技場」(E25)下車 徒歩2分
http://www.tokyo-park.or.jp/park/format/access086.html
※当日、公園内に誘導スタッフを配置します。
※少雨の場合も集会は決行します。
参加費:500円
【内容】 若干の変更の可能性あり。
・ガザからの訴え/日本からガザへのメッセージ
・多様な宗教界からの連帯と哀悼の祈り
・ キャンドルを使った人文字でのメッセージ
【主催団体】 (順不同)
ヒューマンライツ・ナウ/アーユス仏教国際協力ネットワーク/アムネスティ・インターナショナル日本/パレスチナ子どものキャンペーン/ピースボート/セーブ・ザ・オリーブ/パレスチナの子どもの里親運動/パレスチナの平和を考える会/APLA/日本国際ボランティアセンター(JVC)/国境なき子どもたち(KnK)/サラーム・パレスチナ/パレスチナ・オリーブ/オルター・トレード・ジャパン/APLA
ガザ攻撃の即刻停止を求める要請をイスラエル大使館に提出しました
現在行われているガザ攻撃に対して、ATJでは日本のNGO10団体とともに、イスラエル大使館に対して「無差別攻撃の即時停止と市民の保護を求める」要請を出しました。
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2014年7月15日
駐日イスラエル大使 ルツ・カハノフ殿
ガザ地区に対する無差別攻撃の即刻停止と国際人道法に則った市民の保護を強く求めます
私たち、日本を拠点とするNGOは、7月8日からイスラエル軍が開始したガザへの軍事攻撃において、民間人の死傷者が増え続けている状況を深く懸念しています。
ユダヤ人入植者3名の遺体がパレスチナヨルダン川西岸地区で発見され、それへの報復としてパレスチナ人少年が拷問の末に殺された事件に端を発した今回のガザ攻撃について、現地の人権NGOによると、7月14日までに209軒の民家が破壊され、137人の市民が死亡し、そのうち少なくとも34人が子ども、28人が女性であるとのことです。また、1,058人が怪我をしており、その殆どが一般市民で、332人の子ども、212人の女性が犠牲となっています。
私たち日本を拠点とするNGOは、イスラエル・パレスチナ双方による一連の暴力と無差別攻撃に抗議します。特にイスラエル政府に対しては、人口密集中地への空爆など罪のない民間人を犠牲にするガザへの軍事攻撃を即刻停止することを要請します。民家を攻撃することは戦争犯罪であり、どのような状況においても絶対的に許される行為ではありません。イスラエル政府に対し、国際人権・人道法に基づきガザの民間人を保護することを強く求めます。
長年にわたって、私たちはイスラエル・パレスチナ双方への停戦を求め、市民を紛争の被害から守るよう呼びかけてきました。しかし、停戦合意はいつも一時的なものに終わり、私たちは繰り返し、罪のない市民がガザ社会を再構築できるように支援を続けて来なければなりませんでした。また、これまでの紛争における双方の重大な国際人権法および人道法違反行為についても、正義はほとんど実現していません。
2008年12月から2009年1月のガザ空爆・侵攻で多大なパレスチナ民間人が犠牲になったにも関わらず、イスラエルの人権侵害の責任は問われず、ガザの人々の生活は脅かされてきました。一方でイスラエルへのガザからの応戦も繰り返され、イスラエル市民の生活も脅かされてきました。
今回も私たちは市民を犠牲にする軍事攻撃の即刻停止と市民の保護を求めます。そして、医薬品・食糧など人道物資および人道支援団体が遅滞なくガザに入ることを認めるよう要請します。
特定非営利活動法人ヒューマンライツナウ 特定非営利活動法人アーユス仏教国際協力ネットワーク 公益社団法人アムネスティ・インターナショナル日本 特定非営利活動法人パレスチナこどものキャンペーン ピースボート セーブ・ザ・オリーブ 特定非営利活動法人パレスチナの子どもの里親運動 パレスチナの平和を考える会 株式会社オルター・トレード・ジャパン 特定非営利活動法人APLA 特定非営利活動法人日本国際ボランティアセンター(JVC)[/box]
ファラージさんがハンガーストライキを中止した模様です
6月24日に、UAWCより、イスラエルによる行政拘禁に対して抗議をするためのハンガーストライキを行っていた被拘禁者125名が、ハンガーストライキを中止したという連絡がありました。海外のメディア情報では、ハンガーストライキを中止した中には、UAWCの財務・会計担当のファラージさんも含まれているとのことです。
現時点では、UAWCでもその後の状況が十分に把握しきれていないようです。そのため、ハンガーストライキを行った人々がどのような状況になっているのか、確かなことがわかっておりません。行政拘禁とそれに対する今回のハンガーストライキの件については、日本では一切の報道がなされておらず、情報を入手する手段も限られております。まずは海外メディア等でATJで調べた内容をまとめさせて頂きます。
1)ハンガーストライキの中止について
・ 複数の記事を集約すると、6月24日の時点で、大規模なハンガーストライキは中止になったとのことです(※1~※4など)。そのうちの75名は、刑務所に戻れる状態に回復するまで、病院で水やサプリメントなどの摂取をしながら、手当てを受けているとのことです(※5)。
・ ストライキの中止に至る過程で、パレスチナの被拘禁者側とイスラエル監獄局側との間で、何らかの話し合いの場が持たれたようです(※1、2など)。その内容や結果については、「追って公表される」という記事がありますが、現時点で詳細な報告は見当たりません。
※ 一部の記事では、パレスチナ側から、拘禁の無期限延長を止めることや、正式な裁判等の手続きを踏むべきであることなどを盛り込んだ要望書が提出されたと書かれており、ファラージさんもそこに署名をしたという記述があります(※1)。
※ パレスチナ側からのコメントでは「イスラエル監獄局側との話し合いにより、一定の譲歩が引き出せたこと」が、ストライキの中止につながった、と書かれています(※1、6)。
※ 一方、イスラエル側からは「一切の合意はなされていない」というコメントが出されています(※4、7)。
※ 結果的に、どのような結論と経緯の下でストライキの中止に至ったのか、現時点では明らかではありません。
2)イスラエルの行政拘禁について
行政拘禁という制度そのものへの抗議としても行われたハンガーストライキでしたが、イスラエル側のコメントとしては、「行政拘禁という制度について、その信念や内容を変更する意志は無い」と、明確に出されています(※4、7)。
なお、6月12日に行方不明となった3人のイスラエル人入植者が6月30日に遺体となって発見されましたが、この件については日本でも報道がなされております。
イスラエルのネタニヤフ首相は、この誘拐事件を「ハマスによるもの」と断定し、イスラエル軍は犯人検挙のための捜査を続けてきました。その過程の中で、少なくとも6月12日以降で167人に対して行政拘禁令が適用され、7月2日時点での被行政拘禁者の数は364人と言われています(※8、9)。
このことからもわかる通り、ハンガーストライキ開始以降も、またハンスト中止という報道があった以降も、イスラエルは行政拘禁制度の行使を続けております。
UAWCからも、「行政拘禁を廃止するためのキャンペーンは、まだ続いている」という連絡がありました。ATJでは、UAWCと連絡を取りながらファラージさんの状況等含め引き続きパレスチナ状況について発信して参ります。
【参考websiteなど】
International Middle East Media Center (IMEMC)
Haaretz
Palestinian Prisoner Solidarity Network
Aljazeera
(※1) http://www.imemc.org/article/68227
(※2) http://www.haaretz.com/news/diplomacy-defense/1.601002
(※3) http://www.aljazeera.com/news/middleeast/2014/06/palestinian-prisoners-end-mass-hunger-strike-201462501236249478.html
(※4) http://www.reuters.com/article/2014/06/25/us-palestinian-israel-prisoners-idUSKBN0F00DS20140625
(※5)http://www.nytimes.com/2014/06/26/world/middleeast/palestinian-detainees-suspend-hunger-strike-in-israel.html?_r=0
(※6)http://www.irishtimes.com/news/world/middle-east/palestinian-prisoners-in-israeli-jails-end-hunger-strike-1.1845193
(※7)http://www.imemc.org/article/68231
(※8)http://www.haaretz.com/news/diplomacy-defense/.premium-1.600480
(※9)http://www.imemc.org/article/68296
パレスチナの行政拘禁された人々のハンガーストライキに大きな動きがありました
海外メディアで、行政拘禁者のハンガーストライキが終了したとの報道が出ています。
この状況の確認をとるため、UAWCに連絡を入れたところ、
「6月24日にハンガーストライキは終了した模様」
「詳細に関しては、現在確認中」
「UAWCは、ファラージさんを始めとした行政拘禁された人々のハンガーストライキを国内、世界の人々が支援をして頂いたことに敬意を表している」
「まだ、行政拘禁制度を止めるためのキャンペーンは継続している」
との返答がありました。ファラージさんの状況については把握できていません。
現時点では、各メディアにより、報道される情報も違いがあるために、今後情報を確認しながら随時皆様に状況をお知らせいたします。
以下 6月25日付 ニューヨークタイムス(The International New York Times)の記事にこの間の動きについて書かれていますので抄訳してお伝え致します。
★6月24日、75人の被拘禁ハンスト者全員が、ストライキに参加したことに対する懲罰や罰金は科されないという約束を取り付けハンガーストライキを止めることを合意した。また、行政拘禁そのものに対する対話は引き続き行われる。
★イスラエル監獄局のスポークスマンは、「ハンガーストライキを行った75人は現在病院で、監獄に戻られる状態になるまでは、水とサプリメントを摂取している」と述べている。
★ネタニヤフ首相は、イスラエル監獄局や保安当局の努力によってハンストが止まったことに対し、賞賛の声。また、イスラエルは、今後のストライキを起こさないようにするために、新しい方策を考えていくことを付け加えた。
★被行政拘禁者とイスラエルとの対話を通してハンストは終了したが、双方共に折れなかった。
★イスラエルは、ハンスト者の中に死者が出ることで、囚人やそれを超えた規模での騒動が起きることを恐れている。
ファラージさん、行政拘禁された人々に対してアムネスティから緊急アクションの呼びかけ
6月13日に国際的な人権団体であるAmnesty International(アムネスティインターナショナル)から、ファラージさんをはじめとする行政拘禁されている人々のハンガーストライキによる健康状態の悪化に対して緊急行動を世界的に呼びかけています。アムネスティ日本でも6月18日WEBにこの情報が日本語で掲載されました。
イスラエル政府と、イスラエル監獄局、イスラエル大使館に対して、抗議の手紙を送る運動を呼びかけています。アムネスティ日本のWEBにも、抗議文の文案が掲載されており、その文案に宛先を付けて、送信者のサインを入れて、郵便、ファクシミリ、Eメールで送ることができます。
是非、アムネスティ日本、アムネスティインターナショナルの以下のWEBを参考にして頂き、抗議の手紙を送ってください。
*アムネスティ日本の緊急行動を呼びかけるサイト(日本語)
*Amnesty InternationalのURGENT ACTIONを呼びかけるサイト(英語)
父の願い (ファラージさんの息子の手記)
イスラエル政府により行政拘禁され、4月30日からその不当性を訴えるハンガーストライキに入ったパレスチナ農業開発センター(UAWC)ののアブドゥル・ラザック・ファラージさんの長男であるバジルさんが中東情勢を伝えるニュースサイトに寄稿した手記が、父であるファラージさん、そしてパレスチナの人たちが直面している状況について伝えています。
(原文はこちら→http://mondoweiss.net/2014/05/palestinian-resists-occupation.htmlこの中でファラージさんが自ら語る動画(英語・スペイン語字幕)も含まれます)。
抄訳した文章を是非お読みください。
[box type=”shadow”]バジル・アブドゥルラザック・ファラージ
2014年5月28日
多くの人は「語らない方がいいストーリーもある」と言うでしょう。私はもうそれには同意できません。特に“語られることのない”ストーリーを思い出すだけで引き起こされる痛み、苦しみ、そして喪失感を感じる時は……。パレスチナのストーリーは、占領体制の中で、希望と想像をかき立てる武器でもあるのです。
私は、私の家族のストーリーの1つを皆さんと共有したいと思います。私自身が多くを学び、そして今も学び続けているこのストーリーは、特別なものでも唯一のものでもありません。パレスチナで数多く生まれ続けているストーリーの一つであり、そしてまた、パレスチナの民衆の甦る力とその広大な命への愛を思い起こさせるものなのです。
行政拘禁の最長拘禁期間は6か月です。その拘禁期限を迎える日まで、あと1か月、2週間、1週間……。あと1日、2時間、1時間。心配と不安のあまり私たち家族の胸の鼓動は激しくなるばかりです。待合室に集まった皆の胸にあるのは、不安そして何とか無事であってほしいという希望だけ。そして弁護士から告げられる言葉。「あなたの父親の拘留期間はあと6か月間延長された。これが行政拘禁ということだよ」
私たちは何も知らされないままに、不安の中で待つことの繰り返し。それが行政拘禁です。あと6か月、あと4か月。そしてまた6か月、あと4か月、3か月……やっと釈放を迎え、私たちは抱き合いながら涙を止めることができません。しかしまた、ある夜中に突然連れ去られ、私たちは再び不安のなかで父の戻りを待ちわびる日々が始まるのです。
私の父であるアブドゥル・ラザック・ファラージは、UAWCの財務担当をしています。しかし、現在51歳である父は、これまでの人生のうちで通算14年の月日をイスラエルの拘置所で過ごしたことになります。拘禁者は、弁護士や家族に会うことも許されていないのです。私たち家族は、なぜ父が拘禁されるのか、どこにどのような状態で拘禁されているのか知るすべすらありません。
現在わかっているのは、起訴も裁判もないままに拘禁されるという非人道的な行政拘禁に抗議して、他の行政拘禁者と共に父もハンガーストライキに入っているということです。父がハンストを行うのは、今回が初めてではありません。2012年には24日間のハンストに参加しました。その時には、父が国際赤十字を通してやっとのことで送ってくれた手紙をいつも肌身離さず持ち歩いていました。内容は、私たち家族のことを気遣う手紙でした。
度重なる拘禁にもかかわらず、私たち家族のこと、パレスチナの若い世代のこと、パレスチナの将来のことを常に考えてくれています。私自身を含むパレスチナの若者が、父と同じ道を歩まないようにと常に願ってくれています。パレスチナには、行政拘禁やハンストで身体が弱くなっても、揺るがない決意と強さをもって闘っている人々がいるのです。彼らは、パレスチナの人々が真に生き続けるために、すべてを賭けているのです。
私自身がそんな父と直接話をすることができた時間というのはとても限られていますが、周りの人からは「あなたの父親は意志が固く、決して屈しない」というようなことをたびたび耳にします。父は家に戻っても、私たちには、父の人生のことや拘禁中のことなどは、あまり多くを語らず、静かに家族との再会の時間を楽しんでいるかのようです。彼の沈黙は、愛と記憶や経験、情熱、家族のことなど、失われたストーリーを呼び戻しているかのようです。
私の母は、自分の夫が連れ去られるのを7回以上も見てきました。イスラエルの占領によって家が襲撃されるのを見てきました。彼女は、そうした状況の中でも、私たち兄弟のよりよい生活や夢がかなうことを願いながら、何年にもわたり私たちを育ててくれました。私たちの両親の愛、そして絶えることのない闘いと犠牲について語りつくすことはできません。また私たち家族の物語として封印しておきたいこともあります。私は真実の愛と生きるための闘いについて、私の家族から学んできたのです。
長引く占領によって私たちに「生きること」を諦めさせようとするイスラエルの試みむなしく、私たちは「生きること」をこよなく愛しています。私たちは決して諦めてはいません。なぜならば、私たちは生きるに値するからです。私たちは人間らしく希望をもって生きていきたいと願っているからです。
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【パレスチナ ハンスト情報】 家族も弁護士も面会が許されていません!(UAWCからの報告)
6月11日現在も、ファラージ氏の家族は、面会を許されていません。
UAWCから、現在のハンガーストライキを行っている拘禁者(以下ハンスト拘禁者)の概況を以下の通り、皆さんにお知らせします。
80人近いハンスト拘禁者が、9つの民間の病院に収容されています。彼らは、定期的に恣意的な移動を強制されており、彼らの権利である弁護士による面会すら却下されています。それにより、イスラエル監獄局と今後交渉の可能性が残されるかもしれないのに。
Kaplan 病院の拘禁者からは、Addameer(パレスチナの人権擁護NGO)の弁護士に対し、「医者たちは、ハンスト拘禁者が意識を失った場合には強制的な栄養剤の投入 (Force-Feeding)を実施すると脅迫している」との報告があがってきています。医者たちが、「(ハンスト拘禁者を)縛り付けたうえで、同意をとらずに、鼻から食べ物を流し込む」と脅しをかけています。
パレスチナ人ハンスト拘禁者に対する強制的な栄養剤の投入を認める法案がイスラエル国会で議論されている最中に、こうした疑惑が浮上しています。このことは、パレスチナ人ハンスト拘禁者への拷問を制度化するという非常に危険な動きです。Force-Feedingは、国際法上も、世界医師会でも、憂慮されていることだからです。
ハンスト拘禁者の筋肉の状態は悪化しており、体脂肪はすっかり落ち、生命の危機にさらされていると警告されています。なかには、いつ心臓発作を起こすかわからないと医者に言われているハンスト拘禁者も出ています。また、胃腸内出血、吐血、極度の体重減少や心拍数の減少、血糖値の低下などによる意識不明となっている方もいます。
病院に移送されたハンスト拘禁者は、一日12時間は両手足をベッドに縛りつけられ、残りの12時間も片方の足を縛り付けられています。トイレに行くにも許可を取らなければならず、夜間はトイレの使用すら許可されていません。イスラエルの保健省からは、血流を保つために歩行などをするように奨励されているにもかかわらず、ハンスト拘禁者たちは一日中縛り付けられているために部屋のなかで歩くこともできない状況に置かれています。
病院及び拘置所内のクリニックの医療スタッフのひどい扱いについても証言があります。医者たちは、ハンスト拘禁者に投与するサプリメントの成分などを公表することを拒否しており、ハンスト拘禁者たちは、自らの意図に反してストライキを中断させられることにつながるサプリメントの投与を恐れています。ハンスト拘禁者の健康管理や、サプリメントやビタミン剤投与の助言をする役割の国際赤十字が不在なため、ハンスト拘禁者を放置してしまう状況を許してしまっています。
【パレスチナ ハンスト情報】 UAWCからの緊急アピールに対しATJより連帯メッセージを送りました
パレスチナのUAWCからの緊急アピールに対して、6月6日にATJでは連帯のメッセージをUAWCに送りました。
ATJからの連帯アピール抄訳
[box type=”shadow”]私たちは、10年間パレスチナのオリーブオイルを通して行っている、平和連帯の活動に誇りを持っています。緊急アピールで報告された、アブドゥル ラザック ファジャール氏に起こったことに関して非常にショックを受けました。
我々は、ファジャールさんを含む行政拘禁者のハンガーストライキの状況を懸念しています。我々はイスラエル政府の行っている非人道的な行政拘禁の制度を可能な限り早期に終わらせる必要があるという、あなた方のアピールに対して全面的に賛同します。
我々は、日本国内においても、この状況を出来る限り広める活動を行っていきます。
ATJはUAWCに連帯します。
2014年6月6日
株式会社オルター・トレード・ジャパン 代表取締役社長 上田誠
[/box]
UAWC カレッド代表からの返信
[box type=”shadow”]UAWCはATJの、ファラージ氏をはじめとしたハンガーストライキを行っている拘禁者の継続的な支援に対して深く感謝します。
ハンガーストライキを行っているこの戦いが勝利し、残忍な行政拘禁の制度が終了することを望んでいます。
UAWCは継続して、この状況に対しての情報をお送りします。この情報を日本の方々に継続してお伝え下さい。
2014年6月12日
UAWC 代表 カレッド ヒデミ
[/box]
パレスチナ行政拘禁者(UAWCのファラージ氏含む)ハンガーストライキ状況のご報告
ATJのパレスチナのオリーブオイルの生産者団体の一つである、UAWC(パレスチナ農業開発センター)*より、UAWCの財務担当をしているアブドゥル・ラザック・ファラージさんが、イスラエル政府により、不当に拘束(行政拘禁**)され、他の拘束された人々と一緒に4月30日からハンガーストライキに入り1ヶ月経過し厳しい健康状態にあることが緊急アピールとして届けられました。
UAWCからの緊急アピール(英語原本) (日本語版)
*UAWC(Union of Agricultural Work Committees)は、1986年に創設されたNGOです。パレスチナ自治区の農民の権利、土地、水等を守り、彼らの農業を支援することに加え、雇用の創出や女性の社会進出にも力を入れています。ヨルダン川西岸地区・ガザ地区を含め、16ヶ所の事務所で、総勢106人が働いています。2005年より、ATJにオリーブオイルを出荷している。(数字は2010年時点)
**行政拘禁とは、起訴や裁判といった法的手続きもなく拘禁を認める措置のことです。拘禁の理由は一切明らかにされません。拘禁期間も最長6ヶ月となっていますが、無制限に更新ができます。イスラエルによる行政拘禁は、1967年の占領以降継続的に行われており、国際的に強い非難を受けているものです。
日本国内では、このことがほとんど報道されていませんが、国連、ワシントンポスト、APF通信社などにおいて国際的に発信されています。
今年4月24日に90人あまりのパレスチナ人の行政拘禁者が、イスラエル政府の行政拘禁に抗議するハンガーストライキを始めました。
2月25日にUAWCのファラージ氏が逮捕されました。(以前4月25日とお知らせしておりましたが、2月25日の間違いでした)
4月30日にファラージ氏もハンガーストライキに加わりました。
5月28日に、生命の危機が発生しているファラージ氏を含む40人が病院に移送されました。
6月4日にUAWCは抗議デモを組織し、200~250人が集結しました。
6月7日に潘基文(パンギムン)国連事務総長が憂慮の声明を発表しました。
パレスチナ自治区内でも、抗議のデモなど、抗議行動が行われています。
ATJでは、この状況をより広く知らせるために、WEB、Facebook、Twitterでの発信を行い、また関係団体にも情報を伝達して、より広くこの状況を伝えるための対応を行っています。
この問題について世界中の人々が関心をもち、憂慮しており、日本でも情報が拡散していることをUAWCに知らせることがパレスチナ現地の人々にとって状況を変える大きな力となります。
ATJでは日本での動きを随時UAWCに伝えていきます。
パレスチナ オリーブオイル生産団体UAWCからの緊急声明
ATJのパレスチナのオリーブオイルの生産者団体の一つである、UAWC(パレスチナ農業開発センター)より、UAWCの財務担当をしているアブドゥル・ラザック・ファラージさんが、イスラエル政府により、不当に拘束(行政拘禁)され、他の拘束された人々と一緒にハンガーストライキに入り1ヶ月経過し厳しい健康状態にあります。UAWCから緊急声明が届きました。
今後の状況につきましては、随時WEB、FB等でご報告致します。
[box type=”shadow”]
2014年5月29日
緊急アピール
UAWCはパレスチナの行政拘禁者の命を救う輪に加わるよう呼びかけます。
2014年4月24日より行政拘禁者*が、制度の廃止を求めてイスラエルの刑務所でハンガー・ストライキを行っています。数十名の服役者が、行政拘禁者に連帯してストライキに加わっています。
イスラエルの刑務所当局は拘禁者の要求に耳を傾けることを拒否し、独房に移す、必要な健康管理を怠る、殴打するなど報復的な措置をとっています。
ストライキ参加者はハンガー・ストライキを終了することを拒否し、刑務所側が要求を無視し続けるなら、10日間ビタミン剤やサプリメントを摂取しない、水を飲むことさえも控えるという強い抗議の意思を貫こうとしています。
ストライキ参加者の多くが危機的な健康状態にあり、2014年5月28日、約40名が病院に運び込まれました。UAWCの管理運営・経理責任者のアブドゥル・ラザック・ファラージ氏もその一人です。
ファラージ氏は2014年2月25日**に逮捕され、6か月間の行政拘禁を言い渡されました。4月30日、ファラージ氏は 行政拘禁者による恣意的な逮捕と行政拘禁の方針に反対するハンガー・ストライキに加わりました。
ストライキ参加を表明した直後、ファラージ氏はアヤロン刑務所の基本的な基準を欠いた独房に移されました。そして、ファラージ氏は他の参加者と共に車イスに乗ってアヤロン刑務所からメール病院に移りました。ファラージ氏に対する不正義は1985年に始まりました。1985年から1991年までの6年間起訴され、さらに間隔を置いて5回、計8年間、行政拘禁のため刑務所に収容されました。
イスラエル軍は、彼を告訴することも、また彼が裁判に立つことを許すこともなく、情報を秘匿し、我々の同僚を無制限に行政拘禁しています。
UAWCは行政拘禁者、とりわけ、パレスチナ農民の権利擁護のために市民社会を牽引してきたアブドル・ラゼック・ファラージ氏の命を深く憂慮しています。
上記の状況を受けて、
1. UAWCは人権団体や国際的な連帯組織に対して、公正な裁判を受けるという基本的人権を侵害する行政拘禁の方針をイスラエル政府が取り下げるように働きかけることを呼びかけます。
2. UAWCは国際社会に対して、イスラエル当局が行政拘禁者を即時釈放し、命を守るよう圧力をかけることを呼びかけます。
パレスチナ農業開発センター(UAWC)
(*訳注:行政拘禁とは、無期限に更新できる軍令に基づいて起訴や裁判なしの拘禁を認めるもので、人権団体から国際的に非難されているもの)
(**逮捕日を4月25日と掲載しておりましたが、2月25日の間違いでした。お詫びして、訂正致します。)[/box]
オリーブの植樹=農地を守ること
1月20日、ヨルダン川西岸地区北部にあるアクラバ村において地元の60名の農民のほか、アクラバ村長、海外からのボランティアが参加し、約10ヘクタールの農地に予定通り2,000本ものオリーブの苗を植えました。
これは大地を守る会とATJによる「スマイルオリーブ基金」によるプログラムです。
当日の作業を記録したビデオが届きました。このビデオ(約6分)では植樹作業の様子のほかにアクラバ村の村長、生産者2名のメッセージが収録されています。荒野で育つオリーブ畑の風景、検問所や入植地なども映し出されています。
昨年11月、国連総会でパレスチナが「オブザーバー国家」として承認されました。しかし、その後状況は改善するどころか悪化しているとの生産者の一人のコメントが印象的です。もう一人の生産者は「年に数回は土地を耕し、肥料を与えることで、大切にオリーブを育てています。今年のオリーブの作柄は非常に良く、オイルの品質についてもぜひ期待していて下さい」と話しています。
オリーブは通常4-5年で実がつきます。困難な土地に植えられたこのオリーブの苗が、数年後に豊かに実が結ぶことを願っています。
*メッセージには英語の字幕が付いています。日本語抄訳を付けましたので参考にしてください。
【30秒】アクラバ村長・アイマン・バニ・ファデルさん
入植地の近くの農地にオリーブ苗を植樹することを支援してくださる大地を守る会、UAWC、ATJに感謝しています。アクラバ村はヨルダン渓谷までに至る広大な土地でオリーブやいちじく、野菜などを育ててきました。現在、入植者からの攻撃が激化しており、農地没収の危機に脅かされています。UAWCのような団体の支援によって土地に対する農民の意識が強まり、守っていけるよう願っています。
【2分15秒】 農民・ユーゼッフ・ダイリエさん
アクラバ村は周囲を10もの入植地に囲まれ、入植者からの攻撃に絶えずさらされています。オリーブ苗の配布や土地の開墾・再生を共に行うUAWCのプロジェクトは、土地を守ることに非常に重要な役割を果たしています。
【3分10秒】農民・シャヘル・バニ・マネさん
アクラバ村の農民を代表して感謝の気持ちを述べたい。入植者からの激しい圧力にさらされている彼らのような農民を守るため、地元の団体や国際的な団体が積極的に関わることが大切です。農地に行き来し、土地の開墾や手入れを行うことができるよう、農道を開いていくような支援も希望します。今年のオリーブの作柄は質、量ともによかったですよ。これもしっかり耕して土を肥沃にしてオリーブを大事に育ててきたからです。
【4分45秒】農民・ユーゼッフ・ダイリエさん
2012年11月、パレスチナは国連のオブザーバー国家として正式に認められました。しかし、それ以降も我々の状況は何ら変わっておらず、むしろ悪化しているくらいです。イスラエル軍によって守られている入植者たちからの攻撃はより一層激しくなり、パレスチナ自治政府に対してもイスラエルとの境界を認めさせ、一部を放棄させようとする圧力が強まっています。(以上、動画抄訳)
アクラバ村でオリーブの苗を植樹しました。
1月20日、UAWC(パレスチナ農業開発センター)が支援するアクラバ村のオリーブ生産者がオリーブの苗を植樹しました。
(株)大地を守る会とATJは共同で、イスラエル人入植者によりオリーブの木を抜かれたり、焼かれたりしているオリーブ生産者を支援するため、苗木を提供する基金を昨年10月より始めましたが、この植樹はその基金を活用して行われました。
植樹活動について現地紙「Al Ayam」(英語ではDays、日本だと毎日新聞といった意味のよう)でも伝えられました。記事の中で次の内容が生産者のコメントとして紹介されました。
アクラバ村は周囲を10もの入植地に囲まれ、入植者からの攻撃に絶えずさらされています。この村で土地の開墾とオリーブの苗の配布を行うUAWCの活動は、農地を守ることに非常に重要な役割を果たしています。植樹活動には海外の支援団体関係者も参加しましたが、入植者からの激しい暴力に脅かされている村を守るためにも、海外からの積極的な監視活動、関与が必要です。農作業のため農地に行き来するため農道を整備することが今後の課題です。
※基金の目的やアクラバ村の背景はこちらをご覧ください。→オリーブ苗木を植樹してパレスチナ農民を応援します!
オリーブ苗木を植樹してパレスチナ農民を応援します!
イスラエル占領下でパレスチナの農民は常に農地没収や、イスラエル軍や入植者の破壊行動に脅かされています。先祖代々大切に育ててきたオリーブ畑も同様です。そこで10月より、パレスチナのオリーブオイルを取り扱ってくださっている(株)大地を守る会と共同で、オリーブの苗を植えて農地を守っていくために基金積立てを始めました。
今回の対象地域は、現地パートナーであるUAWC(パレスチナ農業開発センター)が支援活動を行っているアクラバ村。ヨルダン川西岸地区北部のナブルス行政区域に位置する人口10,000人弱のこの村は、1967年の第三次中東戦争以前は東側を流れるヨルダン川まで農地が広がっており、当時のヨルダン川西岸地区第二のコムギ産地として知られていました。
ところが、第三次中東戦争が起こり、面積の80%(約144,000ドゥナム=14,400ha)がイスラエル占領当局によって占領されました。これらの土地には、イスラエル入植地や軍事基地が作られ、現在、そのほとんどの場所は、行政権・軍事権をイスラエルが持つ「C地区」となっています。結果としてアクラバ村は、ヨルダン川西岸地区の中でも、最もイスラエルの支配地域に囲まれた地域の一つとなりました。
C地区では、パレスチナ人は、イスラエルの許可なしに建物を建てたり、井戸を掘ったりすることが禁じられています。もし何らかの建造物が許可なしに建てたと見做されれば、イスラエルから「取り壊し命令」を受け、軍が破壊しにやって来ます(注)。主要な幹線道路もイスラエルによって管理されているため、アクラバ村の人々は、残された20%の土地の中で、往来や水資源の利用が厳しく制限された環境下にさらされています。現在では、村人の半数以上が、貧困ラインを大きく下回る暮らしを余儀なくされていると言われています。
さらに、アクラバ村では、周囲に住むイスラエル入植者による嫌がらせもエスカレートしています。入植者が、村の大部分を占めるオリーブ畑を始めとした農地へやってきて、木を切り倒したり燃やしたりするという事件が、現在でも多発しています。これは単なる嫌がらせではなく、そこに住むパレスチナ人を追い出して自分たちの土地にするというのが目的です。
このようなアクラバ村の現状に対し、現地パートナー団体であるUAWCは2010年2月より支援活動を始めました。荒れた土地を修繕・開墾して使えるようにし、塀で囲うなどして、オリーブを植えられる環境作りを進め、準備された土地にオリーブの苗を植えていくことで、オリーブ農家の土地と生活を守る手助けを行っています。
しかし、2012年に彼らが植えたオリーブの本数は約750本。それに対し、同じ期間に2,500本近くのオリーブが抜かれており、その中には新しく植えたものも含まれます。このように植えても植えても抜かれる中、それでもオリーブを植え続けていくことは、パレスチナに生きる生産者の土地を守り、当たり前の暮らしを取り戻していくために、最も大切な運動の一つです。そして、そのオリーブのための基金を日本から届けることは、現地で抵抗し続けているパレスチナの人々を強く勇気付けるものであると同時に、植えられたオリーブそのものが我々の連帯の証となります。
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第1回目の植樹は12月の予定です。まだ始まったばかりの取り組みですが、このアクラバ村を軸にして現地で暮らす人々の様子を伝えることで、少しでも多くの皆様に、パレスチナ自治区のことを知って頂ければ幸いです。
※基金(スマイルオリーブ基金)については大地を守る会ウェブサイトをご覧ください。
URL:http://www.daichi.or.jp/info/press/2012/10/121-108.html
日常の暮らしにある困難と希望-マルダ村オリーブ生産者
オリーブオイル生産者紹介
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Falahさん一家
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スパイシーでコクのある風味がやみつきになるパレスチナのオリーブオイル。そんな我々のささやかな幸せは、パレスチナ自治区で困難と闘いながらオリーブを育てている農家の皆様によってもたらされています。
そんな彼らの実態を日本の皆様に紹介するべく、現地パートナーであるUAWCがパレスチナで暮らすフツーのオリーブ農家の方々を訪問しました。今回は、美しい奥さんとカワイイ3人のお子様に囲まれて暮らす、Falah Ibdahさんご一家をご紹介します。
彼らの住むサルフィート郡マルダ村は、人口2,500人ほどの小さな村。多くの村人は、オリーブ栽培をはじめとした農業を営んでいます。マルダ村で育てられているオリーブは、古いものでは樹齢数百年とも言われる大木から、50年程度の若いものまで様々です。
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樹齢40-50年のオリーブの木 | 樹齢数百年のオリーブの木 |
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サルフィート県マルダ村
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マルダ村はグリーンラインから東に17kmほどの場所にありますが、村の南部にはアリエル入植地が建設され、今では人口18,000人ともいわれる非常に大きなものとなっています。2004年には、その入植地を「守る」という名目で、グリーンラインを越えた分離壁の建設がイスラエルによって決められ、村と入植地の境界にあったオリーブの木が切り倒されたり、燃やされたりしたそうです(村の地図、燃やされた木の写真、入植地の風景)。このように土地が奪われ、行動が著しく制限されている状況に対し、UAWCの担当者は、「開かれた監獄である」と語っています。実際、同じパレスチナ自治区に住みながらも、オリーブ産地の村々を訪ねて回ることは、彼らにとっても簡単ではない、とのことでした。
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アリエル入植地の入植者に燃やされた オリーブの木 |
マルダ村の背後に広がるアリエル入植地 |
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広がるオリーブの畑
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そんな状況でもFalah Ibdahさんは、畑の耕起や収穫したオリーブの運搬に家畜を使い、収穫は手摘みで行うなど、昔ながらの方法を守りながら、懸命にオリーブを育てて生活をしています。オリーブには表年と裏年があり、2011年は収穫量が少ない裏年にあたりますが、マルダ村では平年並みの収穫量が期待できそうだということで、今から新モノへの期待が高まります。
オリーブオイルは、オリーブの果実を搾っただけのシンプルなもの。つまり、ほとんどオリーブそのものと言っても過言ではありません。それを考えると、我々が口にしているオリーブオイルは、日本では想像もつかない理不尽な環境で生きている人々のことを、本当に直接的に伝えてくれているものだということがわかります。Falah Ibdahさんが言う「我々は自由になるという希望を決して諦めない」、そんな彼らの心意気を、ぜひお手元におひとついかがですか!
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日本支援に向けて集まった
マルダ村のオリーブオイル |
【日本の皆様へ】
日本の人々は、時間に正確で規律を守る礼儀正しい人々だと聞いています。また、その勤勉さと高い技術力で第二次世界大戦後のどん底から世界一の経済大国への発展を成し遂げた、素晴らしい人々だと思います。その一方では、我々のように困難な状況下で生活している人間に対し、こちら側の立場でものを考え、手を差し伸べてくれる心温かい人々であると感じています。
我々マルダ村民は、3月に日本で起きた大震災のニュースを知り、非常に心を痛めました。また、同時に心から同情の意を表し、少しでも被災された方々の力になり、また日頃支えて下さっている恩返しをしたいと、UAWCを通してオリーブオイルを地元の市場で販売し、その売上を寄付致しました。少しでも皆様のお役に立てたなら、これほど嬉しいことはありません。
パレスチナの農民は、常に土地の不当な没収や道路の閉鎖、そしてそれに伴う経済状況の悪化に苦しんでいます。しかし、自由を勝ち取る、という希望を決して諦めてはいません。日本で被災された皆様も希望を忘れず、一日も早い復興が成されることを心より祈っています。
(事業部商品課 若井)