【台風30号ヨランダ復興】台風から半年、確かな復興の歩み~パナイ島~
2014年5月8日から10日にかけてATJ社長の上田、フィリピン駐在員の黒岩がATC職員らとパナイ島のバランゴン出荷団体、PARTNERの案内でパナイ島の被災地を訪ね、復興支援活動の進捗を視察しました。
パナイ島では3つの自治体、サン・ドニシオ町(アマヨン村、バトゥアン村)、バラサン町(サルバシオン村)、カーレス町(タロン村、バロスボス村、カビラオ・グランデ村等)に計163名のバランゴン生産者がいます。
バランゴンバナナ生産復興と生活再建に向けてATCは、日本の皆様からのご寄付を使って次の活動を展開しています。
○バナナ株の配布
台風ヨランダでは実を付けていたり、背の高いバナナはほとんどが強風のため、倒れてしまいました。そのため、生産者はATCの支援を受けて3月から4月にかけて22,700本を作付しました。収穫は2015年3月以降の見込みです。
○肥料の配付
3月から4月にかけて、ATCは生産者にバナナの元肥、追肥として3月から4月に138トンの鶏糞を配付しました。第2回目は6月に鶏糞40トン、マッドプレス(精糖過程で出る有機資材)40トンを混ぜて配付する予定です。
○フード・フォー・ワーク(生活補助)
バランゴンからの収入が長期間ないため、生産者の家計は非常に苦しく、なんとかやりくりしている状態です。そこで、ATCは4月に行った肥料配付の際に、施肥作業に対して生活補助としてバナナ1本につき15ペソずつ支払いました。
○農機具の提供
163名の生産者全員にボロ(山刀)を配りました。ボロはバナナの収穫や下草刈り、薪用に木の枝を伐ったりするフィリピンのでは最も大事で役に立つ道具です。また、フィールドアシスタントにはタガッド(穴を掘るための棒状の道具)と鋤も1本ずつ支給されました。
○ミミズ堆肥作り
ミミズ堆肥とは、家畜の糞やバナナの茎などの残渣をミミズに食べさせてその糞を有機肥料として活用するものです。ATCは、堆肥を生産できるように、数名の生産者に10キロずつのミミズを配りました。
並行して、4月26日タロン村とカビラオ・グランデ村でミミズ堆肥作りの技術研修が実施されました。5月後半には他の4地域でも研修が計画されています。
2.野菜栽培
バナナが収穫できる時間がかかるため、ATCは短期間で栽培できる野菜生産を支援しました。かぼちゃ、大根、オクラ、ニガウリなどの種(12,000ペソ相当)を配布しました。4月最終週に植えた野菜は順調に育っています。
ジョエルさんの被害状況についてはこちらの報告をご覧ください。
3.用水施設
野菜栽培を行っていく上で、農業用水を確保することはとても重要です。また、バナナの株を植えても灌漑用水が不足しているため、苗の段階で枯れてしまうケースもあります。そのため、グループごとに手押しポンプあるいは自転車をこいで揚水するポンプでタンクに貯水する設備を設置することにしました。設置されたのは、手押しポンプ型はサルバシオン村で4機、バトゥアン村で1機、自転車型はタロン村で1機です。
フィリピン駐在員の黒岩がパナイ島を訪問したのは、11月下旬に支援物資配布のため訪問してから約半年ぶりでした。黒岩の感想です。
「道路沿いには倒壊、半壊した建物が残っており、台風の傷跡を見て取ることができました。一方で、バランゴン生産者は被災直後に比べて非常に前向きになっており、台風被害を乗り越えて、再びバランゴンを日本へ輸出するという強い意志を感じることができました。バナナの圃場も状況が改善されていることが一目でわかり、ATCによる復興支援活動の最大の成果は、生産者を前向きにし、今できることをしっかりしようという気持ちに変えたことだと実感しました。」
(2013年フィリピン災害対策チーム 小林和夫)
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