【バナナニュース360号】大型台風直撃後の圃場訪問と心持ち ~ネグロス東州の若手農業指導員ヘネシーさん(続編)~
前編、【バナナニュース359号】ネグロス東州の若手農業指導員ヘネシーさん その1はこちらから。
農業指導員は、栽培技術の指導だけでなく、収穫量の増減をモニタリングする役割も担っている。そのため、天候被害など様々な要因によりバナナの収穫量が減少し、生産者の収入に直接影響が及ぶ現実に直面することがある。それは指導員にとっても辛い瞬間だ。
2024年10月、大型台風20号がフィリピンを襲った。ネグロス東州の農業指導員であるヘネシー・フエンテスさんとその同僚は、すぐに生産者と集荷担当者に連絡を取った。幸い生産者やその家族に負傷者はいなかったものの、圃場は大きな被害を受けていた。後日、散乱した木々を横目にバイクで圃場に向かうと、バナナの葉は切れ切れになっており、実のついた株も多く倒れていた。ネグロス島は干ばつと一連の強風や豪雨による被害からようやく回復しつつある時期だったので、生産者はさぞ悲しかったことだろう。ヘネシーさんは生産者に対して「この圃場もやがて元に戻るから。私も農業指導員として精一杯サポートするわ」と話し、生産者が立ち直ってバランゴンバナナの栽培を続けるよう励ました。
目まぐるしく環境が変わる生産現場において迅速かつ効率的に行動することは重要であるが、楽観的でいることも大切だとヘネシーさんは言う。現場の農業指導員として、未来により良い日々が訪れると信じ続けることは、生産者が希望を持ってバランゴンバナナの栽培を続ける励みになると話してくれた。


生産者に対して、バランゴンバナナの栽培管理の方法や株の植付けについて説明するのも
大事な仕事だ。生産者の圃場にて。


ヘネシーさんと同僚は、台風20号後の圃場を視察し、それぞれの村の写真と被害状況をまとめてくれた。ATJでの状況把握に役立った(資料はボナウォン村)。栽培指導に加えて、収穫量の情報の吸い上げも彼女の仕事の1つ。

ボナウォン村の圃場の1つ。
以前、日本人が訪問した際、ヘネシーさんも現地側のアテンドの1人であった。
訪問時も強風の被害で葉っぱ破れが散見されたが、台風20号で多くの実のついた株が倒れたものと思われる。
🍌バランゴンバナナを支えるスタッフ達

運搬担当者や集荷担当者、パッカーに対して、バランゴンバナナの栽培ルールの再確認やバナナが日本に届けられた後の品質を共有している様子。ネグロス東州ドマゲッティ・パッキングセンターにて。
・運搬担当者:
圃場から集荷場、または集荷場からパッキングセンターまでの運搬を行う。生産者が自力でバナナを集荷場に持って来られない場合にお手伝いすることが多い。圃場は山間部にあることが多く、担ぎ棒や馬、バイクなど小回りの利く手段が活用される。
① 担ぎ棒で運ぶ

実際にやってみた!
<小島運搬担当者体験>
6~10月のフィリピンは雨期でよく雨が降るため、地面がぬかるんでいる。それに加え、バナナが左右に揺れるため、上半身が引っ張られる感じがしてバランスがとりにくい。
これでも初心者用にバナナの量を減らしている。歩くスピードも遅く、「これでは儲けがでないね」と笑われた。


② 馬で運ぶ

生産者が馬でバナナを運ぶ様子。運搬担当者も写真のように運搬を手伝う。
(きれいな白馬だったため撮影。色によって価格は変わらないとのこと。同じ価格ならば白馬が良いね!と言ったが、フィリピン人はそうでもない様子だった。むしろ何故白馬に拘るんだろう…という反応)
③バイクの様子

・集荷担当者:
集荷場でバナナの品質を確認して買い取り、パッキングセンターに運ぶ。

・パッカー:
パッキングセンターでバナナの品質を確認し、水洗い、箱詰めを行う。タブと呼ばれるバナナの水洗い専用プールでバナナに付いた汚れを落とす。

【バナナニュース359号】ネグロス東州の若手農業指導員ヘネシーさん その1はこちらから。
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