パレスチナ雑記① アジアカップ初出場のパレスチナ代表
さて、去る2015年1月12日、サッカー日本代表はAFCアジアカップ連覇に向けた初戦を4-0の白星で飾りました。この相手が「パレスチナ」であったことは、皆様の記憶にも新しいことと思います。翌日、Yahoo!Japanで「パレスチナ」について検索をしてみると、未だかつてない数のニュースがヒット。その全てがサッカー関連でした。普段であれば、パレスチナに関して、ほとんどニュースの更新はありません。恐らくここ10年で一番多く、「パレスチナ」が日本のインターネットに載った日ではないでしょうか。
サッカーパレスチナ代表はAFCチャレンジカップ2014で初優勝を果たし、AFCアジアカップ2015への出場権を獲得。この日は、パレスチナ代表として初めて世界の主要トーナメントへ出場した、記念すべき日となりました。なお、参加16チームのうち、唯一の初参加でもあります。
パレスチナの人々にとって、このような世界の舞台において「パレスチナ」として立ち位置を得ることは、スポーツの枠を超えた大きな意味があります。基本的に“国”の代表チームが集まるこのような場でプレイができることは、国際社会に対してパレスチナのことを強くアピールする場ともなり得るからです。
1967年以降、実質的にイスラエルの占領下に置かれているパレスチナ自治区では、ガザ地区にあったスタジアムが2006年と2012年の空爆で破壊され、代表選手の練習環境も十分に整っていない状況です。また国際試合に出場するにも、イスラエルから選手の出国ビザが下りないことも多く、そのせいで出場を断念せざるを得ないこともあったようです。(注1)
2014年には、2名の選手がAl-Ramで練習をした帰り、チェックポイント(注2)でイスラエル兵によって撃たれるという事件もありました。二人とも意図的に脚を狙って撃たれ、二度とサッカーができない体にさせられたのです。それ以外にも、これはサッカー代表に限りませんが、自宅を破壊されたり、令状なしで逮捕されたりという事例(当社のパレスチナのオリーブオイル出荷団体のひとつ、UAWC職員一人が現在拘禁されています。関連記事)が、人々を苦しめています。
1月12日の日本戦には、外国に暮らすパレスチナ難民の他、オーストラリア人を含めて15,000名がパレスチナの応援に駆けつけました。金曜日には、隣国ヨルダンとの対戦で1-5と惨敗を喫してしまったパレスチナ代表。1月20日のイラク戦での初勝利を、心から応援したいと思います。
事業部商品課 若井
(注1)
写真:グリーンID
このIDでは、パレスチナ自治区の中しか行き来できない。イスラエル側はおろかエルサレムに入ることもできず、域外へ出るには陸路でヨルダンへ行くしかない。場合によっては、チェックポイントで止められる。なお、特別なIDをもらえれば、グリーンID保持者もイスラエルに入ることはできるが、それでもテルアビブの空港は使用できないらしい。
(注2)
写真:カランディア検問所
アルラム付近のカランディア検問所と壁。アルラムには、もうひとつのオリーブオイル出荷団体PARCのオリーブオイル充填所がある。
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