【PtoP NEWS vol.24/2018.03】バランゴンバナナ民衆交易の悩み事
このところ、バナナの需要が多い春に、ほぼ毎年天候被害などで思うようにバナナの収穫ができない出来ないことが続き、消費者の皆さんに十分にお届け出来ない状況が続きました。
そこで昨年(2017年)は、生産者と協力しながら、春に収穫できるようにバナナの苗を植え付ける時期を意識する、ということを試みました。
日本のバナナ全般の消費動向をみると、5~6月がピークで、最も売れない冬場はピーク時の80%くらいになります。バナナが増え、需要が落ちる冬期はバナナが売れずに余ってしまうという事態に昨今苦しんできました。
バナナは多年草で、植え付けから最初の収穫までは約1年かかり、その後はわき芽を生育させてまた半年~1年後に2回目の収穫と続いていきます。
日本側は最初の植え付け時期だけでも意識的に4月前後にしてほしいと考えていましたが、根付きやすい雨期(6~11月)に作付けするのが自然という意見もあり、なかなか実現してきませんでした。
今回現地側でも「日本からの提案を試してみよう」ということになったのですが、残念なことに苗の配布が遅れ、作付け時期が予定よりも遅くなってしまいました。そのために、次の春に収量が増えるかは微妙な感じですが、まずは産地でも作付け時期を意識してもらえたこと自体が一歩前進だと考えています。
実は色々な問題を抱えているバランゴン
また、品質問題も大きな悩みの一つです。日本での最終検品段階でネグロスの一部の産地やパナイ島のバランゴンバナナに、カビや腐れで廃棄になってしまうバナナが多発しています。
フィリピン各島での選別段階では問題ない(ように見える)のです。原因究明に取り組んでいますが、あちこちに散在する大勢の小規模生産者からバナナを集荷しているため、細かいトレースが難しく苦労しています。
バナナは収穫・箱詰め後にマニラまで運ばれ、再検品され、国際船に積み替えられて、日本に送り出されます。
価格についての課題もあります。最近のバランゴンへの需要は2010年度に比べると約2割減少しています。
販売量を回復させていくために価格の問題は避けて通れませんが、フィリピンからの出荷価格の上昇に伴い、日本での販売価格も上昇しています。
フィリピンでは毎年6%の経済成長が続き、物価も上昇しています。そのため生産者からの買い取り価格は上がる方向にはあります。
また、バランゴンの半分ほどは一般のバナナに比べて日本への輸送コストのかかる島からのもので、また物流コストのかかる中山間地の小規模生産者のバナナを集荷しています。
安全性(農薬不使用)と品種(バランゴン)だけを求めるのであれば、物流コストの安い地域で集中して栽培すればいいのですが、バランゴンバナナ民衆交易の目的は、単に利益を求めるものではなく、人びとの連帯による事業であって、その精神は今でもかわりません。品質改善(廃棄率減少)などのコストカットを続け、生産者・消費者が納得する価格を維持できるように努めていきます。
悩みや課題は尽きないけれど
課題山積ではありますが、うれしいニュースもありました。2017年4月、西ネグロス州の生産者のレニボイ・ソンブリアさんが州政府から、果樹の有機栽培部門の優れた農家として選ばれ、賞が贈られたのでした。
レニボイさんは、3年前に開かれたバランゴンバナナ関係者の集いにおいて、父親を早くに亡くし苦労したこと、かつて集荷所が遠かった時には、収穫したバランゴンを山や川を越えて運んでいたこと、バランゴンの収入で家族を養うことができていることを涙ながらに発表してくれました。地域のリーダー的な存在で、優しく落ち着いた印象だったので、人前で涙するのが意外で、思わずもらい泣きをしてしまいました。
レニボイさんの夢として、頻繁に修理する必要がないコンクリートの頑丈な家を建てること、3人の子ども全員が大学を卒業し、それぞれが良い生活を送れることを挙げていました。
生産者の顔を思い浮かべながら、バランゴン事業を取り巻くピンチをチャンスに変えるべく、今年もがんばります。
松本 敦(まつもと あつし/ATJ)
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