レポート

報告書「フィリピン、ミンダナオと私たちの今を考える」

2018年6月25日

『バナナと日本人』(1982年、岩波新書)という本を知っていますか。特売商品の目玉となるほどに安価なフィリピンバナナが、農園労働者の安い賃金と大量の農薬によって支えられている実態を調査し、痛烈に批判したのが鶴見良行氏の著作です。それから30余年、フィリピンバナナの産地、ミンダナオ島のプランテーションの実態はどうなっているのでしょうか。

 

2015年11月、ASEAN域内の関税障壁が撤廃される動きの中で危機にさらされるフィリピンの農業労働者や農民、消費者が置かれた状況を分析し、それに対して小規模生産者と消費者がどのように対抗していけるか話し合うため、「ネグロス食料サミット」をATJは現地団体と共催しました。サミットでは環境破壊や労働者、住民の健康被害、劣悪な労働環境などバナナ・プランテーションがもたらす実態がミンダナオ代表から報告され、さらに、ミンダナオ産バナナの最大の消費国である日本の参加者に対して現地視察の要望が出されました。

 

産地からの声を受けて、2016年9月、ATJは研究者、生協関係者、フィリピン側のパートナーと一緒にミンダナオ島を視察する訪問団(ミンダナオ・ミッション)を組織しました。このときに注目したのが、高地栽培バナナです。近年、スーパーでもよく見かける自然な甘みを売りにしたプレミアムバナナです。訪問団はバランゴンバナナ産地(レイクセブ、マキララ)の近隣自治体に広がる2つの大規模な高地栽培バナナプランテーションを視察し、農業労働者や住民の声を聞きました。現場で見聞きしたことや、訪問後に収集した情報をもとに、バナナ・プランテーションの現状、とくに高地栽培における農薬の問題を中心に私たちが日常的に食べているフィリピンバナナの産地で何が起きているかまとめたのが本報告書です。

「甘いようで苦い」バナナの裏側のストーリーをぜひお読みください。


フィリピン、ミンダナオと私たちの今を考える

広報課 小林和夫

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