ほんものの食べものでつながりたい! ~フィリピン・ネグロス島での新たなチャレンジ~ from フィリピン (PtoP NEWS vol.17/2017.08 特集より)
宅配事業the BOXとは
the BOX (Bio-Organic eXchange)と呼ばれる宅配事業は、オルタートレード・フィリピン社[1] (以下、ATPI)が取り組んでいる食品の宅配サービスです。
ATPIが関わりを持っている、バランゴンバナナやサトウキビ生産者が育てた農産物を定期的に買い取り、それをバコロド市内の消費者に届けています。
日本の生協の仕組みに似ていますが、それもそのはず。この間、民衆交易を通じて積み重ねてきた日本の生協との交流から得た知識・経験を参考に立ち上げた事業だからです。
the BOXには様々な利点があります。例えば、生産者としては、定期的に安定した売り先があることで、安心して農産物を作ることができます。
また、ATPIと関係を持っている生産者の農産物を届けているため、消費者は、誰が作ったか分かる安全で健康に良い食品を食べることができ、自分が食べているものがどのように作られているのかを知ることができます。
生産者の一人、ボニファシオ・ビリアネリアさんは、「ATPIは、バランゴンバナナ以外の農産物も毎週定期的に買ってくれるので助かります」と感謝の言葉を述べています。
また、利用者からは「仕事が忙しく、買いものに行く時間があまりないので、産地・生産者がわかる農産物を買うことが難しかったのですが、ATPIが私の問題を解決してくれました」、「安心・安全な農産物を、お手頃な価格で購入できることが嬉しいです」といった声が寄せられています。
[1] バランゴンバナナやマスコバド糖の輸出事業を担ってきたオルター・トレード社(ATC)が再編され、新たに設立された。フィリピン国内での小売販売事業を主要に事業を展開。
オルタナティブな食のあり方をめざして
現在、食の生産から流通は、限られた一部の多国籍企業により支配されています。遺伝子組み換え食品やファーストフードの消費なども増えており、世界各地の伝統的な食文化は失われつつあります。
このような問題はフィリピンでも起こっており、ATPIが事業所を構えるバコロド市内にはコンビニやマクドナルド、ジョリビー[2] といったファーストフード店が数多く見受けられ、特に都市生活者の食文化が変わってきています。
ATPIは、フィリピン国内で「リアルフード(ほんものの食べもの)運動」を展開していくことで、生産者と消費者が繋がり、地域に根付いた、オルタナティブな食のあり方をめざしています。そして、その具体的な一歩がthe BOXなのです。
[2] フィリピン資本のファーストフードチェーン店。フライドチキンにご飯を添えたメニューなどが充実している。フィリピンではマクドナルドより人気のファーストフード店。
試行錯誤の連続
産地によって農産物の品質にバラつきがあるため、一定の品質を保証できない、生産者が出荷できる農産物に頼った販売を行っている、収穫量によっては買い付けを制限しなければならずその調整が難しい、など、the BOXにはまだまだたくさんの課題があります。
このような課題を解決してくために、ATPIは様々な工夫を凝らしています。消費者から品質に関するクレームが多かった時は、消費者に産地・生産者の現状をより理解してもらうために、産地での交流会を実施しました。
消費者と生産者がお互いに話し合ったことで、その後消費者からのクレームが減り、生産者に対する感謝の声や、届いた農産物をどのように料理したらいいのかといった問い合わせが増えたそうです。
それ以外にも、the BOXの利用を増やしていくために、カット野菜の販売、ポイント制度の導入、レシピの配布、生産者に関する情報の発信、食に関する定期的な学習会の実施などにも取り組んでいます。
the BOXは事業規模も小さく、試行錯誤の連続です。しかし、フィリピン国内の消費者と生産者をつないでいくための大きな一歩です。
今後もthe BOXが継続するよう、日本の生協の経験や知識を共有しながら、見守っていきたいと思います。
黒岩竜太(くろいわりゅうた/ATJ)
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