レポート

<今月のおいしい!>晴れの日には「ティノラ」

2023年6月5日

「今月のナミット!(おいしい)」は、バランゴンバナナの生産者の家庭で晴れの日に振舞われる料理「ティノラ」。

※「ナミット」はネグロス西州の現地語であるイロンゴ語で「おいしい」という意味です。

フィリピン・ネグロス西州に住むマリベル・パレンシアさん(55歳)さんは、誕生日のお祝いやお客さんが来た時にはこの特別なスープを作ります。

ネグロス島特産の地鶏でつくるスープは肉から出るエキスと青パパイヤ、ニンニク、ショウガ、レモングラス、唐辛子の葉などの素材が自然な味と香りを醸し出します。そうそう肉が食べられない村の人にはたいそうなご馳走です。

~ティノラの作り方~

【材料】★印の材料は、パレンシア家で育てたもの。
★地鶏500g、ココナッツオイル 小さじ1、タマネギ1個、ニンニク2片、★ショウガ1片、★唐辛子1個、★青パパイヤ 小1個、★レモングラス1茎、★唐辛子の葉 適量、水4カップ
調味料:塩、砂糖 各適量

【作り方】
①鍋で鶏肉を柔らかくなるまでゆでる。
②刻んだタマネギ、ニンニク、ショウガを油でじっくりと炒め、香りが出てきたら鶏肉を入れ、炒める。
③鍋に水を入れ、鶏肉、唐辛子、青パパイヤ、レモングラスを加え、5分ほど煮込む。
④最後に唐辛子の葉を加え、1分ほど煮て完成。

~バランゴンバナナ生産者の暮らし~

オルタートレード・フィリピン社(ATPI)のエリアさんが、マリベルさんに食生活について聞いてみました。

Q. エリア:ご家族は?
A. マリベル:姉のマリア・ルス(61歳、バナナ・野菜栽培)、甥のジャッキー(32歳、レストランのコック)、孫のサラ(今年6月に幼稚園入園)と私の4人家族です。

Q. エリア:バランゴンバナナ以外で作っている作物を教えてください。
A. マリベル:野菜はカボチャ、サツマイモ、ナス、トウガラシ、モリンガ(木の葉で栄養価が高く、近年スーパーフードとしても注目)、果物はバランゴンの他にサバ(調理用バナナ)やセニョリータといったバナナ、パパイヤ、グヤバノ、ポメロ(文旦の仲間)、カカオ、ココナッツ、アボカドなどです。丘陵地なのでお米は作っていません。

Q. エリア:いろいろと作っているんですね。
A. マリベル:お米やお肉は買いますが、野菜や果物は家や近所の生産者から買った地場産です。「ティノラ」も自家栽培の材料をできるだけ使っています。サリサリストア(村にある家族経営の雑貨店)ではインスタントの固形鶏ガラスープ(1つ5ペソ)も売っていますが、レモングラス、唐辛子の葉、ショウガやパパイヤなどスープに風味をつける材料が庭にあるので、滅多に買いません。バランゴンの他にサバやセニョリータ、グヤバノ、ポメロ、カカオ、ココナッツ、アボカドなどの果物が収入源となっています。

Q. エリア:誰が調理するのですか。
A. マリベル:普段はジャッキーが調理します。ジャッキーは食堂でコックとして働いています。

Q. エリア:食事は何時頃ですか。
A. マリベル:1日3回、朝食8時、昼食は正午、夕食は午後7時頃です。

☆フィリピン 食の豆知識☆

○ フィリピンの主食はお米で、基本的な調味料は塩、醤油、酢、ニンニク、タマネギ、唐辛子とシンプルです。小玉のタマネギは香りが強く、ニンニクやショウガと同じように食用油(ココナッツオイル)と一緒に炒めて香り付けします。パパイヤは熟すと果物として生で食べますが、若いパパイヤはこのように野菜として料理します。

○ 食卓では中央に置いたごはんやおかずを各自が一つのお皿にとって、スプーンか手で食べるのがフィリピン・スタイルです。

○ 食事作りはジャッキーさんが日常的に行っています。彼がコックだから特別という訳ではなく、フィリピンでは男性も一般的に台所で調理します。

聞き手:エリア・マカタガイさん(ATPI社広報担当)
まとめ:小林和夫(ATJ広報室)

◆コラム「今月のおいしい!」では、産地の食事や食文化について紹介していきます。

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