【パレスチナ】「家族が一緒に暮らせる日々を待ちわびています」~行政拘禁中のファラージさんの妻、ラミスさんのスピーチ~
昨年6月~7月に本ウェブサイトでも報告していますが、パレスチナのオリーブオイル出荷団体のひとつ、UAWC職員であるアブドアル・ラゼック・ファラージさんが、行政拘禁制度(注1)に抗議して2014年4月末より2ヶ月近くにわたり、他の被拘禁者約120名と一緒にハンガーストライキを行いました。ATJではパレスチナのオリーブオイルを取り扱う生協・産直団体、APLAなどと連名で、イスラエル大使館にファラージさんを含む行政拘禁者の即時釈放を求める嘆願書を昨年6月に出しました。しかし、ファラージさんは今も拘禁中です。
ハンガーストライキに関する経緯はこちらをご参照ください(2014年7月24日)。
2014年11月3日、ヨルダン川西岸地区にあるラマラ市で開催された「互恵のためのアジア民衆基金(APF)」総会分科会においてアブドアルさんのお連れ合い、ラミス・ファラージさんがスピーチを行いました。
スピーチの冒頭、日本からの支援に深く感謝したラミスさんは行政拘禁制度がいかに非人道的で、本人ももちろんのこと家族を苦しめているか切々と訴えました。
以下、スピーチの要約です。
私の夫、アブドアル・ラゼック・ファラージら行政拘禁者たちは、イギリス信託統治時代から続くこの制度を拒否し、反対する意志を示すため、2014年4月ハンガーストライキを始める道を選びました。行政拘禁は告訴なしにパレスチナ人を拘留できる制度です。イスラエル刑務所当局はハンスト実行者を非人道的に扱い、弁護士と面会するといった基本的人権をも無視しています。多くのハンスト実行者が、危機的な健康状態のためアルラムラ病院に移送されました。弁護士は拘禁者がどこにいるか知らされず、家族や医者でさえ会うことができません。病院では拘禁者の手足はベッドに縛られ、移動の自由を奪われています。
約2ヶ月間のハンストの期間中、弁護士が高等裁判所に訴えると圧力をかけた一度を除いて、私たち家族は彼について何の情報も入手することができませんでした。ハンスト実行者は水と塩だけで何とか生き延びました。まさしく命をかけた訴えであり、自らの命を代償にしてまでも、この酷い制度を終わりにしなければいけないと感じていたのです。
家族にとって、行政拘禁制度とはいつも剣が拘禁者ののどに突き付けられているような状態です。本人も家族もいつ拘禁が終了するのか知らされず、それは公開できない機密だとシャバック(イスラエル情報機関)は述べます。しかし、ほとんどの場合、機密ファイルには拘禁者を訴えるに値する重大な情報など含まれていません。しかも、イスラエル政府は拘禁を何度も更新して、何年も続けることができるのです。
夫は告訴なしに計7年間も拘禁され、今も獄中にいます。拘禁によって私たち家族は深刻な影響を受けてきました。何をすべきかわからず、ただ彼が釈放されるのは待つしか術がないのです。特別な日も一緒に祝うことができません。私たち夫婦は一緒に子どもを育て、成長する姿を見る機会を失い、子どもたちは父に相談する機会を奪われてきました。夫は息子の大学卒業式に出席して喜びを分かち合うことも叶いませんでした。
「すべての行政拘留者と共に痛みを担う覚悟です」これは夫がオウファル刑務所から家族に宛てた手紙にあった言葉です。そして夫は常々「私たちにとって人生の最良の時は未来にある」と口にしていました。だから私たちは夫が自由になり、家族と一緒に暮らせる日々を待ちわびています。行政拘禁者の家族としてイスラエルに行政拘禁が終わるよう圧力をかけてもらいたいのです。この制度をなくすことが私たちの自由への第一歩だと信じています。
2014年8月下旬にファラージさんの拘禁は6ヶ月延長され、釈放は2015年2月下旬の予定です。行政拘禁はイスラエル当局が理由も明らかにしないまま延長することができる不当な制度ですが、今度こそファラージさんが釈放されることを強く願っています。
また、ラミスさんと次男ワデアさん(大学4年生)にも取材することができました。二人のメッセージも編集中ですので、後日紹介いたします。
今後もファラージさんの近況がわかり次第ご報告します。
注1:行政拘禁とは、無期限に更新できる軍令に基づいて起訴や裁判なしの拘禁を認めるもので、人権団体から国際的に非難されています。
政策室 小林和夫
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