ジェノサイドの手段としての飢餓 ―ガザ地区の飢餓についてUAWCからの声明
パレスチナ農業開発センター(UAWC)は、ガザ地区にて深刻化する飢餓について緊急の注意喚起をします。この大惨事は、イスラエルによるジェノサイド攻撃によって意図的に引き起こされたものです。2025年3月2日以降、イスラエル占領当局は、ガザ地区へのすべての食料および人道支援の搬入を阻止しています。4月7日(月)、イスラエルの財務相ベザレル・スモトリッチは「小麦の一粒さえもガザ地区に入れさせない」と発言し、ガザ地区に飢餓を強要するというイスラエルの方針を再確認しました。これは政策の失敗ではなく、大量の飢餓を計画的に進める入念に計画されたキャンペーンです。

今日、ガザ地区の人々は意図的に飢えさせられています。
パレスチナNGOネットワーク(PNGO)は、ガザ地区を公式に「飢餓地域」と宣言し、国際社会にも同様の認定を求め、即時の介入を呼びかけています。PNGOは、特に子ども、女性、高齢者への壊滅的な影響を警告しており、イスラエルが食料・医薬品・燃料・安全な水の搬入を故意に拒否していると非難しています。ガザ地区は飢餓の末期段階に入り、34万5千人が「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)の第5段階(大惨事/飢餓)※にあり、住民の91%が危機レベルかそれ以上の食料不安に直面しています。これは国際社会の沈黙による計画的なジェノサイド行為です。
パレスチナ保健省によれば、6万人以上の子どもたちが急性栄養失調により回復不能な健康被害のリスクにさらされています。生後6ヶ月未満の乳児は、安全な水、粉ミルクや栄養支援を受けられず、感染症や乳児死亡のリスクを高める手段に頼らざるを得ない状況です。人道支援団体は、栄養検査の実施能力が30%低下し、離乳食などすぐに食べられる栄養食品もほぼ尽き、わずか400人の子どもしか支援を受けていないと報告しています。栄養支援のための施設の少なくとも15%が爆撃や避難の影響で閉鎖に追い込まれています。
イスラエルによる完全封鎖により、水へのアクセスも危機的状況にあります。
100万人以上(うち40万人が子ども)は、1日1人あたり6リットル(停戦中は16リットル)しか水を得られておらず、燃料供給が再開されなければ4リットル未満にまで減る恐れがあります。公衆衛生施設の崩壊とともに、水が原因による感染症が急増しています。イスラエルが管理するガザ地区への3本の水道管のうち、2本が切られました。1本は1月以降から止まっています。唯一稼働中の水道管はハンユニス地域に限定されており、イスラエル占領軍は他の水道管の修理を認めていません。南部最大の海水淡水化施設は電力不足により出力が85%削減されています。
病院は、容赦ない空爆による負傷者対応に追われるなか、衛生用品がまったくないため感染症予防もできない状況です。
250以上の医療施設が、ガザ地区の外で留められている医薬品、石鹸、消毒剤、滅菌用品などの必須物資を待っています。患者も医療従事者も完全に無防備な状態です。
ガザ地区の農業セクターは、計画的に破壊されました。
UAWCと食料安全保障に関わるパートナー団体は、食料生産の破綻をすべての分野で確認しています。農地の爆撃、ビニールハウスの破壊、灌漑システムの寸断、家畜は殺され、漁業は完全に麻痺しています。家畜は治療されずに感染症で死亡しており、農民は空爆や不発弾の脅威で農地に近づくことができません。漁船は壊れたまま放置され、漁師は海に出ると襲撃や逮捕の対象となります。結果として、ガザ地区は自給自足の能力を完全に失っています。
環境の崩壊も危機を加速させています。
イスラエルによるインフラの破壊は、土壌の汚染、大気の汚染、廃棄物処理システムの崩壊をもたらしました。5000万トン以上の瓦礫と人間の遺体が未回収のままであり、こうした状況下で有害物質へ曝されることが日常的になっています。世代を超えて大切にされてきたオリーブ畑や農地も壊滅しました。
これは人道的危機ではなく、“構造的な抹殺”です。
イスラエル占領当局は、包囲したガザ地区の住民の意志を打ち砕き、未来を消し去るために飢餓を兵器として使い続けています。ガザ地区の飢餓は偶発的ではありません。これは意図的なジェノサイド政策の結果であり、アメリカ、ドイツ、その他の共犯国によって支えられています。
国際刑事裁判所ローマ規程第8条第2項(b)(xxv)によれば、「戦争の手段として意図的に民間人の飢餓を引き起こすこと」は「戦争犯罪」に該当します。
UAWCは、パレスチナの食料主権が正義と解放の闘いと不可分であることを強調します。私たちはPNGOとともに、国際社会に対し、懸念の表明を超えて、飢餓の根本原因、すなわちイスラエルの軍事占領、入植型植民地主義、継続する封鎖と正面から向き合うよう呼びかけます。そのためには、以下が必要です:
- 即時かつ妨げのない人道的支援の搬入
- ガザ封鎖の解除
- 国際法に基づくイスラエルの責任追及
<国際刑事裁判所(ICC)および国際司法裁判所(ICJ)において)> - パレスチナ主導によるガザ地区の食料システム再建への支援
再確認します。この飢餓は、物流の問題ではありません。これは「戦争犯罪」です。
そして、それは「今すぐ終わらせなければなりません」。
※食料不安を計測する世界標準「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」の定義による第5段階が壊滅的飢餓、第4段階が緊急事態
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