【バナナニュース358号】2025年はどうか穏やかな年でありますように…
2024年は天候による被害が多い年でした。
2023年夏頃から継続していたエルニーニョ現象により、2024年に入りバランゴンバナナの産地に干ばつや乾燥などの影響が現れ始めました。ネグロス島では雨量が極めて少なく、乾燥状態となっていたため、バナナの株に水不足の症状が出て生育異常や未成熟のバナナが増えました。一方、ミンダナオ島レイクセブでは、雨量は少ないものの、夜は比較的涼しく、夜露などがバナナの生育に良い環境となっていたため、収穫量は増えました。
その後、6月上旬にエルニーニョ現象が終息し、各産地とも干ばつから回復しつつありました。特にネグロス島では、オルタートレード・フィリピン社(ATPI)が施肥用に鶏糞を支援したこともあり、迅速に回復する様子が見られました(写真①)。しかしながら、6~7月に雨季に移行すると、大雨や強風が発生したため、干ばつで弱っていたバナナの株が倒れたり、荒れた天候により収穫作業ができなくなったりして、収穫量に影響が出ました。
また、9~11月までの3ヶ月間には合計11の熱帯低気圧(後に台風となったものも含む)が次々とフィリピンに上陸・接近し、バランゴンバナナの各産地に豪雨と強風をもたらしました。特に、9月に発生した3つの熱帯低気圧と10月下旬に発生した台風クリスティンにより、主にネグロス島とミンダナオ島レイクセブで、実のついた株が倒れたり、葉が著しく千切れたり、株が根こそぎ倒れたりするなど、大きな被害が発生しました(写真②、③、④)。
※写真②、③、④:台風クリスティンによりバナナの株が倒れ、葉が千切れました。
さらに、台風によるフィリピン国内船の運航中止などもあり、収穫量や輸入量が大幅に減少し、販売に際しては量目変更や欠品など、消費者の皆様にはご迷惑をおかけしました。
この間、幸いにもバランゴンバナナの生産者とその家族に死傷者は出ていませんが、11月に超大型台風ペピートがルソン島を横断した際は、北ルソンのバランゴンバナナの圃場が荒廃し、パッキングセンターや生産者の家なども被害を受けたため、現在、ATPIでは、長期的な復興と生活再建のため、圃場の整備、株の植え替え、施肥などを計画しています。
そして、12月上旬にはネグロス島のカンラオン火山が噴火しました。カンラオン火山は6月にも噴火し、噴火警戒レベルが高い状態が続いていましたが、2024年で2回目の噴火が起こりました。周辺に住む8万人を超える住民に避難が呼びかけられ、ネグロス西州バイスのバランゴンバナナの産地にも降灰の被害がありました(写真⑤)。
2024年はこのように様々な天候被害があった年でしたが、2025年は穏やかな年であることを願っています。
生産者たちも、度重なる天候被害に心折れることなく復興に向けて取り組んでいます。
各産地の復興が進み、バランゴンバナナの収穫量が回復した際には、また是非たくさん食べて応援していただきたく、どうぞよろしくお願いいたします!
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