レポート

【バナナニュース237号】ボイさん・アナさん一家の物語⑤ ~旅行を通して見るフィリピン人の暮らし~

2014年11月12日

 バランゴンバナナ生産者でありオルタートレード社(以下:ATC)のスタッフであるロッドジム・カトゥバイさん(通称:ボイさん)は10月21日~31日の計11日間、バランゴンバナナの消費者の皆さんと交流するために来日しました。ボイさんの来日が決まった時、家族はボイさんに、バランゴンバナナ生産者の代表として日本に行くことを誇りに思っていると喜んでくれたそうです。今回の日本滞在は、ボイさんにとって初めての海外。
今回は、ボイさんにフィリピン人の旅行の習慣や思いを聞いてみました。

 


パスポートを取得するのは大変だったと聞きましたが
「パスポートを取得するのは大変でした。特に必要な書類の準備。フィリピンでは、公式な書類に書かれている個人情報に誤りがあることが多々あります。私の場合、出生証明書に書かれている氏名・生年月日と、キリスト教の洗礼を受ける際に教会が発行する書類の氏名・生年月日が異なっていたので、教会の書類の内容を変更しなければいけませんでした。
私の両親が結婚した時、父は16歳、母は14歳でした。私は母が16歳の時の子どもです。まだ若かったので、書類を申請する時に書き間違えたのだと思います。」
※過去にパスポートの取得が間に合わず、来日できなかった生産者、ATCスタッフもいます。日本では比較的簡単に取得できるパスポートですが、フィリピンではパスポートを取得するのも一苦労です。

親族で海外に行ったことがある人はいますか?
「叔母が以前、家政婦として、オーストラリアで約2年働いていました。今回の日本の滞在が、私にとっての初めての海外です。妻のアナも、2人の娘も海外に行ったことはありません。私はマニラに行くのも今回が初めてで、アナは、飛行機にも乗ったこともありません。」

フィリピンでは1000万人以上(人口の約10%)海外で働いており、親戚で1人は海外で働いた経験がある人がいると言われているぐらい、海外で働くことが一般的。町や村では、よく海外での家政婦の仕事の募集ポスターが貼られているのを目にします。

家族旅行でどこに行ったことがありますか?
「1990年代に家族4人でセブ島に行ったことがあります。バスと船の旅でした。セブではモールに行くなどして、家族で休暇を楽しみました。
バランゴンバナナの集荷は毎週あり、週末に行われます。また、家畜の世話などもしないといけないので、長期休暇を取るのは難しいです。フィリピン人はお祝い事など特別な日には家族で集まるのですが、親戚がマンフヨッド町に集まることが多いので、私たちが遠くに出掛けることはあまりありません。」

ロウア・カンダボンの他の生産者はどのようなところに旅行しますか?
「他のバランゴンバナナ生産者も、遠出することはほとんどありません。普段はカラバオ(水牛)に乗っている生産者。でもアナ同様、飛行機に乗ったことがない人がほとんどです(笑)
私が日本に行くことが決まった時、他のバランゴンバナナ生産者から、自分たちは日本に行く機会などないので、ここにいる生産者全員を代表して、日本に行って欲しいと言われました。」

フィリピンの農村に住んでいる人々にとって、旅行はなかなか行けない楽しみ。一方で、多くのフィリピン人が海外に出稼ぎに行っており、海外は遠いけど身近な存在です。今回、ボイさんは福岡、東京、千葉、福島を訪問しました。お世話になった方、参加して頂いた方、本当にありがとうございました。来日中は様々なところを訪問し、色んな日本食を食べました。フィリピンの農村暮らしを考えると、今回の経験はボイさんにとって一生の思い出になったことは間違いないでしょう!!

フィリピン駐在員 黒岩竜太

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