オーガニック?フェアトレード?マスコバド糖のギモン
今回は、マスコバド糖に対するご質問で特に多い有機認証やフェアトレードに関することにお答えします。
Q.マスコバド糖は有機?
ATJが輸入・販売するマスコバド糖は有機JAS認証を受けていません。発売当初は日本だけだった販売先も、各国に増え、現在では海外の有機認証を取得し、各国のフェアトレード市場にも広がっています。
それではなぜATJは有機JAS認証を取得していないのかと言うと、「サトウキビ生産者の暮らしを応援していくこと」を目的としているので、すでに海外の有機認証を取得したものだけではなく、有機栽培に興味を持ち、転換を始めた生産者から出荷されるサトウキビも使用しているためです。転換期間中も海外の有機認証の基準に沿った栽培がおこなわれ、化学合成農薬や化学肥料は使用しません。
なお、「有機認証=無農薬」と誤解される場合が多いですが、有機認証でも使用が許可されている農薬もあるので、有機認証=無農薬というわけではありません。また、「有機JAS」マークがない農産物、畜産物及び加工食品に「有機」や「オーガニック」などの名称の表示は法律で禁止*されていますので、現時点で「有機の黒糖」や「オーガニックシュガー」などと称して販売することはできませんのでご注意ください。
*農林水産省「有機表示について」より引用
有機JAS認証に詳しく知りたい方はこちらから
Q.マスコバド糖はフェアトレード?認証は受けてる?
SDGsの盛り上がりなどもあり、フェアトレードマークが付いた商品を見かける機会が増えていますが、マスコバド糖は国際フェアトレード認証ラベル(FLO)を付けて販売していません。また、ATJは世界フェアトレード連盟(WFO/旧IFAT)にも加盟していないので、パッケージにもこれらのマークは付いていません。
元々、フェアトレード商品であることを伝えるツールとして使われ始めた認証マークですが、人と人が出会うことで始まった民衆交易の第一号商品であるマスコバド糖は、取り組みの経緯や生産者のストーリーを直接伝えることでマークを付けないで販売してきました。マークがあると一目でわかりやすいですが、認証を取得するにはお金もかかり、新たにサトウキビ栽培に加わった生産者が容易に対応できるものでもありません。有機認証制度と同様に、様々な段階にある生産者の現状をサポートすることを優先したいという考えから、認証は取得していません。
でも、ご安心ください。マークがないと「フェアトレード」と言えないわけではありません。フェアトレードは、法律で規定はされていないので企業や団体が独自の基準を設けて取り組んでいる場合があります。ATJもそうした団体の1つで、民衆交易も広義のフェアトレードになります。フェアな取引を行っている商品すべてに必ずしもマークが付いているわけではないのです。
マスコバド糖の民衆交易が始まるきっかけとなったサトウキビ農園の労働者がそうであったように、もっとも支援を必要とする社会的・経済的に弱い立場におかれた生産者にとっては、第三者認証は教育水準や経済的理由から取得が難しいこともあります。だからこそ、(外部機関による)第三者認証に縛られるのではなく、生産者と消費者の信頼と合意に基づいた基準や認証を大切にしています。産地の状況や生産者に寄り添い、その関係を第一にすることは、ATJが取り組んでいる民衆交易が大事にしている理念でもあります。
パッケージの向こう側に込められている大変見えづらい想いではありますが、私たちはこれからも生産者のニーズを聞き取り、サポートをしながら、マスコバド糖のストーリーを伝え続けていきます。
大久保ふみ(おおくぼ・ふみ/ATJ)
黒澤仁実(くろさわ・ひとみ/ATJ)
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