レポート

【コラム:カカオキタ2】「カカオ・キタ」加工チーム結成

2017年6月22日

津留歴子(つる・あきこ)

ATJ  カカオ事業担当

[box type=”shadow”]APLAニュースレター『ハリーナ』に連載中の人気コラム、「kakao kita(カカオキタ)」ではカカオ産地の様子や生産者の横顔をお伝えしています。バックナンバーを順次ご紹介します。因みに、「カカオキタ」とは、インドネシア語で「私たちのカカオ」という意味です。[/box]

 

カカオ生産者

日本で販売が開始された『チョコラデパプア』、生産者は「これが我らのチョコか」とニッコリ。

パプアではカカオ収穫期が近づいてきました。現地ジャヤプラでは今季の買付けを始める準備が進んでいます。その手始めに、今季のカカオ加工チームの結成がありました。昨年加工作業に従事したのはヤニム村の青年たちでした。しかし、今年は他の村の人も均等にリクルートしようと、「書類選考」「面接」「雇用契約」という正式な手続きを試みることにしました。しかしこれはパプア人の村社会では普通のことではありません。村では地縁・血縁、友だち同士が誘いあって仕事に就くというパターンが普通です。それが、求人広告なるものが村に張り出され、希望者は「身分証明書のコピーを添付した履歴書をx月x日までに提出」と要求する、村の人びとは違和感をもったでしょう。それでも30名ほどの応募者があり、厳選な書類選考及び面接を経て今季のカカオ・キタ加工チームが3月初め結成されました。

昨年加工場で働いていた若者たちは、自動的に今年も働けるわけではないと知り、がっかり。可哀そうではありますが、「カカオ・キタ」代表のデッキーさんも心を鬼にして、若者たちに事業の枠組みのなかでの仕事を自覚させるためにあえて契約という近代的要素をパプア社会に取り入れてみようとしたのでしょう。試用期間は1ヵ月。この期間に就業規則に違反したり、勤務態度が悪いものは容赦なく補欠の候補者と換えるそうです。そして、加工場で働くスタッフはすべて銀行口座を開設し、給料は振り込み制に。給料日になると、母親が息子からおカネをもらいに加工場の周辺にやってくるという光景がありましたが、これからは銀行前で待ちあわさなければなりません。

自然の中で束縛されずに伸び伸び生きてきたパプアの人びとにとって、規則や契約の中で仕事するということは何を意味するのでしょうか。今季の彼らの仕事ぶりを見てみましょう。

 

*この記事はAPLA機関誌『ハリーナ』20号(2013年5月)に掲載されたものです。なお、『ハリーナ』バックナンバーは、最新号を除くすべての記事が無料でお読みいただけます。

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