<今月のおいしい!①>基本は「パペダとおかず」
「今月のトーム!(おいしい)」はカカオの産地、インドネシア・パプア州の日常食です。
※「トーム」は現地の言葉で「おいしい」という意味です。

エリザベス・タルコさんはカカオ産地のブラップ村に住んでいます。カカオ生産者組合のメンバーで、夫のヤフェットさんは組合の代表です。8人家族で子どもは男4人、女2人です。

サゴヤシの澱粉から作るパペダは、パプアの先住民族にとって古くからの主食です。ジャワからお米が持ち込まれ、パプアの人びともご飯が好きですが、買わないといけないのでお金がかかります。ですから、エリザベスさんの家では今でもパペダが主食です。サゴヤシ澱粉を水で溶き、煮立ったお湯を注いでかき混ぜると、ドロッとしたパペダの出来上がり。温かいうちに食卓にのせ、魚スープや野菜と一緒に食します。
今日のおかずは、パパイヤの花炒め、森に自生する「蝋燭野菜」と呼ばれる植物の茎のなかにある綿状の部分を煮込んだココナッツスープ、サトイモに似た食感のクラディというイモを蒸かしたものです(一番上の写真、右から時計回り。上にあるのがパペダ)。
パパイヤの花はパプアで最も好まれている野菜のひとつです。パパイヤは成長が早く、パパイヤの葉や花はいつでも簡単に採取できます。味は苦みがあり、調理のときは炒める前に塩もみし、さらに茹でて苦みを飛ばしたりします。しかし、この苦みがマラリアの予防になると人びとは言っています(マラリアの薬の苦さと似ています!)。


家では料理をテーブルの上に置いて、家族は好きな時間(基本はお昼と夕方2回)に各自食べるという感じです。食べる場所も庭先だったり各々好きな場所で食べています。食卓を囲んで家族全員「いただきまーす」と言って一緒に食事をとることはないのです。


食材は森や川、海から調達!
調味料を別にすれば、サゴヤシ澱粉はもちろん、食卓にあがる多くの食材は畑や森でできたものです。肉は狩猟で獲ったイノシシや鶏の肉を食べます。鶏肉は、町で買ってくることもありますが。肉や魚は村の中で売り買いがあります。魚や肉の余剰を村の中で売るのです。海や川の幸も食卓に並びます。魚や貝、エビやロブスタなど。魚の燻製も作ります。



パプアの人びとは、全能の神が生活に役立つさまざまな種類の野菜や植物を与えてくれたと信じています。食材を見ると本当にそう感じますね!
※サゴヤシでん粉の加工方法はこちらから → <今月のおいしい!②>パペダの作り方
現地取材 津留歴子(カカオキタ社顧問)
まとめ 小林和夫(ATJ広報室)
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◆コラム「今月のおいしい!」では、産地の食事や食文化について紹介していきます。
前回の記事はこちら→乾季にはこれ!「サユールアサム」
エコシュリンプ加工場の工員さんの家庭で暑い乾季に食べられているインドネシアの家庭料理が登場します。
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