【PtoP NEWS vol.28 特集】土地を守るためのオリーブ栽培 from パレスチナ
なかなか伝わってこないパレスチナの暮らし
パレスチナと聞いて、皆さんはどういうイメージをお持ちだろうか?私の知り合いの大半は「あぁ、あの大変な所ね」という反応である。新聞やマスコミでパレスチナが取り上げられるのは、物々しい話ばかり。
ここ最近では、イスラエルの米国大使館のエルサレム移転に抗議する市民のデモに対してイスラエル軍が攻撃を繰り返し、多くの死者負傷者が出たことが記憶に新しい方も多いと思うが、パレスチナに普通に暮らす人びとの様子はなかなか伝わってこないのが現状だ。
オリーブオイルで平和な暮らしを目指す
オルター・トレード・ジャパン(ATJ)が2004年から取り扱っているパレスチナのオリーブオイルは、パレスチナ農業復興委員会(PARC)とパレスチナ農業開発センター(UAWC)という2つの団体から届いている。ヨルダン川西岸地区で栽培されたオリーブから搾油されたエキストラバージンオリーブオイルだ。
PARC、UAWCともに、生産者が手塩にかけて育てたオリーブから搾油したオリーブオイルやその他の農産物を加工品にして世界の市場につなげることで、パレスチナの産品の商品価値を高めてゆくこと、そして人びとが自分たちの土地で平和に暮らしてゆけることを目指している。
オリーブ栽培そのものが、イスラエルによる入植地の建設のために土地が収奪される危機に常にさらされているパレスチナの人びとの土地を守るための運動であるが、それ以外に、農業技術改善の支援や生産者に向けた研修などにも力を入れている。
目や耳を疑うようなパレスチナの現状
このように生産者の支援を続けるPARCやUAWCの担当スタッフから聞くパレスチナの現状は、目や耳を疑うようなものばかりだ。
冒頭でも少し触れた「土地の没収」については、オスロ合意(いまや完全な崩壊が決定的になってしまっていると言っても過言ではない協定だが…)で認められたパレスチナ人による暫定自治があるにもかかわらず、パレスチナの土地はコマ切れに区分されてしまっている。
行政権や警察権がすべてパレスチナにゆだねられているA地区。行政権はパレスチナ、警察権はイスラエルのB地区、そして、行政権と警察権すべてがイスラエルに管轄されているC地区だ。特にC地区は、自然保護地区、森林、井戸が豊富にあり、農地としての力をもった重要な地域だが、イスラエルは、パレスチナ自治政府に返還するという署名合意も無視し続け、占拠を続けている。
また、新たな入植地を建設するために、パレスチナの人びとがオリーブ栽培をしているにも関わらず、「使っていない土地」と見なすや否や、文化遺産として国際法で守られている樹齢数百年というオリーブの木をもお構いなしに引き抜き、その土地を造成してしまう。そんなことが、日常茶飯事として起こっているという。
さらに、イスラエルは「自爆テロの防止」という名目でパレスチナの土地に高さ8メートルにも及ぶ分離壁を張り巡らせている。それによって人びとの移動が極度に制限されている。自分のオリーブ畑に行きたいだけなのに、分離壁のために何キロも遠回りをし、なおかつ検問所を何カ所も通過しないとたどり着けないという不便を強いられているのだ。
おまけに、人間が生きていくのに欠かせない水、農業を営むのに必要な水もイスラエルにより制限されている。世界保健機構によれば、一人当たり1日100リットルの水が必要とされているが、水の使用が制限されているため、パレスチナの人びとが使える水は1日わずか70リットル。一方で、イスラエル側、そして入植地に融通されている水は260~280リットルだという。こんな理不尽があってよいものなのか。
人びとの平和な暮らしを祈りながら・・・
パレスチナでは例年10月に入ると、オリーブの収穫が始まる。
家族総出で収穫作業をして、本来は一年の実りを皆で喜ぶ時期なのだが、今年は例年にない不作が見込まれているとの連絡が入ってきている。
PARC、UAWCの担当者はこう話す。「どうか、どこか遠い国で起こっている自分たちに関係のないことと思わないでほしい。無関心でいることが一番罪深いことだから。日本で、そして世界でパレスチナのことを思ってくれている人びとがいるということが、自分たちの力になる」
パレスチナの人びとが当たり前に平和に暮らせる日々が近い将来やってくることを祈りながら、パレスチナの大地の恵みであるオリーブオイルを味わいたいと思っている。
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