レポート

【バナナニュース342号】「私たちは良い品質のバナナを育ててるんだ」

2023年8月31日

~バナナ担当者小島の研修出張見聞録④(今後不定期で掲載します)~

ランタワン村の生産者と現場スタッフ

ネグロス西州ランタワン村に圃場視察で訪問した際、生産者が「私たちは良い品質のバナナを育ててるんだ」とにっこりと話してくれた。少しギョッとしてしまった。ネグロス島のバナナの品質は他の産地と比べて良好とは言えず、日本での廃棄率が高い産地だからだ。日本の選別場で撮影した写真を見せて、「品質不良で一部が廃棄されている」と伝えたら、生産者は悲しんでいた。

その圃場視察後、州都バコロド市の露店で売られているバナナを見て回った。皮は極めて黒く、実まで傷みがあるバナナも平気で売られていた。地元のスーパーマーケットで販売されている高価な有機栽培バナナ(ラカタン種)ですら、軸腐れと傷が多かった。フィリピンでは、果実も野菜と同じく栄養摂取の意味合いの方が重視されると現地スタッフも話しており、青果物に対する品質基準は日本より寛容だ。

フィリピン国内消費用のバナナと日本への輸出用バナナを同じ基準で考えても仕方がないが、現地で売られているバナナと比べると確かに生産者のバナナの品質はとても良かった。生産者の言葉を思い出し、複雑な気持ちになり、少し悲しい気もした。「私たちは良い品質のバナナを育ててるんだ」と言うように、収穫時のバランゴンバナナには問題がないように見えるが、消費者に届くまでの長距離輸送と日数の経過で徐々に品質が悪化していってしまう。生産者が自信を持って生産したバランゴンバナナの品質をそのまま消費者にお届けできない歯痒さを感じた。

🍌バコロド市の露店やフィリピンで売られているバナナ

フィリピンの露店やスーパーマーケットでは、生食用や調理用の色々な種類のバナナが売られています。

露店にて売られているバナナ(トルダン種)。1房30円~100円。
露店にて売られているバナナ(トルダン種)。品質が悪めのブース。

露店で購入したトルダン。1本約10円。

房ごと買わなかったから、割高となった。このバナナの購入理由は、皮がはち切れるほど熟していておいしそうだったから。トルダンは甘酸っぱい。

生食用のラカタン種(細い方。最上段)と料理用のサバ種(上から2段目の左側)のバナナ。

ラカタンは有機栽培バナナらしく高価でも軸腐れやダイヤモンドスポットという病害の傷が多く、品質はそこまで気にされていない様子。
個人的にはラカタン種が一番好き。酸味が少なく、甘い。

たぶんラカタン種。店の人に聞いてもよくわからないとのこと(私の英語のせいかも?)。
ネグロス西州の生産者が家庭消費用として取っておいたバランゴンバナナをお裾分けしてくれた。

バナナ担当者小島の出張見聞録①はこちらから~

~バナナ担当者小島の出張見聞録②はこちらから~

~バナナ担当者小島の出張見聞録③はこちらから~

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