レポート

お店レポート らくだ舎

2025年8月25日

編集やライティングのお仕事をされてきた千葉智史さんと貴子さんご夫妻が紀伊半島の南東部にある和歌山県那智勝浦町色川に移住したのは10年ほど前。地域の商店「色川よろず屋」のオーナーさんから、現状のスタイルでは継続が厳しいという相談を受け、店番をしてみた貴子さんは、商店は居合わせた住民が交流する拠点にもなっている、ということに気づいたそう。その機能を強めて、みんなが集っておしゃべりし、何かが生まれるようなたまり場を作りたいと、2018年11月、よろず屋の建物内に喫茶室をオープンしました。

よろず屋の店番も兼ねることで人件費を節約しつつ、週に3日喫茶室を開店しています。さらに、新刊書籍800冊ほどが並ぶ本屋、ご自身の蔵書や「読み終わったので地域の共有財産に」と寄付してもらった書籍からなる図書室も併設され、豊かな時間を過ごせるスペースとして地域に根をおろしています。

らくだ舎のお二人

喫茶室では、ご友人のつながりで紹介してもらったという神戸の焙煎所による「らくだ舎オリジナルブレンドコーヒー」や色川特産の紅茶やほうじ茶などのメニューに加えて、規格外未利用のバランゴンバナナを使ったバナナスムージーも人気だそう。実は、規格外バランゴンバナナの活用をめざす【ぽこぽこバナナプロジェクト】のウェブサイトの制作にご協力くださったのが千葉貴子さん。ご自身が営む喫茶室としても、「ぽこ」のひとつとしてプロジェクトに参加してくれているのです。

よろず屋の方はというと、地域の皆さんのニーズに合わせた品物(たとえばお酒やごみ袋)に加え、千葉さんたちが店番を担当するようになって、民衆交易のマスコバド糖やフェアトレードのスパイス、国産の菜種油などの量り売りもおこなっています。「決して安くはない商品、人口が少ない地域で売れますか?」と質問してみたところ、「地区人口の320人のうち170人が移住者ということもあり、マスコバド糖は以前から使っていた、という方も多いんですよ。他の商品も自分たちも日々使用する需要が確実にあるものを選んで並べています」とのことでした。あったらいいな、を無理なく、という姿勢が素敵です。

そして、2023年からは出版事業も始めたお二人。5年前から本屋として本を取り扱うなかで、本を作る側になりたい、と考えるのは自然な流れだったといいます。編集やライティングの仕事は都会に集中しているのが現状とはいえ、地域に暮らしているからこそ見えるものがある、それを自分たちで本にしよう、と世の中に送り出した書籍『二弐に2(にににに)』は、らくだ舎のウェブサイトから購入可能です。

らくだ舎
和歌山県東牟婁郡那智勝浦町口色川742-2
喫茶室営業日時 木金土10:00~17:30

※このレポートはPtoPニュース63号「つながるひろがるピートゥーピーの輪」からの転載です。

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